ガーディアンフォースの基地を出発したデストロイヤー兵団がゆっくりと荒野を進む。
兵団の中心を進む巨大な要塞・・・ウルトラザウルスザデストロイヤー。
左右に1門ずつ身の丈を超える巨大な砲塔・・・ウルトラキャノンを備え、機体各所に無数の砲塔がせり出している。
ただでさえ動きが遅いウルトラザウルスだ・・・
これだけの装備を背負っていれば歩くのも一苦労だ。
見え始める。
地平線には黒い雲がかかってその先を見渡すことはできない・・・
トライアングルダラスだ。
「よし!
ムンベイ!ウルトラザウルスを止めろ!
全軍停止!」
ハーマンの号令でデストロイヤー兵団が停止し、海の方を見据える。
沈黙の中、ドクターDからの報告が入る。
「ロブ!
先行したハンマーヘッドから島の位置のデータが届いたぞい!」
「よし・・・
オコーネル!
部隊の配置状況は?」
「すでに完了しています。」
「よし!
ウルトラキャノン発射用意!
目標はハンマーヘッドが確認した島の位置だ!」
「こちら、ウルトラキャノン1番。
カール・リヒテン・シュバルツ。発射準備よし。
ハーマン!いつでも撃てるぞ。」
「こちら、ウルトラキャノン2番。
トーマ・リヒャルト・シュバルツ!
いつでも撃てます!」
「よし!
ウルトラキャノン!発射!」
「ファイヤー!」
ハーマンの指示と同時にシュバルツ兄弟がトリガーを引く・・・
左右5発ずつ・・・合計10発の巨大な砲弾が発射される。
切り音に続いて轟音と終わらない衝撃波と爆炎。
これだけでネオゼネバス帝国本部をパニックに陥れるには十分だった。
如何にトライアングルダラスの電磁嵐から守るために堅牢に作られた基地でも用をなさない。
1発で中規模都市を丸ごと廃墟にできる威力の砲弾が10発も撃ち込まれたのだ。
「くそっ・・・
ニューへリックやガイガロスを取り返すでもなく、守りを固めるでもなくここを狙ってくるとは・・・
うろたえるな!
いくら砲弾の威力があろうと地下までは破壊できん。
動ける戦力はドラグーンネストですべて出ろ!」
ヴォルフの指示で先ほどまで起きていたパニックが嘘のように収まる・・・
「ヒルツ・・・
出られるか?」
「私はまだ・・・
しかし、陛下のゾイドは完成しております。」
「わかった!
私も出る。
後は頼んだぞ!」
「はっ!・・・」
格納庫に向かうヴォルフを見送りながらヒルツが不敵に笑う。
デストロイヤー兵団の正面にネオゼネバス軍が展開する。
規模はヴォルフが駆るライガータイプの見たこともない機体を先頭に、ディロフォース、マッカーチス、ディマンティスを中心とした小型ゾイド部隊、ダークスパイナーを中心とした大型ゾイド部隊からなる5個師団ほどだ。
ブリッジにネオゼネバスから有視界通信が入った。
「ルイーズ大統領、ルドルフ皇帝・・・
お久しぶりです。」
「ふん・・・
これはネオゼネバス皇帝陛下。
降伏の申し入れかい?」
ハーマンが会話に割り込む。
「その逆です。
あなた方に勝ち目はない。
降伏することを提案いたします。」
「この戦力差で何を寝ぼけている?
下らん。
叩き潰してやる!
ムンベイ!
ウルトラキャノンを廃棄した後に砲撃開始だ!
砲撃部隊も砲撃を開始しろ!
先手を撃つ!
高速戦闘部隊も同時に突撃だ!
俺も出る!」
ハーマンが通信を一方的に切った。
「クルーガー提督・・・
ウルトラザウルスと大統領と陛下をお願いします。」
「うむ・・・
任せておけ。
存分に戦って来い。」
「ハーマン!
私とトーマも発進する!」
「シュバルツ・・・
頼む!
2人は俺と一緒にきてくれ!」
ついに全面戦争の火蓋が切って落とされた。
弾うち尽くし、ただの重荷となったウルトラキャノンが地に落ちるのを合図に、砲撃を開始するデストロイヤー兵団。
同時にシールドライガー、セイバータイガーを中心とした高速戦闘ゾイドが咆哮をあげ、突撃する。
「ついに始まったか・・・
全軍生き残ることだけを考えろ!
