一級冒険者がサポーターなのは間違っているだろうか   作:ジェイ

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またまた高評価有り難うございます!

次こそは主人公と思った諸君!


違うんだなぁーww


6話・サポーターとして

 「と言うわけでサポーターにも必要最低限の戦闘能力は必要だ。何故ならばサポーターも荷物持ちでありながらもパーティーメンバーの一人であるし、冒険者によっては非常に理不尽な扱いを受ける。お前らも経験あるだろ?だからこそわかるだろ?言っておくがラウル、テメェーは駄目だ。環境が良すぎてこの苦悩がわからねぇ」

 

 「な!?なに言ってるんすか!?自分だって苦労してますよ!!」

 

 「はっ!!ロキ・ファミリアでぬくぬく善良な一級冒険者のサポーターやってる位で苦労してるだって?そりゃあお前甘えってもんだぜ?言っておくぞ?ベートやヒリュテ姉妹はかなりましな部類だ。お前の所の団長や副団長含めた古参面子は優良でアイズなんかは神様レベルだな。しかもお前レベル4の準一級冒険者だろ?ほら幸せだろ?」

 

 「いやいやいやいや!深層で自分の身は自分で守れとか無茶っすから!?」

 

 「それが甘えだと言ってるんだよ!」

 

 「何でぇーーーーーーーー!?!?」

 

 時はロキ・ファミリア遠征の翌日。ランは無事体力を回復しサポーターを生業、もとい強いられる者達にサポーター講習を行っていた。場所は迷宮都市オラリオのメインストリート、別名冒険者通りに位置するギルド本部の大広間を借りての講習だ。本来ならギルドに施設使用料を支払うがランの講習は冒険者からサポーターまで役立つ情報や処世術が無料で受けられるためギルドよりランに対して給金が発生している。勿論ギルドもこの講習が始まった事による利益はあった。

 ランが初めて講習を行った年の年間利益が5%ほど上がったのだ。

 これはランが必用な迄に処世術や戦闘術をサポーターに叩き込んだ事が大きい。

 

 以前述べた事があるがサポーターとは冒険者になれなかった者が大半を占める。戦闘力が足りない。能力はあっても精神が戦闘に向けない者達である。

 そんな者達にランがした事は徹底的な戦闘訓練と心構えの教授である。

 

 ランが初めてダンジョンに入ったのは齢にして7歳の時だ。その時ランは恐怖に震え一階層でゴブリンに出会った瞬間に逃げ出した。その足で主神レスティアの下まで全力で走り号泣したのは冒険者の中では有名の話である。当時は泣き虫狼などと蔑まれた物だ。

 しかしランは諦めずに挑み続け、都合5回目のゴブリン遭遇で初戦闘をこなし無事帰還した。これを主神レスティアは勿論喜ぶが、最も評価をしたのは他でもない冒険者達であった。

 

 『泣き虫狼がゴブリン倒したらしいぜ?』

 

 『へぇー、あのガキがねぇー!やるじゃねぇか。根性ありやがる。普通は1回2回で挫折するんだがなぁ。よし気に入ったぜ。今度鍛えてやらぁ!』

 

 『お?マジか?なら俺も見かけたら声かけてみるか?根性あるガキは将来有望だからな!』

 

 『………はぁはぁ。その子可愛いの?俺実はショタ大好物』

 

 『特別凄い訳じゃないけど普通に可愛いよ。泣きながら主神に抱き付く姿にはキュンッて来たけど』

 

 『『『余計な事を教えるな!こいつはガチだ!』』』

 

 『はぁはぁはぁはぁはぁはぁ!良い!俺(この人は女性です)の弟にビンゴだ!………まってろぉ~!直ぐに俺の弟に(この人はアマゾネスのガチショタ好き。マジで危険)してやるぞぉ~!安心しろ貴方は直ぐにパパだ、その子も私が育てて食って私が産んで更に食って産んで………………くふふふ!』

 

 『とめろーーーーー!こいつはガチだ!将来有望なガキをーーーーーーーーー!?』

 

 『まて!アマゾネスのガキはアマゾネスだから被害は泣き虫狼だけだろ?』

 

 『馬鹿!それを止めさせようとしてんだよ!』

 

