東方王戦録   作:ヤマタケる

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メルト・グランチが予言したことが現実となり、魔王軍との戦いが幕を開ける。


誘拐

「みんな散って!」

 

霊夢の合図で一同は同時に散った。その内の霊夢、魔理沙、麻里は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里へ向かい、迫り来る魔王軍を迎え撃とうとしていた。数はそこまで多くはなかったが、奇襲してくるのは少し速かった。早速麻里が刀の先から紫の光を貯めて技を放った。

 

「龍の波動!」

 

彼女の一撃によって多くの魔王軍を倒すことが出来た。続いて霊夢がスペルカードを使う。

 

「夢想封印!」

 

彼女の攻撃によって人里にやって来た魔王軍が一人残らず退治された。三人が次の場所へ行こうとした時だった。突如背後から何者かの気配を感じた三人は後ろを振り返る。そこには大魔王がいた。幹部の二人はいない。ただ一人でやって来たのだ。魔理沙は彼を睨みながら霊夢と麻里に言った。

 

「あの男、ヤバいぜ。なんか、感覚で分かるんだ。」

 

「私もそうよ。気をつけなければならないわね。」

 

「・・・・・」

 

麻里だけは無言だった。気になった二人は彼女を見る。麻里は何かに怯えているかのような表情をしていた。彼女の目線は大魔王に向けられていた。と、大魔王が口を開いた。

 

「久しぶりと言うべきか、木下麻里。」

 

彼が言葉を発しても彼女は無口だった。と、大魔王が三人の目の前まで来るとまず始めに霊夢を殴り飛ばし、次に魔理沙の下半身を地面に埋めた。そして木に叩きつけられた霊夢に槍を投げ、身動きがとれないようにした。そして彼は麻里の目の前まで来ると彼女の頬を掴み、無理矢理立ち上がらせた。

 

「やめろ!麻里を放せ!」

 

地面に埋もれながら魔理沙が言う。そんな彼女を見た大魔王は魔理沙の腹部を蹴りつけた。その衝撃で彼女は吐血する。

 

「魔理沙、麻里!」

 

霊夢が二人の名前を言う。だが返事はなかった。麻里は大魔王に口を塞がれており、魔理沙は先程の蹴りで意識を失っている。大魔王は麻里を掴みながら霊夢に近寄る。そして空いている右手で霊夢の首を締め上げた。身動きがとれない彼女は足をばたつかせるしかなかった。そして彼は苦しむ霊夢に言った。

 

「博麗の巫女、黒き刀は何処だ?」

 

「し・・・知らないわ・・・よ。」

 

ちっと舌打ちをした彼は霊夢の首を絞めている右手を放した。

 

「ゲホッ、ゲホッ。」

 

霊夢はそのまま激しく咳き込んだ。そんな彼女に大魔王が語りかけた。

 

「貴様の存在は我が魔王軍からしては厄介な者だ。この女と共に我が魔王軍へ来るがいい。」

 

「フッ、悪いけどお断りするわ。」

 

霊夢がそう言った瞬間、大魔王の拳が彼女の腹にめり込んでいた。霊夢はそのまま吐血し、気を失ってしまった。彼は気を失った霊夢の服に刺さっている槍を抜くとそのまま彼女を担いだ。そして麻里と霊夢を連れていこうとした時だった。叩きつけられた何者かが彼の足を掴んだ。見ると魔理沙が笑いながら彼の足首を両手でしっかりと掴んでいた。そして彼女は彼に言った。

 

「へへっ、霊夢と麻里を連れて行かせるかよ!」

 

「・・・なんと無謀な者だ。我をどのような者なのかをはっきり理解していないようだな。」

 

そう言うと彼は魔理沙を地面から引き抜くと彼女を地面に何度も叩きつけた。その度に彼女から出る鮮血が飛び散った。そのまま魔理沙は動かなくなった。大魔王はそんな彼女の安否を確認せずに二人を連れて霧のように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはどこなんだぜ?私は生きているのか?そんなことを考えながら魔理沙はゆっくりと目を覚ます。そこには彼女を心配そうに見つめるアリス、悠岐がいた。彼の目は赤く染まっていた。悪魔の目になっているのである。魔理沙は辺りを見回そうとした時、アリスに飛びつかれてまた倒れてしまった。

 

「おいアリス、そんなに強く抱きしめるなぁ。」

 

「良かった・・もう起きなかったらどうしようと思ってたのよ。」

 

泣くアリスを魔理沙は優しく抱きしめた。はっとなった彼女は自分の体を確認する。完全ではないが大魔王によって傷ついた場所は治っていた。そんな二人とは別に悠岐が魔理沙に尋ねた。

 

「なあ魔理沙。気になることがあるんだが・・・」

 