ガイガロスとニューへリックの部隊が進軍を開始している。
奴らが到着すればデストロイヤー兵団は袋のネズミだ。」
砲火にさらされながら、ヴォルフが的確に指示を出す。
ニューへリックシティーとガイガロスを占拠していたネオゼネバス軍が合流し、デストロイヤー兵団に向け進軍する。
「奴らもツメが甘いな・・・
あたしたちがいることを忘れてるんなんでさ・・・」
「えぇ・・・
これで奴らも終わりですね。
まさか、これほど早く決着がつくとは・・・」
「ハンナ大佐、ギル中佐。
あまり油断するな。
敵も数だけを頼りに、なんの策もないままに本隊を攻撃したりはすまい。」
ゲイル准将が部隊を急がせる。
ネオゼネバス軍の進む先に数機の機影が見える。
バーサークフューラー、ライガーゼロイエーガー、レイズタイガー、ワイツウルフ・・・そして、母艦となるホバーカーゴ
「なっ・・・
まさか、奴らだけであたしたちを・・・」
「それだけ奴らは優れた戦士なのだろう?
だからこそ打ち砕きがいがあるというものよ!
ハンナ大佐、ギル中佐。
部隊を停止させろ!
こやつらは我らで倒す!」
「とんでもねぇ数だな・・・
奴ら、ホントにガイガロスとニューへリックシティーの部隊を全部連れてきやがった・・・」
「あぁ・・・あれを僕達だけで相手に足止めしようってのか・・・」
「心配するな。リーゼ。
あんな雑魚が何体いようと関係ない!」
「ああ、レイヴンの言う通りだ。
俺たちが狙うのは隊長機だけだ!」
「どうやら敵さんもそのつもりみてぇだな。
部隊を停止させて隊長機だけ進んできやがる。
バン!
まずは俺からいかせてもらうぜ!」
アーバインが前に出る。
「ゲイル准将・・・
どうやら一番手は私のようです。」
「うむ・・・
くれぐれも油断するでないぞ。」
ハンナハンナのデスレイザーが前に出る。
「一番手で来てくれるとはな!
覚えてくれてて嬉しいぜ!」
「仮にも陛下から頂いたこの機体に傷をつけたヤツだからな・・・
だから、お前はあたしが倒す!
今のうちに念仏でも唱えろ!」
ハンナが不敵に笑う。
「ぬかせ!」
ワイツウルフが走り出す。
デスレイザーがレーザーガンを連射してくる。
ワイツウルフがブースターを吹かしかわしていく。
「遅い遅い!
どうした?
動きが鈍いぜ!」
アーバインが不敵に笑いながら、懐に飛び込み、機銃を掃射する。
しかし、デスレイザーの多角面装甲には傷一つつかない。
「ふん・・・
お前は動きが丸見えだ!」
デスレイザーの尻尾の一撃が飛んでくる。
テールソードだ。
ワイツウルフが飛び退いて避ける。
「やっぱり一筋縄にはいかねぇか・・・
勿体ぶっても仕方ねぇ!
行くぜ!相棒!
フィーネ!」
「OK!
アーバイン!
ザビンガ発進するわ!」
フィーネがホバーカーゴから自動操縦のザビンガを発進させる。
ホバーカーゴを飛び出したザビンガが空中で分解し、ワイツウルフに合体する。
伝説の白虎ワイツタイガーが走り出す。
「ここからが本番という訳か・・・
いいだろう!
パラブレード!」
同様にパラブレードが分解し、デスレイザーに合体する。
紅き龍デカルトドラゴンが飛び立つ。
上空からデカルトドラゴンがプラズマ砲を放つ。
ワイツタイガーがブースターを吹かす。
プラズマ砲をかわしながら、飛び上がり、機銃を放つ。
「ふん・・・
合体したからどれほどかと思えば・・・
所詮はこの程度か!」
尾でワイツタイガーを叩き落す。
「ぐっ・・・
合体しただけあって、とんでもねてパワーだぜ・・・」
落ちるワイツタイガー目掛けて、デカルトドラゴンが、急降下してくる。
プラズマウェーブウィングが光る。
「ちっ・・・
こぉんのぉぉぉお!」
アーバインがワイツタイガーを着地させると同時にブースターを吹した。
プラズマウェーブウィングを発光させ、急降下してくるデカルトドラゴン・・・
ブースターを吹かして飛び上がったワイツタイガーはデカルトドラゴンの頭を踏み台にしてさらに上へ飛ぶ。
そのまま空中で旋回し、体勢が崩れたデカルトドラゴンの首筋にストライクエレクトロンクローを叩き込む。
デカルトドラゴンが地面に激突し、激しい砂埃が舞い上がる。
どれほどのダメージを与えたかわからない。
アーバインはワイツタイガーを空中で旋回させたまま警戒を続ける。
突如、砂煙の中からプラズマ砲が放たれる。
「ぐああぁぁ・・・」
「アーバイン!」
「慌てるな、バン!
