一級冒険者がサポーターなのは間違っているだろうか   作:ジェイ

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日刊ランキング1位になっててビビったww
こんな駄文に付き合ってくださり有り難うございます。
適度に頑張らせてもらいます。


5話・功績とその後

 『ヴォォォォォォォォォーーーーーー!』

 

 ダンジョンに響く咆哮。空気や地面すらも揺るがす程の大声量を放つのはダンジョン中層より出現し、下級冒険者に恐れられる大きな身体と分厚い筋肉に包まれた牛人型モンスター、ミノタウルスである。

 下級冒険者にとっては一体でも脅威の相手であるが咆哮をあげるミノタウルスは1体所か開けたホールを埋め尽くす程の数であった。

 そんな数のミノタウルスが一斉に咆哮しつつ行っているのは威嚇、ではなく

 

 『ヴ、ヴォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?』

 

 「ちっ!まてこら!逃げんな!」

 

 全力で逃走していた。

 

 追うのはロキ・ファミリアの一級冒険者のベートである。その後を追うようにロキ・ファミリアの眷属も続くがミノタウルスの群れは次々と上の階層へと逃げていく。中層に生息するモンスターが上層へだ。これは非常にまずい。言わずもなが上層は下級冒険者の狩り場だ。そこにミノタウルスの様なモンスターが現れれば混乱は免れない上に、最悪死者も現れるだろう。故にベート含むロキ・ファミリアの面々は焦っていた。しかし中々数が減らない。理由としてはミノタウルスがその高いポテンシャルを逃走に集中させているのもあるが、ミノタウルスが各々好き勝手に逃げ回る為個人で追跡するはめになり討伐が非常に非効率となっているからだ。

 

 

 

 さて、では何故この様な事態になったのか。その説明はいたって簡単だ。

 

 ロキ・ファミリアは以前計画していた通りダンジョンの深層開拓の遠征を行いトラブルに見舞われ撤退。そして帰り道の中層にてミノタウルスの群れと遭遇。初めは順調に討伐していたものの戦力の差を理解した一体のミノタウルスが逃走した直後、一斉に全てのミノタウルスはロキ・ファミリア遠征部隊から逃げ出したのである。

 

 そして現在。仲間達は散り散りになり現在5層にベートとアイズはいた。

 ほぼミノタウルスの討伐は終了しているが取り逃がしたものがまだ残っていたため捜索中なのだ。

 

 「ちっ!こんな時にアイツがいれば楽なのによ!」

 

 「………ランこの遠征中に何度も地上とダンジョン往復してくれたから……」

 

 「そんぐらいわかってるっての!」

 

 捜索が難航し苛立ったベートは愚痴をこぼし、あたる対象にランを選んだ。そもそもランが動けば数分で方がついただろう。それほどまでにランのスピードは圧倒的だ。しかしランはこの遠征中に3度に渡り地上とダンジョンを行き来している。それも全て50階層付近でだ。通常50階層まで5日掛かるとされているがランはそれを2時間、片道1時間で走破してみせた。しかもそれを3度も休まずに。それには流石のランも疲れはててしまい現在最後尾で肩を貸してもらいながらノロノロと進んでいた。

 そもそも何故ランが地上とダンジョンを行き来したのかと言えば遠征撤退理由であるトラブル、新種モンスターの大群の襲撃により物資が大量に消費、または消失してしまった故である。

 なんとか撃退出来たもののこれ以上の探索は物資的にも人員の状態的にも不可能と判断したフィンにより撤退となった。だが撤退するからと言って直ぐに帰還出来る訳がない。行くのに5日かかったのだから帰るのにも5日はかかる。さらに消費、消失した物資の中には回復薬などのアイテムは勿論食料や武器なども含まれている。

 正直回復薬や食料はまだいい。しかし武器が無いのは深刻だ。回復薬は魔法や応急処置でなんとかなるし、食料はダンジョンで自生するもので行き繋げる。だが武器が無いと戦う手段が限られてしまい時間が大幅に変わってくる。更には死の危険性も増大してしまう。

 

 故にランは走った。

 

 正直ダンジョン内で武器を手にいれる手段はある。18階層に存在する安全地帯。そこはモンスターが生まれないダンジョンでも数少ない階層だ。そこには一部の冒険者が住み着いているのでそこで調達は可能なのだが如何せん値段が張る上に質があまり良くない。中層ほどなら良いが深層では役に立たない物も多いだろう。故に地上まで走り武器などの物資を運搬していたのである。

 

 「あの野郎のおかげで物資の補給ができ、移動速度も上がった。でもな、ここぞって時に役に立ちやしねぇ!」

 

 「………でもランがいなかったら帰るのにもっと時間かかってた。怪我人もいっぱいだった………と思う」

 

 「っ!わかってるつってんだろ!」

 

 ベートも言葉通りわかっている。それほどまでにランがしたことは偉業であり異常な事なのだ。そしてその事がまたベートを苛立たせる。

 

 (なんであの野郎に出来て俺には出来ねぇ!なんであの野郎はあんなに強くて、俺はこんなにも弱い!?)

