問題児たち+一般人?が異世界から来るそうですよ?[凍結中] 作:fateplanet
言い訳タイム終わり
さて、アニメが始まりましたね。OPもかっこいい感じですげーす。でも黒ウサギの声はもう少し幼くても良かったんじゃないかな、なんて思いました。
けど何よりも嬉しいのは・・・
1話からリリの出番があったよーーーーーーー!!
EPISODE 2 『集団』
―――場所は箱庭2105380外門。ペリペッド通り噴水広場に続く入口前。
そこにダボダボのローブに身を包んだ跳ねた髪の毛が特徴的な少年――黒ウサギの所属する
何を思案しているのか頭を下げ周囲が見えていない様子の彼は、しかし彼のよく知る声で現実へと戻された。
「ジン坊っちゃーん!新しい仲間を連れてきましたよー!!」
他でもない彼が信頼している少女、ウサ耳が特徴的な黒ウサギが
「お帰り黒ウサギ。そちらの女性2人と男性1人が?」
「はいな♪こちらの皆様が―――」
くるりと振り返った黒ウサギは後ろに付いて来ていたメンバーを見てカチンと固まってしまった。
「あれ?え?あの、もう1人居ませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くてかなり口が悪くて全身から、〝俺問題児!〟っていうオーラを放っている殿方が・・・?」
「ああ、十六夜君のこと?彼なら〝ちょっと世界の果てを見てくるぜ!〟といって駆け出していったわよ?割と早い段階からあっちの方に」
「ちゅーか、黒ウサギ、ひどい言い様やな」
あっちと指差すのは空に放り出された時に見た断崖絶壁。街道の真ん中で呆然となった黒ウサギはウサ耳を逆立てて他の3人を問いただす。
「な、なんで止めてくれなかったんですかーー!!?」
「〝止めてくれるなよ〟と言われたもの」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったんですか!?」
「〝黒ウサギには言うなよ〟とも言われたから」
「昂樹さんはどうして止めなかったんですか!!」
「ごめん、周りに気ぃ取られてて気づかんかった」
申し訳なさそうに頭を掻く昂樹
「うぅ、嘘です!絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御3人さん!!」
「「うん」」
「いや、俺はホンマに気づかんかったんやけど?」
「なんなんですか、アナタ達はーーー!!!」
涙を浮かべながら黒ウサギは吠える
ほんの少し前の自分を殴ってやりたい気分であった。新しい仲間に期待していたのに蓋を開けてみればドイツもコイツも一癖も二癖もある奴らばかりだったのだから。
「呼び出されただけの大学生だ!」
「同じくな財閥の令嬢よ!」
「同じくな学生?」
「「「覚えておけ!!」」」
「なんで会って間もないのにそんなに息ピッタリなんですかー!!」
この先黒ウサギは多大なストレスと闘っていかなければならないのだろう。皆さん、黒ウサギに心の中で黙祷を捧げてあげてください。
「た、大変です!〝世界の果て〟にはギフトゲーム用に野放しにされている幻獣が!」
しかし、そんな4人のコントとは対照的にジンは血の気が引き蒼白な顔で叫ぶ。
「幻獣?」
「ソレってアレか?龍とか竜とかドラゴンとかか?」
「は、はい。それで合ってます。特にここ箱庭ではギフトを持った獣を指す言葉で〝世界の果て〟付近では強力なギフトを持ったものがいるんです。
出会せば最後、人間では太刀打ちできません!」
「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・斬新だね?」
「冗談を言ってる場合ではありません!」
「いや、逆廻は心配いらんのとちゃうかなぁ」
ジンは必死に事の重大さを訴えるが2人は肩をすくめ、もう1人は心配する必要ないとまで言っている。
「アナタ、何を!」
「いや、あん子は自分の手に負えないと分かったら手ぇ出さんと思うんやけど?」
「そういう事を言ってるんじゃありません!出会った瞬間に終わるんです!!」
ジンの怒声を受けながらも昂樹は「大丈夫やと思うけどなぁ」とどこ吹く風。その姿に更にジンは言い
「ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが御3人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「・・・わかった。黒ウサギはどうするの?」
