「耳さわってみてもいい?」
「へ?耳?」
突然の僕の言葉にびっくりしたみたいだけど、小太郎君が反応を示す前に撫でている手が耳のところまでたどり着く。
ふわっ。
「わー、すごいふわふわ・・!」
犬の耳と同じ手触りで、ふわふわしててもふもふしてて。
尻尾はどうなんだろう、耳と同じでうわふわしてるのかなあ?
ネギが小太郎の尻尾に手を伸ばし、撫でる。
「やっぱり尻尾もふわふわ・・いいな、こんなに手触りいいなら僕も狗族でいいかも・・!」
なんて冗談を言ってると、小太郎が言葉を発していないことに気がついた。
「・・・どうしたの、小太郎君?」
静かな小太郎にネギが問いかけると、小太郎はネギを見上げながら言った。
「・・なんや、なんかくすぐったいっていうか・・」
そうだ、動物って耳とか尻尾が敏感なんだった・・!
はっとするネギの手から逃れるように尻尾が動いた。
「ご、ごめんね?大丈夫、小太郎くん」
「くすぐったいだけやし大丈夫や、それに別にネギやしええで」
小太郎の言葉に違和感を感じる。
いつもネギに小太郎はつっかかるような言葉を使うのに、それがないだけでなんだかとても変な感じがするのだ。
ネギは思う。
(ホレ薬が入っててデレ(?)るのはわかるけど・・・たしか性格が変わるような作用はなかったよね?)
もしかして、とひとつの可能性を見つけた。
明日菜がこれを食べたときは感情を変えるだけで、思い切り性格が変わるわけではなかった。それでは、小太郎はただ単に特別な人の前ではこういう性格なだけではないか?
段々とわかってきた。小太郎はネギなどとの関係、ライバルのようなものには突っかかるような言葉。千鶴や夏美などの家族のような関係にはいつもの自分。
そうすると・・・今のこの状態は、本当に好きな人・・特別な人、・・親。特別な人間。
そうしか考えられない。
ネギは今、特別な人間の対象に入っているのだ。
(もしも小太郎くんにお母さんやお父さん・・・家族がいれば、親はこんな風に甘えられてたのかな?)
帰って来た拍子に飛びついたり、言うことを聞いたご褒美に撫でろ、なんて普段の小太郎からは考えられない。
だが、完全に心を許した本当の家族にはこういう一面を見せるのかもしれない。
(僕には、生きているかわからない状態であってもお父さんが居る。お姉ちゃんも居て・・・だけど、小太郎くんは居ないんだ。親も、兄弟も、誰も居ない・・・)
今だけなら。今なら、ネギは小太郎をめいいっぱい甘えさせるチャンスなのかもしれない。今まで出来なかった分を少しずつ、氷を溶かしていくように彼の心の凍った部分を溶かしていけるかもしれない。
覚悟を決め、小太郎を抱きしめるように手をまわした。
まわせなかった。
「なななな、なんやぁあ!?」
薬の効果が切れたのか、いきなり小太郎くんが僕を思い切り突き飛ばした。
「ぐはっ!?」
玄関の扉に激突するネギ。
「あ、スマン・・・やなくて、なにしてくれてんねん!!」
「小太郎くんが最初にとびついてきたんでしょっ!っていうか僕の心配はないの!?」
思い出してきたのか、段々小太郎くんの顔が赤くなる。
「あれはなんかその・・なんか変だっただけや!!し、仕方ないやろ!」
「仕方ないって・・・」
たしかに仕方がない。ホレ薬のせいだ。
・・・言わないほうが身のためだろう。
「う、うん!そうだよね!仕方ない!そんな気分になることもあるよ!」
「・・・なんか怪しいきがするんやけど」
「ギクーッ!!ぜ、全然!?」
「・・ま、まあええわ。そんで、用事何やけど・・」
「・・・・兄貴達、完全に俺っちの存在忘れてやがるぜ」
床に寝転んだまま、カモは思った。
あとがき。
カモ!!オチはまかせたぜ!!
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次はなにかこうかなーと迷っています。
ホレ薬ときたら次はケモ耳がはえちゃうけい・・・と思ったら生えてました。すでに。
なにかいいアイデアはないかと捜索中です。