東方王戦録   作:ヤマタケる

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メルト・グランチとの戦いに敗れた霊夢は満身創痍となる。そこへ遅れて隼人達が駆けつけた。後に悠岐、幽香、アリス、妹紅、慧音もやって来る。


憤怒と王

啓介はメルト・グランチと戦う前に霊夢を抱えている悠岐に尋ねた。

 

「悠岐、霊夢はどうだ?」

 

「問題ない、生きてるよ。」

 

「ならいい。誰か傷だらけのこいつらを看護してくれる奴いるか?」

 

「私がお守りします。」

 

啓介の言葉に答えたのは美鈴だった。そのまま彼女は霊夢を背負って安全な場所まで運んだ。そして悠岐達はメルト・グランチを睨む。彼は余裕の笑みを浮かべている。と、彼が口を開いた。

 

「さて、始めようか。」

 

「臨むところだ!」

 

そう言うとまず最初に妖夢と幽香が動いた。二人はそれぞれ白桜剣、日傘をメルト・グランチに向かって振りおろす。彼はそれらをかわしながら左手を前に出して指を鳴らした。その瞬間、二人の足元から炎岩が突き出てきた。二人はそれをかわし、幽香がスペルカードを使った。

 

「マスタースパーク!」

 

その後に妹紅がスペルカードを使い、悠岐と隼人が自身の技を放った。

 

「フジヤマボルケイノ!」

 

「龍の波動!」

 

「我龍転生!」

 

四人の攻撃はメルト・グランチに向かっていくが彼はそれらを片手で全て弾いた。さらに咲夜が背後からナイフを投げつける。彼もそれに反応し、受け止める。早苗、諏訪子、萃香も弾幕を放つ。だが彼はそれを全て避けた。体勢をうまく立てた彼は左手を上げ、悠岐達のところへ黒渦を起こし、そのまま爆発させた。舞い上がった煙の中から悠岐が出て来てメルト・グランチを斬ろうとするが、その瞬間、ドスッという音が辺りに響いた。見るとそこにはメルト・グランチの持つ宝刀によって腹部を貫かれている悠岐がいた。

 

「ぐふっ。」

 

彼は吐血し、漆黒の刃を持ったままだらんとなった。

 

「悠岐!」

 

「悠岐さん!」

 

一同が彼の名前を叫ぶ。メルト・グランチは悠岐に笑みを浮かべたまま言った。

 

「どうした、黒き刀。卿の力はこんなものではなかった筈だ。いつからそこまで弱り果てた?」

 

「・・・・・」

 

「卿は幻想郷に来てから心が変わったな、少し緩めているのではないかね?」

 

「・・・・・」

 

「さて、黒き刀よ。卿にはここで朽ちてもらおう。」

 

彼がそう言った瞬間、悠岐の顔に笑みが浮かんだ。彼は吐血したままメルト・グランチの宝刀を掴みながら言った。

 

「確かに俺の心は緩んだのかもしれない。だが、仲間を見捨てるようなテメェとは大違いだよ。」

 

「そうか、では・・・・」

 

「今だモルト!!」

 

続きを言おうとしたメルト・グランチとは別に悠岐が上に向かって叫んだ。その瞬間、二人の影が現れた。一人はとてつもなく速いスピードでメルト・グランチの背中を斬りつけた。そしてもう一つの影は悠岐を救出し、光玉をメルト・グランチ目掛けて放った。その攻撃は見事彼に命中した。その爆発音で治療を受けている途中の霊夢が目を覚ました。それに気づいた美鈴はほっと胸を撫で下ろした。そして言った。

 

「良かった、目が覚めたんですね。」

 

「美鈴、ここは?」

 

「まだ帝王梟雄のところです。ですが、もうそろそろ終わりそうですね。」

 

彼女が見る方向。そこには闘王アイアルト・モルトと光王ゴールド・マーグルがいた。マーグルの左腕には悠岐が抱えられていた。マーグルは美鈴の目の前まで来ると悠岐を目の前に置いて言った。

 

「こいつを頼んだぞ。」

 

そう言うと彼は再びメルト・グランチのところへ行った。メルト・グランチはよろめきながら言った。

 

「ハハ、まさか卿ら二人も来ていたとはね、意外だよ。」

 

