ブースターを全開にして疾走するブレードライガーとホバリングでそれに並走するジェノザウラー。
2機のコックピットに後方から近づく機影知らせるアラートがなる。
「なんだぁ?
また敵か?」
「いや、おそらく彼らだ。
整備が終わったんだろう。」
ホバリングするバーサークフューラーとその頭上を飛ぶエヴォフライヤーだ
「おお!
増援か!
2体だけでは心もとないがねぇ・・・」
「ふん・・・
お前達を援護する気はない。
せいぜい巻き込まれて死なないようにね。」
「言わせておけば若僧が!」
4体の戦闘機械獣が加速する。
「まずい!
散れ!」
リーゼが古代ゾイド人の特有の勘で危険を察知して伝えるのと、アーサーが愛機の勘を感じ取り横へ飛んだのはほぼ同時だった。
次の瞬間、さっきまで4機が走っていた地面が割れ、巨大なハサミが飛び出す。
「なっ・・・
まさか、あれは・・・」
リーゼとレイヴンには見覚えがあった・・・
次の瞬間、記憶と違わぬ巨大なサソリ型ゾイドが地中なら現れる。
「ふん・・・
今ので何体かは潰すつもりだったんだがな・・・
ワイツタイガーの奴がいないようだがまあいい。
まずはあんた達の死体から陛下にささげるとするか!」
「なっ・・・
ヒルツじゃないのか?・・・」
デススティンガーが出てきたのだから、当然ヒルツが乗っていると予想したが、パイロットは違った。
「お前、もしかして、この前、アーバインとやりあったやつか?」
「ああ、レイヴン、間違いない。
やつの気配は覚えてる。
僕達、古代ゾイド人に似ているが、何か違う独特の気配だ・・・」
「いかにも・・・
この前の戦いで敗れたあたしは陛下からこの機体とともにまた戦う機会を頂いた。
そして、貴様らを血祭りにあげ、ワイツタイガーに乗っていたあの生意気なゾイド乗りを叩き潰す。
その後はゆっくりと残党を始末してやる。」
コックピットでハンナハンナが不敵に笑う。
「バカな!
デススティンガーを人間が扱えるはずがない!」
「普通の人間ならな!
だが、あたしはプロイツェン閣下が来たる日の為にと特別な力を与えていただいた。
この前の戦いでその力が完全に目覚めたのさ。」
「特別な力だと?」
「ああ・・・
あたしの脳にはゾイドの細胞が埋め込まれてる。
それもデスザウラーのな!
あたしが唯一のその成功例だ!」
「なんだって・・・
やっとわかった・・・
ヒルツが復活した理由がわかったよ・・・
レイヴン!なんとしてもこいつを倒すぞ!
じゃなきゃデスザウラーまで・・・」
「ああ、あんなものがまた出てきたら厄介だ・・・」
「待て!
こいつはこっちで引き受けよう!」
「無理だ!
お前達ごときでは!」
「おいおい・・・
帝国のアイスマンと共和国のクレイジーアーサーに向かってお前達ごときはないだろう?」
「そういうことだ。
お前達はあの狙撃型をやれ!
あんなもんがあっちゃデストロイヤー兵団などただの的だ!」
「ふん!
しくじるなよ!
行くぞ!
リーゼ!」
「ふん!
お前がな!青二才!」
リーゼとレイヴンが離脱する。
「逃がすかぁァァ!」
デススティンガーが荷電粒子砲をレイヴンとリーゼに向ける。
それをブレードライガーが体当たりで逸らす。
「お前さんは欲張りすぎだ。
帝国と共和国の最強の組み合わせを前にしながら、さらに欲するとはな。」
「そういうことだ。噂に聞くデススティンガーがどれほどのものか試してやるよ。」
アーサーとリッツが不敵に笑い、獅子と竜が咆哮をあげる。
「行くぞおおぉ!」
デススティンガーの機銃を避けながらブレードライガーが突撃する。
懐に飛び込むと巨大なハサミが頭上から降りかかる。
「ふっ・・・」
ブースターを吹かしながら、身を沈め、紙一重でかわす。
「喰らえ。」
リッツが冷静に空振りしたハサミ目掛けて荷電粒子砲を放つ。
「甘い!」
ハンナハンナがシールドを展開し、荷電粒子砲を防ぐ。
「すでにわしはシールドの内側だぞ・・・」
ブレードライガーがブレードで斬りかかる。
レーザーブレードならデススティンガーの重装甲さえ切り裂ける。
しかし、届かない。
シールドの内側からでは充分な加速が得られないのだ。
ハサミで殴り払われる。
「アーサー!」
リッツがジェノザウラーを走らせ、追い打ちをかけるデススティンガーの爪を尻尾で払う。
「全く・・・
助けるのが遅いじゃないか・・・
危なくわしの可愛いライガーが潰れるとこだったぜ。」
アーサーが憎まれ口を叩きながら機体を立たせる。
殴り払われる直前にシールドを展開して身を守ったのだ。
「レイヴン!」
「ちっ・・・」
リーゼとレイヴンの間を荷電粒子砲が横切る。
「例の砲撃型か・・・」
「ああ、レーダーの写ってる。
こいつらを連れてきておいてよかった・・・」
リーゼの合図で、砂中から月光が、上空から飛燕が現れる。
「レイヴン!