 

 それは劣等感と自分自身の不甲斐なさからくるものであった。

 訂正しておくがベートは決して弱くない。むしろ強者だ。迷宮都市オラリオの一級冒険者が弱い筈も無い。しかしランと言う異常な存在がベートを自身を弱く見せてしまっていたのだ。レベルの壁はあるが同じ一級冒険者、同じ狼人、同じ速さに自信のある者、なのに何故ここまで差があるのかと自問自答し苛立ちは増すばかり。そんな悪循環に陥っているベートは

 

 

 『ヴォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーー!』

 

 『ほあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーーー!?』

 

 響き渡る咆哮と悲鳴に正気に戻りアイズと共に駆け出した。

 その後これまでの陰鬱な気分が嘘だったかの様に腹を抱えて笑い転ぶ事になるベートであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり10階層。行軍の最後尾にランはいた。その姿は疲れはてており、装備に傷などは見受けられないが土や埃、自信の流した汗で汚れている。

 無理もない。通常で合算15日かかる距離を六時間弱で走り抜けたのだ。体力的にも精神的にもかなりの負担になっている。

 

 「………椿、おっぱい揉んで良い?」

 

 「たわけめ、良いから歩け。と言うかさっさと担がれろ。肩を貸す方が面倒じゃ」

 

 「………おっぱい揉んで良いなら担がれる………」

 

 「………もう面倒じゃコイツ」

 

 ノロノロと椿の肩を借りて歩くラン。そんなランの戯れ言に嫌気が差した椿はひょいっとランを肩に担ぐと小走りで先頭を歩むフィンの下へ向かった。担がれたランは「あー、なんか楽になったー?俺もしかして空飛んでるー?」等と言っているあたり相当に衰弱している様である。

 

 

 「団長殿。こやつは限界じゃ。先に連れて帰るぞ」

 

 「あぁ構わない。ここまで来れば問題ないだろう。もしミノタウルスを見つけたら倒してくれると助かる」

 

 「了解した。では先に行かせて貰う」

 

 「フィン~、報酬期待してるぞ~」

 

 「わかっているさ。君は早く休みたまえ」

 

 「随行する我がファミリアを頼む。ラン行くぞ!しっかり捕まっておれ!」

 

 「へいへいほーい」

 

 挨拶を済ませた椿は急激に走る速度をあげた。ランには及ばない迄もその速度は流石のLV.5。景色が流れる様に進みあっという間に階層を上げていく。道中何やら『ほあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーーー』やら『惰ぁぁぁぁあぁぁーーーーーーーー』やらの悲鳴が聞こえたがロキ・ファミリアの面々がダンジョンに散らばっているため問題ないと判断し無視した。何やら真っ赤に染まった人間を通りすぎた気がしたがそれすら無視して椿は一気に地上まで走り抜けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「と言うわけでこやつは相当に疲労しております。ゆっくり療養させてくだされ」

 

 「ありがとぉ~。椿ちゃんもわんちゃんお疲れさまぁ~」

 

 無事ランを送り届けた椿はレスティア・ファミリアのホームであるレンガ造りで2階建てにてランの主神であるレスティアに事情説明を行っていた。

 

 「いえ、ランには日頃世話になっています故これしきの事は何でもありませぬ」

 

 「わんちゃん直ぐ無理するからこれからもよろしくねぇ~。ところで~」

 

 「はい?如何なさいましたか?」

 

 説明を受けたレスティアは椿に労りの言葉をかけ、椿はそれに軽く答えた。よくあることなのだろう。二人のそれは慣れたものであった。そんな中レスティアがジトーと椿を見つめた。何の事か検討のつかない椿はレスティアに問い返し

 

 「椿ちゃんはわんちゃんとどこまでいったのかなぁ~?」

 

 「ぶふぉぁっ!?な、なななななななな何をいきなり!?」

 

 盛大にむせた。

 

 「知ってるんだよぉ~?椿ちゃんがわんちゃんの事大好きだって事ぉ~。私はわんちゃんの子供作れないからぁ~、わんちゃんの事縛り付けるつもりは無いけどぉ~。本妻は私だからね~?そこは譲らないよぉ~!」

 

 「てててててて手前は別に!………………ランの事など別に……………」

 

