ゾイド After War   作:西川の兄貴

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第18話 奇襲

それは突然起きた。

 

デストロイヤー兵団歩哨部隊。

 

「前回の戦い、どう思う?」

 

「どうとは?」

 

「ネオゼネバスだよ。

反撃に出たと思ったらすぐに撤退してさ。

もしかしてら、奴は見栄を張ってるが、戦争続ける体力ないんじゃないのか?」

 

「確かにそうかもな。

こっちでやられたのは、敵のエースパイロットとぶつかった奴だけだ。

案外、デカイこと言っても大したことないのかもな。

ネオゼネバスの連中はさ。」

 

 

「お前ら!

無駄口叩いてないで、しっかり見張れ!

なっ・・・」

 

「隊長?

どうされました?

隊長!

ぐぁぁぁぁ!」

 

次々と歩哨に当たっていたコマンドウルフが、荷電粒子砲でコアを射抜かれた。

 

 

 

ウルトラザウルスのブリッジにオコーネルから通信が入る。

 

「どうした?」

 

「歩哨に当たっている部隊からの連絡が途絶えました。」

 

「なんだと・・・

場所は?」

 

「D7ブロックからF3ブロック周辺です。

電波干渉激しく、詳しい場所の特定は困難です。」

 

「敵襲か?ハーマン!

俺達がすぐに迎撃に・・・」

 

「うろたえるな!

迂闊に動いてはウルトラザウルスの位置まで露呈する。

それにお前たちのゾイドは補給が済んでいない!」

 

すぐに発進しようとするバンを制し、ハーマンが指示を出す。

 

「上空のアーラバローネは敵機を補足していない。

おそらく敵は陸戦タイプだ。

歩哨がやられた地域を見渡せる場所にガンスナイパーを配置し、見つけ次第狙撃しろ!

ドクター!今出せるゾイドは?」

 

「砲撃ゾイドはほとんどが大丈夫じゃが・・・

高速戦闘ゾイドで、隊長機はほとんどが回復しておらん・・・

唯一動かせるのが・・・

シュバルツのセイバータイガーぐらいじゃ・・・」

 

「それでは、私がいこう。」

 

シュバルツが立ち上がる。

 

「いや、わしが行くよ・・・

ドクター!

わしの機体は出れるのだろう!」

 

初老の男性がシュバルツを呼び止める。

 

「出られんこともないが、まだ調整が終わっておらん・・・」

 

「なぁに、そのくらいなら、なんとかなるさ!」

 

「しかし!」

 

「いや、シュバルツ!

彼に任せよう。

頼みましたよ。

アーサー少佐!」

 

アーサーが発進する。

 

「まさか、まだ生きていたとはな・・・

レオマスター最強と謳われた男アーサー・ボークマン。

又の名をクレイジーアーサー・・・」

 

シュバルツがアーサーを見送りながらつぶやく。

 

 

 

「こちら、アーサー・ボークマンだ。

問題のポイントに到着した。

ハーマン!

これはひどい状況だなぁ・・・」

 

「というと?・・・」

 

「今映像を送る。」

 

 

「なっ・・・これは・・・」

 

現地のアーサーから送られた映像を見て、ウルトラザウルスのブリッジが騒然となる。

 

「これは格闘戦でつく傷じゃない・・・」

 

バンがつぶやく。

さらに、トーマが続ける。

 

「ああ、それに、砲撃戦のものでもない。砲撃戦で片方だけ一方的にやられることはない。しかも、これだけの数を一撃で仕留められてる。」

 

 

映像には、歩哨に出ていた、コマンドウルフ3個中隊が全滅している惨劇が映し出されていた。

 

「第一こいつらを全滅させるほど派手にドンパチやりゃ、上空のアーラバローネが気づくはずだ・・・」

 

アーバインがつぶやく。

 

「ともかくこの辺を調べてみる。

そちらもできるだけ早く体制を立て直しておいてくれ。」

 

アーサーが探索を開始し、通信が終了する。

 

 

 

 

「どうやって気づかれずにこの数を・・・

ステルス機か?