こいつらの力である程度荷電粒子砲は防げる。
一気に決めてしまおう!」
「ああ・・・シャドォォォォ!」
上空から飛来したシャドーがフューラーに合体する。
「スペキュラー!」
スペキュラーも同様にエヴォフライヤーに合体する。
「行くぞ!
リーゼ!」
2人は一気に加速し、敵を目指す。
「見えたぞ!
・・・っ
なんて大きさだ!」
荷電粒子砲を避けつつ緊迫したレイヴンとリーゼの目に飛び込んできたのは巨大な雷竜型ゾイド・・・
頭から尾まで一直線なフォルム、胴体の大きさや太さこそは及ばないが、かつて帝都ガイガロスを火の海と化したデスザウラー以上の全長を誇る。
「へぇ・・・
まさか、ここまでたどり着くとはね。」
不意に敵のパイロットから通信が入る。
「歩哨部隊をやったのは貴様か?」
「そうよ。
このセイスモサウルスでね。」
「そうか。
それはよかった。
つまり、貴様は俺の敵か。
もっとも、歩哨部隊をやったのが貴様じゃなくても関係ない。
ちょうど退屈してたところだ。」
レイヴンがニヤリと笑って荷電粒子砲の発射体制をとる。
「ふふっ・・・
あなたがレイヴンね。
デスザウラーの英雄のうちの1人・・・
でも、遅すぎる。」
フューラーの荷電粒子砲のチャージが完了する前にセイスモサウルスの口腔部から荷電粒子砲が発射される。
「ボクのことを忘れてないかい?」
フューラーを貫くに見えた荷電粒子砲の軌道上に突如蒼い2つの影が割り込み、荷電粒子砲をかき消す。
否、吸収した。
飛燕と月光が装備された集光パネルで荷電粒子砲を無効化したのだ。
「へぇ・・・
レイズタイガーはブラストルタイガーと相打ちになったって聞いたけど。
この短期間でレイズタイガーと同じ集光パネルを装備したゾイドを作れるなんてね。
びっくりしちゃうわ。」
「笑っていられる状況か?
すでに俺は首の内側だぞ。
喰らえ!最大級の荷電粒子砲だ!」
ホバリングで間合いを詰めたフューラーが首筋付近にホバリングし、至近距離から荷電粒子砲を放つ。
「確かに、長い首の内側じゃ、荷電粒子砲は撃てない。
でも、そんな弱点の対策がなされてないと思う?」
フューラーが荷電粒子砲を放つ瞬間、セイスモサウルスの身体中の砲塔が火を噴く。
「これ一つ一つが集束された荷電粒子砲よ。」
「くそッ・・・」
撃たれる直前にシールドを展開したが敵の砲撃は、強力なEシールドを貫通し、フリーラウンドシールドを文字通り蜂の巣にした。
フリーラウンドシールドがなければ消し飛んでいた。
「くそッ・・・」
如何にレイヴンと言えど、31門の砲撃の前では、距離を詰めることができずにいた。
フリーラウンドシールドとエクスブレイカーを失った以上は残った武器は荷電粒子砲だけだ。
しかし、荷電粒子砲のチャージなら相手の方が早い。
飛燕と月光で、光学兵器は防御できるが、カバーできる範囲は限界がある。
リーゼにおいても同様で、小型ゾイド故に小回りが効いて、被弾は避けられるが、攻撃のチャンスを見出せていない。
「クソっ・・・奴には死角もないのか・・・
これじゃ僕達にできるのは時間稼ぎしか・・・
ドクターD!
