問題児たち+一般人?が異世界から来るそうですよ?[凍結中] 作:fateplanet
()が思っていることです
「うわぁぁぁあああがぼっ!げぶっ!?ぶぁあ!!」
―――ボチャァアン
上空4000mから放り出された4人と1匹(約1名とんでもなく情けない声を上げていたが)落下地点に
青年は水を飲み込んではいたが直ぐに起き上がり、自身の腹部に巻かれていた感触が無くなっていることに気付いた。
「はぁはぁ・・・アリ?あ、アークルが無くなったぁぁぁああああ!?」
その叫び声に何人かがビクリと驚くが、全員が華麗に無視を決め込んだ。
青年は周囲を見渡すも目に付くところには無く、落下中に落としたのだろうと絶望したように肩を下ろした。
しかしながら水膜のおかげで勢いが殺されていたからこそ、4人に怪我は無く、唯一無事ではないのは茶髪のショートカットの少女と共に落ちてきた三毛猫であろう。
「ふにゃあ!ぶにゃあ!!」
「あぁ・・・!」
それに気付いたのか少女は慌てて抱きかかえ、湖面から引き上げる。
「・・・大丈夫?」
「にゃあ・・・ふー」
まだ落ち着いてはいない様だが、無事であることには違いなかった。
その三毛猫と少女のコンビ以外、勿論最初に叫び声を上げていた青年も湖から上がっており、少年少女が罵詈雑言を、青年は大きく深呼吸を行なっていた。
「し、信じられないわ!真逆、問答無用で引き摺り込んでおいて、挙句空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃあゲームオーバーだぜ、コレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「・・・・・・。いえ、石の中に呼び出されては身動きできないでしょう?」
「ちゅーか、それはどこのゲームやねん」
「俺は問題ない。あとツッコミをありがとう」
ヤハハ、と声を上げて笑う少年に対し、少女は睨めつけながら言う。
「そう、身勝手ね」
「どーいたしまして」
少年少女は互いにフン、と鼻を鳴らし、青年は気落ちした様子ではあったが、この光景を見て苦笑しつつ、服の端を絞っていた。
その後ろから続くようにもうひとりの少女が湖から上がり、岸で同様に服を絞る。その隣では地に下ろされた三毛猫が全身を大きく震わせて周囲に水を撒き散らしていた。
服を絞りながらも少女は呟く。
「此処・・・・・・どこだろう?」
「さぁな。まぁ世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」
「大亀かどうかはともかく、多分今まで居た世界とは違うんだろうなぁ」
その呟きに男2人が応える。適当に服を絞り終えた少年は軽い癖っ毛を掻きあげ、
「まぁ、まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけれど、まずは〝オマエ〟って呼び方を訂正して。――――私は久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。それでそこの猫を抱きかかえていた貴女は?」
「・・・・・・春日部耀。それで叫んでいた貴方は?」
黒髪を腰ほどまでに伸ばした少女は久遠飛鳥、ショートカットの少女は春日部耀と名乗り、耀は自分たちよりも幾ばくか年上であろう青年、小山昂樹へ問いかけた。
「あー、オレは小山昂樹。呼びやすい様に好きなように呼んでくれてかまへんけん。あと叫んだことは気にせんとって」
この場では年下しかいないこと、あまりにも突然の出来事に混乱しているせいからか、方言を直すこともせず昂樹は3人に対し自己紹介をした。
「そう、よろしく、春日部さん、小山さん。最後に野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
そうして2人の自己紹介を聴いた飛鳥は最後の1人である少年へ手を向け促した。
「高圧的な自己紹介どうもありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。
粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれ、お嬢様」
「そう。取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
「あー、なんで売り言葉に買い言葉になんやねん」
心からケラケラと笑う逆廻十六夜。
不愉快そうに顔を背ける久遠飛鳥。
その2人の様子から困った顔をして頭を掻く小山昂樹。
そして我関せず無関心を装い三毛猫を撫でる春日部耀。
*
そんな彼らを物陰から見ていた存在は思った。
(うわぁ、なんか1人を除いて問題児ばっかりなような・・・?)
