アンチリリカルな日々   作:平乃

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 なんだかんだ投稿が遅くなってしまいました。
 ええ、1週間に1話くらいでしか更新できない自分のものぐさっぷりに我ながら驚嘆至極でございますです。
 しかも、戦闘とか二の次、って言っていた割に、3話目にして戦闘勃発。私の構成力ェ……。

 そんなわけで、今回はシリアスな戦闘よりですので、顛末だけわかりゃいいや、って方はあとがきの今回のあらすじを見ていただけると良いかも。
 べ、別に拙い戦闘描写を見られたくないわけじゃないんだからねっ!
 ……はい、戦闘描写については精進いたしますです。


第3話

 時は人を待ってはくれない。

 一寸の光陰軽んずべからず、とは良く言ったもので、悩んだ時点でそこに選択肢はなく。あるのは時間に押し潰された妥協という残骸のみ。

 制限時間が決められていて、赤の線か、青の線かを正しく悩んで、正しく選択するなんて話は映画の専売特許だ。

 僕がこうして動けないでいる今この時にも、

 また1つの選択肢は時というプレス機でぺしゃんこに潰されてしまった。

 

 

 その叫び声を聞いた時、私が最初に考えたのは、目の前の親友をどうやってごまかすかだった。

 午前授業だけだった今日の学校帰り、私は数日前から予定していた通り親友であるすずかちゃんの家に遊びに来ていた。勿論、もう1人の親友であるアリサちゃんも一緒だ。

 私たちが遊ぶとなった時、何をして遊ぶかはその時その時で違うけど、それでも大体は今みたいにテレビゲームをしている事が多いような気がする。

 アリサちゃんはテレビゲームに限らず誰かと競うゲームが大好きだし、すずかちゃんも意外とテレビゲームについてはかなりのめり込むタイプみたい。

 なんでも姉妹揃って機械いじりが趣味で、デバッグ? とかを繰り返すうちにゲームの面白さにも目が向いたとかなんとか。「もともと小説を読むのは好きだから、RPGは好きだったんだ」とかも言ってたっけ。

 

『な、なのはっ! は、早く助け――ぎにゃぁああっ!? 爪がとんがってて痛いっ!?』

 

 本日何度目かの悲鳴を聞いて、私はもう一度頭を抱えた。

 そんな私を見て、目の前のすずかちゃんが不思議そうに首をかしげた。そう、今の悲痛な絶叫は私にしか聞こえていないのだ。

 

 私、高町なのはは数日前に魔法少女になった。

 事の始まりは、現在フェレットとして私の家で生活している魔法使い、ユーノ・スクライアくんが古代遺跡でジュエルシードという魔法のアイテムを発掘したところから始ま『くっ、動けない……、ああ、僕はこんなところで死ぬのか。思えば、発掘ばかりに明け暮れて、なんて土色の人生だったんだろう』――なんかそのユーノくんが辞世の句を詠みそうな雰囲気を出し始めたので、簡潔に言うと、

 魔法と無関係の海鳴市に危険なマジックアイテムがばらまかれて、人外魔境化。

 お供のフェレットを連れて、新生魔法少女が大奮闘。

 フェレットが単独行動。

 ジュエルシードで狂暴化した猫に襲われ大ピンチ、大泣きして救援信号を発信。

 私、1人になる機会を逸する。

 超困っている。

 といった感じ。幸い、場所はそんなに遠くないらしいけど。

 最初こそ、猫と遊ぶユーノくんの微笑ましい姿を想像して「ファイトだよっ(意訳:死ぬ気で戦え★)」とか返していたけど、途中でジュエルシードを取り込んだ猫だってことが判明してから、ずっとこの調子だ。

 さて、どうやってこの場を自然に切り抜けよう。

 ちょっとトイレ、はこの悲鳴の直前に行ったばかりだし、何より今は入れ替わりに席を立ったアリサちゃんが使用中のはず。さすがに「ちょっとアリサちゃんと一緒に入ってくるね」とは言えない。

 

『もう、だめだ……、さようなら、僕の薔薇色の青春――ちょ、痛いっ! 爪が食い込んでるっ!? あ、これホントにダメなや痛い痛い痛いぃいいいいっ!?』

 

『ゴメンユーノくん、ちょっと黙って』

 