「問題児を捕まえて参ります。事のついでに―――〝箱庭の貴族〟と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやりますヨ」
やっと調子を取り戻した黒ウサギに言われ渋い顔ながらも言葉を止める。
その様子に満足そうに笑みを浮かべた黒ウサギは一転、全身から立ち上る怒りのようなオーラを撒き散らし艶のある黒い髪を
そしてその光景を見たある2人の会話ーー
「ス●パ●サ●ヤ人がいるぞ。サイ●人が」
「箱庭のウサギは戦闘民族?」
類似した何かについて話し出している。黒ウサギは意図的にそれを聞こえていないように無視し外門目掛けて
「1刻ほどで戻ります!それまで皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能くださいませ!」
黒ウサギは変化させた髪を
ソニックブーム、4人の周囲に巻き上がる風から髪の毛を庇うように両手で押さえていた飛鳥が呆気に囚われたように呟く。
「・・・箱庭のウサギは随分速く跳べるのね。やっぱり常識では測れないのね」
「久遠ちゃん、そんなお前さんにちょうどえぇ言葉を贈るわ『常識とは投げ捨てるもの』」
「・・・・・・・ありがたく受け取っておくわ、小山さん」
飛鳥は少し肩を落とした様にして、跳んでいった黒ウサギの方を心配そうに見ていたジンへと向き直り
「黒ウサギも堪能ください、と言っていたしお言葉に甘えて先に箱庭の中に入るとしましょうか。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」
「はわ、は、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢11になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。皆さんのお名前は?」
「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えてるのが」
「春日部耀。それでこっちの人が」
「小山昂樹や」
ジンは礼儀正しく自己紹介をしそれに倣い女性2人も一礼した。
しかし昂樹はそれよりもジンの言った事が気になっていた。
(
・・・こりゃ何か、ワケアリそうやなぁ)
そんな昂樹の内心を知るはずもなく、飛鳥はジンの手を取り胸を躍らせ、待ちきれないといった顔で箱庭の外門をくぐり、耀、昂樹の順に追従していった。
*
4人と1匹は石造りの通路を通って、箱庭の幕下へと出るとそこは天幕下にもかかわらず、全員の顔に眩しく
「にゃ!にゃにゃなぁ!!」
「・・・本当だ、外から見たときは箱庭の内側なんて見えなかったのに」
「まるでアレや、マジックミラーみたいやなぁ。にしてもすごい」
あの無茶苦茶な喚びだしをされた時には天幕の内側など、当然のことながら中が見えるということはなかった。しかし、実際に中に入ってみるとどういう事だろう、天幕など初めからなかった様に空を臨む事ができるではないか。
「えぇ、箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視化するんです。そもそもあの天幕は太陽の光を直接受けられない種族の為に設けられたものですから」
まさに昂樹が挙げたマジックミラーにUVカット機能追加したようなそれから見える青空を見ながら飛鳥は誰にともなく言う。
「それはなんとも気になる話ね。この都市には吸血鬼でも住んでるのかしら?」
「え?いますけど?」
「・・・・・・。そう」
「何でもありやな、ここ。まぁ、楽しそうでえぇけど」
いとも簡単に吸血種が居る事を告げられた飛鳥は閉口するしかなく、そんな飛鳥の様子に今度はジンがキョトンとしていた。
そうして、昂樹もまた周囲を見渡しジンの話を反芻していた。周囲にはいくつものカフェテラスがあり、そこで食事をする者、談笑する者、働く者など様々な者たちがいたが、なるほど確かに元居たところではそうそうお目にかかれないような種族の姿が見え、多種多様な種族が入り混じって生活しているのが良くわかる。
(こんな色んなモンらが暮らしとるん見たら人種差別がどうとかがアホらしいになってくるなぁ)
昂樹は思う。世界では未だに人種による格差や偏見があり、身近なもので挙げるならば日本に対しての朝鮮半島や中国の反日デモやその逆の日本人から見た中国や朝鮮半島に対する偏見などがそれである。
この光景を見て、果たして自分は何の偏見もなく接していけるのだろうかと。昂樹も例に漏れず少なからず偏見などを持ち合わせている。それは人間誰しもそうであるが、召喚された人間の中で1番年上であるが故に柔軟に対応できるのかがこれからの楽しみな生活に暗い影を落としていた。