そんな感じに冷や汗をダラダラと流していたのであった。
*
場面は戻って異邦人組
ケラケラと笑っていた十六夜は一転して苛立たしげに
「で、呼び出されたいいけどなんで誰もいねぇんだよ。
この状況だと招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇのか?」
「まぁ、そうね。何の説明もないままでは動きようがないもの」
続くように飛鳥と少々不満げに話す。
「・・・・・・。この状況に対して落ち着きすぎてるのもどうかと思うけど」
「いや、それは春日部ちゃんにも当てはまるかんな?」
(アナタもです)
耀は耀で落ち着いて状況を分析する2人に対して、昂樹はそんな耀に対して、そして、隠れている存在は昂樹に対して前者2人は声に出して、後者は心の中でこっそりとツッコミを入れていた。
「普通はパニックに陥りそうなもんやけどなぁ・・・」
「オイオイ、小山サン、『事実は小説よりも奇なり』って言葉があんだろ?」
「・・・・・・あー、パイロンの言葉やな。そんなん言われたら言い返せれんやん」
ここで説明をば。
『事実は小説よりも奇なり』とはイギリスの詩人・パイロンの言葉である。『実際に起こる出来事は小説よりもかえって奇妙で不思議である』という意の言葉である。
とにかくパニックにならず落ち着き払ったその集団を見て存在は思いっきり尻込みしていた。
(もっとパニックになってくれていれば出やすいのですが・・・悩んでばかりいても仕方ないデス。これ以上不満が募って更に出にくくなる前にお腹を括って・・・)
四者四様の不満が出ている様を見ていると怖気付きそうになるが、これ以上隠れて更に場の空気が悪くなるよりは、と物陰から出ようと決意したその時―――
ふと十六夜がため息混じりに呟いた。
「―――仕方ねぇな。こうなったらそこに
その言葉で存在は心臓を手で鷲掴みにされたように驚き硬直し、そして全員の視線がソレに集まった。
そこにいたのは齢15,16歳ぐらいに見える少女が
「なんだ?貴方も気づいてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだったんだぜ?そっちの2人も気づいてたんだろ?」
「まぁ、隠れんならもう少し気配とかを同化させなんだらなぁ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
全員が軽口を叩きながらも少女から視線をそらさず、注視し続けていた。それも当然である。この少女が自分たちを読んだ存在なのかもしれないのだから。
ただまぁ、それよりももっと違う理由の方が大きいのであるが・・・
「へぇ、面白いな、お前」
軽薄そうに笑みを浮かべる十六夜もまた、目は笑ってはいなかった。
すべては理不尽な招集をかけられたせいか4人全員が強さは違えど、注視する視線に殺気を乗せているのだから。
その様子にやっと硬直の解けた彼女は怯んでしまっていた。
「や、やだなぁ、皆様。そ、そんにゃ狼みたいに怖い顔で見つめられると黒ウサギは死んじゃいますよ?えぇ、えぇ、古来よりウサギの天敵は寂しさと狼でございます。
そんな黒ウサギの脆弱極まりない心臓に免じて、ここは一つ穏便に話を聞いていただけたら嬉s「断る」「却下」「お断りします」「だが断る!」あっは、取り付くシマもないですね♪」
全て言い切る前に断られ、バンザーイと両手を挙げて降参のポーズを取る黒ウサギ。
1人おかしな立ち方をしていたが・・・。
そんな風に断られ諸手を挙げている黒ウサギだが、その内心は冷静に4人を値踏みしていた。
(肝っ玉は及第点どころか満点ですね。この場でNoと言える勝気は十分に買いです。しかしまぁ、扱いに困りそうなのが難点ですが・・・。これはやっぱり楽して手に入れようとした罰なんでしょうか?)
おどけた様子ながらも冷静にどう接していくべきか考えを纏めようとしていた――――と、耀が不思議そうに黒ウサギの隣を陣取るとおもむろに黒いウサ耳を根っこから鷲掴み・・・
「えい」
「フギャ!?」
可愛らしい掛け声と共に力いっぱいに引っ張った。しかし黒ウサギ、乙女としてはどうなのだろうか、その叫び声は・・・・。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵ウサ耳を引き抜きに掛かるとはどうゆう了見ですかーーーっ!!」
まるで威嚇をするようにキシャー!と黒ウサギは吠えるも
「好奇心の為せる
そんな怒りなどどこ吹く風、耀はマイペースに受け答える。
「自由にも程があります!!」
「へぇ、このウサ耳は本物なのか?」
黒ウサギが吠え終わると同時に今度は十六夜が右から
「・・・・・・・・・じゃぁ、私も」
左からは飛鳥が
「ちょ、ちょっと待っ―――――――!!?」
それぞれが力いっぱいに左右から引っ張り、黒ウサギは言葉にならない悲鳴を上げ、それは近隣に木霊した・・・。
ちなみにだが、会話に入ってなかった男は未だにアークルを探して其の辺を探し回っていたのであった。
*
「――――ぁ、ありえない。ありえないのですよ。真逆、話を聞いてもらうために小1時間も浪費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状態のことを言うに違いないのです。」
割と本気でさめざめと泣く黒ウサギ。話を戻すのに相当な労力を払ったのであろう・・・。
「なぁ、そのウサ耳ってホンモンなん?」
「今更ながら、もう一度聞きますか?!」
訂正。まだ戻せきってはいなかったようだ。
「黒ウサギのウサ耳は歴とした本物なのでありますよ!もうこの話題はいいですネ!」
「いいからさっさと進めろ」
昂樹はうん、と納得した様子で他3人と共に黒ウサギの前の岸辺に座り、彼女の話を『聞くだけならタダだし』といった
黒ウサギはようやく、といった様子でコホン、と咳払いを1つし、両手を大きく広げ
「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ?言いますよ?「ええから、はよ言いなって」さぁ言います!ようこそ〝箱庭の世界〟へ!
