ゾイド After War   作:西川の兄貴

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第26話 三虎散る

「セイスモサウルス沈黙!」

 

「なっ・・・

フリューゲル少佐まで・・・」

 

「狼狽えるな!

シホのセイスモサウルスと戦って無事な奴はいない!

レイヴンを討ち取れば我らの勝ちは確実だ!

バン・フライハイトは私が討ち取る!

エリウス!

レイヴンを始末しろ!」

 

「お任せあれ!

ディロフォース部隊付いて来い!」

 

シホが負けて動揺するネオゼネバスをヴォルフが的確な指示を出し、エリウスがレイヴンに向け進軍する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソっ!

数ばかりごちゃごちゃと!」

 

相討ちに近い形でセイスモサウルスを倒したレイヴンが次々と襲い来るディロフォースの大群に毒づく。

ディロフォースの戦闘能力は超小型ながら従来の小型ゾイドをしのぎ、中型ゾイドに迫る。

さらに小口径ながら荷電粒子砲を装備している。

対するレイヴンのバーサークフューラーは、手負いなだけでなく、

飛燕、月光、ディスペロウ、エヴォフライヤーを、失ったことにより素体状態だ。

撃破されないように動くのが精一杯だ。

 

「レイヴン!もう少し持ちこたえろ!

スペキュラーが回復したらフューラーを回復させる!」

 

「リーゼ!

お前は戻れ!

こんな奴ら俺一人で十分だ!

それにエヴォルトで使ったエネルギーは回復してないだろう?」

 

「でもっ!

その状態じゃ・・・」

 

「早く行け!

今の俺にお前を守りながら戦う余裕はない!」

 

「くっ・・・

だったら約束してくれ。

絶対に戻ってくると」

 

「当たり前だ!

俺はバンと決着をつけるためとお前と一緒に生きる未来のために戦ってるんだ!」

 

「レイヴン!

絶対死なないで!」

 

「ふっ・・・

俺を誰だと思っている・・・

シャドォォォォ!」

 

リーゼを乗せたスプキュラーが離脱すると同時にシャドーがバーサークフューラーに合体する。

 

 

 

 

「アーバイン!

あのままじゃレイヴンが危険だわ!

援護に向かって!」

 

「わかった!

スティーブ!

付いて来い!

パリス!

ホバーカーゴの護衛は頼んだぜ!」

 

 

アーバインのライトニングサイクスとスティーブ・ボーンのケーニッヒウルフが走り出す。

 

 

「クソ!

レイヴンが孤立している!

高速戦闘部隊!

レイヴンのバーサークフューラーを援護に向かう!」

 

「待て!シュバルツ!

高速戦闘部隊は敵の本体を叩くためにある。

我ら3人だけで行く。」

 

「しかし!」

 

「しかしもカカシもない!

奴を堕とさせる訳にはいかんことは明白だ!

そのかわり、敵の本隊は任せたぞ」

 

三銃士のセイバータイガーがレイヴンの援護に向かう。

 

 

 

 

「なんだ!」

 

レイヴンの援護の為に疾走するアーバインとスティーブに見たこともない狗型のゾイド部隊が立ちふさがる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしろ!

お前達と遊んでいる暇はないんだ!」

 

バーサークフューラーが群がるディロフォースをなぎ倒す。

しかし、焼け石に水だ。

荷電粒子砲でなぎ払おうにも、数が多すぎる上にダメージが回復していない以上1発が限界だ。

その時上空から赤い影が降り注ぎ素体状態のバーサークフューラーを弾き飛ばす。

 

「くっ・・・次から次へと!

なっ・・・」

 

レイヴンは機体を起き上がらせつつ目を疑った。

 

目の前に立っていたのは真紅の装甲を纏ったジェノザウラーだ。

それも翼が付いている。

つまり空を飛んでジェノザウラーが襲いかかってきたのだ。

 

「お前がレイヴンか!

俺はアクア・エリウス。

相棒はジェノトルーパー。

本来は飛行ゾイド乗りだが、一番弟子に空戦は任せてあるんでな。

恨みはないが消えてもらうぜ。

あ、恨みはあったな!

プロイツェン閣下の仇だ。」

 

エリウスのジェノトルーパーがバーサークフューラーに突撃する。

 

「くっ邪魔だぁぁぁぁ!」

 

レイヴンは荷電粒子砲を放つが、ジェノトルーパーは軌道を変え、バーサークフューラーを蹴り飛ばす。

 

「伝説のレイヴンもそんなもんか?」

 

ジェノトルーパーが荷電粒子砲発射態勢に移る。

 

 

「シャドー立て!

こんなところでやられる訳にはいかない!」

 

ジェノトルーパーの荷電粒子砲が放たれる瞬間、銀色のセイバータイガーか体当たりを食らわせる。

 

「何をしている!