無傷とまではいかないが避けてる!」
仲間の危機に前に出ようとするバンをレイヴンが止める。
「ああ、そういうこった、バン!
すぐに終わらせてやるからそこで黙って見てろ!」
ワイツタイガーの機動性のお陰でなんとか直撃は避けることができた。
しかし、前足の装甲が消し飛んでいる・・・
立ち込める砂埃の中から、首筋に傷を負ったデカルトドラゴンが飛翔する。
「すぐに終わらせるだと?
たった一撃入れることができたくらいでいい気になるなよ・・・
お前は二度も陛下から頂いたこの機体に傷をつけたんだ・・・
絶対に許さん!
覚悟しろ!」
「へっ・・・
どう許さねえか教えてもらおうじゃねえか!
このくたばりぞこないが!
きっちりトドメをさしてやるぜ!」
デカルトドラゴンがプラズマ砲を連射しながらワイツタイガーを追う。
「はっ!
どうした?どうしたぁ?
そんなんじゃ遅すぎてあたんねえぞ!」
最高速度でワイツタイガーが砂漠を疾走し、砲撃をかわす。
「いい気になるなぁ!」
突如、デカルトドラゴンの口腔部が発光する。
最大出力のプラズマ砲だ・・・
「なにも気づいてねえみてえだな!
甘いぜ!
俺が逃げ回ってたのはこのためだ!」
ワイツタイガーのすぐ後方にはネオゼネバスの部隊がいる。
そのままデカルトドラゴンがプラズマ砲を放てばネオゼネバスのゾイド部隊にも被害が出る・・・
「どうだ!
これでそいつも撃てねぇだろ!」
「ふん・・・
だったらこっちできめるだけだ!」
口腔部の光が消え、代わりにプラズマウェーブウィングが発光する。
プラズマ砲のためにチャージしたエネルギーを全てプラズマウェーブウィングにまわしたのだ。
デカルトドラゴンが上空からワイツタイガーに急襲する。
「そういうのを待ってたぜ・・・」
プラズマウェーブウィングが触れる直前にブースターを吹かしてデカルトドラゴンの背中に飛び乗る。
「なにっ?」
「この勝負もらったぁぁぁ!」
ワイツタイガーが機銃を乱射する・・・
次の瞬間、2体を中心に爆炎が立ち上る。
「ふぅ・・・
なんとかうまくいったぜ・・・」
「すげーぜ!アーバイン!」
「当たり前だ!
バン!てめぇ、俺が負けると思ったか?」
「わりぃわりぃ・・・
まあ、後は俺たちに任せとけ」
「いや、まだだ。
奴は立っている・・・」
「なっ・・・
レイヴン・・・お前・・・」
「ちっ・・・どうやらそうらしいな・・・
行くぜ!ワイツタイガー!」
「貴様・・・
あたしを本気で怒らせたみたいだね・・・」
プラズマウェーブウィングが基部からへし折れ、機体の各所から火花が上がっているデカルトドラゴンが立ち上がる。
「くそっ・・・
しぶてぇ野郎だ・・・」
「消し飛ばしてやる!」
「やってみやがれ!
このくたばりぞこないのスクラップやろうが!」
ワイツタイガーが加速する。
真正面からデカルトドラゴンが最大出力のプラズマ砲を放つ。
ワイツタイガーがギリギリでそれをかわし、デカルトドラゴンの首筋に牙を突き立てる。
突き立てた牙からスパークが走る・・・
そのまま首筋の装甲の一部を食いちぎり、離脱する。
「ちくしょう・・・強化人間であるあたしがこんな奴に・・・」
デカルトドラゴンが爆散する。
「アーバイン!無事か?」
「ああ!
