問題児たち+一般人?が異世界から来るそうですよ?[凍結中]   作:fateplanet

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だいぶ遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

待ってくださってる方っていらっしゃるんでしょうかね……?


EPISODE 3『魔王』

EPISODE 3『魔王』

 

 

「此れは比喩にあらず、ですよ、レディース&ジェントルマン。彼らは箱庭世界で唯一にして最大の天災―――俗に言う〝魔王〟と呼ばれる者たちの手で、ね」

 

 

魔王……それはゲームや小説、英雄譚などで必ず打倒されるべき物語における『絶対悪』。勇者やそのパーティー、もしくは知恵ある者により最後は無残に葬られる存在。

 

 

「“魔王”、なぁ…」

 

 

頭の中に浮かんだそれらを考えながら、小さく呟くように音を出したのは昂樹であった。

 

 

「えぇ、魔王ですよ、ジェントルマン。よく外界で取り上げられる者とは少し異なりますがね。

“魔王”とは“主催者権限(ホストマスター)”という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏を指す言葉なのです」

 

 

「“主催者権限”?」

 

 

聞きなれない言葉に異邦人は揃って疑問符を浮かべる。その様子を満足そうに見たガルドは続ける。

 

 

「“主催者権限”とは読んで字のごとく『ギフトゲーム』を開催できるもののことです……ただし、挑まれれば強制的に参加させられるという持つ者が大変有利となる権限ですが」

 

 

ガルドは心底恐れた様子でその存在を話す。強制されるということ、それすなわち―――|どんな難易度のメタを張られたゲームにも参加させられるのだから《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。

 

 

「そして!魔王達に目をつけられたジン君のコミュニティは!名も!旗も!!そして仲間たちも!!!そのほとんどを失ってしまったんですよ」

 

 

―――以上が彼のコミュニティがたどった末路ですよ

 

 

そう締めくくったガルドは運ばれてきたカップに口をつけ、楽しげに嗤う。

その様子にジンは怒りが込み上げてくるも、何も言い返せなかった。事実、彼のコミュニティは述べられたように滅んだも同然の状態にされたのだから。

それを横目でそっと見ていた者以外はジンの様子には気づかず、異邦人は説明されたそれを反芻する。

 

 

「つまり

・“魔王”は特権を持ちそれを自由に使う神々

・特権は強制的

・そのせいでジン君のコミュニティは壊滅状態

ということ?」

 

 

「その通りですよ、皆様。神仏というものは古来から生意気な人間が大好きですからね。愛しすぎるがゆえに使い物にならなくなることはよくあることですから」

 

 

ガルドはカフェテラスの椅子の上で両手を大きく広げ、ただでさえ大きな体を更に大きく見せ、皮肉そうに嗤う。

 

 

「名も旗印も主力陣の全てを失い、残ったのは膨大な居住区と役足らずな子供だけ。もしもこの時に新たなコミュニティでも結成していたならば、前コミュニティは有終の美を飾っていたんでしょうがね?

今は名誉も誇りも失墜した名もない弱小コミュニティの1つでしかありません」

 

 

「…………」

 

 

ジンはなおも黙したままだ。確かにガルドの言っていることは正論であり、最善の策である。だが、彼ら“ノーネーム”はその選択肢を取らなかった。

ただただ彼らは守りたかったのだ。かつての仲間がまた集う、名を奪われた居場所(コミュニティ)を!それはコミュニティの総意であり、幼い彼らなりの意地であった。

ガルドは饒舌に語り続ける。

 

 

「そもそも考えてみてくださいよ?名乗ることを禁じられたコミュニティに一体どんな活動ができます?商売ですか?“主催者(ホスト)”ですか?