「気になること?」

 

「霊夢と麻里は何処だ?」

 

その言葉にはっとなった魔理沙は必死に記憶を思い出した。そして言った。

 

「ごめん、私が守れなかったせいで・・・霊夢と麻里は連れてかれたぜ・・・」

 

「なっ、さらわれた!?」

 

「なぁ、二人とも!急いで魔王軍のところへ行こうぜ!必ず二人を私が助け出す。」

 

「よせ魔理沙。さっき啓介から連絡が入ったんだが、警備が厳重で蟻の這い出る隙間もない程らしい。今は奴らの雑魚兵を倒すことを考えよう。二人を助けるのは別の機会にする。」

 

「そんな・・・」

 

「魔理沙、気持ちは分かるけれど今は我慢して。そうしないとあなたの命が危ないのよ。だから落ち着いて。」

 

魔理沙には悔しい気持ちが沢山だった。霊夢を守れなかった己の罪悪感が彼女にあった。

 

「ま、せいぜい生き延びることだな。」

 

そう言うと悠岐は何処かへ走っていった。彼がいなくなった瞬間、魔理沙は箒にまたがって何処かへ飛ぼうとした。それをアリスがとめ、言う。

 

「魔理沙、どこへ行くつもりなの?」

 

「決まってるだろ?霊夢と麻里を助けにいくんだ。」

 

「待って、それなら私も行くわ。」

 

「よっしゃアリス!そうと決まれば行こうぜ!」

 

「うん!」

 

そう言うとアリスは箒にまたがった。そして魔理沙とアリスは大魔王のところへ行った。それを影で悠岐が見ていた。そして独り言のように言った。

 

「お前らを行かせるつもりはなかったんだけどな。けど、二人を助けたいなら行け。それがお前らの使命だ。」

 

そう言うと彼は別の場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢は目を覚ますとそこは見慣れない場所にいて、牢屋に入れられていた。麻里は起きていたが、まだ何かに怯えていた表情をしていた。霊夢は腹をおさえる。まだ大魔王に殴られた痛みが残っていた。

 

「目が覚めたようだな、博麗の巫女、そして木下麻里。」

 

突如男の声がして二人はその方向を見る。そこには大魔王がいた。彼は二人を見下していた。

 

「貴様らは我が魔王軍の人質として受け入れる。それには黒き刀も困難となるだろう。我が魔王軍は貴様らを人質にすることで黒き刀達の降伏を要求する。そして幻想郷を我が魔王軍の物とするのだ。」

 

「そんなことはないわ!」

 

突如彼に怒鳴り付けたのは先程まで怯えた表情をしていた麻里だった。そのまま再び彼に怒鳴った。

 

「悠岐達は信頼出来る人達よ!絶対に降伏なんてありえない!悠岐だけじゃないわ、ミクに魔理沙、啓介にウロボロス・・・私達には沢山の信頼出来る人達がいるのよ!お前なんかに屈したりしない!」

 

麻里に続いて霊夢も言う。

 

「そうよ!紫だって隼人だって私達の大切な仲間。助けに来ないなんて絶対にありえないわ!」

 

「・・・・そうか、貴様らは仲間を最後まで信ずることが出来るのか。それは何よりだ。」

 

「だから私達を人質にしても無駄なのよ!」

 

麻里がそう言った瞬間、大魔王の表情が急変した。先程までは見下すような顔をしていたが今は真剣な目つきをしていた。そして言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では貴様らに問う。あの梟は何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の言葉に二人はある一人の人物が頭に浮かんだ。かつて幻想郷を支配せんと試みた帝王梟雄と呼ばれた男、メルト・グランチである。そして彼は話を続けた。

 

「あの憎悪、嫌悪、憤怒、悲観、そして欲求に満ちたあの男を貴様らは仲間を信ずる者の一人として良いと言い切れるというのか?」

 

二人は少し黙りこんでしまったが直ぐに麻里が言い返した。

 

「あれは例外よ!あんな奴なんて仲間を最後まで信じないじゃない!だってセコンドを見捨てたのよ。あんなの仲間を信じる人の一人としては例外な存在よ。」

 

「例外、か。まぁ我には関係ないことだ。好きに言うといい。いずれにせよ梟はもうこの世には存在しない。そして地王も。これは我にとって潮時のようなものだ。」

 

そう言うと大魔王は牢屋を通り抜けて二人の元へ来た。そして言った。

 

「貴様らは我らにとって重要な存在だ。安心しろ、殺したりはしない。黒き刀がここへ来るまでにはな。」

 

「結局は殺すことに変わりないじゃない。」

 

「そうだ。我の目的は幻想郷を我が魔王軍の物とし、我らに反逆する者は老若男女問わずに抹殺するのみだ。」

 