問題ない!
だが、しばらく動けそうにない。
後は頼んだぜ!」
「あぁ・・・
行くぜ!ジーク!」
ライガーゼロにジークが合体する。
「ゲイル准将、私が・・・」
「うむ・・・
任せたぞ・・・」
ガンキャラドが前に出る。
「シャドー!」
シャドーが合体し、バーサークフューラーが前に出る。
「そのまま呑気に構えてる気かい?
僕ならもう準備はできてるよ。」
リーゼが不敵に笑う。
「そうだな・・・
我らも始めるとするか・・・」
ブラストルタイガーが走り出す。
「行くぞ!
スペキュラー!」
スペキュラーが合体したレイズタイガーが走り出す。
「ぬおおぉぉぉ!」
ブラストルタイガーが全砲門を開き、サーミックバーストを放つ。
「ふっ・・・
無駄だよ・・・」
リーゼは不敵に笑い、回避もせず、さらに機体を加速させる。
サーミックバーストが直撃する。
ダメージはない・・・
レイズタイガーの装甲に装備された、集光パネルが砲撃のエネルギーを吸収しているのだ。
「もらった!」
吸収したエネルギーを牙に集中させ、レイズタイガーが肉薄する。
「甘いわ!」
ブラストルタイガーは身を沈めてかわし、頭突きをする。
「くっ・・・」
跳ね飛ばされるレイズタイガー・・・
「さすがに熟練のゾイド乗り相手じゃ簡単にはいかないか・・・」
「やぁぁぁぁぁ!」
「ぬりゃぁぁぁ!」
黒と蒼の虎が激しくぶつかり合う・・・
「集中しろ!
スペキュラー!
サーミックバーストのチャージが完了する前に決める!」
助走をつけて飛び上がり、上空からブラストルタイガーの頭を狙う。
「甘いと言っておる!」
上空から爪で斬りかかるレイズタイガーの腹をブラストルタイガーが前足で打撃を加え、叩き落す。
「くそっ・・・・」
リーゼは焦っていた・・・
サーミックバーストを打ち尽くしたブラストルタイガーには爪と牙しかない。
そうなれば、格闘に特化した虎型のレイズタイガーが有利だ。
だが、実際は違った。
ブラストルタイガーは3体の虎の中でも最も獰猛な紅のコアを使っており、その荒い気性は、格闘戦で力を発揮する。
なおかつ、パイロットは、帝国の三銃士の師匠に当たるゲイルだ・・・
虎型の扱いに関してはリーゼよりも数段上なのだ。
「くそっ・・・
なにか方法は・・・」
投げ飛ばされるレイズタイガーの中で必死に考えを巡らせる。
「やぁぁぁ!」
レイズタイガーがブラストルタイガーに肉薄する。
「ふん・・・
貴様の防御力は見事なものだ・・・
だが、これならどうかな?」
レイズタイガーが眼前に迫った瞬間にブラストルタイガーがサーミックバーストを放った。
「くっ・・・
しまった・・・」
集光パネルによって砲撃のエネルギーは吸収されるが、衝撃や機体内部へ伝わる熱まで防ぐことができるわけではない。
衝撃で跳ね飛ばされ地に伏す蒼虎・・・
スペキュラーも限界を迎え、弾き出される。
「くそっ・・・
大丈夫か?スペキュラー!」
「これで終わりだな・・・」
伏して動かぬ虎の中でトドメを刺しに向かってくる敵を見据える・・・
「ちくしょう・・・
レイヴン・・・
僕は負けたみたいだよ・・・」
リーゼが死を覚悟した瞬間、ブラストルタイガーの肩の装甲が爆発する・・・
「なんだと?」
「へっ・・・
何諦めてんだ?
俺もいるって忘れてただろ?」
「ふっふっふっ・・・
儂としたことが忘れておったわ・・・
虎型に乗る若僧がもう1人おったことをな!」
「若僧とは言ってくれるじゃねぇか!
おっさんはそろそろ引退する時期だぜ!
フィーネ!
リーゼが回復したらディスペロウを発進させろ!
その間に俺が時間を稼いでやる!」
「了解!