しかし名も無き組織など信頼も信用もされません。では、“参加者(プレイヤー)”は?これは可能です。ですが!優秀なギフトを持ち多くのゲームを勝つ者が名誉も!誇りも!何もかもが無い地の底にまで墜ちたコミュニティに集まるでしょうか?」

 

 

「そうね……常識で考えれば誰も加入しようなんて思わないわね」

 

 

「そう。つまり、彼も彼のコミュニティも出来もしない夢を掲げて過去の栄華に縋りつく恥知らずな亡霊でしかないのですよ!」

 

 

ガルドは嗤い続ける。品の欠片も存在しない豪快な貶めるのが楽しくて堪らないといった顔でジンを、そのコミュニティを嘲笑う。

それでもジンは黙し続け、耐える。顔を赤くし、自身の爪で手の平を破いてしまいそうなほど強く強く握り締める。

 

 

「もっと言えばですね、彼はコミュニティのリーダーと名乗ってはいますが、ほとんどリーダーらしいことはしていません。

コミュニティの再建を掲げてはいますがその実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけの寄生虫」

 

 

「ッ!」

 

 

「私は本当に黒ウサギの彼女が不憫でなりません。ウサギと言えば“箱庭の貴族”と呼ばれるほど強力なギフトの数々を持ち、どこのコミュニティでも破格の待遇で愛でられるはずです。

コミュニティにとってウサギを所持しているということはそれだけで大きな“箔”が付く。なのに彼女は毎日毎日糞ガキ共の為に身を粉にして走り回り、僅かな路銀で弱小コミュニティをやり繰りしている」

 

 

「……そう。事情のおおよそは分かったわ。それでガルドさんは私たちにそんな話をどうして懇切丁寧に話してくれたのかしら?」

 

 

飛鳥は含みのこもった声でガルドに問いかける。

それを察したガルドはニヤリと口角を引き上げ笑う。

 

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

 

 

「何を言い出すんです、ガルド=ガスパー!?」

 

 

そのガルドの言葉に誰よりも真っ先に反応したのは誰であろう、今まで黙し続けていた“ノーネーム”のリーダー・ジンであった。

ジンはあまりの言葉に怒りを露わにし、テーブルを叩いて講義をする。

しかしガルドは獰猛な瞳でジンを()め返す。

 

 

「黙れジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだろうが。

それを貴様の我が儘(わがまま)でコミュニティを追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」

 

 

「そ、それは……」

 

 

「何も知らない相手になら騙しとおせるとでも思ったのか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら……こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねぇ仁義があるぜ?」

 

 

先ほどと同じ獣の瞳に似た鋭利な輝きに貫かれて、ジンは僅かに怯む。それはガルドの瞳以上に飛鳥達に対する後ろめたさと申し訳なさが大半であった。

 

 

(通さなきゃならない仁義(・・)、ねぇ…)

 

 

しかしガルドの言葉に片眉をピクリと動かし反応するものがいたが、今はまだその時ではないと心の内に秘め、会話に加わろうとはしない。

 

 

「……で、どうですかレディ達?返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴女達には箱庭での30日間の自由が約束されています。

一度、自分達を呼び出したコミュニティと私たち“フォレス・ガロ”のコミュニティを視察し、十分に検討してから―――」

 

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

 

 

は?とジンとガルドは信じられないものを見るように飛鳥の顔を(うかが)う。

彼女は先程までの事が無かったかのようにティーカップの紅茶を飲み干すと、耀と昂樹に笑顔で話しかける。

 

 

「春日部さんと昂樹さんは今の話、どう思う?」

 

 

「別にどっちでも。私は友達を作りに来ただけだもの」

 

 

その言葉に飛鳥は目を丸くし、意外そうに続ける。

 

 

「あら、意外ね。じゃあ私が友達第1号に立候補してもいいかしら?私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

 

 

「ほなオレは2号に立候補しよか。まぁこんな男がイヤやゆうんやったら仕方ないけどなぁ」

 

 

飛鳥は自身の髪を触りながら気恥かしそうに、昂樹は人の良さそうな笑顔で耀に問う。

耀はそれらの言葉に目をパチパチと(またた)かせ、2人の顔を見つめ………小さく笑って頷いた。

 

 

「…うん。飛鳥は私の知ってる女の子とはちょっと違うし、昂樹、さんはお兄さんみたいだから、大丈夫かも」

 

 

「にゃにゃあなーお」

 

 

ホロリと泣く三毛猫とリーダーをほったらかしにして盛り上がる3人。そして気づいているだろうか。昂樹は飛鳥の問いかけに答えていないということを。

ほったらかしにされたガルドは表情を引きつらせながら、それでも取り繕うようにして問う。

 

