東方王戦録   作:ヤマタケる

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エンペラードラゴンを倒したものの、突如圧参したメルト・グランチによって輝夜、永琳がやられ、さらに鈴仙が殺され、隼人、妹紅が死にかけている状態になった。


花園

その頃。鈴仙が死に、隼人と妹紅が死にかけていることを全く知らない悠岐達はあちらこちらを回っていた。だが、やはりどこにも帝王軍は居なかった。

 

「こんだけ探してるのに一人もいないってどういうことだ?」

 

「まだ行っていない場に行ってみるか。そうすると考えられる場所は・・・」

 

「風見幽香さんの花畑でしょうか?」

 

「でかしたわ妖夢。さっさと行きましょう。」

 

そう言うと霊夢と妖夢は飛び、悠岐と啓介は走って幽香のいる花畑へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花畑へ先に着いたのは霊夢と妖夢だった。と、その時。

 

「なっ!?」

 

何かおぞましいものでも見たのか、霊夢と妖夢は口を抑えながら後ずさりした。遅れて悠岐と啓介が二人の元へ駆け寄る。二人もその光景を見る。二人もその光景を見て唖然となる。そこには花畑が無くなっており、四人の前に血まみれで鎧を着た兵士が山のように積み重なっていたのだ。

 

「ゲホッ、ゲホッ・・・」

 

その光景を見て妖夢は気分が悪くなり、その場で吐いた。そんな彼女の背中を悠岐が擦る。状況が掴めないまま、啓介は霊夢に尋ねた。

 

「おい霊夢。これは何だ?」

 

「分からないわよ。こんな多くの人がこんなに積み重なってるのは私も初めて見るわ。」

 

二人が話している間に悠岐が一人の兵士の前まで寄り、鎧を眺め始めた。不可思議に思った二人は彼に尋ねようとしたが、それよりも先に悠岐が言った。

 

「この兵士は全員帝王軍だ。」

 

「帝王軍?ということはこの花畑を荒らしたのは帝王軍の仕業ということか!」

 

「その通りだ。だが、誰がこいつらを殺したのかだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、生き残りがいるかと思ったらあなた達だったのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然背後から話しかけられ、少し焦ったがそれでも三人は後ろを振り返る。そこには緑色の髪に日傘をさしている花の妖怪、風見幽香だった。彼女の全身は血で染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃああああああああお化けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人はその姿に怯まなかったが、一人叫び声を上げて悠岐に飛び付いた人物がいた。妖夢である。彼女は半人半霊だというのにお化けが苦手なため、怖いものを見ればすぐに叫び声を上げてしまう。突然彼女に抱きつかれた悠岐は驚いた顔を見せ、妖夢の頭を撫でながら言った。

 

「妖夢、幽香だぞ。お化けでもなんでもねぇぞ?てゆうか急に飛び付くなよ。こっちが驚くだろ!」

 

「だって、お化けだと思ったんですもん。」

 

「あら、相変わらず妖夢は臆病ね。一番信頼出来る悠岐に飛び付くなんてね。うふふ・・・」

 

「誰でも驚くとは思ってたけど、案外ビビったのは妖夢だけか。」

 

「とゆうか幽香。なんであんた血まみれなの!」

 

「あなたも見て分かるでしょ?そこにいる私の花達を壊したクズ達を殺したからよ。」

 

「流石幽香、と言うべきか?何人殺したなんて、興味無いんだろうな。」

 

「ええ、興味ないわ。とにかく、このクズ達には親玉がいるんでしょ?ね、悠岐?」

 

「ああ、メルト・グランチだ。」

 

「メルト・グランチねぇ。確か、あの日にも居たような気がするわね。」

 

「あの日、それって・・・」

 

霊夢が幽香に聞こうとした瞬間、突然背後から何者かの気配を感じた五人は後ろを振り返る。そこには長身で後ろ髪を束ねていて悠々とした歩き方をして右手に宝刀を持ち、左腕を背に回している男、メルト・グランチがいた。

 

「ごきげんよう、突然私の部下との連絡が途切れたから何かおかしいなと思ったら、この有り様か。」

 

「メルト・グランチ!」

 

「おや、黒き刀に博霊の巫女。これはこれは、風が巡ったようだな。」

 

「あら、あなたがこのクズ達の親玉、メルト・グランチね。」

 