違うな・・・

ヘルキャット音声データは全機にインストールされてるはずだ・・・

 

いくらなんでも全滅はない・・・

近くに敵の気配は感じるがそいつらのせいじゃない・・・

とすると・・・長距離射撃か?」

 

アーサーが、愛機が敵の気配に苛立つのを感じる。

 

「ガンスナイパー隊!

そっちから何か見えるか?」

 

「いえ、こちらからは何も・・・

ひとまず援護射撃の準備は整いました。」

 

「よし・・・

なら、俺の機体から目を離すなよ・・・

行くぞ!」

 

アーサーの機体が唸り声をあげ、走り出す。

額にレオマスターの証となる盾を模したエンブレムをあしらった真紅のブレードライガー。

先の戦闘で回収したブレードライガーをドクターDが調整した機体だ。

他の機体はアンビエントのゾイド因子を除去した影響で元々シールドライガーだった頃の色・・・蒼もしくは白になっている。

しかし、本機は、あえて、アンビエントのゾイド因子を残し、凶暴化したままだ。

本来、ゾイドは心で動かすもの。

最初からゾイドとの精神リンクが可能なアーサーにとってはわざわざスペックを落としてまで、扱いやすい機体にする必要はないのだ。

 

「・・・っとこのじゃじゃ馬が!」

 

そのアーサーでさえも今は機体に振り回されている。

いや、あえて振り回されているのだ。

敵が見つからないのならば、愛機が持つゾイド本来の勘を信じて敵を探しているのだ。

 

 

突如正面から砲撃が襲う。

高出力の荷電粒子砲だ。

 

「なっ・・・」

 

アーサーの後方の山間部に命中し、通ってきた道が塞がる。

同時に正面から無数のゾイドが現れる。

 

「そういうことか・・・

退路を断ち、こいつらでわしを・・・

とすると・・・

歩哨部隊をやったのは、今の砲撃か!

ひとまずこいつら片付ける。

ガンスナイパー隊!

援護を頼んだぞ!」

 

「お任せ下さい!

 

ぐぁぁぁぁ!」

 

「なんだ?

どうした?」

 

アーサーの援護のために狙撃体制をとっていたガンスナイパー部隊を上空から飛来したフライシザースが襲う。

援護は期待できそうもない。

 

「ちっ・・・

参ったな・・・」

 

目の前の敵を見据え、ブレードライガーが唸る。

 

「さっさと戦いたいってか・・・

せっかちな相棒だ・・・

わかったよ。

行くぞ!」

 

ため息をつきながら、アーサーがブレードライガーを前に出す。

 

 

「キリがないな・・・

困ったもんだ・・・」

 

敵はブロックスゾイドとキメラブロックスの混成部隊だ。

個々の戦闘能力は小型ゾイド程度だ。

ブレードライガーを持ってすればさしたる問題にもならない。

だが、ここで厄介なのが、倒された機体が他の機体に取り込まれてかかってくるため、一向に敵を殲滅できずにいる。

 

「さっさと荷電粒子砲を撃ってきたやつをやらなきゃならんのになぁ・・・」

 

ブレードライガーが目の前のデモンズヘッドを爪で蹴散らしながら咆哮する。

 

「つまらんから、強行突破しろだって・・・

全く、とんでもなくわがままじゃねぇか。」

 

 

ブレードライガーがブレードを展開する。

 

「全くもって・・・

行くぞ!」

 

ブースターを吹かし、ブレードライガーが加速する。

 

「ぬおおぉぉぉぉ!」

 

正面の敵のみをなぎ払い、敵を突破する。

 

紅い弾丸が群れを突破していく。

 

 

 

「よし!

突破した!