「メルト・グランチ、もう終わりだ。」

 

「終わり?ハハ、もう終わらせるのは早いと思うのだが?」

 

「俺がお前の能力と奪った能力を全て封印した。今のお前は無力なんだよ。」

 

「そうか・・・・だが能力が使えなくとも戦えるよ私は!」

 

そう言うと彼は二人の元へ走ってきた。マーグルとモルトは彼の攻撃を防ぎながら言った。

 

「誰かとどめを頼むぞ。」

 

二人が言った瞬間、メルト・グランチの前に一人の少女が現れ、そのまま彼の左目を斬りつけた。

 

「なん・・・だと・・・」

 

メルト・グランチは目を大きく見開き、一言発してそのまま地面に倒れた。彼の左目を斬りつけたのは妖夢だった。彼女の手は震えていたがすぐに治まった。一同は倒れているメルト・グランチを見ながら言った。

 

「殺ったのか?」

 

「ああ、終わりだ。」

 

「良かった、これで幻想郷は平和になるんですね!」

 

「さ、さっさと帰ろうぜ。帰ったらうまい料理を用意してやるからな!」

 

「本当?やった!」

 

一同は完全にハイテンションだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそれは一瞬にして消えた。突然一同に巨大な圧力が襲った。それが背後から出ていると確信した一同はすぐに振り替える。そこにはメルト・グランチがとてつもなく強い圧力を出して立っていた。

 

「卿らはこれで終わりだと思っていたのかね?」

 

彼は左目を左手で抑えていた。と、左目から紫の煙が上がった。そして彼が左手を下ろすと斬られた筈の左目が何事もなかったかのように元に戻っていた。

 

「そんな!」

 

「おいおい冗談だろ?妖夢が間違いなく斬った筈のなのに!」

 

「博麗の巫女に言ったが私は力を置いて屍を残さないよ。」

 

と、慧音がメルト・グランチ以外の一同が一番予期したくないことを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか『自得』?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、私は卿らがスキマ妖怪によって帰った後に私はセコンドから力をいただいておいたのだよ。地裂も憑依も私には使えない。だから自得をいただいた。」

 

「まさか・・・・」

 

「そう、『自得』によって封印された私の能力といただいた能力を解くことが出来る。」

 

「みんな逃げろ!こいつはやべぇぞ!」

 

そう言うとモルトとマーグルは隼人達の前に出た。隼人達はどうすればいいのか分からずに戸惑った。そして二人はメルト・グランチに攻撃を放った。

 

「波動弾!」

 

「極光玉!」

 

二人の攻撃を見てメルト・グランチは左手にグングニルを作り上げるとそのまま二人の攻撃に放った。彼の力は凄まじく、マーグルとモルトの攻撃が意図も簡単に破壊された。二人は一旦彼との距離を開けようとしたがそれは叶わなかった。メルト・グランチが二人の背後に移動していたからである。二人はすぐさま対応しようとしたが無駄だった。まずメルト・グランチはマーグルの顔を蹴り飛ばし、地面に叩き付けた。

 

「な、にっ!?」

 

彼は地面に叩き付けられ、吐血した。モルトは再び能力を封印しようとするがメルト・グランチはまるで彼の動きが分かっているかのように彼の背後へ移動する。モルトは動きを読み、刀を振りおろすがそこにはメルト・グランチはいなかった。気づいた時には遅かった。メルト・グランチは下からモルトに向かって宝刀の先から緑の光をため、そのまま彼に緑の光線を放った。危機一髪で避けたものの、メルト・グランチが彼の背後まで来てそのまま彼の腹部に宝刀を刺した。

 

「ク、ソッ!」

 

そのまま彼は吐血した。そんな彼とは別にメルト・グランチはモルトを地面に叩き付けると、そのまま悠岐達の方へ蹴り飛ばした。

 

「モルト、マーグル!」

 

啓介は二人の名前を叫ぶが、二人の返事は無かった。と、メルト・グランチが宝刀を持ちながら啓介達に近寄った。彼の宝刀は金の刀へと変化していた。そして言った。

 

「自得を手にした私はこの二人の力をも越えている。卿らに勝ち目はもうないよ。」

 

「俺達は諦めねぇよ!」

 

