一級冒険者がサポーターなのは間違っているだろうか   作:ジェイ

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この話に出てくる主人公は勿論オリキャラで女神もオリキャラです。女神の名前はフィーリングでつけたので意味はほぼありません。



1話・ランとレスティア

 15年と言う月日は人を変えるのに充分すぎる時間だ。成長し、力と知識をつける。人により差はあるし場合によっては弱体化し衰えるだろう。しかし幼い子供が全力をつくした15年と言う月日は確実な力として反映される。当然とも言える。子供とは可能性の塊だ。力も知識も経験も何一つ完成される事の無い未完成な器。あるのは受け入れられる容量とその吸収力。故に可能性に満ち溢れている。そして――――

 

 「わんちゃん~!ごはん出来たよ~!」

 

 「誰がわんちゃんじゃーーーーーー!!」

 

 ――――間延びした女神の声に反射的に応える狼人の男。そう、15年という月日は少年を大人の男へと成長させるには充分な歳月なのだ。

 

 「ん~?わんちゃんはわんちゃんでしょー?」

 

 女神の前に叫びながら現れた狼人の男に女神は首を傾げながら心底不思議そうに問う。

 

 「レスティア様!俺はわんではなくランです!いつまでわんと呼ぶ気ですか!?つーか何回俺に訂正させる気だ!15年だぞ15年!最初の眷族の名前間違い続けるなよ!?そして俺は犬じゃねぇ!狼だ!」

 

 狼人の男、ランは己の主神である女神レスティアに叫ぶ。その際、ランの特長とも言える狼の耳と尾が天を突くがのごとくピンっ!と跳ね上がる。

 

 「???わんちゃんはわんちゃんで、わんちゃんなんだからわんちゃんじゃない。変なわんちゃんねぇー?可愛いよ、わんちゃん♪」

 

 「……………はぁ」

 

 そしてこの言い争いは毎度同じ様な終息を見せた。レスティアの天然発言によりランが諦めるのだ。それでもランは諦めきれずに毎日毎日繰り返し訴えてはいるが――――

 

 「んふふ。わーんちゃん!」

 

 ――――結果は変わらない。15年繰り返す二人の日常である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「レスティア様。今日はどうしますか?俺はギルドからの依頼で二級冒険者のサポーターとして同行予定ですが」

 

 朝の事は何でも無かったかの様に朝食をとり、そして本日の予定を告げたラン。その際、食事が美味しかったのか機嫌良さげに尾が左右に揺れている。そんな所がレスティアにわんちゃんと呼ばれる所以だと本人は気が付いていない。

 

 「そっか~。わんちゃんは迷宮行っちゃうのか~。じゃあ私は妹の所に行ってくるね~。後フレイヤちゃんとウラヌスちゃんにも呼ばれてるし、タケちゃんとミアハちゃんも相談あるとか言ってたっけ???そだそだ!ロキちゃんも依頼があるとか言ってたね~」

 

 この女神、意外と多忙である。それもその筈、このレスティアが主神をつとめるレスティアファミリアはこの迷宮都市オラリオにおいて随分と重宝されていた。それはランの功績でもある。

 

 迷宮都市オラリオ。

 ダンジョンと呼ばれる地下迷宮を保有する巨大都市。正確にはダンジョンの上に築き上げられた都市だ。

 ダンジョンとその名の通り迷宮であり、モンスターを生み出す謎に包まれた存在だ。昔はダンジョンからモンスターが涌き出てきた様だが人々がダンジョンに蓋をすることでその進行を防いでいたところ、1000年前初めて神々が地上に降り立った事で蓋を破壊してしまった。神々はお詫びとして代わりの蓋を作ったが迷宮都市オラリオの目に見える象徴、バベルである。

 バベルは巨大な搭、摩天楼施設だ。何十もの層をもつ巨大建築物で1~20層はダンジョンの管理を行うギルド本部を始めとした商業施設にも使用され、20層より上は神々の住まう空間である。要は馬鹿デカイ。

 そんなバベルを中心に築き上げられたのがオラリオで、そもそも何故そんな危険な場所で都市が発展したかと言えばこれも神々の影響であった。

 

 神の恩恵

 

 その神の恩恵を受けた人々はモンスターと戦える力を得たのだ。神の恩恵を受ける以前からモンスターと戦える強者は当然いたが圧倒的に数が少なかった。しかし神の恩恵を受ける事によって誰でもモンスターと戦える力を得たのである。

 そしてモンスターを倒すと希少鉱物である魔石を落とす。それは様々な技術確立に役立つ代物で都市の発展に貢献している。勿論金にもなる。故に人々はこぞってオラリオに集まり魔石を、金を欲しダンジョンに潜る。その者達を冒険者と呼ぶ。

 またその冒険者が落とす金に目をつけた商人や生産業者、娯楽提供者等といった様々な人々が種族に関わりなく集まり今の迷宮都市オラリオが出来上がったのである。

 

 そんなオラリオの中で重宝されるレスティアファミリア、そしてランの功績と言うと

 

 「それにしてもあれですね。最近の冒険者は態度が悪い。一応こっちは一級冒険者だっつーのにサポーターってだけで馬鹿にしやがる」

 

 「ん~?でもわんちゃんサポーターであることに誇りもってるんでしょう?それにわんちゃんが冒険者として全線にたってた時より遥かに死者が減ったってウラヌスちゃん喜んでたよ!」