そうして、どんどんと思考の海に沈みこもうとしていると
「小山さん、お店も決まったから行くわよ」
と既に〝六本傷〟の旗を掲げるカフェテラスへと歩き始めていた飛鳥に声を掛けられた事で思考は浮上し慌てて彼女達について行った。
その姿はまるで出来の悪い兄が妹に叱られているようであったと記載しておく。
さてそんなこんなでカフェテラスに座った4人+1匹に早速注文を取るべく店の奥から素早く猫耳の少女が飛び出してきた。
「いらっしゃいませー。ご注文はどうしましょうか?」
と、問われれば予め飲み物については皆が希望を出していたので代表して飛鳥が注文し始める。
「えーと、紅茶を2つに緑茶とコーヒーを1つずつ、あと軽食にコレとコレに・・・」
「にゃあ!」
「はいはーい、ティーセット4つにネコマンマですね!」
・・・・・・アレ?と飛鳥・昂樹・ジンは不可解そうに首を傾げ、昂樹に至ってはメニューにネコマンマなんてあったっけ?と見返す始末。
だが、それ以上に驚き、信じられないものを見るような眼を猫耳の店員に向けていたのは誰であろう春日部耀であり、彼女はその表情のまま問う。
「三毛猫の言葉、分かるの?」
「そりゃーもう!私は猫族なんですから。お歳の割に随分綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせてもらいますよー」
「にゃにゃにゃーなぁ」
「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」
猫耳娘は長い鈎尻尾を揺らしつつ店内へと戻る。
その後ろ姿を見送った耀は嬉しそうにしながら三毛猫の背を撫でた。
「・・・箱庭ってすごいね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉がわかる人がいたよ」
「にゃあ」
「ちょちょっと待って。貴女もしかして猫と会話できるの?」
それに興味深そうにジンも質問を続ける。
「もしかして猫以外にも意思の疎通は可能なんですか?」
「うん、生きてるなら誰とでも話はできる・・・はず」
「それは素敵な力ね。じゃあ、あそこで飛び交う野鳥とも会話が?」
「うん、多分できるはず。話したことがあるのは雀やホトトギスやウグイスぐらいだけど・・・ペンギンがいけたからきっとだいじょ「「ペンギンっ!?」」う、うん。水族館で知り合った。他にもイルカ達とも友達」
耀の声を遮るように飛鳥とジンの2人が声を上げた。2人が驚いた点は同じだ。空を飛ぶ野鳥とならば出会う機会など日常生活を送る上で数多とあるが海、しかも日本よりもよほど遠いところに住む水中を泳ぐ鳥と話す機会があるなど夢にも思わないだろう。
しかしそれも仕方のないことである。第一にジンは異世界人であるし、飛鳥は
「ああ・・・水族館なぁ・・・。あん子は元気にしよるかいな?」
耀の言葉に懐かしそうに眼を細めている昂樹は呟く。
「あの子?」
「ん?あぁ、自分の住んどったとこの近くに海●館っちゅう大きな水族館があってなぁ。そこ行く度にアシカんとこで指をこう、くーるくるとしとったわけや」
言いながら人差し指を円を書くように回す。
それを興味深そうに聴き続けている耀達。
「ほしたら、1匹?1頭?のアシカがな、ワイの指の動きに合わせて同じように泳いでくれるんや。飼育員さんに聞いてもお客さんの中ではワイだけって言うとったし、俺の後に他の人がやっても首動かしてその指の動きを見るだけでなぁ。
もちろん、春日部ちゃんみたく話したりは出来へんかったけど、あのアシカとは仲良かったと思うとんよ」
「・・・きっと小山さんもその子も友達だと思う」
「ん、さよか。ありがとうなぁ」
「うん・・・」
嬉しそうに顔を綻ばせながら昂樹は耀に対して裏表のない心からの感謝を述べる。
そうして2人にしかわからない話題が終わったのを感じてジンが話し出す。
「しかし、すべての種と会話可能なのだとしたら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言語の壁というのは大きいですから」
「そうなんだ」
「はい、一部の、さっきの猫族やウサギのように神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけど幻獣達のそれそのものが独立した種の1つです。同一種か相応のギフトがなければ意思の疎通は難しいのが一般的です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも、すべての種とのコミュニケーションはとれないはずですし」
