東方王戦録   作:ヤマタケる

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セコンドが立ち上がった時に現れた帝王メルト・グランチ。一同はセコンドとメルト・グランチを倒すはめになると予期していたが、メルト・グランチが狙ったのは霊夢達ではなく、セコンドだった。


裏切りと罠

(裏切られるのは嫌いだ。ずっと信じていたのに何故裏切る?人々は何故裏切りを必要とするんだ。この世界に裏切りなんて必要ないというのに!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い頃からセコンドはそう思っていた。過去に両親から暇を出され、仮の親と生活していた。学校でもセコンドはみんなから仲間外れにされ、しばらく生活している内に仮の親からも外されるようになった。そして教師からも外され、ついには誰も彼を相手する人はいなかった。中学、高校、そして大学へ進学出来たものの、やはりそこでもセコンドを仲間外れにする人が後を絶えなかった。我慢の限界に達したセコンドは遂に人殺しを考えてしまった。今まで自分を外してきた人々を一人残らず殺していった。それが老若男女問わずに殺した。殺した時にセコンドはあることをしていた。それは殺した人の首をどういうことかは自分でも理解出来ないが、山のように積み重ねていったのである。これで自分を外す者は一人残らずいなくなった。セコンドはそれだけで嬉しかった。だがそれによりセコンドは人々を殺した殺人鬼として、回りから怖れられて結局は孤独であった。自分は間違ったことをしていない。自分は正しいんだと彼は自分に呟いていた。そんなある日、彼に転機が訪れた。500人目の人を殺した時に彼より少し小さいが長身の男がやって来たのだ。その男はセコンドを見て言った。

 

「すごいな、これ程多くの人間を殺すとはね。卿は一体何者かな?」

 

「ただの人間だ。私は自分を外す者を一人残らず殺した。私は何も間違っていない。警察も、自衛隊も、私は一人残らず殺してしまった。こんな私を君は恐ろしく感じないのか?」

 

「まさか、帝王である私が卿を怖れるとでも?」

 

「そういえば、君の名前は?」

 

「メルト・グランチ・エンペラーだ。メルト・グランチと呼んでくれればいいよ。」

 

「私はセコンド。君のことはグランチって呼ばせてもらうよ。」

 

「卿のその力、実に興味深い。どうかね?私と共に行かないか?」

 

それがセコンドにとって嬉しく、少し不安なことだった。だがセコンドはこれ以上孤独になりたくないと思い、メルト・グランチに着いていった。その時にセコンドは五大王に任命され、五大王の王、小宝剛岐から地王という座と軍隊を与えられた。こうしてセコンドは人を信ずるようになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが今、親友に裏切られたことに悲しみと怒りに満ちていた。セコンドは強めでメルト・グランチに尋ねた。

 

「グランチ・・・これはどういうことだ!」

 

「聞こえなかったか?用済みだと言ったのだよ。」

 

「用済み?それは私をもう必要としないことか!」

 

「卿はよく動いてくれたよ。いやまさか幻想郷の強者、八雲紫に西行寺幽々子、八坂加奈子など様々な相手に圧倒的な力を見せつけた。それは褒めるとしよう。だが卿は一つ私の命令を無視したようだな。覚えているかね?」

 

「グランチの、命令?それは・・・幻想郷の・・・・・強者を、倒すことでは・・・・ないのか?」

 

「違う!卿が言っているのは一つ目の命令だ。私が聞いているのは二つ目の命令だ!」

 

「二つ目の・・・・命令?命令は、一つしか言っていないんじゃ・・・」

 

「やれやれ、全く卿は一つのことに夢中になるともう一つのことを忘れるのだな。私は強者の宝を持ってこいと言ったのだ。」

 

「宝を、持ってくる?そんなことは命じたか?」

 

「惚けるでない!私は何度も卿に言った筈だ。それを忘れるとは、使えないただのモノだな卿は。」

 

そう言うとメルト・グランチはセコンドの腹部から宝刀を無理矢理抜いた。セコンドの腹部から鮮血が飛び散る。そしてメルト・グランチは言った。

 

「もう卿に用はない。卿は結局は使えないモノだったな。」

 

メルト・グランチの言葉にセコンドは腹が立ち、よろめきながら言った。

 

「そうだったな、忘れてたよ。グランチ、君は五大王の中で最も残虐で勇猛な人だってことを。それだから君は裏切るんだな。部下も、この私もなっ!」

 