 後半は完全に余談であるが、この様にランの姿勢は評価された。

 

 つまりは諦めない気持ち。これにつきる。

 

 諦めないからランは先に進めた。諦めないからランはモンスターを倒した。諦めないからどれだけの時間をかけてもLV.6まで登り詰め、諦めないから――――

 

 

 「テメェーは1回でも置き去りにされたか?まだ弱い自分を、己を残してモンスターに囲われた事はあるか?ねぇだろ?俺はあるぞ!他の奴等はどうだ?死んじまった奴等は申し訳ねぇ。俺がもっと早く今の地位にいたら救えた奴等は多かっただろうが今言っても仕方ねぇ!だから今言う!逃げる事は恥ずかしく無い!テメェー等がパーティーを信じるならそれがテメェー等の判断だから自業自得だ。だがな、少しでも信用ならなかったら逃げろ。ただでさえテメェー等は弱いんだ。何と言われようと、生き残ったパーティーに罵倒されようと生き残らなきゃ意味がねぇ!俺は今まで100は優に越えるパーティーを裏切ってきた。弱いって理由でモンスターの群れに投げ込まれて囮にされた。稼いだ額の全てを巻き上げられた事もあるし、死ぬ思いも少なからずしてきた」

 

 ―――――だからこそ今がある。

 

 

 「でも諦めなかった。幸い俺には逃げるに特化したスキルがあったから生き延びたがテメェー等は違う。今のステータスが全てだ。だからあえて言ってやる。俺を頼れ!役に立たねぇテメェー等も直ぐにレベルを上げて下克上させてやるよ」

 

 ランはどんなに蔑まれ様とも、どんなに罵られようとも、どんなに泣き叫び罵倒されようも諦めずにダンジョンに挑み、結果はLV.6。才能もあっただろう。ランの努力も勿論あるが何より生来もつ負けん気がランを震い立たせ今大規模ギルドに指名されるほどに至ったのである。

 

 

 「さてそんな訳でサポーター専用の俺が考えた戦闘術を教えてやるから外に出るぞ」

 

 その言葉で皆がぞろぞろと部屋を出ていく。ランはそれを見届けて最後に部屋を出るつもりだったが一人だけ残った者がいた。それは小さな人物だった。

 

 「マーナガルム様、少しよろしいでしょうか?」

 

 「あ?良いけど手短にな」

 

 白いローブを身に纏いフードを深く被っているため顔は良く見えないが体型と声音からランは小人族の女であると判断した。

 

 「では失礼ながら言わせていただけば…………本当にサポーターが下克上できるとお思いですか?」

 

 その言葉は先程のランの講習で言われたフレーズの1つ。サポーターを強くしてやると言ったランにこの小人族の女は疑問を、そして疑惑を浮かべたのだ。もしかしたらこの男は自分達を騙すのではないかと。ランはランで少し考える様に唸った後答える。

 

 「うん、無理だな」

 

 キッパリと言い切ったランに女は「やっぱり」とどこか呆れた様な、そして蔑む様に呟く。

 

 (やっぱりそうだ。今はサポーターをやってはいるけど所詮は元冒険者のろくでなしだ。この男もどうせ金で雇われて適当な事を綺麗に言ってるだけなんだ)

 

 小人の女はそう心の中結論付けた。しかしランの続く言葉は女に槍の様に鋭く、矢の様に正確に、そして剣の様に深々と突き刺さった。

 

 「だってお前諦めてるじゃん。つーかお前俺の講習の何を聞いてたのさ?俺は諦めるなって言ったつもりだが伝わらなかったか?まぁともかく既に強くなることを諦めてる奴が強くなりたいとか無理に決まってる。んじゃ俺は行くぞ。強くなりたかったらお前も来いよ。あ、後生存率を上げる訓練もしてるから。お前、強くなる心意気は無いみたいだけど死にたくは無いみたいだし参加するだけ価値はあると思うぜ?」

 

 じゃあな。そう告げたランは消える様に、女から見れば正しく消えて部屋を後にした。

 女はその事に気にすることなくうつむき身体を震わす。

 

 

 「…………そんな事…………リリが一番分かっています。リリだって…………強くなりたい…………でもなれないんですよ……………」

 

 女は、リリと己を呼んだ女は独白するように涙声で呟き

 