フューラーに飛燕と月光をユニゾンできないのか?」
「無理じゃ。
まだ、テストすらしてないんじゃ。
とても成功するとは・・・」
「だったら、シャドーかスペキュラーのサポートで!」
「何を無茶な・・・」
「ああ、やめときな。
ライトニングサイクスの補給が終わった。
俺が行ってやるからそれまで待ってろ。
どの道やったことねえ合体なんぞ、時間かかって、やられるのがオチだ。」
「アーバイン・・・
それしかないか・・・
ただし、お前さんのライトニングサイクスも未調整じゃ。
安全装置は外すでないぞ。」
「・・・ったく・・・
肝心な時に使えねえじいさんだぜ。」
アーバインのライトニングサイクスが発進する。
「ハーマン大佐!
レーダー機影あり。
かなりの数の高速ゾイド部隊です。」
異変に気付き、フィーネが報告する。
「なんだと?
なぜここが・・・」
「恐らく、先の攻撃がここを特定するためのものだったのだろう。」
「くう・・・しかも、こちらの腕のたつゾイド乗りを迎撃に誘い出すことにも成功したといつわけか・・・
一杯食わされた!
出られますか?
シュバルツ大佐。」
「あぁ、問題ない。
私のセイバータイガーも整備が完了している。
任せてくれ。ハーマン大佐。」
「ハーマン!
俺もいるってこと忘れてないだろうな!
なっ!ジーク!」
「ガウガウッ!」
「よし。
高速戦闘部隊は全機出撃!
ネオゼネバスを返り討ちにしろ!」
高速戦闘ゾイドがウルトラザウルスの周りに展開する。
「射程圏内に入った瞬間にバンのライガーゼロがミサイルを放つ。
その瞬間に突貫する。
絶対にウルトラザウルスに敵を近づけさせるな!」
「了解!
シュバルツ大佐!
先頭は俺達レオマスターに任せろ!」
「共和国のレイ・グリック中尉か。
ボークマン少佐が不在とは言え、レオマスターの実力、頼りにしているぞ。」
「当たり前だ!
俺達の実力は、ライガー系の扱いに関してはバン・フライハイトにも劣らないからな。」
「フィーネ!
会敵までどのくらいだ!」
「まだよ。
バン・・・・
ちょっと待って!」
「どうした!」
「上空からホエールキング!
ウルトラザウルスにまっすぐ突っ込んでくるわ!」
「なっ・・・
ぶつける気か?!
狙えるか?
ジーク!」
「ガウガウッ!」
「よし!
いくぜ!
ハイブリットキャノン!
ファイヤー!」
上空のホエールキングへ向けてハイブリットキャノンを弾切れまで連射する。
砲撃が機関部に命中し、上空でホエールキングが爆散する。
「ふぅぃぃぃぃ・・・
間一髪だったな・・・
ジーク・・・」
「ガウガウッ」
空を覆う爆煙の中から無数のザバットが飛び出してくる。
「ちっ・・・
爆発する前に発進したのか!
この数じゃ・・・」
「Don't worry!
空の敵はこっちで引き受けるわ!」
アーラバローネが発進する。
「けど、こんなに数がいたら・・・」
「ウルトラザウルスに近づけさせなきゃいいんでしょ。
Take a easyよ!」
「行くぞ!
ヴィオーラ!」
アーラバローネのストームソーダがザバットに向けて飛んでゆく。
「バン!
敵の高速戦闘部隊が射程圏内に入ったわ!
今データを転送する!」
「OK!フィーネ!
行くぞ!ジーク!
ターゲットロック!
バーニングビックバン!」
ライガーゼロパンツァーから無数のミサイルが放たる。
「今だ!
行くぞ!」
高速戦闘部隊が走り出す。
「こうも簡単に旗艦を無防備にしてくれるとはな・・・
ともあれ、奇襲は成功だ。」
崖の陰からエナジーライガーを駆るヴォルフがウルトラザウルスに忍び寄る。
「無防備なんかじゃないぜ!
もっとも、アーマーを換装してたら、お前がたまたま現れただけだけどな!」
弾切れになったパンツァーを脱ぎ捨て、イエーガーに換装したライガーゼロがウルトラザウルスから発進する。
「バン・フライハイトか・・・
1度は戦って見たかった。
父上を倒したゾイド乗りがどれほどのものか見せてもらうぞ。」
「望むところだ!