一気に行くぞ!」

 

ブレードを格納し、敵に向けて、加速する。

 

「ん、どうした!」

 

突如、ブレードライガーが停止し、進行方向と逆を向く。

 

ブレードライガーの視線の先には、生き残ったキメラとブロックスがチェンジマイズしたキメラドラゴンとマトリクスドラゴンが3体ずつと新たに飛来したロードゲイルが2体・・・

 

「まず、こいつらと遊んでからということか・・・」

 

焦るでもなく、油断するでもなく、余裕を持って笑みを漏らすアーサー・・・

 

歴戦のゾイド乗りが本気を出せる戦いを見つけた瞬間だった。

 

 

 

正面からキメラドラゴンが頭部の小型マグネーザーで突進してくる。

獣王と呼ばれるブレードライガーには止まって見えるスピードだ。

衝突直前に飛び上がり、キメラドラゴンの額を踏み台にして跳ぶ。

狙うは上空のマトリクスドラゴンだ。

 

「ぬんッ!」

 

マトリクスドラゴンの首筋に喰らい付き地面に引きずり落とす。

そのまま組み伏せて、前脚で頭を踏み潰す。

 

「期待外れか?

まだ3割も本気を出しちゃいないぞ。」

 

アーサーが不敵な笑みを浮かべる。

事実、ブレードライガーの最大の武器であるレーザーブレードはおろか、ロケットブースターすら使わずに、爪と牙だけで、マトリクスドラゴンを1体倒している。

 

グルルルゥゥゥ・・・

 

紅の獣王も不満そうに唸る・・・

 

「楽しませろったって、無茶言うなよ・・・

敵が弱いだからよぉ・・・」

 

グルルルゥアァァァァ!

 

操縦桿を通して愛機の苛立ちが伝わってくる。

 

「わかったよ・・・

それじゃ、ひとまず、こいつらはお前さんに任せる。

好きなように暴れろ。

まったく・・・

とんでもなくわがままなやつだ・・・

シールドライガーはもう少し素直だったぞ。

いったいどんな進化してここまで・・・」

 

げんなりとしながら、ため息をつき、操縦桿を手放す。

ブレードライガーが嬉しそうに咆哮をあげ、走り出す。

 

 

ブレードを展開し、ブースターで最大限加速する。

狙うは1番動きが鈍いキメラドラゴンだ。

 

ブレードが斬り込まれる瞬間にキメラドラゴンが肩の甲羅でブレードを受け流す。

 

両者はそのまますれ違う。

すれ違うと同時にキメラドラゴンがディプロガンズの頭部を撃ち出す。

ブレードライガーはブースターを吹かして加速し、それをブレードで両断する。

加速は止まらない。

そのまま再度キメラドラゴンに斬りかかるつもりだ。

しかし、真横から突進するマトリクスドラゴンがそれを邪魔する。

マトリクスドラゴンが尾のテールソーで斬りつける。

ブレードライガーがそれを牙で受け止める。

高速回転する刃と獅子の牙がぶつかり合い、火花を散らす。

力は互角だ。

そこへ上空から2体のロードゲイルが小型マグネーザーで攻撃をかけてくる。

 

「おいおい・・・

このままじゃ串刺しでお陀仏だぞ・・・

どうする気だ・・・」

 

ブレードライガーが力を込め、テールソーをくわえたままマトリクスドラゴンを持ち上げる。

上空から迫りくるロードゲイルの盾にする。

急降下の勢いにのせた攻撃を止めることはできず、2体のロードゲイルの4本のマグネーザーがマトリクスドラゴンに突き刺さる。

全ての攻撃はマトリクスドラゴンのゾイドコアを貫いた。

 

「同じことを考えてたか・・・」

 

 

コアを貫かれて動かなくなったマトリクスドラゴンを投げ捨て、ロードゲイルの片方に組みつく。

そのまま、2連ショックカノンとブレードのパルスレーザー砲を至近距離から乱射する。

ゼロ距離から放たれた砲火によりロードゲイルの胸部装甲が砕け、コアがむき出しになる。

そのむき出しのコアを牙で噛み砕く。

 

残るはキメラドラゴン2体とロードゲイルが1体だ。

 

正面からキメラドラゴンの1体が殴りかかってくる。

ブレードライガーはその拳を頭突きで弾き返す。

機体には問題ないが、コックピットに凄まじい衝撃が走る。

 

「ぬわぁぁぁ!