そう言うとセコンドはメルト・グランチに向かって刀を振り下ろした。だがメルト・グランチはそれを背に回していた左手で受け止めると一瞬にして刀を砕き、さらにセコンドは背後まで来て、セコンドの背中を斬りつけた。セコンドはそのまま倒れた。メルト・グランチとセコンドの戦いを霊夢達は黙って見ていた。メルト・グランチはセコンドの前まで来ると笑みを浮かべて言った。

 

「満身創痍の状態で私を倒そうなど考えないでくれたまえ。」

 

そう言うとメルト・グランチはセコンドに背を向けて歩き始めた。セコンドはメルト・グランチを斬ろうと地面を這いながら言った。

 

「この裏切り者がっ!君を・・・君を絶対にィ、許しはしない!」

 

セコンドが言った瞬間、メルト・グランチは左腕を上げ、指を鳴らした。その瞬間、セコンドがいる場所が爆発し、そのままセコンドは炎の中に消えていった。消えていないセコンドにメルト・グランチが言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卿を裏切ってはいないよ。私は卿を捨てたのだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景を見て一同は目を大きく見開いていた。そしてメルト・グランチは霊夢達を見ると笑みを浮かべた。それを見て腹が立った啓介が言った。

 

「おいテメェ!自分の仲間を殺すなんて、テメェはあいつを何とも思わないのか!」

 

「思わないと卿には言った筈だよ、山下啓介。使えないモノを捨てるのが私の真理だ。」

 

「酷すぎるぜ・・・いくらセコンドでもあんたを信用してたんだぞ!それを何とも思わないあんたは最低な男だ!」

 

「そして古い親友を焼き殺すなんて、あなたは人間性を持っていないただの化け物。」

 

「テメェは人間でなければ妖怪でもない。」

 

「人でもなければ妖怪でもない。つまり私はただのモノだと言いたいようだな?」

 

「ええ、あなたはモノとしか言い様がないわ!」

 

「それは困るな。私をあのセコンドのような扱いをしないでくれたまえ。」

 

「さてさて、セコンドの次はお前も倒さないといけなくなるとはな。」

 

「モルトよ、私はセコンドのようなただ幻想郷の強者を倒すだけではこの渇きは満たせないよ。宝だよ。私は宝を求めるためにセコンドに命令した。だがセコンドは使えないモノだったからそれは失敗したよ。ならば私の手でやればいいのだ。」

 

メルト・グランチが話した瞬間、何者かがメルト・グランチに刀を振り下ろした。麻里である。ウロボロスを殺された怨みは大きいため、麻里はメルト・グランチを倒そうと考えていた。メルト・グランチは麻里の攻撃を刀で受け止めながら言った。

 

「おや、これはこれは影舷隊の若き英雄、木下麻里。君が私に挑んでくるなんてね。珍しいな。」

 

「ウロボロスを殺したお前を私は許さない!」

 

「ウロボロス・サーカリアスの敵討ちか。ならば返り討ちにしてあげようではないか。」

 

そう言うとメルト・グランチは麻里の刀を弾いた。麻里の刀は霊夢の目の前に落ちた。そしてメルト・グランチは刀を失った麻里の首を背に回していた左手で掴み、持ち上げた。そして首を締め上げた。麻里は必死に抵抗するがメルト・グランチの左手は硬く、放れなかった。

 

「あがっ、ぐはっ。」

 

「麻里!」

 

「テメェ、麻里を放しやがれ!」

 

麻里を助けようと隼人と妖夢がメルト・グランチに立ち向かうがメルト・グランチは隼人と妖夢の動きを見切り、二人を蹴り飛ばした。隼人と妖夢は霊夢達の所まで戻され、吐血した。悠岐と啓介、慧音と妹紅も助けようとしたが、

 

「いいのかね?卿らが攻撃すれば木下麻里は死に落ちてしまうよ。まあ、攻撃しなくとも死に落ちるのだがね。」

 

メルト・グランチの言葉に一同は足を止めてしまう。次第にばたついていた麻里の足が治まっていき、掴んでいた両腕がだらんとなった。

 

「あ、ああ・・・・」

 

「さて、どうする?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メルト・グランチの目の前に突如スキマが現れ、その中に麻里が吸い込まれていった。

 

「おや?」

 

左手から麻里の重みが消えたことにメルト・グランチは首を傾げた。だがすぐにあることに気づき、霊夢達の方を見る。霊夢達の前からスキマが現れ、中から上半身だけ出した、気を失った麻里を抱き抱える女性、八雲紫が現れた。

 

「これはこれは帝王梟雄ではありませんか。」

 