 

「し、失礼ですが、理由を教えてもらってもよろしいですか?」

 

 

その問に飛鳥はさっきまでの様子とは一転して冷ややかに返す。

 

 

「だから間に合ってるのよ。春日部さんは友達を作りに来ただけだから、ジン君でもガルドさんでもどちらでも構わない。そうよね?」

 

 

「うん」

 

 

「そして私、久遠飛鳥は―――裕福だった家も約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払ってこの箱庭に来たのよ。

それを小さな小さな1地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃(いんぎん)無礼に言われて魅力的に感じると思ったのかしら?

だとしたら自身の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、エセ虎紳士」

 

 

ピシャリと言い切られ、ガルドは怒りで体を震わせていた。飛鳥の言葉に今すぐに怒号をぶつけたい気を必死に抑え紳士に努めようとしている。

その様子を見ながら、しかし飛鳥は続ける。

 

 

「まぁ、もっとも、昂樹さんはまだどうするかを言ってはいないけどね」

 

 

その言葉に光明を見出した様にガルドは昂樹を見る。

そうだ、こんな小娘ではなく、きちんとメリット、デメリットが分かる大人ならばこちらに傾くのではないか。

そう希望を見つけたガルドは、既に自分が昂樹に対し、どうしようもなく取り返しのつかない事をしていることを理解しているはずがなかった。

それに気づかずガルドは問いかける。

 

 

「そういえば、ジェントルマン。貴方はどうです?大人である貴方ならば冷静にわかるでしょう?」

 

 

「そぉやなぁ。まぁ普通に考えたら、ガルドさんの方が旨みが多いやろぉなぁ」

 

 

その言葉にガルドはニヤリと笑い、ジンはやはり、と悔しげな目を昂樹へと向ける。

そう、明確に反応を返したのはガルドとジンの2人だけ(・・・・・・・・・・・)だった。

昂樹は1度日本人特有の黒い瞳を閉じ

 

 

「では、ジェントルマン、貴方は」

 

 

「だがな!」

 

 

そして開く。その深紅の双眸(・・・・・)を。

 

 

「ガルドさん、アンタはオレの前で絶対にやっちゃなんねぇことをやっちまったんだよ」

 

 

「やってはならないこと、ですか?」

 

 

その言葉に心底不思議そうな声で返すガルド。

そう、ガルドには分からない。弱い者を嗤い続けた(・・・・・・・・・)ガルドにはどうしようもないくらいに分からない。

 

 

「アンタはな、さっきから何してた?そこのジン坊を嗤い続けてた」

 

 

「それが?」

 

 

「“それが?”それがオレがアンタのとこに行かない理由だよ!」

 

 

吠える。ただの声であるはずなのにガルドは動けない。己の全て(・・・・)を見透かされているかのように感じて、だ。

 

 

「アンタは自分よりも弱い相手を嗤うしか出来ないそんな強者(弱者)の率いる組織なんざに身を寄せる気なんざ、ハナから持ち合わせてねぇよ。

それだったら、ジン坊のとこがよっぽどおもしれェ。ゼロどころかマイナスからのスタート?上等、そっから頂点目指して持ってくのが漢のロマンだろぉが」

 

 

そう、ガルドは最初から間違えていたのである。現れた時、その瞬間からガルドは昂樹の中で最底辺ラインに落とされていたのだから。

ガルドの行動。それは彼が憧れるヒーロー像からかけ離れ、許容してはならないことであるからだ。

 

 

「アンタはオレ達に対してのファーストコンタクトからして間違っていたんだよ。エセ虎紳士」

 

 

度重なる暴言に対し、それでもガルドは紳士の仮面を被り続けようと努力する。

 

 

「お、お言葉ですがジェントルマン。それは「それとだ!」……まだなにか?」

 

 

ガルドが言葉を続けようとするが昂樹は大声を上げてガルドを制する。

昂樹の声に反応したのか先程注文をとった猫耳の店員が急いでやってくるが空気を呼んだ三毛猫が押しとどめていた。

それを横目で見てとった昂樹は内心で三毛猫に感謝し紅く輝く眼でガルドを見抜く(・・・)

 

 

「アンタはジン坊が騙してるって言ってたがな……アンタのやり口がバレてねぇとでも思ってんのか?」

 

 

その一言でガルドは全身の毛が粟立った。

この男は自分のソレを見透かしている、と。

これ以上喋らせれば、こちらにとって何の旨みもどころか不利益にしかならない、と!

