東方王戦録   作:ヤマタケる

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見事村山小太郎を倒した麻里達。そこへ、傷をおおった紫がやって来て、メルト・グランチの計画を話す。そして霊夢達はメルト・グランチのいる玄武の沢へ行き、生け贄になりかけていた咲夜を救出。だが彼はフランの翼の一部を使って邪神八岐大蛇を蘇らせた。


魔獣

解き放たれた魔獣は全員の想像を絶するほどの巨大さだった。八つの頭は全て霊夢達を睨んでいた。その上にメルト・グランチが笑みを浮かべながら見ていた。そして言った。

 

「卿らにはこの魔獣と戦ってもらおう。私は奥で見ているとするよ。では、失礼する。」

 

そう言うと彼は八岐大蛇から降りてどこかへ歩いて行ってしまった。啓介が後を追おうとしたが、八岐大蛇が行く手を妨げた。

 

「面倒だな、こいつは強大な魔力を持っているってじいちゃんから聞いたな。」

 

「啓介のじいさんは今はどうでもいいわよ。とにかく、この怪物を倒すのが先決よ。」

 

「グガァ!」

 

突然八岐大蛇が霊夢達に雄叫びを上げた。その瞬間、霊夢が夢想封印を放つ。だが、効いていなかった。八岐大蛇の顔には傷一つもついていない。おかしいと思った霊夢達は一端八岐大蛇から距離を取った。

 

「私の夢想封印が効かないわよ。どうして?」

 

「啓介のじいさんの言う通り、八岐大蛇は強大な魔力を持っているんだ。これはスペルカードを使っても無駄だ。」

 

「じゃあ、奴は無敵だってことですか?」

 

「いや、それは違うわ。八岐大蛇に弾幕が効かないのならば、奴の体をバラバラにすればいいのよ。」

 

「刀を持っているのは俺、啓介、妖夢か。萃香と美鈴は殴ったり、蹴ったりして応戦してくれ。」

 

「分かりました。」

 

「オッケーよ!」

 

「私と早苗、諏訪子はスペルカードで誘き寄せるわ。」

 

「・・・・霊夢さん、先に行って下さい。」

 

「ちょっと早苗!?あんた何言ってるの?こんな奴はみんなでやったほうがすぐに倒せるでしょ?私も残るわ。」

 

「いや、霊夢。早苗の言う通りだ。お前は博霊の巫女として、妖怪・・・いや、梟退治をするんだ。奴はこの先、また何か企んでいるのかもしれない。お前は先に行け!」

 

「でも啓介!みんなはどうするのよ!」

 

「何よ霊夢。私達のことがそんなに不安なの?私達がそんなすぐに死んじゃう人だと思っているの?」

 

「諏訪子・・・・分かったわ。みんな約束よ。死なないでね。」

 

「当たり前だ。」

 

「霊夢さんこそ。」

 

「みんな、本当に気をつけてね。」

 

霊夢がそう言った瞬間、ミクと麻里は光線を八岐大蛇に放った。その瞬間に霊夢は八岐大蛇の後ろにいるメルト・グランチの元へ走って行った。霊夢が行った後、隼人達は八岐大蛇を睨む。

 

「さて、待たせたな怪物。始めようぜ。」

 

「ガアァァ!」

 

再び雄叫びを上げると八岐大蛇は隼人達を潰そうと尻尾を叩く。隼人達もそれをかわしていく。その間に早苗がスペルカードを使う。

 

「グレイソーマタージ!」

 

彼女の攻撃は命中するが効きはしなかった。頭が早苗の方へ向く。その間に隼人が首を切り落とそうとするが、皮膚が固く、切れなかった。彼は八岐大蛇から距離を取ろうとしたが早苗と共に長い尾に巻きつかれた。

 

「隼人!早苗!」

 

二人を救出しようと諏訪子、ミク、麻里が行くが別の尾に三人も巻きつかれた。妖夢と美鈴、小悪魔も別の尾に巻きつかれていた。啓介と萃香はそれに気づき、助けようとするが尾が二人を巻きつこうとする。二人はそれを避けるために精一杯で、助ける隙がなかった。どんどん隼人達を締め付ける力が強まっていった。

 

「ガハッ!」

 

「グハッ!」

 

力が強すぎるため、吐血する者が後を絶えなかった。

 

「参ったな、どうする?萃香。」

 

「助けようとも尾と頭があるから隙がないんだよね。私が大きくなってもあの大きさには敵わないしね。」

 

「どうすればいいのか・・・」

 