あまり無理はしないで。」
「ぐあぁぁぁ・・・」
ストライクレーザークローを放ったライガーゼロがガンギャラドの尾に跳ね飛ばされる。
「他愛もない・・・」
地に伏すライガーゼロにガンギャラドが三連衝撃砲で追い打ちをかける・・・
「どけ!バン!
ここは俺に任せて装備を換装しろ!
その装備じゃラチがあかない!」
ライガーゼロに降り注ぐ砲撃をレイヴンがバーサークフューラーのEシールドで受け止める。
「わかった・・・
すまねぇ!
フィーネ!
シュナイダーの準備だ!」
ライガーゼロがホバーカーゴに向けて走り出す。
「ふん・・・
換装などさせるものか!」
ギルがガンギャラドを飛行形態にし、追撃をかける姿勢をとる。
「誰が追っていいと言ったんだい?」
バーサークフューラーの荷電粒子砲がガンギャラドの行く手を阻む。
「誰が止めていいと言った?
まあ、いい・・・
ならば貴様から倒してやろう!」
「倒す?
この俺を?
はっはっはっはっはっ・・・
それはさぞかし楽しませてくれんだろうな!」
ビーム砲を放ちながらバーサークフューラーがホバリングで動き出す。
「何度やっても同じことだ。
貴様らごときにガンギャラドの装甲を破ることなどできん!」
ギルはビーム砲を浴びるのも構わず、ガンギャラドに突撃体勢をとらせる。
「死ね・・・」
ガンギャラドが一気に加速する。
「死ぬのは貴様の方だぁぁぁ!」
迫るガンギャラドを紙一重でかわし、懐に飛び込む・・・
「いくら頑丈だからと言ってもこれには耐えられるかな?
最大級の荷電粒子砲だぁぁぁ!」
ほぼ零距離でバーサークフューラーの口腔部とバスタークローの中心から荷電粒子砲が放たれた・・・
さすがのガンギャラドも爆発と共に弾き飛ばされる。
だが、損傷は軽微だ。
腹部の装甲がわずかに融解したにすぎない。
「この程度で全力か?・・・」
弾き飛ばされたガンギャラドにバーサークフューラーが急襲する。
「残念だな・・・
俺の狙いはここからだ。」
荷電粒子砲を受けて損傷した箇所に狙いを定め、2本のバスタークローを突き立てる。
「無駄だぁぁぁ!」
ガンギャラドの爪がバーサークフューラーに襲いかかる。
「構うな!シャドー!
このまま突き破るぞ!」
レイヴンはガンギャラドの爪が降り注ぐ度に装甲が消し飛ぶのも構わずに、バスタークローを突き立てる。
ガンギャラドの装甲が・・・
バスタークローが・・・
悲鳴をあげ、その両方が砕ける。
「おのれぇぇぇ!」
バーサークフューラーがガンギャラドの尾で薙ぎ払われる。
「ぐっ・・・
この役立たずが・・・
あの程度で砕けるとは・・・」
バーサークフューラーは両方バスタークローの刃が根元から折れ、地に伏す。
それをガンギャラドが見据え、ハイパー荷電粒子砲の狙いを定める。
腹部の装甲が砕け、内部機間が露出しているが、動くことに支障はないようだ・・・
「消し飛べぇぇぇ!」
ハイパー荷電粒子砲が放たれる。
「くそっ・・・」
レイヴンの眼前に荷電粒子の奔流が迫る・・・
今まさに光の渦が白き竜を溶かし崩すと思われた瞬間、橙の影が間に割り込み、光の渦を切り裂いた。
「ふぃぃぃ・・・
Dじいさんに電磁フィールド発生装置をつけといてもらってよかったぜ。
大丈夫か?
レイヴン!」
「ふん・・・
一体誰に向かって聞いている?
さっさとキメるぞ!」
「へっ・・・
思ったより元気そうじゃねぇか!
けど、お前も換装しろ!
いくらなんでも、それじゃまともに動き回れないぜ!」
バンの言う通りだ・・・
素体こそ、軽微な損傷しか負っていないにせよ、バスタークローは砕け、各部の装甲が砕けて、素体が剥き出しになっている。
こんな状態でガンギャラドの攻撃を受ければ、万に一つも助からない。
「俺がいない間にやられるなよ。
お前を倒すのはこの俺だ!」
「俺がやられると思ってんのか?」
「ふっ・・・
ギルとかいったか?