 遠くの相手に言葉を伝える魔法、念話を介して響くユーノくんの言葉を遮る。割と余裕ありそうだけど、だからって放置もできない。

 仕方ない、急用を思い出したとでも言って、離脱するしかない。お兄ちゃんも恋人の忍さんに会う為に一緒に来ているから、あとで不審がられるかもしれないけど、今は気にしている場合じゃない。

 そう考えて、意を決した私の耳に、

 

「すずかー、ちょっとだけいいかしら?」

 

 お淑やかな声が届き、部屋の扉が開いた。そこから顔をのぞかせたのは、すずかちゃんのお姉さんで、私のお兄ちゃんの恋人でもある月村忍さん。

 私にゴメンね、と断って忍さんと一言二言話したすずかちゃんが、また私のところに戻ってきた。

 なんでも、忍さんに少しだけお手伝いを頼まれてしまったらしい。断ることもできるそうだけど、もちろん私はお手伝いを勧めた。アリサちゃんももうすぐ戻ってくると思うし、と添えると申し訳なさそうにすずかちゃんが席を立った。

 そんなすずかちゃんの様子に、私も心の中で謝りながら、

 

『ユーノくん、今どこにいるの?』

 

 その1分後にはすずかちゃんの家の庭を走っていた。

 ユーノくんはちょうど、すずかちゃんの庭の一角に逃げ込んでいたらしく、場所を特定するのに、そう時間はかからなかった。

 

 そういえば、とすずかちゃんが呼ばれたお手伝いについて、走りながら思いを巡らせた。

 その話については、お兄ちゃんから前に聞いた事がある。

 なんでも忍さんの作った超高性能戦闘用アンドロイドの練習相手として、日々ガトリングガンを避け、ミサイルを一刀両断しているらしい。あの夫婦未来に生きてるな、って賛歌くんが言ってたっけ。話してたお兄ちゃんは泣きそうだったけど。

 すずかちゃんも一部の開発を手伝っているらしいし、今回もきっとそのことだと思うけど。

 ……そういえば、趣味が忍さんと同じのすずかちゃんも、いつか目からビームを出すメイドさんとか作っちゃうんだろうか。

 

「ううん、まさかね」

 

 目的地に急ぎながら、想像が現実になった時、友達としてどう反応すべきだろう、と小さな不安がよぎった。

 

 

 結果から言うと、暴走したジュエルシードは問題なく封印できた。

 封時結界という、ユーノくんの結界魔法の中に入ってすぐ、私はジュエルシードを取り込んで巨大化した猫を捕捉。

 猫を私の砲撃魔法、ディバインバスターで吹き飛ばして分離させ、残ったジュエルシードを封印魔法で無事に封印した。

 

 だから、問題となっているのは別のこと。

 

「そのジュエルシードを、私に渡してください」

 

 今、私に敵意を向けている女の子についてだ。

 ジュエルシードを封印した直後に飛んできた矢のように鋭い魔弾、そして上空に浮かぶあの子の手には黒い斧のような形をした杖、魔導師の証であるデバイスがある。

 ユーノくんの話では、この世界に魔法はないらしい。つまり、魔導師だっていないということ。だったら、あの子は誰なのだろう。

 

「ユーノくん、あの子のこと知ってる?」

 

 さっきから地面に倒れて、ぴくぴく痙攣しているユーノくんに声をかける。まったく、シリアスな雰囲気なのに、ふざけないでほしいの。

 

「ううっ……それ、なのはが言う?」

 

 さて、なんのことやら、なの。

 それに、ユーノくんの鍛え方が足りないのもいけないと思う。賛歌くんなら何度叩き潰されても立ち上がってくるし。アンデッドもかくや、ってレベルなの。

 

「その賛歌って人に同情するよ……。ともかく、僕は知らないよ。輸送船が出した通信に対して、管理局が先遣隊を送るには早すぎるし、それになにより、管理局員なら管理外世界で魔法を使う人間と遭遇したら、まず自分の身分を明かして、身柄の確保に移ると思うけど」

 

 少なくとも、まず攻撃を仕掛けてはこないと思う、と言葉を締めくくったユーノくんが魔導師の女の子を見上げた。

 一方、女の子の方は元々、管理局っていう魔法世界の警察だって弁明する気はないみたいで、ユーノくんの言葉にも反応せず、鋭い視線を向けてくるだけ。

 とにかく、お話を聞いてみないと、あの子が何者なのかも、なんでジュエルシードを欲しがっているのかも分からない。

 