そう言うと啓介達はメルト・グランチに挑みかかる。だが五大王であるモルトとマーグルが敗れた以上、彼に勝つことは出来なかった。啓介と隼人、妖夢と幽香が最初に挑みかかるが、メルト・グランチは見えない速さで四人の腹部を斬りつけた。

 

「ぬぐっ!?」

 

「がっ!?」

 

四人は思わずその場にうずくまる。早苗、諏訪子、萃香、ミク、麻里、咲夜は彼に一斉攻撃を仕掛けるが彼は炎を渦巻き、六人を撹乱させた後に背後から斬りつけた。

 

「させるかぁ!」

 

「やらせない!」

 

妹紅、アリス、慧音、美鈴も霊夢と悠岐を守ろうとするがメルト・グランチに一瞬で二人から離れた場所へ蹴り飛ばされてしまった。

 

「みんな!」

 

霊夢は怯えた声で叫ぶ。それとは別にメルト・グランチはみんなの鮮血が付着した金の宝刀を持ち、霊夢に近づく。

 

「悠岐、ねぇ悠岐起きてよ!」

 

彼女は悠岐を起こそうと必死になるが先程のダメージが重すぎたのか、彼は動けそうになかった。そしてメルト・グランチは霊夢を見ながら言った。

 

「さて、博麗の巫女。卿からは『使命』を貰おう。そのために卿は死んでくれたまえ。」

 

「嫌っ!」

 

霊夢は逃げようとするが足が震えて思うように動かなかった。メルト・グランチは宝刀の先を彼女に向ける。そこから紫の光が込められ始めた。

 

「終わりだ、博麗の巫女。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が龍の波動を放ち、間違いなく彼女に当たる瞬間だった。突然何処からか強力な光の攻撃がメルト・グランチの放った龍の波動とぶつかり、爆発した。そして何処からか霊夢と悠岐の前に一人の男が現れた。男は身長は180cm程で金色の服を着ており、緑に輝く刀を持っていた。と、男が二人を見て言った。

 

「よお、随分とボロボロじゃねぇか。」

 

その男に一同は見覚えがあり、その名前を叫んだ。

 

「剛岐様!」

 

「剛岐?」

 

「小宝さん?」

 

「どうしてここに?」

 

小宝剛岐。彼こそが現実世界の五大王の一人で五大王最強の男とも言われている存在だった。と、メルト・グランチが彼を見て言った。

 

「卿が来るとは思ってもなかったな、面倒だ。まずは卿を倒すとしよう。」

 

そう言うと彼は剛岐に向かって宝刀を振りおろす。剛岐もそれに反応し、防ぐ。辺りには二人の刀をぶつける音が響いた。その音で悠岐が目を覚ました。そして霊夢に尋ねた。

 

「霊夢、ここは?とゆうか何で剛岐がいるんだ?」

 

「ここはまだ帝王梟雄のところよ。でも、小宝さんが来たから問題ないわよ。」

 

一同は二人の戦いをただ呆然を見ることしか出来なかった。

 

「すごい、あの『自得』を持っているメルト・グランチと互角に戦えるなんて・・・」

 

「いや、違う。僅かに剛岐が押している!」

 

隼人がそう言った瞬間、二人の刀が思いきりぶつかった。

 

「フン!」

 

「ハッ!」

 

その瞬間、辺りに二人の刀を弾く勢いが響いた。その勢いで飛ばされそうになった妖夢を悠岐が手を掴み、助けた。そしてここにいる一同はその力を実感した。何故なら木々がメリメリと音をたてながら倒れたからである。それを見た早苗と啓介が言う。

 

「すごい、刀がぶつかるだけであんなに強い威力が生じるなんて・・・」

 

「流石剛岐だな。やっぱあいつ強いな。」

 

「昔・・・・」

 

よろよろとなりながら霊夢達のところへ来たのは腹部を抑えているモルトだった。そして続きを話した。

 

「昔、現実世界に剣帝という最強の悪を尊重する奴がいた。だがそいつに圧倒的な強さを見せ、王になった男がいる。」

 

「!!まさか!」

 

「そう、それが剛岐だ。全制を持っているあいつに勝てる奴なんて、五大王以外誰もいないだろう。」

 

「じゃあ、ということは!」

 

「ああ、剛岐が勝つ確率は高い。」

 