早く立て!

ガイロスの伝説の特務兵はそんなものか?」

 

「黙れ!

こんなやつ俺一人で十分だ!

退いていろ!」

 

「いや、退いているのはお前の方だ。

お前の相手はこいつだけではない。

早く整備を受けろ。

一度ガイロスを裏切ったんだ。

今回は忠誠を見せろよ。」

 

「黙れ!

俺はガイロスの忠誠を誓った覚えはない!

だが、そいつ以外は俺が皆殺しにしてやる!」

 

レイヴンのバーサークフューラーがホバーカーゴに向けて離脱する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと・・・

とは言ったもののこの数はどうする?」

 

ジェノトルーパーとディロフォースの大軍を見てワグナーが呟く。

 

「なぁに、この老兵、ルドルフ殿下の為に命を捨てる覚悟はできているさ。

なあ、グロスコフ。」

 

「ああ、だが、貴様くらいは道連れにせねばな。

エリウス!」

 

 

グロスコフのセイバータイガーが走り出す。

 

「死ぬのは、年老いた貴様達だけで充分だ。」

 

銀虎の爪を躱して、ジェノトルーパーが首筋に食らいつく。

 

「それで避けたつもりか!」

 

グロスコフが食らい付かれたままミサイルをゼロ距離で放つ。

 

「バカが!」

 

ジェノトルーパーがそのままセイバータイガーの首筋を噛み砕きコックピットにキラークローを突き刺した。

 

「無念・・・」

 

一瞬でグロスコフのセイバータイガーが沈黙した。

 

「おのれ!」

 

ビーピーのセイバータイガーが走り出す。

それにディフォース部隊が殺到する。

 

「待て!ビーピー!」

 

ディロフォースとセイバータイガーの間にワグナーがミサイルを放つ。

 

「闇雲に突っ込んではエリウスには勝てん。

ましてやこの数だ。」

 

「ならばどうする?」

 

「1人はこの小型ゾイドの大軍を、また1人はエリウスに全力の一撃を。」

 

「なら、私が小型ゾイドを!

ワグナーはエリウスを頼む。」

 

「任せておけ!

あんな若造には負けはせんよ。」

 

金と銀のセイバータイガーが走り出す。

 

「行け!」

 

ディロフォースが走り出す。

 

 

「ぬおおおお!」

 

ディロフォースに向けて全ての火器を解放する。

無造作に放った砲撃だが、確実にディロフォースの数を減らしている。

 

「数ばかりいたところで私には勝てぬぞ!」

 

弾切れになった武装を脱ぎ捨て、銀色のセイバータイガーが格闘戦でディロフォースを蹴散らす。

しかし、ビーピーの奮戦もここまでだ。

如何に伝説と言われたゾイド乗りでも数の暴力には敵わない。

ましてや超小型ゾイドに分類されるディロフォースは小回りが利き、捕らえるのも簡単ではない。

たちまち包囲され無数のディロフォースに食らいつかれる。

 

「がはっ・・・」

 

まるで餌に群がる蟻のようにディロフォースに攻撃を受けるセイバータイガーは形を保っているのがやっとの状態だ。

そして、ついにコックピットの装甲が破壊された。

 

「ふふっ・・・

そんなにこの老いぼれの命が欲しいか。

くれてやるさ。

ルドルフ殿下為に!」

 

血反吐を吐きながらビーピーはコンソールを操作する。

 

次の瞬間、セイバータイガーのゾイドコアが暴走し、無数のディロフォースを巻き添えにした大爆発を引き起こした。

 

 

 

「ビーピー・・・

逝ったか。

待っていろ。

こいつもあの世に送ってやる。

元ガイロスの空の守護者。

アクア・エリウスをな。」

 

「まさか自爆するとはな・・・

全く、レイヴンを倒す為に連れてきた戦力がセイバータイガー如きに全滅とはね。

やれやれ、俺の仕事が増えるな。」

 

銀色のセイバータイガーとジェノトルーパーが睨み合う。

 

「行くぞ!」

 

先に動いたのはワグナーだ。

ただでさえ従来のゾイドとは大きな性能差があるジェノザウラーが空を飛ばれたら厄介この上ない。

空を飛ばれる前に決めるのつもりだ。

 

荷電粒子砲の軌道を避けながら距離を詰め、砲撃を翼に集中させる。

 

「狙いは翼か。

さすがは三銃士最強の男だな。」

 

エリウスはホバリングで、回避しつつ4連装のパルスレーザーライフルで応射する。

 

両者の付かず離れず砲撃戦はしばらく続いた。

それもそのはずだ。

セイバータイガーの格闘性能では、ジェノトルーパーには敵わない。

しかし、荷電粒子砲以外の砲撃性能は大差ないが、堅牢なジェノトルーパーの装甲を貫く程の威力はない。

ならば、ワグナーの取り得る戦法は、もっとも装甲が薄い翼を破壊し、機動力を奪うことだ。

対するエリウスも、相手の狙いが分かっている以上、回避に専念するしかない。

空を飛んで優位に立とうにも、ジェノブレイカーのようにスラスターの推力で飛ぶのではなく、マグネッサーシステムの翼で飛ぶ為、高度が上がりきるまで時間がかかる。

それでは高度を上げる前にワグナーの攻撃を食らってしまう。

 

「ええい!