わしを殺す気か!

勘弁してくれよな・・・」

 

アーサーがため息をつく。

ブレードライガーはそんなこと知ったことかでも言うように咆哮し、拳を弾かれ、体制を崩したキメラドラゴンに突っ込む。

 

ブレードアタックだ。

全砲門を開き、迎撃するが、ブースターを全開にしたブレードライガーには擦りもしない。

為す術もなく、レーザーブレードで両断された。

 

 

もう1体のキメラドラゴンがレーザーブレードに巨大な顎で喰らい付く。

ブレードライガーが、振り払おうとブースターを吹かすが、巨大なハサミでロードゲイルが首筋を挟んで押さえつける。

 

これでは、さすがの獣王と言えども身動きが取れない。

 

身動きが取れない獅子にロードゲイルの小型マグネーザーが降り注ぐ。

しかし、そこでやられる獣王ではない。

シールドを展開し、ロードゲイルを弾き飛ばし、ブースターを真横に向かって吹かし、喰らい付かれたブレードをそのままキメラドラゴンの口腔内に押し込んだ。

レーザーブレードが根元まで突き刺さり、キメラドラゴンは悲鳴をあげ、倒れる。

 

 

ロードゲイルがトップスピードで突っ込んでくる。

ブレードライガーも走り出す。

真っ向勝負するつもりだ。

ブレードを展開する。

ロードゲイルがマグネーザーとハサミを構える。

 

両者が衝突する。

レーザーブレードがマグネーザーとハサミごとロードゲイルを切り裂く。

 

獅子が勝利の雄叫びをあげる。

 

「なるほど・・・

獅子は兎を狩るのにも全力を出すというが・・・

お前にとっては弱い相手であれ、全力が出せないのが気に食わなかったいうわけか。

今度からはちゃんとまじめに戦うことにするよ。

 

っ・・・なんだ?」

 

その場を去ろうとするアーサーだったが、気配を感じ、振り返る。

倒したブロックス達が、無事なパーツでチェンジマイズして1体の巨大なゾイドとなって立ち上がる。

 

「まったく・・・

大人しく寝ておけばよかったものを・・・

相棒!さっさと片付けて先を急ぐぞ!」

 

 

巨大ブロックスへ向けて走り出そうとした時、突如、ブロックスのコアを光の柱が貫く。

 

「まったく・・・

一体なにしてるのかと思えば、こんなところで遊んで・・・

あんたが本気出せばこんな雑魚は一瞬で片が付くはずだ!

それともレオマスター1の実力はそんなもんなのか?」

 

1体のジェノザウラーが歩み寄る。

 

「若造が・・・

言ってくれるな・・・

そういうお前さんはガイロスのアイスマンことリッツ・ルンシュテッドだな?」

 

「クレイジーアーサーにまで知られてたとは光栄だな。

敵の正体は超長距離射撃型のゾイドだ。

レーダーにも映らないほど遠くから、通常の何倍にも収束した荷電粒子砲で歩哨部隊を壊滅させやがった。

あれほど正確な狙撃をするやつだ・・・

止まった瞬間お陀仏だろう・・・」

 

「そうとわかれば俺たちが行くしかないな・・・

足の速いゾイドは今はこいつらだけだ。

接近すれば勝機はある。

行くぞ!

足を引っ張るなよ!

若造!」

 

ブレードライガーとジェノザウラーがブースターを吹かし、走り出す。

 

 

 

 

 

 

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