俺が戻るまで生きててくれよ?・・・
せっかく換装してきても、君がやられてたんじゃこの後の退屈しのぎができなくなるからな・・・」
バーサークフューラーがホバリングでホバーカーゴに戻ってゆく。
「喰らえ!
サーミックバーストぉぉぉ!」
「遅い!遅い!」
ブラストルタイガーが放ったサーミックバーストを自慢の機動性でワイツタイガーがかわしていく。
「いっけぇぇぇ!」
アーバインが機体を飛び上がらせ、上方から機銃を乱射しながら、ブラストルタイガーを急襲する。
「甘いわぁぁぁ!」
ゲイルはそれをすべてさけ、機体を飛び上がらせて、ワイツタイガーの側方から体当たりを喰らわせる。
「ぐぅっ・・・
なんて一撃だ・・・」
ワイツタイガーが弾き飛ばされる。
「この勝負もらった!」
「うおぉぉぉ!」
白と黒の虎の影が重なり、すれ違う。
「クソ・・・
相討ちにするつもりだったんだがな・・・
三銃士のおっさん達の師匠じゃそううまくもいかねぇか・・・」
白い虎から火花が上がり、地に伏す。
「ふふ・・・
充分相討ちだ・・・
小僧・・・
よく戦った・・・」
ブラストルタイガーの首筋の装甲が弾け飛ぶ。
次の瞬間、砲撃がブラストルタイガーを襲う。
「ありがとう。
アーバイン・・・
後は僕に任せろ・・・」
ディスペロウとユニゾンし、砲撃力を強化したレイズタイガーがブラストルタイガーに歩み寄る。
「ほう・・・
意外に早かったな・・・
だが、追加装備をつけただけで、回復したと言うわけではあるまい。
そんな状態で戦うつもりか?」
「君こそ、そんな傷でまともに動けるのかい?
まずは、自分の心配をするべきだと思うけどね!」
リーゼが皮肉っぽく笑う・・・
「誰に向かって口を聞いておる?
まあ、遠慮は不要というわけか・・・
いくぞ!」
ブラストルタイガーがフットロックで足場を固定し、最大出力でサーミックバーストを放つ。
同時にワイツタイガーが全砲門を開く。
両者の放った砲撃がぶつかり、かききえる。
砲撃がぶつかって舞い上がった砂塵の中から、ディスペロウのを強制排除したレイズタイガーが踊り出る。
「愚かな・・・
せっかく付けてきた装備をわざわざ捨てるとはな・・・」
「ふふっ
そうでもなさそうだよ・・・
僕の狙いは最初からこれさ!」
リーゼが不敵に笑い、レイズタイガーがブラストルタイガーの懐に飛び込み、アーバインがつけた首筋の傷に喰らい付く。
「アーバインには感謝しなきゃな・・・
この勝負もらったよ。」
レイズタイガーの牙から凄まじいエネルギーがブラストルタイガーの内部に流れ込む・・・
「おのれぇぇぇぇ!」
ブラストルタイガーの爪がレイズタイガーのエネルギー循環パイプを引きちぎる。
行き場を失ったエネルギーが暴走し、レイズタイガーが内部融解を始める。
このままでは爆散するのも時間の問題だ・・・
「くっ・・・」
リーゼは緊急脱出装置を起動させ、脱出する。
「スペキュラー!」
組み合ったブラストルタイガーとレイズタイガーに砲撃が降り注ぐ。
ディスペロウを強制排除した時にスペキュラーはディスペロウに合体し、作戦が失敗しても、敵に止めをさせるようにしておいたのだ。
「なるほど・・・
オーガノイドを使った二段構えの作戦か・・・
見事だ。小娘・・・
いや、さすがは青い悪魔と言ったところか。
まさかこのゲイルを破るとはな・・・」
「おい!
早く脱出しろ!
そのまま機体と一緒に・・・」
「言うな!小僧!
ネオゼネバスの将校たる者、無様に生き恥をさらすわけにはいかんわ!
ヴォルフ陛下!ばんざぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」
次の瞬間、ブラストルタイガーとレイズタイガーのエネルギーが暴走し、爆発した。
「なっ・・・
ゲイル准将・・・
そんな馬鹿な・・・
おのれぇぇぇ!」
「どこ見てんだ?