ちょこまかと!」

 

エリウスが痺れを切らし、パルスレーザーライフルでセイバータイガーの退路を塞いだ上で荷電粒子砲を放つ。

 

「ふっ、勝敗を分けたのは経験の差だな。

エリウスよ。

私はこの瞬間を待っていた。」

 

荷電粒子砲をギリギリで躱す。

思った通りだ。

ジェノブレイカーのような推進力を持たないジェノトルーパーはフットロックを使用して荷電粒子砲を撃たなければならず、方向を変えることはできない。

 

そのままジェノトルーパーに飛びかかる。

 

「舐めるな!」

 

セイバータイガーの爪の一撃を頭部に受けつつ、尻尾による一撃でセイバータイガーを弾き飛ばし、その隙に空中へ回避する。

 

「狙いはよかったがあの程度の一撃にやられるものか。」

 

片目を失いつつもセイバータイガーに痛手を与えたジェノトルーパーが空中から見下ろす。

 

「言ったはずだ。

勝敗を決めたのは、経験の差だと。

私はある仮説を立てた。

その機体は荷電粒子砲の軌道を変えることができないのではないかと。

どうやら間違いでなかったらしい。

そして、同時に分かったことは陸上で荷電粒子砲の軌道を変えられないということは、空中で荷電粒子砲を撃つことはできない。

これで荷電粒子砲は封じたぞ。」

 

「なるほど。

わざと空中に逃がして荷電粒子砲を封じた訳か

だが、空中戦ができない貴様に勝ち目はない。」

 

ジェノトルーパーが空中からパルスレーザーライフルを放つ。

 

「ふん。

戦場で空からの攻撃を躱せない陸戦ゾイド乗りなら、今頃生きてはいないよ。」

 

攻撃を躱しつつ、ミサイルを放つ。

 

「クソっ!」

 

エリウスは一流のゾイド乗りだ。

全てのゾイドをそつなく乗りこなす。

そして、空戦に関しては超一流だ。

だか、ジェノトルーパーは、陸戦ゾイドを空中戦に対応できるように改造した機体だ。

空を飛べても所詮は陸戦ゾイドだ。

空中での機動力はせいぜいレドラー程度だろう。

それではエリウスの超一流の腕を出し切れない。

さらに相手は、ブラックレドラーさえも撃ち落とす超一流の陸戦ゾイド乗りだ。

機体性能の差をもってしても部が悪いことこの上ない。

 

「ならば!」

 

回避をやめ、ダメージを顧みずセイバータイガーに急降下する。

 

「そう来たか!」

 

迫り来るジェノトルーパーに向けて、ワグナーは全砲門を開いて応戦する。

しかし、砲撃の爆炎の中から飛び出したジェノトルーパーは勢いに乗せてセイバータイガーを蹴りつけ、さらに尻尾で弾き飛ばした。

 

「がはっ・・・」

 

さらに爪を発射し、体勢を立て直していないセイバータイガーを捕らえる。

 

「これで終わりだ。」

 

爪で捕まえた状態で荷電粒子砲をチャージする。

 

「もはやこれまでか・・・

だが、ただでは死にはせん!」

 

荷電粒子砲発射態勢のジェノトルーパーにセイバータイガーが突っ込む。

 

「バカが。

ヤケになったか・・・」

 

エリウスは最大出力までチャージされた荷電粒子砲のトリガーを引く。

しかし、ワグナーの方が速かった。

発射される直前の口腔部にセイバータイガーが食らいつく。

行き場を失った荷電粒子のエネルギーがジェノトルーパーとセイバータイガーを襲う。

 

「クソっ!なんて奴だ。

これでは貴様も!」

 

「この老いぼれの命くらいくれてやる。

ルドルフ殿下!必ずや勝って平和な国を!」

 

荷電粒子砲の暴走で内部回路を焼かれる苦しみに暴れるジェノトルーパーの爪に引き裂かれながらもセイバータイガーは離さない。

やがて、両者の機体が限界を迎え、巨大な爆炎に呑み込まれていく・・・




更新が遅くなって申し訳ありません。
頑張って書いていきます。
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