モルトが見つめる方向。そこにはまだ刀をぶつけ合う二人がいた。と、メルト・グランチが剛岐の目の前で龍の波動を放った。が、剛岐はそれを左手で吸収した。

 

「メルト・グランチの攻撃が効かない!?」

 

だがメルト・グランチは剛岐の目の前まで来ると彼の右肩を斬りつけた。

 

「ああ、剛岐様が!!」

 

思わず声を上げてしまう妖夢。だが剛岐は笑いながらメルト・グランチに技を放った。

 

「天地波動斬!」

 

彼の攻撃はメルト・グランチの左肩に命中した。そして二人は距離を開け、先にメルト・グランチが口を開いた。

 

「これでどうかね?」

 

「上等だ!」

 

そう言った二人は刀の先から紫色の光を貯めた。

 

「マズっ、伏せろ!」

 

モルトは一同に叫んだ。霊夢達は急いでその場に伏せた。そして剛岐とメルト・グランチが同時に声を上げる。

 

「ガイルバースト!」

 

二人の攻撃がぶつかった瞬間、それによって生じた爆発の勢いが玄武の沢中、いや幻想郷中に響いた。それをスキマから見ていた紫、藍、橙が言った。

 

「で、でっかい!」

 

「なんて威力なの。幻想郷中に響き渡る程の強さ。小宝剛岐、あなたの強さは伊達じゃないわね。」

 

「紫様、どうやらあそこから・・・」

 

「分かってるわ。でも、悠岐君達に任せるわ。」

 

ガイルバーストの爆風が治まった場には荒い呼吸をするメルト・グランチと剛岐がいた。霊夢達はモルトといつの間にか起きたマーグルの活躍によって命拾いした。そしてモルトはあることを予期し、言う。

 

「マズイな。あの攻撃が再びぶつかったら幻想郷が壊れちまうぞ!」

 

「そんな!」

 

それを聞いた瞬間、悠岐は剛岐に向かって叫んだ。

 

「剛岐!成るべくさっきのガイルバーストはやめてくれ。幻想郷が壊れちゃうんだ!」

 

「分かってるよそんなこと。」

 

そう言うと彼は再びメルト・グランチと睨み合うメルト・グランチは紫の小さな弾幕を剛岐に放つ。彼はそれを弾きながらメルト・グランチに向かっていく。剛岐が向かってくる中、メルト・グランチはグングニルを作り上げると彼目掛けて放った。彼はそれを片手で掴み、握り潰すとメルト・グランチに向かって走っていった。

 

(ククク、剛岐よ。卿の技はもう見切ったとも。)

 

彼は剛岐が何をするつもりかは分かっており、そのまま剛岐を斬ろうとしたがその瞬間、剛岐は彼の背後に移動し、そのまま彼の背中を斬りつけた。

 

「ぬぐっ!?」

 

声を上げる彼とは別に剛岐はメルト・グランチの顔を殴りつけた。そのまま彼は30mほど吹き飛んだ。

 

「速い!」

 

あまりにも速いスピードに一同は唖然となる。と、マーグルが口を開いた。

 

「神斬。神の速さで相手の背後まで移動し、そのまま斬りつける技だ。あの技は例え隼人の気配でも見切ることが出来ない技だ。」

 

「す、すげぇ。」

 

「やっぱり剛岐様は強いですね!」

 

興奮する妖夢と悠岐。そんな彼らとは別に身を屈めるメルト・グランチを見て剛岐が口を開いた。

 

「どうした?まさかもう終わりとか言わないよな?」

 

「ハハハ、残念だが一旦退かせてもらうよ。決着は無縁塚でつけるとしよう。では、さようならだ。」

 

「待て!」

 

彼の後を追おうとしたが彼は霧のように消えていった。そして剛岐は傷だらけの一同の元まで駆け寄って言った。

 

「少し治療してやるよ。奴との戦いは今夜が決着だ!」

 

「ああ、そうだな。」

 

「だからお前らも休め。」

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて。」

 

そう言うと一同は身を休めた。そして時間が経ち、ついに決着の時がやって来た。




次作は誤解と決戦です。無縁塚に来るとそこにはある少女が!一体何故なのか!?そしてその正体とは!?そして霊夢達は無事メルト・グランチを倒すことが出来るのか!?
次作もお楽しみに!
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