おめぇの相手は俺だぜ!」
「ふん・・・
貴様如きすぐに片付けてやる!」
ガンギャラドが超音速で突撃してくる。
「へっ!
そう簡単にやられてたまるか!
ブレードオン!
行くぜ!ジーク!」
「ガウガウっ!」
ライガーゼロシュナイダーが頭部の5本のブレードを前面に展開し、突撃する。
ぶつかり合う両者・・・
「うおぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁ!」
「うおぉぉぉ!」
互いに後方に吹き飛ばされる。
「かぁぁぁ・・・
ものすげぇ痛ぇ・・・
けど、やっとあいつの体当りに慣れてきたぜ!
もういっちょ行くぜ!
ジーク!ライガー!」
「ガウガウっ!」
ライガーゼロシュナイダーが咆哮し、立ち上がる。
「クソっ・・・
なぜだ!」
ギルは焦っていた・・・
スピードもパワーもガンギャラドの方が圧倒的に優っている・・・
なのに、突進で飛ばされたのだ。
先ほど、バーサークフューラーにやられた傷か?
違う!
大きな傷に見えて、ダメージは大きくない。腹部の装甲と三連衝撃砲がダメになっただけだ。内部機関まではやられてない・・・
なのに、あの小さな獅子は、このガンギャラドに競り合い、あまつさえ弾き飛ばしたのだ。
あの小さな身体のどこにそんな力が・・・
新しく付けてきたアーマーのせいか?
それともオーガノイドを積んでいるからか?
パイロットが特別なのか?
あるいは、そのすべてか?
「いずれにしても、これならどうすることもできまい!」
再びガンギャラドが超加速し、ライガーゼロに急襲する・・・
「今度こそぶっ飛ばしてやるぜ!
行くぜ!
ジーク!」
ライガーゼロシュナイダーもブレードを展開し、突撃する。
「ふん・・・
一度味をしめたら馬鹿の一つ覚えか・・・」
衝突する直前にガンギャラドが高度をあげライガーゼロの首筋に喰らい付き、そのまま上昇する。
「死ね・・・」
充分な高度をとったガンギャラドが急降下する。
目指してる場所は岩山だ。
「やべぇ・・・
くそっ・・・
抜け出せない・・・」
そのまま岩山に激突し、岩山が崩れ落ちる・・・
巻き上がる粉塵の中からガンギャラドが再び飛び立つ。
口にはライガーゼロをくわえたままだ。
「ぐっ・・・
ちくしょう・・・
こんなのもう一発喰らったらヤバいぜ・・・
なんとかして、抜け出すぞ!ジーク!」
「ガウガウ!」
「バカが・・・
抜け出せるものか・・・
さっきよりも高いところからだ・・・」
再度ガンギャラドが上昇を始める。
「ちくしょう!
なにか方法はないのか!なにか!」
ガンギャラドが空中で停止し、急降下の体勢をとる。
「バン!
シールドを最大出力で展開しろ!」
「なっ・・・
レイヴン?
どうするつもりだ?」
「説明してる暇はない!
それとももう1度叩きつけられたいのか?」
「なんだかしらねぇけど、やるしかないぜ!
ジーク!」
ライガーゼロがシールドを展開する。
ガーゼロがシールドを展開した瞬間、光の渦がライガーゼロ諸共ガンギャラドを飲み込み、吹き飛ばす。
「ふん・・・
バン!
なにをやっている!
さっさと起きろ!」
「だぁぁぁ!
レイヴン!
てめぇなにしやかんだ!
危なく荷電粒子砲で消し飛ぶとこだったじゃねぇか!」
ライガーゼロを起き上がらせながらバンが抗議の声を上げる。
「だから、言っただろう?
シールドを展開しろって・・・
それにちゃんとシールドが展開されてる側から撃ったさ!
もっとも、この俺がそこまで気を使ってやったのに消し飛んだんじゃ、君もそれまでだったということだろうけどね!」
「お前なぁぁぁ・・・」
深くため息をつくバン・・・
立ち込める砂煙の中からガンギャラドが立ち上がる。
「奇策で窮地を脱したつもりか?
あのまま抵抗しなければ楽に死ねたものを・・・
まだ苦しみたいらしいな。」
「へっ・・・
俺たちはそう簡単にやられたりしねぇぜ!
行くぜ!ジーク!
さっきの分をきっちり返してやるぜ!」
「ガウガウっ!」