 そう思って口を開きかけた私を、ユーノくんの防御魔法が覆った。

 

「なのはっ、構えて!」

 

 ユーノくんの言葉で我に返った私は言われた通り、自分のデバイスである杖、レイジングハートをグッと握り直して、前に構えた。

 ドッ、という体を揺らすような衝撃と共に目の前に現れたのは私の身の丈を超える赤い狼。目の前の人間を食い殺すような狂暴な形相でユーノくんの魔法障壁に爪を立てている。緑色の壁と狼の爪がぶつかり合って橙色の火花を散らしながら、私の耳に甲高い音を響かせた。

 でも、それもすぐに消える。後から伸びた緑色の鎖が狼の胴体に巻きつくと、弓の弦の要領で狼を後に投げ飛ばした。ユーノくんの拘束魔法だ。

 

『なのは、こっちは任せて。今はジュエルシードを!』

 

 ユーノくんの念話に頷いて、ジュエルシードへ向かう私の背中に迫る黄金色の魔法弾。

 

《Protection.》

 

 レイジングハートの音声と共に魔法弾から私を守る防御魔法が展開される。振り向くと、そこにはデバイスを構えた、さっきの女の子の姿。

 黒い魔法の防護服、バリアジャケットに身を包んで、こちらを見据える彼女と対峙する。

 交わる視線、改めて見た彼女の目は、暗く輝く赤い光を宿していた。

 

「さっきの大きな狼さんはあなたの仲間? なんで、ジュエルシードを探しているの? あれはユーノくんの落し物で、危険なものなんだよ?」

 

 彼女は私の呼びかけには答えず、構えたデバイスの先に黄金色の魔力が集まっていく。

 

 無言の中に、私に対する戦意が込められている気がした。そして、きっと今私がいくら呼びかけたってそれは揺らぐことはないんだろう。

 

「これが終わったら、お話、聞かせてもらうから」

 

 レイジングハートを向けて言った私の言葉が合図となって、彼女のデバイスから魔法弾が放たれた。

 速いけど直線的なそれは再度、レイジングハートの防御魔法で作られた壁に衝突して消え去った。

 

「っ、どこっ……!?」

 

 だけど、その注意を逸らされた一瞬で彼女の姿も私の視界から消えていた。

 次の瞬間に私の背を走る寒気。直感的に後ろへ振りかざしたレイジングハートから《Protection.》の音声と共に強烈な衝撃が私の腕に伝わってきた。

 振り向いた私が見たのはデバイスの先端部分から伸びる黄金色の刃が私の防御障壁に食い込んでいる様だった。まるで死神の鎌のようなデバイスを握る彼女は、もう一度、その刃を振り上げる。

 

《Flier Fin.》

 

 私が後ろに飛んで避けよう、そう考えた時にはレイジングハートの詠唱が終わり、私の体は自分の思う通りに上空へ身を躍らせていた。

 もちろん、ただ逃げるだけじゃない。

 

「レイジングハート、捕まえて」

 

《Restrict Lock.》

 

 すぐに輪の形をした捕縛魔法をあの女の子のいた場所に展開する。

 

《Blitz Action.》

 

 だけど私の耳に届いた聞きなれない音声と共に、また彼女の姿が消えた。レイジングハートから聞いたことがある、高速移動魔法の詠唱だろう。

 私はレイジングハートに視線を向けた。レイジングハートの赤い宝珠が賛意を示すように明滅している。そして、砲撃魔法を放つシューティングモードに形態を変えた。

 

「なっ、これは、っ……!?」

 

 ピリッとひり付くような感覚とともに、私の後ろで困惑の声が聞こえた。

 振り向きざまに向けた砲口の先には腕を私の捕縛魔法で捕らえられたあの子の姿がある。

 

『練習、役に立ったね』

 

 私の念話にレイジングハートが応えるように明滅した。

 私は、まだレイジングハートと出会って日は浅いけど、危険な戦いにいることは分かってるつもりだ。魔法のことを教えてもらったら、どうやってそれに対抗するか、作戦パターンくらいは考えるようにしてる。

 だからこそ、彼女が奇襲してくると思った背後にも、捕縛魔法をバレないように小さめに展開していた。もともと、捕縛魔法はよく練習していた得意魔法の一つだし。

 

「これで、お話聞かせて――」

 

「バルディッシュ」

 

《Photon Lancer Full auto fire.》

 