 

 

「それ以上!喋るん「黙れ(・・)」「ケンカはダメ」」

 

 

ガルドが開きかけていた口は不自然に閉じ、そして昂樹を害しようとしていた体は華奢なはずの耀によって押さえつけられていた。

これには堪らず店員も叫ぶが3人はどこ吹く風。意図的に気にしていなかった。

 

 

「ん、あんがとなぁ、2人とも」

 

 

「よく言うわね、昂樹さん。貴方、私達の力をアテにしてたでしょう?」

 

 

「あ、バレた?」

 

 

「バレる。でも許す。昂樹さん、ちゃんとお礼言ったし」

 

 

「あはは、あんがとなぁ」

 

 

やれやれといった風に2人の少女に言われ昂樹は困ったように笑うしかなかった。しかしそれも一瞬のこと。すぐに顔を元の険しいものに変えると続ける。

 

 

「なら、そこな店員さんにも聞いてもらおか。オレが見抜いたガルド=ガスパーという存在について」

 

 

昂樹はその瞳で見続けていたのだ、ガルド=ガスパーという一個の存在のその全てを。その身に宿す瞳の恩恵(ギフト)を用いて。

 

 

「確かにアンタのその野心、清々しいまでに欲望まみれだなぁ。虎として生き続ければ力は手に入ったのに、悪魔と取引してまでヒトになりたかったんだからなぁ。

なのに、ヒトになったらなったで(おそれ)るモノが増えて増えてしちまったんだから、本末転倒だと思わねぇか?」

 

 

昂樹は自身が見たそれらを話す。本来動物は長き時を生きることで、種としてのランクは上がっていく。猫なら猫又になるように位階が上がっていく。

しかしガルドはそれに耐えられず、悪魔との契約という近道を選び、現在に至っている。

 

 

「さて、そんなアンタの“フォレス・ガロ”だが、周辺のコミュニティを喰らい成長してきたと言っていたな?そこでジン坊」

 

 

「は、はい?!」

 

 

いきなり話を振られジンは驚きながらも返事を返し、昂樹に向き直る。

 

 

「“両者合意”のギフトゲームにおいて、コミュニティの存続を賭けて闘うことは箱庭ではよくあることか?」

 

 

昂樹は“答”は分かっている。しかし、それでも改めて確認したかったのだ。自身が覗きみたソレが間違っていることを。

 

 

「やむを得ない場合であるのならば稀に。ですが、そのような事態に陥ることは本当に稀でしかありません。それこそ“魔王”に襲われでもしない限り」

 

 

「レアケースですから、本当に切羽詰った状況にでもならなければありえないです」

 

 

ジンに続くように猫耳の店員も補足するように続ける。

 

 

「そうよね。だからこそ“主催者権限”を持つ魔王は恐れられているわけなのよね。つまりガルドさんは“魔王”?」

 

 

飛鳥はそんなことはないと分かりきっているのに昂樹に続きを促すように問いかける。その様子はこれから先退屈しないという期待の表れでもあったのかもしれない。

 

 

「この虎がそんなタマに見える?それに“魔王”ならばもっと威圧感が大きいだろうよ。

さて、そんな“魔王”でもない一介のギルドマスターがどうやって他のコミュニティを喰らってきたのか。答えは単純。受けなければならない状況を作ったんだよ」

 

 

「受けなければならない状況、ですか?」

 

 

「そう、戦うことのできない子供を(さら)い、脅迫することでな。違うか?ガルド=ガスパー?」

 

 

昂樹は確信を持ってガルドに問う。しかし、ガルドは顔色を青くするだけで答えられない。当然だ、飛鳥の恩恵(ギフト)によって縫い付けられているのだから。

それを察した飛鳥がもう一度問う。

 