「フン、やれるもんならやってみなさいよ!」

 

霊夢の言葉が彼の腹を立ててしまったのか、大魔王は霊夢と麻里の首を掴み上げ、壁に叩きつけた。二人は必死に抵抗するが武器が奪われてるため、足をばたつかせるしかなかった。そして彼が口を開いた。

 

「博麗の巫女、それは我に対する挑発と言っていいのか?ならばやって見せよう。幻想郷を我が魔王軍の物として見せる。」

 

そう言うと彼は二人を放した。

 

「ゲホッ、ゲホッ。」

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

二人は地面に崩れ、その場で咳き込んだ。大魔王は牢屋から出ると一言言った。

 

「貴様らの仲間には期待しているぞ。」

 

そのまま彼は奥の部屋に入っていった。彼がいなくなった瞬間、霊夢は麻里の肩を掴み、少し強めに言った。

 

「あんた、何か隠してるでしょ?」

 

「痛い、何を言ってるの霊夢。私は特に何も隠してないわよ。」

 

「嘘をつかないで。私は知ってるのよ、悠岐が大魔王のことを話してる時にあんたの表情だけが少し違っていたのを。」

 

「!!」

 

麻里はその言葉には言い返すことが出来なかった。実は麻里は悠岐が大魔王の過去を話している時に少し体が震えていたのだ。それを霊夢だけが気づいていた。そして麻里は言った。

 

「・・・これは悠岐とウロボロスしか話してなかったんだけど、気づかれたならやむを得ないわ。霊夢に話すね。」

 

そう言うと麻里は一呼吸して言った。

 

「実は私は幼い頃、大魔王軍によって両親を殺されたのよ。お兄ちゃんは何処かへ行ってしまって今は行方不明。そして奇跡的に私だけ殺されなかったの。どうやら私のお母さんとお父さんは『自分に何をしてもいい代わりに私には手を出さないでくれ』と言ったそうなのよ。だけど奴は無慈悲だったから二人を殺し、私を魔王軍の奴隷にした。魔王軍の奴隷なんて本当はやりたくなかったのよ。けれど、奴を倒すことならば耐えるって私は決めた。けど、魔王軍での仕事は死ぬよりも辛いことばかりやらされたの。例えば100kgほどある荷物を持ち上げて運べだったり、穴を10m堀り終わるまで休憩はないだったりしたわ。それが出来なければ死ぬよりも辛いお仕置きが待っていたわ。全裸にされ、体のあちこちをムチで叩かれたの。それで多くの人の体にはアザが出来ていた。そして力尽きた人はギロチンで殺していったわ。そしてついに私が力尽きてギロチンされる時だったのよ。あの方が私を助け、死刑場にいた魔王軍を一人残らず倒したの。」

 

「あの方って言うのは?」

 

「小宝さん。あの方が私を助けてくれたのよ。そしてその次の日、魔王軍は謀反に会い、そのまま大魔王は死んだ筈だったのよ。」

 

「その謀反を起こしたのが衣玖ってわけね。」

 

「そういうことになるわ。けど、誰が大魔王を蘇らせたのかは未だに不明なの。」

 

「魔王を倒したらその謎を解決しないといけなさそうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、大魔王は。一部の魔王軍を集めてあることを言っていた。

 

「いいか、よく聞け!我が魔王軍はこれより進軍を始めるのだが分かれて行動しろ!まとまっては一斉に倒される。ここは広がり、同時に攻め込むのだ。そうすればこの幻想郷は我ら魔王軍の物となるぞ!」

 

彼が言った瞬間、一斉に魔王軍が雄叫びを上げた。

 

「それでは展開!」

 

そのまま魔王軍は散らばって行った。その様子を影から清く正しい天狗、射命丸文が見ていた。そして小さな声で呟いた。

 

「一斉に攻めるなんて、まずいですね。急いでみなさんに知らせなければなりませんね。」

 

そして悠岐達に知らせようとした時だった。彼女の背後から槍が飛んできて彼女の腹部に命中した。文は吐血し、地面に落下した。幸い柔らかい土壌だったため、彼女は一命をとりとめた。だがそれもつかの間、倒れている彼女の元へ大魔王がやって来ていた。そして言った。

 

「貴様がいたことは分かっていた。我らの計画を知らされては面倒だ。貴様を逃すわけにはいかない、死ぬがいい。」

 

そのまま彼は文に刺さっている槍を抜くと槍を振り上げ、そのまま降り下ろした。そしてその場から鮮血が飛び散った。




次作は現妖怪です。ミクとウロボロスの前に現れた謎の男。果たしたその正体とは!?
次作もお楽しみに!
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