行くぜ!」
イオンブースターを全開にしてイエーガーが走り出し、必殺のストライクレーザークローを繰り出す。
「機動力強化型のアーマーか・・・
だが、遅い。」
イエーガーのストライクレーザークローが降り注ぐそこには、すでにエナジーライガーの姿はなかった。
岩場の上からエナジーライガーが見下ろしている。
「遅いが、今までの奴らよりは強いな。
今の一撃も貴様もエナジーライガーと同等のゾイドに乗っていたのなら、かすり傷くらいはつけられたのかもな。
貴様には特別に見せてやろう。
このエナジーライガーの本気を!」
「乗ってるゾイドは関係ねぇ!
そうやってゾイドの性能ばかりに頼ってるお前に俺は絶対負けねぇ!」
「ふっ・・・
面白いことを言うな・・・
だったら、貴様の操縦について来れなくなったかつてのブレードライガーはどうなのだ?
ゾイド乗りの技術に見合うだけの性能を持つゾイドが無ければ、充分な力も発揮できまい・・・・・
エナジーチャージャーフル稼働・・・」
エナジーチャージャーが集めたタキオン粒子が凄まじい勢いでエナジーライガーを循環し、機体に淡いオレンジ色の粒子が取り巻く。
「なっ・・・一体なんなんだ・・・」
エナジーライガーの威圧感に押され、イエーガーが後ずさる。
「恐怖で構えを緩めるなよ・・・
一瞬たりとも気を抜くなよ・・・」
突如エナジーライガーが消えた。
「なっ・・・」
イエーガーの側面から消えたエナジーライガーが襲ってくる。
百戦錬磨のバンでさえ目で追うことができなかった。
「くっ・・・」
なんとか距離をとるイエーガー。
エナジーライガーの足下にはイオンブースターをはじめとしたイエーガーの装甲が散らばっている。
「咄嗟にアーマーを強制排除し、身代わりとしたか・・・
さすがだな。
そうしなければ、今頃ここに転がっていたのは、貴様の死体とライガーゼロの頭だ。」
「そんな余裕かましてていいのかよ?
この状態がライガーゼロは1番危ないんだぜ!」
素体のライガーゼロが咆哮をあげる。
「ちっ・・・
このままじゃ間に合わねえな・・・」
レイヴンとリーゼの援護の為に荒野を駆けるアーバインとライトニングサイクス。
「行けるか?相棒。」
ライトニングサイクスが主人に応えるように唸り声をあげる。
「よし・・・
悪りぃな、じいさん。
行くぜ相棒!」
アーバインが手元の非常スイッチを押して、ライトニングサイクスを覆っていた拘束具が外れる。
そのままブースターが点火し一気に加速する。
「レイヴン!
合体のための飛燕と月光のシステム構築にもう少しかかる!
それまで持ちこたえてくれ。」
「わかった!
行くぞ!シャドー!」
「グルゥ・・・」
スラスターを全開にしてセイスモサウルスの砲撃を避けながら、懐へ入り込もうとするレイヴン。
「なかなかのスピードね・・・
けど、これならどう?」
セイスモの砲撃がリーゼのエヴォフライヤーに向けられる。
「くっ・・・
こんな砲撃じゃ、システム構築に集中できない・・・」
「リーゼ!」
リーゼの助けに向かおうとするレイヴンのフューラーをセイスモの尾が薙ぎ払う。
「ふふっ・・・
このセイスモサウルスが砲撃だけだと思った?
いずれにしてもこれで終わりね。」
セイスモの口腔部が発光する。
超集束荷電粒子砲だ。
「ぐっ・・・この距離じゃよけきれない・・・」
「リーゼ!
くそッ!
させるかぁぁぁぁ!」
フューラーがエヴォフライヤーとセイスモサウルスの間に割って入り、荷電粒子砲を放つ。
セイスモサウルスとバーサークフューラーの荷電粒子砲がぶつかり合う。
「まさか荷電粒子砲で張り合うつもり?」
フューラーの荷電粒子砲が押し負け始める。
「レイヴン!
無茶だ!」
「うるさい!
黙ってそこで見ていろ!
こいつもか?!
こいつもセイバータイガーのように俺に恥をかかせるつもりか!
本気を出せ!」
レイヴンの気合いに反応してフューラーが装甲をパージした。
リミッターが外れ、荷電粒子砲の出力が上昇する。
「まだだ!