 

 そう、ランはサポーターとしてオラリオで重宝されていたのであった。

 

 サポーターとは文字通り冒険者を支援する者達をさす。冒険するなら荷物が多くなるのは想像に容易い。魔石やモンスターが落とすドロップアイテムを拾えば荷物は増える。武器も振るえば劣化していくので予備も必要だ。そんな大荷物をもってモンスターと戦ってなどいられない。だからサポーターだ。サポーターに荷物持ちや魔石、ドロップアイテム収集等を任せる事で冒険は万全の状態でモンスターと戦う事が出来るのだ。

 とは言っても何もサポーターはランだけではない。数多くのサポーターは存在する。その中でランが重宝される理由は別にあった。

 

 「わんちゃんLv.6だもん。皆に頼りにされて私も鼻が高いよ~」

 

 そう言いレスティアは腰に手をあてその豊満な胸を張る。主神の様に苦笑しながら「まぁ、仕方ないのか?」と思う。敬愛する我が神に褒められて気恥ずかしくなったのかランの顔は弱冠朱に染まっていた。

 

 

 冒険者にはランクが存在する。Lv.1をはじめ、Lv.7までが確認されていた。Lv.1が下級冒険者。Lv.2から上級冒険者とされ、さらに細分化すると二級冒険者、一級冒険者と括られていく。数字にすると小さいがレベルの壁はとてつもなく厚く高い。レベルが上がれば力が倍増すると言っても過言でない程の劇的な変化を促す。故にレベルをあげるのは非常に大変な事なのは言うまでもないだろう。

 そして現在確認されたLv.7はただ一人しかいなく、Lv.6もトップに位置する神の眷族であっても数人程度。これが如何に険しい道程かは想像に難しくなく、そしてランの強さ、努力、才能を伺わせるステイタスだ。

 

 ちなみに余談ではあるが褒められたランの耳はピクピクと動き、尾はこれでもかと言うほど左右に揺れている。その姿は完全に犬である。

 

 「ま、まぁ何て言うか?頼られたら断るのも悪いし?まぁパーティー以外の冒険者も同じフロアにいれば助けられるし?何より仕事だもんな!たく仕方ねぇーなー!何だかんだ言ってもサポーターに頼っちゃうんだから!」

 

 だいぶ都合よく変換された部分はあるがランの言葉の通りだ。

 基本的にサポーターは戦闘に直接手を出さない。あくまで支援がサポーターの仕事で直接戦闘は冒険者の仕事である。そしてサポーターとは経験をつむ為に駆け出しの冒険者や、一級冒険者の支援の為に二級冒険者がなることが多い。駆け出しは色々と学ぶ事は多いし、一級冒険者程になるとサポーターにも支援するためにはそれなりの力量が必要不可欠だからだ。

 しかし中にはサポーターにならざるを得ない者もいる。それはそうだろう。いくら神の恩恵を受けモンスターと戦えるステイタスを得たとしても、潜在的に、精神的に戦えない者もいるのだ。ゆえにサポーターである。

 例えサポーターと言えど迷宮に挑む以上それ相応のリスクがあり、そしてリターンもある。町のそこらで働くより収入も遥かに大きいのだ。それゆえに冒険者の中でサポーターを馬鹿にし、貶す者も多い。寄生虫と。

 

 そんなサポーターの中でランは異例のLv.6だ。このレベルになるとサポーターなどやらせるより戦わせたほうが有益であるし、速い。何よりサポーターとしてパーティーに組み込み、その日の収入を配当するより遥かに大きい収入が単身でてに入れる事も可能だ。

 では何故ランがサポーターとして活動しているのか?それはあまりにも単純な理由。

 ただ好きだから。それだけだ。

 そしてそんなランがサポーターを始めたお陰で迷宮での死傷者は格段に減った。当然である。この都市最高峰の実力者の一人が支援するのだ。ある程度の無茶はまかり通り、パーティーは己らの限界以上に挑戦できる。そこに死の可能性が極端に無くなるならダンジョンや冒険者を管理するギルドは勿論、どこのファミリアもこぞってランに依頼を求める。

 勿体無いと言う者達もいるが現状ランがサポーターになった事で迷宮都市オラリオの死亡率はここ数年下がり調子である。

 

 そんなランを馬鹿にするのはほとんどがLv.1かLv2の駆け出しと、己に自身を持ち始めた手慣れてきた連中だ。特にLv.1は酷い。Lv.2となればレベルアップを経験した手前その過酷さをしっている。しかしLv.1は経験していないからわからない。酷い者だと高レベル冒険者に寄生してレベルアップしたと信じ中傷するものまでいる始末だ。ラン自身はそんな事で怒りはしないが面白くもない。幸いな事にランを知る者達は彼を信頼してくれるし、中には教官の様に見る者もいるので基本的に楽しく仕事をしていた。

 

 「さて、では俺は行きますね。今日は17階層のボスに挑むって言うやんちゃ達のおもりなんで気張っていかなと」

 

 「あ~!私も行くよ~。私もバベル行くから一緒に行こう~」

 

 「わかりました。じゃあ一緒に」

 

 「うん~。行こう~」

 

 そして今日も彼等の日常が始まる。




オリキャラはほぼ出すつもりはありませんが、場合により出ることもあります。またモブキャラを名前をつけて出す可能性があることをご了承下さい。
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