「ん?卿は確か、太陽の畑の妖怪、風見幽香だったな。」

 

「ええ、そうよ。私が風見幽香よ。」

 

「ここで会ったら、今しか倒す暇はない。とっとと倒すぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言うと幽香は四人の前に手を出す。そして言った。

 

「こいつは私が倒すわ。私の花達を壊したクズ達の親玉を私は許さないから。」

 

「幽香、俺は残るぞ。万が一お前が殺されたらどうする?」

 

「あら、私のこと心配してくれるの?悠岐。」

 

「当たり前だろ!これ以上犠牲は出したくないんだ。」

 

「うふふ、優しいのね。ありがとう。」

 

「い、いや。別に俺は・・・」

 

「犠牲?ああ、もう犠牲者は出ているよ。」

 

「なっ!?」

 

「鈴仙優曇華院イナバの魂は私が預かっているよ。」

 

「鈴仙まで!」

 

「テメェ!一体どれだけ人を殺せば気が済むんだ!」

 

「私の計画が成功するまで・・・・かな?」

 

「ふざけんな!」

 

「悠岐、怒りを抑えて。こいつはなんとしても私が倒すわ。あなたはここで見てて。霊夢達は他の所を回ったらどうかしら?」

 

「霊夢、幽香に従おう。今は他の場に害がないか、確認するぞ。」

 

「・・・・二人とも、死んじゃ駄目よ。」

 

そう言うと霊夢、妖夢、啓介はどこかへ行ってしまった。その様子を見終わった幽香は再びメルト・グランチを睨む。

 

「幽香、本当に一人でいいのか?」

 

「ええ、問題ないわよ。」

 

「そうか・・・死ぬなよ。」

 

「うふふ、分かってるわよ。」

 

そう言うと幽香は日傘を手にメルト・グランチの方へゆっくり歩き、彼との距離が10mのところで足を止めた。そしてこう言った。

 

「見えるわ。あなたなら・・・・」

 

「?」

 

「この穴を埋めてくれると!」

 

「・・・卿は一体何を言って・・・!!」

 

彼は続きを言おうとしたが左手を出し、飛んでくるマスタースパークを受け止める。その衝撃で砂埃が舞う。その中から幽香が日傘を振りながらメルト・グランチに突進してくる。彼もそれに対抗し、宝刀で責める。両者一向に退く様子はなかった。

 

「卿のその動きの速さ、黒き刀に値する。」

 

「はっ、それはどうも!」

 

途中で少し話すものの、どちらも怯む様子がなかった。むしろ戦うことを喜んでやっているように悠岐は思った。メルト・グランチは一瞬の隙を見て幽香に突きをした。彼女はそれに反応し、かわそうとしたが、少し遅かったのか、頬に深い切り傷が入った。

 

「うふふふふ・・・」

 

彼女はそれに気にせずに日傘を彼の顎に叩きつけた。メルト・グランチはそのまま上に飛んだ。

 

「ぬ!?」

 

一回転する前に彼は刀の先に紫の光をため、そのまま幽香に放った。彼女もそれを防ぐために日傘をさして防いだ。メルト・グランチは顎をおさえながら言った。

 

「ハハハ、これは驚いた。まさか卿のような黒き刀に値するほどの強さを持つ者が幻想郷にいるとはね。」

 

「あら、誉め言葉かしら?それはどうも。」

 

「だがこれはなんのウォーミングアップ。これからが勝負だよ。」

 

そう言うと彼は刀に左手を置いた。その瞬間、刀が光だし、やがてその宝刀は金色で、刀と持ち手の間に龍の顔がついている刀へと変化した。それを見て幽香は笑みを浮かべながら言った。

 

「あら、豪華な刀ね。」

 

「フフフ、素晴らしいだろう。これは私が最も愛用している剣、『梟金剣』だ。」

 

「でも、私にかかればそんな刀なんてすぐにへし折ってやるわ!」

 

そう言うと幽香はメルト・グランチに向かって日傘を降り下ろす。だが彼にその攻撃を意図も簡単に防がれた。彼は余裕の表情を浮かべている。それに対して幽香は驚きの表情しか出来なかった。

 

「どうした?卿の力はこの程度だったかな?」

 

そう言うと彼は幽香を蹴り飛ばした。

 

「ぐふっ。」

 

そのまま幽香は20mほど吹き飛んだ。腹を抱えながら彼女はその場で吐血した。メルト・グランチは幽香の前まで来ると笑みを浮かべながら言った。

 

「どうした?まだ本気を出していないのだろう?この程度、どうともないだろう。」

 

(くっ、何よこいつ。急に強くなった?)