その時だった。突然八岐大蛇が何かに苦しみ出した。そのまま八岐大蛇は隼人達を放してしまった。隼人達は咳き込みながら二人の方へと走る。一体何が起こったのか理解出来ない一同はただ茫然と苦しむ八岐大蛇を見ていた。だがその苦しみがどこかへ飛んでしまったのか、八岐大蛇は再び隼人達を潰そうと尻尾を叩き始めた。

 

「なっ!?」

 

「何が起こったのですか!?」

 

「今は気にするな。まずはこいつを倒してからだ。」

 

隼人達は八岐大蛇の頭を懸命に落とそうとするが皮膚が固いため、全く歯が立たなかった。

 

「チィッ!」

 

思わず舌打ちしてしまう啓介。無理もない。八岐大蛇に全く攻撃が効かないからだ。それでも一同は頭を落とそうとするがやはり結果は同じだった。そう考えるとスサノオは凄い人物、いや神だと尊敬してしまう。それを忘れて啓介は必死に戦う。弾幕も駄目。刀も駄目。もはや隼人達に勝ち目はなかった。もし悠岐がいたら戦いはもっと楽だったかもしれない。だが彼は今メルト・グランチとの戦いで傷ついた花の妖怪、風見幽香の看護をしている。魔理沙もパチュリーと共に体に負担がかかり、疲れはてたアリスを看護しているため、動くことが出来なかった。しばらくして、疲れが見えてきた早苗と小悪魔に八岐大蛇の尾が襲いかかる。そのまま二人は巨大な尾に再び巻きつかれた。諏訪子、妖夢、萃香もまた巨大な尾に巻きつかれた。ミク、麻里、啓介は襲ってくる尾を避けていくが、不意をつかれ、巻きつかれた。隼人、美鈴もまた巨大な尾に巻きつかれた。これで自由に動きる者はいなくなってしまった。どんどん締め付ける力が強まり、吐血する者がまた後を絶えなかった。いづれは締め潰されることの恐怖から逃れようとすが、叶わなかった。意識が遠のきそうになった時だった。

 

「グギャア!!」

 

八岐大蛇が突然叫び声を上げた。一同はそれを見る。そこには頭を一つ切り落とされて痛さのあまり、八岐大蛇が叫び声を上げ続けている。そして隼人達は尻尾から解放され、暴れる八岐大蛇との距離を取る。

 

「大丈夫だったか?」

 

「少し傷が深いな。少し休め。」

 

突然声をかけられ、一同はその方向を見る。そこにはお互い長身で、一人は顔が目以外包帯で被われていて、金色のハット帽を被っている男ともう一人は後ろ髪が腰辺りまで伸びていて闘と書かれたマントをしている男がいた。麻里とミクは二人の男の名を言った。

 

「光王、ゴールド・マーグル。闘王アイアルト・モルト!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、霊夢は長々と延びる洞窟をただ走っていた。一体どのくらい走ったのだろう?そんなことを思いながら彼女は走り続けた。しばらく走っていると青白い光が見えた。霊夢は躊躇うことなくそこへ走った。洞窟を抜けるとそこは覚えがない場所にいた。彼女の目線には、まるで彼女が来ることを分かっているかのように右手に宝刀を持っている帝王メルト・グランチが笑みを浮かべながら見ていた。

 

「ごきげんよう、卿が来ると思っていたよ。」

 

「あんた・・・・こんなことをして楽しいの?幻想郷を破壊し、さらには人を殺す・・・・あんたこんなことやって本当に楽しいの?」

 

「楽しい?ああ、楽しいとも。幻想郷が朽ちていくのを見るのが愛しくてたまらないのでね。」

 

「あんな怪物を放って。さらには人を殺して!あんたはもう人じゃない、殺戮を楽しむ『殺人鬼』なのよ!もうあんたを人って呼ぶ人なんていやしない!」

 

「・・・・・」

 

彼は少し黙り込んでしまった。が、すぐに口を開いた。

 

「結構、好きに言うといい。」

 

「!?」

 

「あらかじめ言っておくが私は八岐大蛇を止めるつもりはない。故に、幻想郷の侵略も断念するつもりもない。」

 

「どうしてこんなことをするの!こんなことしたって、あんたに得はないっていうのに!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卿には見えないか?私から生じる感情が。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

唐突の言葉に霊夢は対応出来ずに目を大きく見開いたまま彼を見つめる。そんな彼女とは別に彼は話を続ける。

 

「まあ、今述べても仕方あるまい。何せ、卿に言っても分からないからな。」

 

「分からない・・・・ですって?」

 

「そうとも。分からないだろう?それに、卿は私と話すためにここへ来たのではないのだろう?」

 

「そんなこと分かりきってるわよ。あんたに言われなくてもね。私は今あんたを退治したくて仕方ないの!」

 