 私が全て言い終える前に、彼女の言葉とそれに答えるデバイスの声が聞こえる。

 そしてレイジングハートから《Master , Look down!》という鋭い声が届いて――レイジングハートの移動魔法だろう――強い力で体が後ろに引っ張られた。

 体勢を崩しながら見た、目と鼻の先には私の顔をかすめるように飛来する魔法弾の雨が下から上へマシンガンのようにばら撒かれていた。

 下を見れば、最初に彼女が放った魔法弾の発生源である黄金色の球体から魔法弾が射出されている。

 

《Arc Saber.》

 

 続いて聞こえた声に顔を上げた先、彼女が振り抜いたデバイスの先端から、魔法刃が射出され、弧を描きながら私へ迫ってきていた。

 

「っ、これっ、重い……!」

 

 とっさに展開した防御魔法とぶつかり合った魔法の刃は防御障壁に突き刺さってもなお、回転を止めず、防御魔法を展開する私の腕をその場に留め続けていた。まるで防御障壁を削るような衝撃に私は顔をしかめた。

 でも、防ぎきれない攻撃じゃない。グッともう片方の手でレイジングハートを握り締めた私に、

 

《Saber Blast.》

 

 無情で無機質な声が届き、魔法刃は爆発した。

 

 全身を襲う強い衝撃に声を出すこともできず、吹き飛ばされた私は木の枝を折りながら、抜けた先の根元に叩きつけられた。

 

「――っ、か、ふっ……!」

 

「これで、終わり」

 

 叩きつけられた衝撃で体が動かせない私の前に立って、私を見下ろす赤い瞳。とても、悲しい色を宿した目と少しの間、見つめ合った。

 

「ごめんね」

 

 無表情を装ったその子の口から出たのは、どこか無理をした、哀しみと後ろめたさを含んだ声だった。

 声を出そうとして、咳き込んだ。まだ体が痺れているらしい。

 なんとか声を絞り出そうとする私に彼女はゆっくりとデバイスを向けて、

 

 すぐにその顔が驚きに染まった。

 

「そんなっ、まだ誰か……!?」

 

 顔色を変えて辺りを見回した後、その子はジュエルシードを回収して大急ぎで飛んで行ってしまった。

 ポカンと口を空けて固まった私は、その後駆けつけてきたユーノくんに声をかけられるまで、ただ茫然と彼女が去って行った空を見上げていた。

 

「待って、って止める暇もなかった……」

 

 そう呟いた時、思い浮かんだのは、さっきの女の子と見つめ合った時のこと。

 

 とても、悲しい目をした子だった。燃えるような赤い瞳に暗く落ちた影、そしてあの死神を思わせる黒い装束。

 私の心の中で、あの子がお母さんの前で悲しく微笑む姿が浮かび上がってくる。きっと、あの子だって本意でやっていることじゃない。でも、お母さんが大好きで、期待を裏切れないあの子は、きっといつまでだって自分の意志を押し殺していくんだろう。

 でも、そんなのは間違ってる。私も前に、内容はだいぶ違うけど、同じように家族の為に自分の気持ちを押し殺していたことがあった。それでも、賛歌くんと出会って、家族と本音でぶつかり合って、より分かり合えたと思う。

 だから、今度は私が、あの子と本気で向き合って、思いを伝えなきゃいけない。

 

「なのは……!」

 

 私の決意を聞いて、目を潤ませるユーノくん。それに私は一つ頷いて、

 

「私、頑張るよ。あの子が――望まないコスプレを強要されたりしない、本当の家族になれるように」

 

「……えっ?」

 

 あの子の悲しそうな目と、格好を見て、私の直感が囁いたんだ。

 あんな、レオタードにマントを羽織っただけみたいな、体のラインが出過ぎるような破廉恥な衣装を着せるなんて許せないよ!