「スキマ妖怪、八雲紫・・・まさか卿が来るとは思わなかったよ。なんせ、セコンドによって満身創痍になったと聞いたからね。」

 

「あら、聞いていたのね。だけど、小宝剛岐の治療によって今はもう大丈夫な体になったのよ。」

 

「流石剛岐だな。回復力もある彼は流石と言う以外何もないよ。」

 

「そうね、小宝剛岐はそう言う人でしょうね。」

 

「さて、卿がここに来たのは、何か用があって来たのだろう?」

 

「ええ、そうよ。私は霊夢達を一旦連れ戻しに来たのよ。」

 

そう言うと紫は霊夢達の前にスキマを展開させ、その中に霊夢達を入れさせた。メルト・グランチはそれを黙って見ていた。紫はメルト・グランチに笑みを浮かべるとそのままスキマの中に消えていった。そして展開されたスキマも消えていった。メルト・グランチは笑みを浮かべながら独り言を言った。

 

「さて、邪魔者は一つ排除した。残る邪魔者を排除し、宝を手に入れればこの幻想郷は私の物だ。」

 

そう言うとメルト・グランチは霧のように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキマから出るとそこは小宝城の大広間だった。既にそこには怪我人用のベッドが敷いてあった。紫はそこに気を失っている麻里を寝かせた。妖夢と隼人は心配そうに麻里を見つめていた。そんな二人に悠岐と啓介、慧音と妹紅が話しかけた。

 

「そんな顔すんなって、麻里は大丈夫だから。」

 

「麻里はそんな簡単には死ぬ奴じゃねぇ。」

 

「暫くすれば元気になるよ。」

 

「それまでは見守ってあげたほうが良さそうだな。」

 

「そうだな。」

 

「麻里は死ぬはずありませんよね。」

 

そう言うと妖夢と隼人は麻里の隣に座った。悠岐、啓介、慧音、妹紅は傷を癒しに剛岐の所へ行った。傷を癒し終えた霊夢と魔理沙、椛と文、パチュリーと美鈴、ミクは剛岐の部下であるちょんまげをつけている長身の男、マッチョとミクの兄であり、マッチョよりもさらに長身でシャチのような形をしている男、シャクと会談していた。

 

「メルト・グランチは宝を求めるためにこの幻想郷を支配しようと企んでいる。」

 

「つまり、私達は奴の思うがままにされるということになるわね。」

 

「そうにもならないために奴を倒すんだ。そのためなら俺とマッチョも協力する。」

 

「それはありがたいぜ。」

 

「けど油断は出来ないわ。メルト・グランチさん率いる帝王軍には強い者だけでなく怪物もいるのよ。」

 

「流石おれの妹、ミクだ。ミクの言う通り、帝王軍にはお前たちの知らない奴が山ほどいるからな。」

 

「それで、今後どうしていくのですか?」

 

「うむ、その点についてなんだがな、椛。メルト・グランチを先に倒すことは考えないほうがいい。」

 

「マッチョさん、それはどういうことですか?」

 

「美鈴、奴を先に倒しても予備軍がいる。そいつらを先に倒したほうがいいんだ。」

 

「成程、それで予備軍を全員倒した後に帝王梟雄をみなさんで倒すという作戦ですね?」

 

「良く分かったな、文。その通りだ。それで奴との戦いを終わらせる。」

 

「恐らくは数々の犠牲が生じるわね。」

 

「霊夢の言う通りだ。メルト・グランチの戦いに犠牲は必ず生まれるんだ。なるべく俺達は犠牲を出さないように全力を尽くすまでだ。」

 

マッチョが話終えた瞬間、人形を手にした少女、アリス・マーガトロイドが走ってやって来た。

 

「アリスじゃないか。一体どうしたんだ?」

 

「帝王軍がやって来たわ。」

 

その言葉を聞いて一同は驚いた。そして奥にいた現実世界の王、小宝剛岐が立ち上がり、小宝城にいる全員に言った。

 

「これより、帝王軍との交戦に入る!なるべく一人の犠牲者も出さずにこの戦いを終わらせるのが俺のモットーだ。いいか、最後までくたばるんじゃねぇぞ!」

 

「おう!」

 

そしてついに幻想郷の未来をかけて、帝王軍対影舷隊と幻想郷の人達が遂に始まった。




これで第一章は終了となります。次作からは第二章に入ります。
さて、次作は龍と蜘蛛です。帝王軍との戦いの中、永遠亭と守谷神社に現れる謎の怪物。その正体とは!?
次作もお楽しみに!
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