要は、日本人とアメリカ人であればそれぞれがそれぞれの国の言葉を学べば会話を取ることができるが、人間とゴリラではそれぞれの言葉を学ぶことさえ出来ない、ということである。
「そう・・・春日部さんの力はホントに素敵ね。羨ましいわ」
笑いかけられると困ったような照れたように頭を掻く耀。しかしそれを言った飛鳥は対照的に飛鳥は憂鬱そうな声であった。
耀や昂樹は飛鳥と出会ってまだ数時間の間柄ではあるが、その表情が彼女らしくない、となんとなく思った。
「久遠さんは」
「飛鳥でいいわよ?よろしくね、春日部さん」
「あ、ほな俺も昂樹でええよ」
「え、えと、うん。飛鳥や昂樹はどんな力を持ってるの?」
「私?私の力はまぁ酷いものよ。だって」
飛鳥が続けようとした時、急にドズン、という音と共に目の前にスーツを着た大男が座っていた。
「おんやぁ?誰かと思えば東地区の最底辺コミュニティ〝名無しの権兵衛〟のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はお守り役の黒ウサギは一緒じゃないんですかぁ?」
品の無い上品ぶった声がジンを呼ぶ。その呼び声の言葉に内心穏やかではない者もいたが表面的には何も変えず、そのままを装う。
「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のリーダー、ガルド=ガスパー」
「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである〝名〟と〝旗印〟を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ―――そうは思わないかい、そこの紳士とお嬢様方」
ガルドと呼ばれた巨躯の、はっきり言ってまるで似合っていないピチピチのタキシードは3人に向けて愛想笑いを浮かべるが相手の失礼な態度に年若い2人は冷ややかに、男は静かに
「失礼ですけれど同席を求めるならばまず氏名を名乗った後に一言添えるのが礼儀ではないかしら?」
「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取る〝666の獣〟の傘下である「烏合の衆の」リーダーをしている、ってマテゴラァ!誰が烏合の衆だ、小僧ォ!!」
ジンに横槍を入れられたガルドの顔は文字通り怒鳴り声とともに激変する。口は耳元まで裂け、肉食獣のような牙とギョロリと剥かれた瞳が激しい怒りとともにジンへと向けられる。その顔は獣・・・虎のそれによく似ていた。
「口慎めや小僧・・・紳士で通っている俺にも聞き逃せねぇ言葉はあるんだぜ?」
「森の守護者だったころの貴方にならば相応の礼儀で返したのでしょうが、今の貴方はこの2105380外門付近を荒らす獣にしか見えません」
「ハッ、そういう貴様はなんだ?過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうがッ!自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてんのかぁ?名無しの権兵衛風情が!」
「はい、ちょっとストップ」
険悪な2人を遮るように手を挙げたのは飛鳥だった。
「事情はよく分からないのだけれど、貴方たち2人の仲が大変悪いのは理解したわ。それを踏まえたうえで質問したいのだけれど―――」
飛鳥が鋭く睨む。しかしその相手は慇懃無礼、うさんくさい、似合わないタキシードを着たガルド=ガスパーではなく
「ねぇ、ジン君。ガルドさんが指摘している私たちのコミュニティが置かれている状況・・・というものを説明していただける?」
「そ、それは・・・」
ジンは言葉に詰まる。それは4人を召喚する以前に黒ウサギと
そのジンの動揺を見逃すことなく飛鳥は彼を畳み掛ける。
「貴方は自分の事をコミュニティのリーダーだと名乗ったわ。なら黒ウサギ同様に新たな同士として喚びだした私達にコミュニティとはどういうものなのかを説明する義務があるはずよ?違うかしら?」
追求する声はガルドのように怒鳴りつけるものではなく静かで、しかし言い逃れは許さないといった強い意思を感じさせ、ナイフのような鋭さを持ってジンを責める。
その様を見ていたガルドは先ほどまでの獣の顔を人のそれに戻し、含みのある笑顔と上品ぶった声音で