 賛歌くんが前に見ていたネットのニュースとか画像で過激なコスプレが問題になってたし、なによりあんな年端もいかない子に魔法少女とはいえ、あんな恥ずかしい格好を強要するなんて正気の沙汰じゃない。

 私の中の倫理観と正義感にかけて、絶対に不埒な風潮は打破してみせる。

 

「えっ、あ、うん。そう、だね、うん」

 

《Sorry,master. No injuries?》

 

「うん、ありがとう。レイジングハートが着地の時、サポートしてくれたおかげで、ほとんど怪我はないよ」

 

「いや、レイジングハートが言いたいのは、その言動の原因が頭の打ちどころが悪いからかと思――」

 

 よし、そうと決まれば特訓だよ。

 あの子とちゃんとお話ができるように、お互い全力全開でぶつかり合えるようにならなきゃ。今の戦いでも課題はたくさんあったし、帰ったらレイジングハートと相談しないと。

 

「あの、なのは? レイジングハートも何か」

 

《That’s all, I believe in my master.》

 

「レイジングハートっ!? それ、ただの現実逃避だから!」

 

 ぎゃあぎゃあ喚くユーノくんを連れ、決意を新たにした私はすずかちゃんの部屋へ戻った。

 当然、戻りが遅く、服のところどころに泥を付けたボロボロの私は、同じく何故かボロボロになっているお兄ちゃんに叱られた。一応、「偶然窓から猫に追われるユーノくんが見えて、探しに行っていた」というもともと考えていた言い訳で納得はしてもらえたけど。

 

 そうして、お兄ちゃんに小言を言われながらの帰路で、私は一つだけ、気になることが残っていたことを思い出した。

 

「なんであの子、あんなに急いで逃げていったんだろう?」

 

 私は動けなかったし、ユーノくんもあの狼さんに手一杯だったらしい。じゃあ、あの時言っていた「誰か」って……。

 考えても考えても答えは出ず、結局その疑問が解けるのはかなり後になるのだけど、それを今の私は知る由もなかった。

 

 

 一方、賛歌は、

 

「だいたい、四之宮くんはいつもいつも、真面目に授業を受けたことがないではないですか。成績が良いからといって、そういった勉学に取り組む姿勢こそが、学生の時分に学ぶことであって」

 

「せ、先生。あのー、十分おっしゃりたいことは分かりましたので、進路希望はまた後日再提出って形で」

 

「いいえ、分かっていません! そもそも、私が生徒に怖がられているのだって、もとを糺せば四之宮くんが、私が男性を病院送りにしたなんてデマを流したせいなのですよ!? 私は生徒と和気藹々とした雰囲気で、生徒に信頼され、尊敬されるような先生を目指して、女子生徒からは、その、個人的な、こ、恋の相談をされたりなんかして、文化祭とかでは生徒と一緒に頑張って感動を分かち合って抱き合ったりするような、そんな、そんな先生に私は――」

 

「先生、ここ居酒屋じゃないです。職員室です」

 

「あ、それとバレンタインでは、女子生徒と、と、友チョコとか渡し合ったりして、」

 

 やばい、この先生。僕の話聞いてねえ。

 だが、今なら――、

 

「どこに行くのですか、四之宮くん? まだ話は終わっていませんよ?」

 

「もうやだ、この先生怖い」

 

 いまだに職員室で進路指導? をされていた。




【今回のあらすじ】
1.ユーノくん危機一髪
2.魔砲少女なのは、ジュエルシードごと巨大猫を制圧
3.なのはとフェイトの初戦闘(原作どおり、なのはの負け)
4.フェイトを救う決意をするなのは
5.賛歌、女性教諭と個別進路指導(意味深)

 戦闘描写もですが、なのはの一人称視点って難しい。
 今回、実はかなり難産だったり。
 なので最後のなのはの勘違いはスルーして頂けると……私の中のゴーストが囁いただけなんです。なのはさんは可愛い魔法少女デスヨ。

 ちなみに感想の受付設定を広げました。もともとメンタルはゾンビ並みに丈夫ですので。
 投稿の時に確認もせず、デフォルトのままだったのに今頃気付いたとか本当のことは言いっこなしで。


<おまけ:フェイトのバリアジャケット誕生秘話>

「フェイトのバリアジャケットですか……プレシアから頼まれましたが、ぶっちゃけメンドイですね」

 ぼやきながらプレシア・テスタロッサの私室へ無断侵入するメイド、リニス。

「うん、これでいいでしょう」

 部屋一面のショーケースに並べられた「ラブリーエンジェル・アリシアこれくしょん」なるイタいフィギュア群から一つ取り出したメイド、リニス。

「フェイト、これをイメージしてバリアジャケットを作って下さい。プレシアもきっと気に入ります」

 フィギュアをフェイトに見せ、バリアジャケットの設定すら他人任せにするメイド、リニス。

「母さんが!? うん、わかった!」

 その結果、プレシアから更なる不興を買うことは、メイドのリニスしか知らない。
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