「はっはっはっはっ!!肉がウマイ!!おい、この肉を調達しにいくぞ!!焼く準備してろよ!!」
ここは火竜山脈
この世界ハルケギニアで最も大きな国ガリアと宗教国家ロマリアの間にあり、名の示すように火竜や、サラマンダーなどの火に関する生き物達が住んでいる。
「勘弁してよ……僕はもう疲れちゃったよ。」
ここに火竜とサラマンダーがそれぞれ一頭づついた。
この二頭、サラマンダーも並みの個体では無いが、火竜の方は体の無数の傷が更に強者の雰囲気を醸し出している。
「おいおい、お前は肉焼くだけだろ。このなんたら鬼とかいう豚もどきをぶちのめして持って帰ってくるのは俺だぜ?」
「オーク鬼だよ……。その焼くのに疲れてるのさ。君は食いすぎだ。」
その二頭のそばには骨だけになったオーク鬼がこんもりと積まれていた。
「だってよお、お前想像できるか?1ヶ月魚モドキ生活とかよ。1ヶ月頑張って今月こそは、今月こそはと希望を持ち続けた果てに月頭に魚モドキが用意されてる絶望感がさ…たまには肉食いたいんだよ、浴びる程な。」
「でも人間が食い物を用意してくれてるなんて楽でいいじゃないか。ここじゃあ今日みたいな狩りを毎日頑張らないと食い物にありつけないし、結構な頻度で獲物が見つからない日もあるんだよ?」
「かぁ~!ところがその食い物も用意するのは半分俺さ!なんせ俺が稼いだ給料や賞金で買ってるもんだからよ!」
「さっき言ってたモンスターバトルとかいうやつかい?」
「そうそう、そいつでひと稼ぎすんのさ。まあ、わざわざ街で買ってきてくれてるからな、別に偉そうにするつもりは無いさ。俺一人でなんでもかんでもやれるわけじゃねえ、ブリーダーとモンスターの協力あってこそだ、何事もな。だけど魚モドキ地獄は堪えるぜ……。」
「ふーん、僕は食べたいな、魚。食べたことないし。」
「そうかそうか、それじゃあ俺がファームに帰れたらファームに招待してやるよ。世話してもらってるしな。」
「それは楽しみだね。君のブリーダーさんにも会ってみたいし。」
「ああ……あいつはちょっと口うるさいがいい奴さ。なんたって……俺のマスターなんだからな…。」
火竜は空を見上げる。
「だが帰ろうにもここがどこだかちっともわかんねえ。空から見ても知らない土地が続いてるだけだ…。」
「大丈夫、きっと帰れるよ。君のマスターも心配して探してくれてるんだろうし。」
「……そうだな!あいつに心配かけていられねぇ!」
火竜がその大きな身体を持ち上げ立ち上がる。
「俺はもう一回飛んでくる!」
「うん、僕はここにいるから、何かあったらここに来て………」
その時サラマンダーのそばに宙に浮いている鏡のような物が現れた。
「おい!一体何だそりゃあ!急に現れやがった!」
火竜はサラマンダーを守る様にサラマンダーの側へと近づく。
「いや、大丈夫。落ち着いて、これは人間のメイジが使う召喚のゲートだ。」
「なにぃ?召喚ん?」
「うん、僕を召喚したい人間が僕の事を呼んでるんだ。」
「……しかし、何の為にお前を呼ぶんだ?」
「多分僕を使い魔、パートナーにするためじゃないかな?」
「パートナーってことはよ……」
「うん、多分僕はこの召喚に応じたら、一生をこの向こうで過ごす事になる。」
「…行くのか?」
「行ってみたいかな、あっちは僕を指定で呼べるわけじゃなくて、自分と相性のいい何かを呼べるとしか分からないらしい。つまりこの先には僕と相性のいい、運命のパートナーがいるってことになる。」
「………そうか。」
そう返事すると火竜は一歩下がった。
「人間にはいろいろいるが、お前と相性がいいって言うなら安心だな。」
火竜は翼を大きく広げ、羽ばたき、宙に浮いた。
「そんじゃあここでお別れだな。ファームを探してるうちにまたあえるかもな。」
火竜はそう言って大空へと
「待って!」
飛ぶ前に止められた。
「僕は行かない。行く宛の無い君を放っておけないよ。」
「いや、しかしお前は運命の…」
「放って行くなんてサラマンダーの沽券にかかわるからね。その運命の相手にも胸を張って挨拶なんてできないさ。」
「それじゃあどうするよ…?置いてけないって言ったって俺は飛び回って色んな所を探し回る予定だぜ?」
「うーん………でもなぁ…。」
「……よし、こうしよう。」
「うん?」
「俺達両方召喚されちまえばいいんだよ。」
「え?」
火竜の提案にサラマンダーは理解が追いついていないようだ。
「つまりだ、召喚されたらここ以外の場所に移動できるし、人間の所に行くって事は地図なりなんなりで色んな情報があるって事だよ。しかもお前もちゃんと召喚に応じれるしな。」
「でも、いいのかい?召喚に応じたら君も契約に応じる事になると思うよ。そうなったら……」
「ああ……まあなんとかなるだろ。時が来たら説明して納得してもらうっきゃねえ。それに俺みたいなのが理由や身分無しでうろつくのは難しいしな。使い魔でも何でも身分は作っといた方がいいだろ。」
「…受けた恩を返さずお別れってのは、お前で言うところの沽券にかかわるってやつだ。」
火竜は小さく言葉を付け加えた。
「ふふ、そうか。さて、じゃあどうやって二人でこのゲートを通ろうか。」
「そりゃ簡単だ。」
そういうと火竜はサラマンダーを脇に抱える。
「こうやって無理矢理とおるのさ!」
火竜はゲートに頭を突っ込むが背中の羽がつっかえてしまう。
「僕用のサイズだものね。」
「ええい、しゃらくせえ!」
火竜はゲートの上部を掴み、下部に足を引っ掛けて背を伸ばして無理矢理ゲートをこじ開けた。
ゲートが電流と火花で悲鳴をあげている。
「わわ、乱暴だなぁ。」
「これでフリーサイズだな。」
そう言うと火竜はサラマンダーと一緒にゲートへと入っていくのだった。
「流石は、凄いパワーだね。」
火竜は自信満々な笑みを浮かべた
「そりゃそうさ、なんてったって俺は伝説のモンスター。」
「ドラゴンだからな!!」
思ったより長くなった。
というか凄くドラゴン君がキャラ強くなっちゃったな。