東方王戦録   作:ヤマタケる

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大魔王軍にさらわれた霊夢と麻里。救出すべく魔理沙とアリスが立ち上がる。


現妖怪

湖のほとりではミクとウロボロスが魔王軍の襲来に備えていた。そこへ、ちょうど魔理沙とアリスがやって来た。そして魔理沙がミクに尋ねた。

 

「なぁ、ミク。魔王の場所って何処だか分かるか?」

 

「ごめんなさい、私は知らないわ。啓介なら知っている筈よ。彼に聞いたらどうかしら?」

 

「そうね、急いで啓介を探しましょう。」

 

再び魔理沙とアリスは箒に乗って飛ぼうとした時だった。何者かが二人を斬りつけようとした。幸い二人は攻撃をかわしたが、バランスを崩し、そのまま落ちてしまった。その二人をウロボロスがしっかり受け止めた。

 

「悪いな、ウロボロス。」

 

「これくらい、どうってことない。」

 

そして二人を斬りつけようとした影が四人の前に降りた。その影は白い髪で後ろ髪が腰まで延びていて侍のような服を着ていて刀を持っている老父だった。彼は魔理沙達を睨み続ける。何かおかしいと感じたウロボロスが彼に言った。

 

「なぁ、じいさん。何か言いたいことがあるのか?体が凄く震えてるんだが・・・」

 

ウロボロスが老父に尋ねるが彼は返事をしなかった。と、突然だった。老父が突如苦しみだしたのだ。四人は状況が理解出来ずに慌てていた。老父の体はみるみる大きくなっていき、別の存在へと変化した。その姿は顔は牛で両手はドリルのように先がとがっており、背中には四本の刺が生えていて足は短く、大きさは7mほどで腹部のあたりには鏡のようなものがついている化け物へと変化した。その姿を見てウロボロスがミクに言った。

 

「おいミク、あれは・・・」

 

「そんな筈は・・・」

 

声が震えている二人に魔理沙が尋ねた。

 

「なぁ、二人共。あれは何だ?そしてどうして声が震えているんだぜ?」

 

「一応言っておくわ。あれは牛鬼、現実世界にしか存在しないと言われている妖怪よ。」

 

「牛鬼?聞いたことがあるわ。確か、強い魔力を持つ妖怪だったかしら?」

 

「その通りだアリス。こいつは面倒だ。」

 

ウロボロスがそう言った瞬間、牛鬼が口を開きながら四人に向かって突進してきた。四人はそれを避けるとアリスと魔理沙はスペルカードを使った。

 

「恋符ノンディレクショナルレーザー!」

 

「魔符アーティフルサクリファイス!」

 

だが牛鬼の体には傷一つもついていなかった。魔理沙の方へ目を向けた牛鬼は魔理沙に襲いかかる。それを阻止するべくミクが銃弾を放つ。だが牛鬼の体は鉄のように硬く、撃っても弾かれてしまう。ウロボロスは獣の姿になり、応戦するが硬い体には到底無力だった。そして牛鬼はウロボロスを殴り飛ばした。ウロボロスはそのまま木に衝突し、元の姿に戻ってしまった。ミクはその間に創造の力を最大限まで貯めてその攻撃を牛鬼に放った。

 

「創造の一撃!」

 

彼女の攻撃は見事命中した。だがその砂埃から牛鬼がものすごい速さでミクの目の前まで来ると彼女を叩き飛ばした。彼女は木を薙ぎ倒しながら飛んで行き、壁に衝突して吐血した。アリスと魔理沙も弾幕を放つが全く歯がたたなかった。そのまま二人も殴り飛ばされ、吐血した。そして牛鬼が口を開いた。

 

「貴様らの力はこんなものか。弱い!弱すぎるぞ!あの梟と地王を倒した者の力はこんなものなのか!」

 

「黙れ!」

 

馬鹿にするように言葉を発する牛鬼に魔理沙が怒鳴った。そして言った。

 

「お前のような妖怪に言われる筋合いなんてないぜ!お前は地獄に行ってればいい存在なんだ!」

 

「俺を地獄へ送るのか?あの男の強さを持たなければ俺は倒せないぞ。貴様らはあの男よりも力が下すぎるのだ!」

 

「うるさい!そんなのやってみなくちゃ分からないだろ!」

 

「いいえ、分かるわよ。」

 

そう言ったのはよろよろになりながら歩ってくるミクだった。そして言った。

 

「この妖怪・・・牛鬼はある人しか倒したことのない妖怪、私達では倒すのは困難と言えるわ。」

 

「・・・・そんなことどうでもいいぜ。私は絶対に倒す!何があろうと絶対に!」

 