いくぞ!シャドー!」
「グルァァ!」
主人に答え、シャドーがフューラーのコアを活性化させ、さらに荷電粒子砲の威力を上昇させる。
「すごい出力ね。
さすがは、オーガノイドの力・・・
こっちも本気で行くわ。」
セイスモサウルスの荷電粒子砲の出力も上昇する。
「なっ・・・
まだ出力が上がるのか・・・
レイヴン!
やっぱり無茶だ!
君だけでも逃げろ!」
「お前を見捨てて俺だけ生き残ってどうする?
そんなのはごめんだね。
絶対に退くことは許さない!
死んでも押し切れ!」
フューラーが咆哮し、コアのエネルギーが荷電粒子砲に上乗せされる。
一瞬セイスモの荷電粒子砲を上回った。
荷電粒子砲を押し返した瞬間に爆風が押し寄せ、レイヴンとリーゼの機体が弾き飛ばされる。
爆煙の中から、フューラーが起き上がり、シャドーが合体を解く。
「やったか?・・・」
先ほどの無茶が祟ってフューラーの機体各所から火花が漏れ、限界を超えた出力で放った荷電粒子砲の熱でオーバーヒートし、コンバットシステムがフリーズしていた。
「ふふっ・・・
やるわね・・・
でも、このくらいじゃセイスモは倒せないわ。」
荷電粒子砲発射口の破損以外は目立った損傷がないセイスモが立ち上がる。
「ちっ・・・」
「さよなら。
レイヴンにリーゼ・・・
久しぶりに楽しかったわ・・・」
セイスモの身体中の砲塔が発光する。
「レイヴン・・・
ここまでみたいだね・・・」
「くっ・・・」
「いや、そうでもないぜ!」
今まさに無数の砲撃が放たれようとする時、セイスモの首筋に砲弾が降り注ぐ。
続いて、黒い影が目の前を横切って停止し、さらに砲撃を見舞う。
「悪りいな!
レイヴン!
ずいぶん無茶したらしいな!
バンのアホが移ったか?
後は、任せとけ!」
アーバインが不敵に笑う。
「あら・・・
また、新しいお客さん?」
31門の荷電粒子砲がサイクスに降り注ぐ。
サイクスがブースターを吹かして加速する。
「遅い遅い!」
砲撃の隙間を縫うように回避し、砲塔を潰していく。
「なかなかやるわね。
これならどう?」
セイスモの砲塔が一斉に放たれる。
「遅えって言ってんだろ!」
しかし、なんとか避けられているものの反撃に転じる余裕はなかった。
それもそのはずだ。
セイスモの無数の砲塔がそれぞれ、サイクスの動きをトレースし、避けられても次の砲塔がサイクスの回避予測位置を狙っているのだ。
あまつさえ、セイスモにとって狙いやすい位置に追い込むように射撃されている。
避け切れているだけでも奇跡だ。
いくら動きが速くても、回避ポイントがなければ逃げようもないのだから。
「クソっ・・・
このままじゃ・・・」
次第に追い込まれるアーバイン・・・
ついに、逃げ場がなく、直撃を避ける行動をとろうとした時・・・
サイクスに吸い込まれるように降り注いだ無数の荷電粒子の光の柱が消滅した。
「ふんっ・・・・
いきなり現れて偉そうなことを言ってる割には・・・
機体性能に頼りすぎだ・・・」
そこには、飛燕と月光の蒼き装甲を纏ったフューラーが・・・
「うるせえな・・・
くるなら、もっと早くしやがれ・・・」
「光学兵器を吸収する装甲・・・
でもそんな状態の素体でセイスモの攻撃を受けきれる?」
セイスモのパイロットが不敵に笑う。
「時間だ。
退くぞ。」
「陛下・・・
残念ね。
もう少し遊びたかったけど、陛下のご命令なら退くしかないわ。
シホ・フリューゲルよ。
覚えておいてね。」
「逃がすと思うのか?」
「無理しないで。
立ってるのもやっとなはずよ。」
ジャミング弾が放たれて、視界、レーダーが閉ざされる。
ジャミングの霧が晴れた頃には敵の姿はなかった。
「くっ・・・」
敵の姿が見えなくなったと同時にフューラーがダウンし、レイヴンの意識が途絶えた。
「レイヴン!
しっかりしろ!
レイヴン!」