 

「間違いないかしら?」 

 

 

彼女の言葉は強制力を持ってガルドの耳朶を打つ。それはどう抗っても耐えられない魔の音色。

 

 

「ま、間違いない」

 

 

飛鳥と耀はその答えに顔や雰囲気から嫌悪感が滲み出ていた。

 

 

「外道ね」

 

 

「あぁ、外道やな。まぁ外道であることは確かや。ただ、人質取って強制するっていうんは、まだ10000歩譲ってええわ。でもな……その後がオレは気に食わんねん」

 

 

昂樹は全身から怒気を募らせる。そう、彼の瞳は全てを見抜く。それすなわち、子供たちの末路も見ているのだから。

 

 

「人質の子らはもう現世(うつしよ)にはもうおらん。たとえ降参しようがもう、親は二度と会うことは出来ん」

 

 

その言葉に誰かが息を呑む音が聞こえた。

昂樹の手は震え、白くなるほど握り締められていた。

耀はそんな昂樹の背を撫で、飛鳥が引き継ぐ。

 

 

「ここまでの外道がいるなんてね。ジン君、流石は人外魔境の箱庭といったところかしら?」

 

 

「いいえ、ここまでの外道はそうそう居ません。箱庭であろうと倫理感はありますから」

 

 

「そう?それは残念ね。で?この外道は箱庭の法で裁かれるのかしら?」

 

 

「厳しいです。彼が行ってきた事は勿論違法ですが……裁かれる前に箱庭外に出ればおしまいです。しかもここは箱庭の最も外側に位置しますから。逃げ出すだけならすぐに出来ます」

 

 

「やろうな。結局はそれで逃げて力を付けなおしゃいいだけやからな。まぁ、ソレをやったら“フォレス・ガロ”はおわりやろうけど」

 

 

昂樹は撫でられて少し落ち着いたのか、続ける。

その間も紅い双眸はガルドを射抜き、観察し続ける。

 

 

「……すごいわね、貴方」

 

 

「すごかないよ。相手を視る(・・)ってのは内側やら軌跡やらの全てを覗いとるんやからな。悪趣味な力には変わりないよ」

 

 

昂樹は心底嫌そうにしながら飛鳥に返す。

 

 

「せやけど、必要やっていうんなら使うんやけどな。………さぁ、ガルド=ガスパー、アンタの全ては見終わった。オレの瞳は神だろうが悪魔だろうが目の前に在るのなら全てを見透かしてやる。相手が悪かったな」

 

 

ガルドは後悔する。こいつ等に関わったことを。

しかしそれはもう遅い。ならばこそ、この屈辱を味わせたこいつ等をこの手で消してやりたいと感情が、本能が叫んでいた。

 

 

ソレを知ってか知らずか、昂樹は出番は終わったとばかりに瞳を閉じ、飛鳥に促す。

 

 

「私は貴方のような外道が私の周囲でのさばり続けるのも破滅程度で終わるなんて納得できないの」

 

 

耀に押さえつけられているガルドの顎を飛鳥は足先で持ち上げると悪戯っぽい顔で笑う。

 

 

「コミュニティ瓦解程度では納得できないの。貴方のような外道はズタボロになって己を悔いながら罰せられるべき、というのが私の持論なの―――だからね?」

 

 

飛鳥は足先を一度話すと何なのだろうかと首を傾げるジン、店員と見て、耀と、そして黒目に戻った昂樹と目を合わせると2人は察したように一度だけ頷くと飛鳥に続けるように促した。

『自分達は問題ない。貴女のおもむくままに進めろ。そして1枚噛ませろ』と。

それに満足そうに笑みを浮かべた飛鳥は女性らしい細長い綺麗な指先でガルドの顎をつかみ

 

 

「貴方の“フォレス・ガロ”の存在と“ノーネーム”の誇りと魂を賭けて

 

 

―――――――――――『ギフトゲーム』をしましょう―――――――――――――――。」

 

 

勝者にも敗者にも何のメリットもないただの自己満足のための戦いの、彼らの最初の箱庭(ステージ)での舞台が今、幕が上がった。

 

 

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