我々は皆様にギフトを与えられた者だけが参加出来る『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」
「「「「『ギフトゲーム』?」」」」
「そうです!既に気付いてらっしゃるでしょうが、皆様は皆、普通の人間ではございません!
その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。
『ギフトゲーム』はその〝
広げた両手で箱庭をアピールする黒ウサギ。
ここまでの説明から、より理解する為に飛鳥は挙手をした。
「ねぇ、黒ウサギ。まずは初歩的な質問いいかしら?貴女の言う〝我々〟とは貴女を含めた誰かなの?」
「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたり
「イヤだっ!」
「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝利者はゲームの〝
「・・・・・・・〝主催者〟って誰?」
「様々でございますよ?暇を持て余した修羅神仏が人を試す為の試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示する為に独自開催するグループもございます。
特徴としては前者は自由参加が多いですが、〝主催者〟が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし見返りは大きいです。
〝主催者〟次第ですが新たな〝
後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて〝主催者〟のコミュニティに寄贈されるシステムです」
「後者は随分俗物的なのね・・・チップには何を?」
「それもまぁ様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間・・・・・・そしてギフトを賭け合うことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑むこともかのでしょう」
「つまり近いものだとギャンブルに近いって解釈でええん?」
「YES。かなり乱暴な言い方になりますが、あながち間違ってはいないですヨ?
まぁ、ここまで言ったならば分かると思いますが、ギフトを賭けたゲームに負ければ、当然―――ご自身の才能も失われるのであしからず」
そう言うと黒ウサギは愛嬌たっぷりの笑顔に黒い影を見せる。挑発しているとも取れるソレに生来的に負けず嫌いの気があるのだろう、飛鳥も挑発的な声音で更に問うた。
「そう。なら最後にもう1つだけ質問させてもらってもいいかしら?」
「どうぞどうぞ♪」
「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」
「コミュニティ同士のゲームを除けばそれぞれの期日内に登録して頂ければOK!
商店街でも商店が小規模のゲームが開催されているのでよかったら参加していってくださいな」
飛鳥は黒ウサギのその発言に片眉をピクリとあげる。
「つまり、『ギフトゲーム』はこの世界の法そのものと考えてもいいのかしら?」
お?と感心した様に驚く黒ウサギ
「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは8割正解2割間違いというものです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰されます」
「んー、つまりなんでもありなようで、そうでもない?」
「YES。皆様とは違う世界といえど文明が息づいているわけですからね。しかしながら『ギフトゲーム』の本質は勝者の一方のみが美味いとこどり!全てを手に入れるシステムです。店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能ということですね」
「中々に野蛮なのね」
「ごもっとも。しかし〝主催者〟は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けなんかは初めから参加しなければいいだけの話でございます」
「また身も蓋もない話やな」
「そうでございますねぇ。まぁ、自身の身の丈に合わないものに参加してむざむざ取られる必要もないということでもありますよ」
そうして黒ウサギは一通りの話は終えたのか、4人にとって見覚えのある1枚の封書を何処からともなく取り出した。
「さてさて皆さんの召喚をコレで依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答えなければならない義務がございます。
しかしながら、それら全てを語るには少々お時間を要してしまいます。新たな同士となる皆さんをいつまでも野外に出しておくのは忍びない。
ここから先のお話は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・よろしいです?」
「・・・待てよ。まだ俺が質問してないだろ」
それまで静聴の姿勢をしていた十六夜が腰を上げ、威圧的な声で黒ウサギに問う。
先程まで刻まれていた軽薄な笑みはなりを潜め、真剣な顔で自分を見ていることに気付いた黒ウサギは構えるように問い返す。
「・・・どういった質問です?ルールですか?それともゲームそのものですか?」
「そんなものは
俺が聞きたいのは唯1つ、手紙に書いてあったことだけだ」
ここで十六夜は言葉を切り、視線を黒ウサギから飛鳥、耀、昂樹、そして巨大天幕に覆われている都市に向ける。
彼は何もかも見下すような視線で続く
「この世界は
――――――
「――――っ」
十六夜以外の3人も無言で黒ウサギの答えを待つ。黒ウサギは息を呑む。いや、この質問は4人とっては当然の疑問だと理解する。
ほかでもない黒ウサギたちが彼らを喚びだした手紙には書かれていたではないか!
『己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの〝箱庭〟へ来られたし』と!
己を構成するそのほとんどを捨ててまできたのだ。ソレに見合うだけのモノがあることこそ彼らにとって最重要なのだから――――!
「―――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。
箱庭の世界は外界より格段に面白いと黒ウサギは保証いたします」