 「お?なんだやっぱ強くなりたいんじゃん!でも上手くいかなくてやさぐれた感じ?そんな君に大チャンス!実は俺今助手の募集してんのよ!ちなみに定員は無いから誰でも何人でも可!これの特典はなんと俺と一緒に超優良ファミリアに随行出来る事!そしてレアアビリティのゲット方法も教えちゃう!やったね!ラッキーだね!お金も簡単に貯まっちゃうよ!」

 

 「行ったんじゃなかったんですか!?と言いますか乙女の独り言を盗み聞くとか最悪ですよ!?そして何か色々と台無しです!」

 

 そして叫んだ。突然現れたランに驚き割りと素を出して。

 

 「おう、行ったぞ。つーか現在進行形であっちでも話しをしてる。所謂『それは残像だ』を体現して話しをしてんのさ!つまりあっちとこっちを行き来して一言残して去っているのさ!どうだ凄いだろ!リアル影分身の術だ!あ、ちなみに盗み聞きしたんじゃなくて聞こえただけね?俺速いだけじゃなくて目も耳も鼻も良いからさ!」

 

 

 「…………化け物ですか」

 

 女リリは旋律した。この男はどれだけ速いのかと。よく見ればランの姿が微妙にずれていることに気がついた。その事からランの言葉が事実であることが分かってしまった。

 

 「化け物も裸足で逃げ出す!それがこの俺ランハティ!」

 

 「褒めてません!?戦慄しているんです!」

 

 同時にリリは分かってしまった。コイツ面倒くさいと。

 

 「それでどうする?確実に今よりは成長出来るし、お前がやってるこそ泥染みた真似もやらなくてすむと思うぞ、ってあーーーー!?それ人に向けて投げちゃだめ!ゴブリン吹っ飛ぶ俺式石投げ術なんだぞ!ほら見ろ地面に埋没してるってギャァーーーーーー!?怪我にーーーーーーん!メディッッッッック!?!?」

 

 後半は何やらあっち側、戦闘訓練の様子が混じっているが前半の言葉にリリは更なる戦慄を覚えた。何故知っているのかと。

 

 「え?何で知って………リリは………リリは変装して………あれ?何で?」

 

 「ふう、良かったポーション持ってて、ってああすまんすまん。ちょっとあっちでトラブってな!」

 

 ちなみにランの言うゴブリン吹っ飛ぶ俺式石投げ術とはその名の通りランが開発した投擲術で、要は人体の効率的かつ、最大限に利用した投擲方法である。そこらの石ころで下級モンスターを吹っ飛ばした事よりランが命名し、未だに使用している技術だ。一般人だと流石に石投げでモンスターを吹っ飛ばすのは無理なのだが、神の恩恵を受けた冒険者やサポーターならばダンジョンの一階層モンスター程度簡単に葬る威力を持たせることができるのだ。ちなみにこの技術はとある世界で秘技中の秘技、鉄甲作用と呼ばれていたりもする。

 

 「………何でリリのした事が分かるのですか?リリがマーナガルム様の講習に参加したのは今日が初めてなのに、初対面なのに何故ですか?」

 

 話は戻りリリだ。リリは己の所業を知られていることに恐怖していた。変装していた。声も変わっていた。行動や挙動、話し方など最善の注意を払っていたのに何故、と。それに対するランの対応はあまりに簡単だった。

 

 「言っただろ?俺は目も耳も゛鼻も゛良いって」

 

 その言葉を聞いたリリは目を見開く。においは盲点だったと。姿や声音は変えられてもにおいまでは変えられなかったのだ。故にランはリリの所業を知ったのだ。

 

 

 

 リリが行った所業。それは所謂窃盗及び詐欺である。

 

 姿を変えて冒険者のサポーターを行い戦利品をちょろまかすのは当たり前。時には冒険者を罠に嵌めて戦利品を全て己の物にしたり、冒険者の持つアイテムを盗んだりと様々な悪行を行ってきた。

 姿を変えていたため今まで誰にもバレていないと思っていたリリは己の所業を知られていたが為に恐れたのだ。罰せられる。逃げられない。未だに残像で会話するこの男からは何処にも逃げられないと。

 