「来るがいい、貴様を喰い殺してやる。」

 

「望むところだ!」

 

そう言うと魔理沙はスペルカードを使った。

 

「マスタースパーク!」

 

かなりの力を出したがやはり牛鬼には傷一つもついていなかった。ウロボロスも再び獣の姿になり、牛鬼を背後から攻撃する。その間にアリスが弾幕を放ち、ミクが刀で斬りつけようとする。だが牛鬼には何一つ効いていなかった。ウロボロスは背後から牛鬼を押さえつけると三人に言った。

 

「今だ、殺れ!」

 

彼の合図で三人は同時に攻撃を放った。そしてウロボロスも三人の攻撃が当たる直前に牛鬼から離れた。三人の攻撃を喰らっては流石の牛鬼の体にも傷がついた。そのまま牛鬼はよろめきながら倒れた。恐る恐る四人は牛鬼に近寄り、ウロボロスが言った。

 

「こいつは・・・死んだのか?」

 

「多分、ね?」

 

アリスがそう言った時だった。突如牛鬼が目を覚まし、一番近くにいたウロボロスを殴り飛ばした。ウロボロスはそのまま壁に叩きつけられた。ミクとアリスはそれに対抗するために攻撃を放つが牛鬼は二人が攻撃を放つ前に二人を蹴り飛ばした。二人はそのままウロボロスの近くまで飛ばされ、吐血した。そして牛鬼は残った魔理沙に目を向ける。そして言った。

 

「まずは貴様を喰らうとしよう。覚悟しろ!」

 

そう言うと牛鬼は魔理沙の目の前で大きく口を開けた。その時だった。何者かが魔理沙を突き飛ばした。魔理沙は突き飛ばされながらやって来た影を見る。その影は見覚えのある男で魔理沙と似た服を着ていた。彼は彼女に笑みを見せながら手を振った。

 

「あ、待ってくれ・・・」

 

魔理沙は彼に手を伸ばした。彼も魔理沙に手を伸ばしたがその瞬間、牛鬼が男を喰らった。そのまま彼が伸ばしていた右手が魔理沙の目の前に落ちた。ガリッ、ゴリッ、と音を立てて牛鬼は男の骨を砕きながら喰らう。噛み砕く度に男の血が飛び散った。そして牛鬼の喉からゴクリと音が響いた。人の生臭い臭いを漂わせながら牛鬼は魔理沙に言った。

 

「まさか突如やって来た男によって貴様の命が救われるとはな。少し俺も回りを警戒したほうがいいようだな。」

 

「・・・・」

 

魔理沙は牛鬼が何を言っても無口だった。ただ下を見ているだけだった。そして牛鬼は再び口を開いた。

 

「今度こそ貴様を喰らってやる。」

 

そして再び牛鬼が口を開けた時だった。魔理沙が涙を流し、叫びながら言った。

 

「ファイナルスパーク!!」

 

目の前で食らってはひとたまりもなく、牛鬼はそのまま50mほど吹き飛んだ。そして牛鬼は吐血し、魔理沙を睨みながら言う。

 

「何があった、あの小娘。」

 

魔理沙の目は酷く狂ったような目つきをしており、じっと牛鬼を睨む。先程魔理沙が放ったファイナルスパークを見たミクが言った。

 

「さっきのファイナルスパーク、威力がいつもとは尋常じゃないくらい大きいわ。」

 

「マズイわね、あの威力のファイナルスパークを放った魔理沙は到底動けない筈なのに・・・」

 

「さっき来た男の人と何か関わりがあると言うのか?」

 

「その話は後よ。今は牛鬼を倒すことを考えましょう。」

 

そう言うと三人は魔理沙の後に続いた。まずウロボロスが人間の姿で攻撃を放った。

 

「虎爪斬!」

 

彼の攻撃は牛鬼の背中に命中したが傷をつけることは出来なかった。続いてアリスが弾幕を放ち、ミクが創造の一撃を放った。牛鬼はそれらの攻撃を受け止めようとするが横から魔理沙が弾幕を放ち、阻止した。そして一斉に攻撃が命中した。次々と攻撃を受け、怒りが頂点に達した牛鬼は地響きを起こした。その衝撃で地面にいた四人はふらついた。その瞬間に牛鬼がウロボロスの腹をを蹴り飛ばし、ミクとアリスを殴り飛ばした。三人は腹をおさえながら吐血した。さらにウロボロスは先程の攻撃により、一部の臓器が潰され、吐血の量が二人よりも多かった。そんな彼の元へ二人が駆け寄る。

 

「ウロボロス、しっかりして!」

 

「待ってて、今私が創造の力で癒すからね。」

 