「友達のために復讐するか。面白い、受けて立とう。」

 

怒る霊夢とは別に彼は冷静だった。霊夢は黒いスペルカードを取り出し、使った。

 

「黒符漆黒転生!」

 

あのセコンドを倒した攻撃を彼女はいきなり彼に放った。だがその攻撃は彼の背に回していた左手で簡単に受け止められた。霊夢は驚きの表情を見せていた。

 

「何故驚く?ああ、そうか。この技はセコンドを倒した技だったからなのか。」

 

「悠岐の力と私の力でも歯が立たない?そんな馬鹿な!」

 

「セコンドが倒れれば私も倒れるとでも?そんなことはない。私とセコンドは違う。」

 

「だったら、普通に戦うしかないわね。」

 

そう言うと霊夢はメルト・グランチに向かっていく。彼は歩きながら彼女に向かっていく。霊夢は彼の目の前でスペルカードを使った。

 

「夢想封印!」

 

だが彼は殴りかかってくる霊夢の攻撃を全て防いだ。まるで殴りかかってくる場所が分かっているかのように。メルト・グランチは一瞬の隙を狙って霊夢の腹を殴った。

 

「ぐっ・・・」

 

立て続けにメルト・グランチは霊夢の髪を掴み、そのまま投げ飛ばした。彼女は壁に衝突し、吐血した。メルト・グランチは起き上がろうとする霊夢を見ながら言った。

 

「驚いたな。まさか卿一人で私に挑むとはな。黒き刀達でも私に一人で挑む者はいなかったよ。」

 

「いいえ、後に魔理沙も来るはずよ。だから私は一人じゃないわ。」

 

「魔理沙?」

 

「そうよ、霧雨魔理沙。私の親友よ!」

 

「霧雨・・・・ああ、そうか。生き残りがいたのか。殺り損ねたな。」

 

「生き残り?何を言ってるのよ、魔理沙が何の生き残りだって言うつもり?」

 

「私は卿が幼い頃に幻想郷に来ていた。丁度私が訪れた時には、ある戦があったよ。」

 

「ある戦?幻想郷では戦は起こってないはずよ。」

 

「起こっているとも。幻想郷で起きた人間同士の権力争いがね。」

 

「権力争い?人間同士?そんなのは迷信よ。あんたのことなんて信じられないわ。」

 

「信じられないのなら、信じなくても結構。いづれ卿も思い出す筈だからね。博霧合戦、この名に覚えはないかね?」

 

「博霧合戦?なんか聞いたことある合戦ね。」

 

「そう、卿ら博麗家と卿の友達の霧雨家が幻想郷を支えるための権力争いだよ。」

 

「どうしてそんなことが・・・・・」

 

「その話を・・・・」

 

彼が続きを言おうとした瞬間、突然雲が薄暗くなり、そこからメルト・グランチ目掛けて雷が落ちた。彼はそれを意図も簡単に避けていた。霊夢も突然の出来事に唖然とするしかなかった。と、雷が落ちた場所から二つの影が現れた。

 

「本当にここにいるの?」

 

「もちろんですとも。ここにいない筈ありません。」

 

煙の中から天人である二人、比那名居天子、永江衣玖が現れた。と、衣玖がメルト・グランチを睨みながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりです、帝王梟雄。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の言葉に霊夢は驚きを隠せなかった。なんせ、衣玖がメルト・グランチをのことを知っていたからだ。彼女の言葉に応えるかのようにメルト・グランチも言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しいな、名もなきモノよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢の頭の中は疑問で一杯だった。お久しぶりです?名もなきモノ?もう彼女の頭は限界だった。一体どういうことか全く分からなかった。

 

「霊夢、あんた大丈夫?」

 

天子に話しかけられてはっと我に返る霊夢。気がつくとメルト・グランチと衣玖が対峙していた。

 

「いえ、私は新しく名前を貰ったので今は名もなきモノではありません。」

 

「ほう、貰ったのか。心優しい者が卿に生きる道を教えてくれたのだな。それは何よりだ。」

 

「帝王梟雄、今あなたをここで討たせてもらいます。あの時の復讐を、今ここで放してしまったみせます!」

 

「結構、好きにするといい。」

 

「待って衣玖。私も戦うわよ。」

 

「総領様?あ、ありがとうございます。」

 

「私だってやるわ。さ、さっさと始めるわよ!」

 

「よろしい、どんどん来るがいい。」

 




次作は復讐です。メルト・グランチと何か過去にあった衣玖。果たして彼女は一体何をされたのか?そして隼人達は八岐大蛇を倒すことが出来るのか!?
次回作もお楽しみに!
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