 「なんかビビってるか言うけどお仕置きとかしないぞ?俺もかなりやったし。ムカつくよな冒険者。雑魚な奴ほど調子に乗るし。そんな奴を………………ケケケ!」

 

 と、恐怖に震えるリリを傍らにランが言うことはリリが思う事そのものだった。

 

 今までリリは散々利用されてきた。

 冒険者としての戦闘力は無い。故にサポーターとして尽力してきたが冒険者に利益はむしりとられ、嫌気がさして始めた一般稼業すらも暇潰しにと邪魔をされ、結局は今がある。

 冒険者を憎み、内心で最低の人種と蔑みながらも寄生して、騙し、利用して嘲笑い、そして嫌悪した。

 

 ランは迷宮都市オラリオが誇るLV.6の最高戦力の一人だ。そして最強を越えた速さを保持するオラリオ最速の男でもある。

 リリの考えなら先ず憎むべき対象であるのに、ランは己と同じ考えをもち、同じ行動をしていたことに困惑してしまった。

 

 

 「お?やっぱりお前もわかる?あの達成感半端無いよな!冒険者なんて糞喰らえだ!仕事じゃなけりゃぶん殴ってるぜ?雑魚のくせに!!」

 

 ランの独り言に近い言葉はリリにスッと滑り込むように流れ込む。ああ、この人は私と同じだと。

 

 「ったく仲良い奴ならともかく雑魚ほど調子に乗って、あげくサポーターを馬鹿にしやがる!舐めんなよなぁマジで。俺はテメェー等の団長や神に依頼されてサポーターやってやってるだけだってのに。あぁ思い出すと更に腹立つわ!あいつら戦利品を奪おうとしたあげく俺にクレーム付けて報酬を無しにしようとしやがって!……………ふふふ、安心しろよ。その辺の対処方も教えてやる」

 

 ランも基本的に冒険者を信用していない。そこをリリは感じ取った。ランの言葉からリリが辿った道より深い悪を感じたのだ。

 

 「ああ、後俺にも利益はあるぞ。゛お前が裏切らなければ゛将来的に俺が楽を出来る。それに折角得たレアなアビリティを残さなきゃ勿体ないだろ?だから教えてやるよ。戦闘才能はともかくお前は俺に似てるからな!」

 

 ランはリリと名乗る女に己の過去と似た状況を嗅ぎ取った故の衝動だ。衝動故に衝動的に勧誘した。

 冒険者としてならランは最高峰だ。その能力もありサポーターとしても功績を残している。だがサポーターとしてのランは悪質で悪辣で意地汚く金にがめつく、それでいて優秀で有益な存在だった。

 

 それをリリは感じ取り

 

 「年収で、いや月でいくら稼がせて貰えますか?」

 

 「年収?俺は1億越える。つーか俺専属のサポーターならその半分くらいは稼がしてがしてやるよ!俺のアビリティ解体術はヤバイぞ?レアドロップ獲得率7割は越えるからな!」

 

 「答になっていませんよ!?でもわかりました。マーナガルム様を今よりお師匠様と呼ばせていただきます。お師匠様、どうかリリを一人前のサポーターとしてあの悪辣ファミリアを脱退出来る様に育てて下さい。利益は出世払いで」

 

 「なんならそのファミリア潰すけど?」

 

 「流石にそれはやめて下さい!?リリにも良心がございます!?」

 

 「ふはははは!半分冗談だ!流石にファミリアを潰すのは忍びない」

 

 「半分本気ですか…………………。と言いますか出来ちゃうんですか?いくらで潰してくれます?」

 

 「弟子の頼みだからカクヤスデ100万だな!」

 

 「地味に高い!?」

 

 こうして?ランは助手と言う名の弟子を得た。この事で僅か2週間でリリは、リリルカ・アーデは目標を達成するとは思いもよらなかった。その分の苦労は伴う事になるのではあるのだが、それはまた別のお話。




サポーターと言ったらリリだよね!


それとは別に改めまして、評価下さる皆様に感謝を。気が付けばお気に入りが1000近くなっており私は非常に驚きました。
チート物の作品でありながら戦闘は未だにろくに無い、更新は遅い、作者ウンコ。そんな三拍子揃ったこんなのに評価をいただき嬉しく思います。

これからもよろしくお願いいたします。
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