 

幽香は再び日傘を降り下ろすが、やはり結果は変わらなかった。そのままメルト・グランチに殴り飛ばされた。悠岐は震える身を抑えながら二人の戦いを見ていた。幽香が起き上がろうとした時にメルト・グランチは幽香の腹部を斬りつけ、再び蹴り飛ばした。それでも彼女は何とか起き上がろうとする。その瞬間、メルト・グランチが彼女の前まで来た。

 

「おかしいな。卿には期待していたのだが・・・」

 

「あがっ!?」

 

そう言うと彼は背に回していた左手で幽香の首を掴み、持ち上げた。そして締め上げた。ギリギリと彼女の首が悲鳴を上げる。

 

「テメェ!幽香を放せ!」

 

すかさず悠岐が幽香を助けようとメルト・グランチを斬ろうとする。そんな彼にメルト・グランチが言う。

 

「ん?何故かな?」

 

「いい・・・のよ、悠、岐。」

 

「幽香?お前は何言ってるんだ!」

 

「こいつは・・・敵だけど、私の・・・・穴を・・・・埋めてくれたのよ・・・だから私はこいつに・・・感謝してるわ・・・」

 

「幽香!!」

 

「さ、帝王。お礼よ・・・。私を煮るなり、焼くなり、好きにしな・・・さい。」

 

「・・・・・・・」

 

幽香の言葉に彼は無口だった。彼女の首を絞めながら彼女を見つめる。そして、何か思いついたのか、彼の表情が不気味な笑みに変わった。そして彼は言った。

 

「卿は今、己を煮るなり、焼くなり好きにしろと言った。だが黒き刀の力に値する卿を殺すなど、もったいないとは思わないかね?その代わり、卿にはあるモノを貰おうと思うのだよ。」

 

「ある・・・・モノ?」

 

「そう、卿が長き年月を経て作り上げたモノだよ。」

 

「!!まさか・・・」

 

「そう、卿からは『花園』を貰おう!長き年月を経て作り上げたこれらが一瞬にして消える時の絶望を味わう卿を私は見たいのでね。」

 

「待て!幽香の花畑はもう・・・」

 

「ん?何を言っているのかね?彼女の花畑がこれだけだと思っているのかね?他にあるのだよ。」

 

「やめて・・・あの子達だけは・・・」

 

「何、卿から宝を頂く。ただそれだけの話だよ。」

 

そう言うと彼は宝刀を元の姿に戻し、しまった。そして右腕を上げて言った。

 

「それでは、卿の宝を頂いていくよ。」

 

その瞬間、パチンという音が辺りに響き、爆発が起こった。が、一瞬にして爆発の炎が消えた。

 

「おや?」

 

首を傾げるメルト・グランチとは別に悠岐は首を掴み上げられている幽香を救出した。彼女は気を失っていたが、まだ呼吸をしていることに気がついた彼は安心した表情をした。メルト・グランチは辺りを見渡し、炎を消した者を探していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、あなたは私を探しているのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然背後から声がして、メルト・グランチはすぐに振り返る。そこには草薙の剣を手にし、スキマから上半身を出している女性、八雲紫がいた。

 

「スキマ妖怪・・・卿は私の邪魔をするのが好きなようだな。だが、それが私の機嫌を悪くするよ。」

 

「ここからは私が相手になるわ。この幻想郷はあなたになんか渡したりしない!」

 

「八雲さん!俺は・・・」

 

「悠岐君は幽香を連れて小宝城に行きなさい。そこで彼が彼女の怪我を癒してくれるはずよ。」

 

「・・・・・健闘を祈ります。どうかご無事で。」

 

そう言うと悠岐は幽香を抱えて小宝城に走っていった。

 

「さて、あなたにはここから出ていってもらうわよ。幻想郷を支配するというのなら、この私があなたの相手になってあげるわ。」

 

「結構。卿の中から楽には惜しいモノが見えるのでね。存分に楽しませてもらうよ。」

 




次作は恐ろしい計画です。帝王メルト・グランチと対峙する紫。果たして勝負の結末は!?そして麻里達は村山を倒すことが出来るのか!?
次作もお楽しみに!
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