 椿は唐突の事に慌て否定するが神に嘘はつけない。言葉尻はどんどんと小さくなり最終的にはその顔を真っ赤に染め上げ黙ってしまう。その姿は正に乙女。オラリオ有数の鍛冶ギルド団長の珍しい姿がそこにあった。

 

 

 「わんちゃん結構モテるから早くした方が良いよー?私これ言うの初めてじゃない――― 」

 

 「こんにちわーー!ランは無事ですかーーーー?」

 

 「―――しぃ~?ってあれ~?ティオナちゃんだぁ~!やっほぉ~」

 

 「うちもおるでー!後アイズたんとなんや知らんけどワンコのお見舞い言うて町中からゾロゾロ女子供が集まってきてもーたわ。堪忍な」

 

 「………どもです」

 

 「あらあらー?ロキちゃんとアイズちゃんまでぇ~!街の皆もぉ~!わんちゃん寝てるから静かにしてねぇ~?」

 

 「…………………」

 

 言いかけたレスティアの言葉を遮り現れたのはロキ・ファミリアの一級冒険者であるティオナ・ヒリュテ。続くようにロキ・ファミリアの主神ロキとロキ・ファミリアの一級冒険者アイズ・ヴァレンシュタイン。更にその後にはオラリオに住む年若い娘達と男女問わず様々な子供たちが集まっていた。それを見た椿は呆然と立ち尽くしている。

 

 実はラン、かなりの人気をしめている。

 

 迷宮都市オラリオの中で数えるくらいにしかいないLV.6で容姿も白髪に金色の瞳と目立つ上にそれなりに整っている。ラン自身気さくな性格で誰とでも仲良くするため嫌われる要素は少ない。更にランの過去の為か孤児院にもよく出資し顔を出して子供達と遊ぶため町中の子供達にも人気があった。

 子供達からは遊んでくれるお兄さん。街娘達からは気さくで優しく頼れる男性。冒険者からは知る人ぞ知るLV.6で強く逞しく、更に冒険者である己すらも守ってくれるとくればモテない訳がない。

 

 「ランは寝てるのー?ちぇー!せっかく遠征終わったから遊びにきたのにー!」

 

 「ティオナ、自分元気すぎやないか?サボってたちゃうんの?ってこらアイズ!抜け駆けか?するっとれーたんの横通り過ぎんなや!?」

 

 「???お見舞いするだけ」

 

 「こんな感じなのよぉ~。ちなみにティオネちゃんとあの娘とあの娘とあの娘とあの娘とあの娘とあの娘と――――」

 

 椿は愕然とした。前々から己の気持ちに気が付いてはいたし、ランに人気があるのはわかっていたつもりだったが予想を遥かに越えていた。純粋にお見舞いに来た者も多いだろう。事実少なからず女子供に紛れて男性もいた。しかしそれにしても多い。ロキ・ファミリアの者は遠征の事もあり分からなくもないが街娘だけでも30人は越えている。

 

 (不味いやも知れん!)

 

 椿は危機感を感じた。

 長年契約を結びお互いに気心知れた仲だからこそ油断していたのだ。敵は多い。

 特にあれは駄目だ。ティオナ・ヒリュテとアイズ・ヴァレンシュタイン。

 アイズに関してはまだましだ。あれはまだ憧れや目標としてランを見ている。しかしその奥には少なくない思いが見てとれる。

 アイズは容姿端麗な人間の女子である。長い金色髪と同色の瞳。女神と見間違う程に整った容姿にしてオラリオ最強の女の一人と黙される女傑だ。もしアイズに告白などされれば椿とて断れる自信はない程に男女問わず惹かれる少女である。だがそれはまだよかった。アイズには好意はあってもどちらかと言うと親愛、家族などに向ける情だとわかったからだ。恐らくランの事だから散々世話を焼いたのだろうとも。

 問題はティオナである。彼女のランを見る目は乙女その物。己と同じだと認識させられたのだ。

 ティオナ・ヒリュテ。彼女はアマゾネスの少女。アマゾネス特有の褐色の肌に黒髪を肩より少し長めに流し後頭部で一房に纏めた愛らしい少女だ。女性的な特徴に乏しくはあるがスレンダーな体躯は健康的であり多少の女性的有無を無視出来るほどに魅力的な少女だ。

 

 「むぅーー。レスティアー様ー?やっちゃ駄目?」

 

 「良いけどぉ~。意識のないわんちゃんは凄いよぉ~。絶倫だよぉー!?」

 

 「望む所やな!アイズたんはやらせんけどな!!」

 

 「お見舞いしてきました。帰ります」

 

 「いつの間に!?!?」

 

 「……………………」

 

 椿は唖然とした後心に決めた。

 己の想いを伝えようと。

 

 




とりあえずランよ




爆発しろ!!
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