「レディ、貴女の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭の世界とルールを教えるのは当然の義務、いや責務です。しかし彼はそれが出来ない、いやしたがらないでしょうねぇ」
ガルドはいやらしい目でジンを
「よろしければコミュニティの重要性と小僧―――ジン=ラッセル率いる〝ノーネーム〟のコミュニティを客観的に説明させていただきますが、どうでしょうか?」
飛鳥は訝しげな顔で一度だけジンを見るが、当のジンは俯いて黙り込んだまま。それらを男は一瞥しただけで口を挟まずにただ
「そうね、お願いするわ」
「承りました。まずは・・・そうですね。コミュニティとは読んで字のごとく、複数名で作られる組織のことを指す総称です。受け取り方は種によって違うでしょう。ヒトはその大小によって家族・組織・国とも言い換えますし、幻獣は群れとも言える」
「それぐらいはわかるわ」
「ええ、もちろん。これは確認するまでもありませんでしたね。
・・・そしてコミュニティは活動していく上で箱庭に〝名〟と〝旗印〟を申告しなければなりません。特に旗印はコミュニティの縄張りを示します。
ほら、この店にも大きな旗が掲げられているでしょう?あれがソレですよ」
ガルドはカフェテラスに掲げられた〝六本傷〟の旗を指す。
「六本の傷が入ったあの旗印は、この店を経営するコミュニティの縄張りであることを示しています。もし自分のコミュニティを大きくしたいと臨むのであればあの旗印のコミュニティに両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛ければいいのです。私のコミュニティは実際そうやって大きくしましたから」
自慢げに語るガルドはピチピチのタキシードの胸に刻まれた旗印を指す。
彼の胸には虎をモチーフにした紋様が刺繍されていた。
耀と飛鳥は辺りの至るところにそれと同様の紋があることに気づき、昂樹はガルドから視線を逸らすことなく見続けているが、先程周囲を見渡した際にあった事を思い出す。
「その紋様が縄張りを示すというのなら・・・この近辺はほぼ貴方達のコミュニティが支配していると考えていいのかしら?」
「えぇ。残念なことにこの店のコミュニティは南区画に本拠がある為に手出しはできませんがね。この2105380外門付近で活動可能な中流コミュニティは全て私の支配下です。残すは本拠が他区か上層区にあるか・・・奪うに値しない名も無き弱小コミュニティぐらいですよ」
クックッと嫌味を込めて笑いを浮かべるガルドにやはりジンは俯いたままローブの端をグっと握り締めることしかできなかった。
「さてここからがレディ達のコミュニティの問題です。実は貴女たちの所属するコミュニティは―――数年前まではこの東区画最大手のコミュニティだったんですよ」
「あら?それは意外ね」
「とはいえ、リーダーはジン君とは別人でしたがね。ジン君とは比べようもない優秀な男だったそうですよ。ギフトゲームにおける戦績は人類最高の記録を持っていたこの地区最強のコミュニティだったそうですから」
ガルドは先程までとはうって変わり、心底つまらなそうに自身の前駆者の事を語る。
「彼は東西南北に分かれたこの箱庭で東の他に南北の主軸コミュニティとも親交が深かった。いやホント、私はジン君のことは毛嫌いしてますがね、これはマジでスゲェんですよ。
南区画の幻獣王格や北区画の悪鬼羅刹が認め、箱庭上層に食い込むコミュニティだったというのは嫉妬を通り越して尊敬してやってもいいぐらいにはすごいのです―――まぁ、先代は、ですがね」
その言葉にもジンは言い返さない、いや
このガルドの話の持って行き方はゴシップ週刊誌と通ずるものがあった。あれらは先ず対象を持ち上げることで問題を述べる事で対象を徹底的に貶めるように書かれているのである。
そしてガルドは続ける。
「人間の立ち上げたコミュニティではまさに快挙とも言える数々の栄華を築いたコミュニティはしかし!・・・彼らは目をつけられては、敵に回してはいけないモノにみそめられ、ギフトゲームに参加させられたった一夜にして滅ぼされました。『ギフトゲーム』が支配するこの箱庭世界の唯一にして最悪の天災によって、ね」
「「「天災?」」」
異邦人3人は同時に聞き返す。当然であろう。それほどまでに巨大で強力な組織がただの自然災害程度で滅ぼされたとは思えないから。ましてや人間は天災だけに滅ぼされるほど弱くはないのだから。
「此れは比喩にあらず、ですよ、レディース&ジェントルマン。彼らは箱庭世界で唯一にして最大の天災―――俗に言う〝魔王〟と呼ばれる者たちの手で、ね」
to be continued・・・
昂樹のCV(希望):杉田智和