「ガハッ・・・」

 

そんな三人の元へ牛鬼が迫っていた。牛鬼の来襲を魔理沙が引き付けた。そした再び二人の戦いが始まった。ミクは急ぎ彼の臓器を蘇らせた。そしてウロボロスはゆっくり立ち上がった。そして三人は牛鬼の元へ行こうとするが突如ミクが体の異変を感じ、地面に崩れてしまった。

 

「ミク、どうしたのミク!!」

 

「チッ、創造の力を使い過ぎたんだ。しばらくこいつは動けないよ。」

 

「そんな!」

 

それとは別に牛鬼が二人に迫っていた。ウロボロスは虎爪斬を放つが牛鬼にその攻撃を防がれ、再び殴り飛ばされた。アリスもミクを庇おうとするが牛鬼はアリスを蹴り飛ばした。そして牛鬼はミクも蹴り飛ばした。その衝撃で三人は吐血し、地面に崩れてしまった。それとは別に魔理沙は牛鬼に攻撃を続ける。と、突然だった。最悪のタイミングで魔理沙の体力が限界に達したのだ。そのまま彼女は地面に崩れた。不可思議に思った牛鬼はゆっくりと魔理沙に近寄る。そして言った。

 

「先程の貴様の勢いは何処へ行ったというのだ?俺は貴様の力には期待していたのだぞ?なのに何だ?もう終わりだというのか?それは断じて認めない。貴様は先程の力で俺と戦うのがいい。」

 

「く、クソッ・・・」

 

「ん?どうやら本当に体力の限界が降り注いだというのか?それは残念だな。貴様は良く戦ったよ。だが、もう終わりだ。ここを貴様の墓場として、いや俺の胃袋の中を貴様の墓場としてやろう。そして貴様は俺の胃袋の中で消化され、もう蘇ることが出来ぬようにしてやる。」

 

「そんな・・・」

 

「フフフ、安心しろ。すぐにそこにいる者達にも貴様の後を追わせてやる、胃袋の中でな。」

 

「まだ私は死ねない・・・・あの二人を助けるまでは絶対に・・・」

 

「あの二人?ああ、博麗の巫女と木下麻里のことか。あの二人なら大魔王様が後を追わせる筈だろう。そして、貴様の仲間は我ら魔王軍が全員冥界へと送ってやる。そうすれば貴様は一人ではない。」

 

そう言うと牛鬼は魔理沙の服に腕を刺して彼女を持ち上げた。そして口を開きながら言った。

 

「見るがいい、俺の口の中をな。ここに先程貴様を助けた男の血が染まっているぞ。ここでなら貴様は死んでも後悔しないだろうな。」

 

「私はまだ死なない!」

 

「その強がりはもう飽きた。貴様は確かに強かった。だが俺に敵う相手ではなかったようだな。さ、死んでいくがいい、貴様が最初の死者だ。」

 

そう言うと牛鬼は魔理沙を口の中へ入れようとした。その時、魔理沙は心の中で言っていた。

 

(まさか私はここで終わるのか?誰一人守ることなく死んでいくのか?やだ死にたくない。私はまだ生きたい。)

 

彼女の頭の中には沢山の人の笑顔が浮かんでいた。アリスにパチュリー、フラン、香霖、啓介、そして先程の男性。彼女にはまだ言い残したいことが山ほどあった。魔理沙は牛鬼の腕から放れようとするが何故か体が言うことをきかなかった。

 

(やだやだ、死にたくない。誰か助けてくれ!私はまだ誰も助けてない!)

 

だがそう心の中で祈っても誰も来なかった。アリス、ミク、ウロボロスは先程の攻撃で意識を失っている。紅魔館は誰かと戦っているのか、誰も来そうになかった。

 

(ああ、もう終わりだ。ごめん、みんな。私は何の役にもたつことが出来なかったよ。)

 

彼女の目からは涙が零れていた。そして彼女はゆっくりと目を閉じた。そして牛鬼に喰われそうになった時だった。突然現れた青年が魔理沙を持ち上げている牛鬼の右腕を切り落とした。切り落とされた右腕からは緑色の鮮血が飛び散った。そして青年は魔理沙を救出し、牛鬼の顔を蹴った。その勢いで牛鬼は20mほど吹き飛んだ。

 

「まだお前を死なせはしないよ。霊夢を助けるんだろ?」

 

魔理沙は担がれながら青年を見る。その青年は黒い刀を持っていて目が赤く染まっている青年、悠岐だった。

 

 

 




次作は因縁と龍人です。妖怪の森と紅魔館に現れた魔王軍の幹部。果たしてその正体とは!?
次作もお楽しみに!
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