大地を駆ける~疾走する地竜~   作:アンゴラチャーハン

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学院編
地竜召還~邂逅~


爽やかな風がそよぐ草原。

今ここではハルケギニアの各国のメイジの少年少女の通う学院であるトリステイン魔法学院、その生徒たちの進級試験である使い魔召還の儀式が執り行われていた。

 

「次は………ミス・タバサ、あなたですよ。」

 

彼は教師でこの試験の試験官であるジャン・コルベール。

 

「………」

 

彼に呼ばれたタバサという少女は小さく頷き、読んでいた本を閉じて眼鏡の位置を直し、生徒たちの集団から前に出てくる。

小柄な彼女の青い髪を風が揺らし、雪のように白く透き通る肌を撫で、彼女の背丈を超そうかという大きい杖はしっかりと握れられ風を切る。

 

「しっかりね、タバサ。」

 

声をかけたのは寡黙な彼女の数少ない友人であるキュルケ。

幼さを感じさせるタバサとは逆に背は高く、髪は赤色でウェーブのかかったロング、肌は褐色で、スラリと伸びた細い足、スマートな腰元のくびれ、胸元の開けられたシャツは双丘によって作られた谷間が覗けている、非常に成熟した容姿をしている。

 

「さ、ミス・タバサ、リラックスして……」

 

「はい………我が名は…『タバサ』。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従いし使い魔を召還せよ。」

 

彼女が呪文を唱えると鏡のようなゲートが現れ、その中から風竜が現れた。

 

「おお、ミス・タバサは風竜を召還しましたか。」

 

彼女はメイジの中でも非常に高い実力を持つトライアングルのランクのメイジ、力量に見合った使い魔が召還されたと言えよう。

 

「さあ、契約を…」

 

「はい…我が名は『タバサ』…」

 

タバサが呪文を言いあげ、風竜へと口付けをする。

すると風竜の体には彼女の使い魔となった証、ルーンが刻まれた。

 

「……はい、これであなたの儀式は完了です。それでは…」

 

「!……待ってください、ミスタ・コルベール……」

 

「どうかしましたか?ミス………これは……召還のゲートが…」

 

「…まだ閉じてない…」

 

風竜を召還し、役目を終えたはずのゲートが未だに消えずにその場に残っている。

そして中からは何かの唸り声が聞こえる。

 

「……!ミス・タバサ!下がりなさい!何かが飛び出してきますよ!」

 

コルベールは力を持った何かが飛び出して来るのを直感的に察知した。

 

「……」

 

だがタバサは下がらない、むしろその力を望むように手を伸ばし一歩前に歩いた。

 

「な、何をしているのです!下がって!」

 

しかして唸り声の主はゲートから飛び出して来てしまった。

 

「グウォォォオオオオオオオオ!!!!」

 

ゲートから飛び出したそれはその勢いのまま地面を削り、土煙を巻き上げ、タバサの前でようやく勢いを殺しきって静止した。

 

「げほげほ、おい!いったいなんだって言うんだ!?」

 

「ああ!!僕のヴェルダンデが衝撃で気を失っているぅ!!」

 

「きゃあぁ!!ちょっとそのおっきいカエルを近づけないで!!」

 

「ちょっと!!あたしのかわいいロビンになんて事言うのよ!!」

 

他の生徒達の阿鼻叫喚の中、タバサだけはその差し出した手の中にある感触にほくそ笑んでいた。

今ゲートからでてきたこれは『違う』。

ただの使い魔にはない圧倒的な何かを持っている。

土煙が晴れ、姿を現したそれは竜というには余りに異質で、トカゲか何かというには余りに大きすぎた。

 

「グルルル……」

 

差し出したタバサの手に収まったそれの顔は鋭い牙と緑の頑強な鱗、だが丸みのある顔つきがどこか可愛らしい愛嬌のある見た目をしていた。

 

「待っていた。あなたは私が呼び寄せた。」

 

 

 

 

(飛び出て来たはいいが……)

 

ダンナは困惑していた。

先ほど飛び込んだ鏡の中の世界から、勢いをつけて吐き出されたように飛び出し、その衝撃でニャーは白目を向いてしまい、巻き上がった土煙の向こうに沢山の人の気配を感じるもののどうすればよいか分からない。

あまつさえ自分に既に何かの手が触れている。

 

(攻撃するのは得策ではないな。様子を見よう。)

 

阿鼻叫喚の中で待ち続け、ようやく土煙が晴れた先には、青い髪の小柄な少女がいた。

 

(………なるほどこの子が…。)

 

ダンナはこの少女が自分達を呼び寄せた存在だと一目で理解した。

 

「待っていた。あなたは私が呼び寄せた。」

 

(うむ。)

 

青い髪の少女、タバサはタイミングよく相づちを打ち喉を鳴らしたダンナに驚いたように目を少し開いた。

が、その言語の理解力を彼女は気に入ったようで微笑みながらダンナに語りかけた。

 

「私はあなたを私の使い魔にしたい。契約に応じてほしい。」

 

(……いいだろう。私の背中にいる相棒と、あなたを信じよう。)

 

ダンナは目を閉じ、彼女の為すがままにまかせた。

 

「我が名は『タバサ』……」

 

彼女はもう一度契約の呪文を唱えてダンナへ口付けをする。

 

(ふむ…。このように何かしらの紋章のような物が浮かび上がるのか。)

 

そしてダンナに契約の証であるルーンが刻まれ、ここに新たなタバサの使い魔、ダンナが生まれた。





「ちょ、ちょっと何勝手に契約を……」

既に使い魔がいるのに、おまけに飛び出してきた何かに勝手に契約してる生徒を見て、他にも悩み多き教師ジャン・コルベールの残り少ない髪が一本、はらりと抜けた。

「きゅいぃぃ……!(私もいるのを忘れないでほしいのね……!)」

ダンナにインパクトを奪われてしまった。ホントは凄い風竜(?)ちゃんはハンカチ噛んで悔しがっていた。


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あとがき

が、学院まで到達したよ……!
これからものんびり頑張ります。
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