東方王戦録   作:ヤマタケる

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魔王軍の毅、リナ、牛鬼に苦しむ人達。捕らわれている二人を救うべく急ぎ撃破を試みる。


暴走

魔理沙を下ろした悠岐は牛鬼を睨む。牛鬼はよろよろとなりながらも起き上がり、悠岐に言った。

 

「貴様・・・よくも俺の餌を奪ったな!」

 

「奪ってなどいない。俺は仲間を助けただけだ。餌などにはさせない。」

 

「この小僧ごときがぁっ!」

 

そう言うと牛鬼は悠岐に突進してくる。そして腕を突き刺そうとする。だが悠岐はその攻撃を見事かわし、刀の先から紫の光を溜めた。そして技を放った。

 

「龍の波動。」

 

「ぐぁっ!」

 

そのまま牛鬼は龍の波動によって50mほど吹き飛んだ。それでも諦めずに牛鬼は彼を殺そうとする。悠岐は牛鬼の攻撃を避け続け、一瞬の隙を見て体のあちこちを斬りつける。だが急所に当たった場所もあれば硬い体で防がれた場所もあった。そしてまた斬りつけようとした時だった。動きを読まれたのか、悠岐は牛鬼に殴り飛ばされた。そのまま彼は木に衝突し、吐血した。起き上がろうとする彼に牛鬼は再び殴った。短い足だというのにあり得ない速さだった。そのまま湖の近くまで飛ばされる。そしてまた起き上がろうとしても再び殴られる。そしてまた飛ばされる。

 

(マズイな、目眩がしていた。前倒した奴とは別の個体のようだな。)

 

彼は心の中でそう思っていた。そしてゆっくりと立ち上がる。その様子を見ていた魔理沙は不安が生じていた。もしかしたら悠岐が死ぬかもしれないという不安だった。彼と牛鬼が戦っている最中にミク、アリス、ウロボロスが目を覚ました。そしてミクは魔理沙に尋ねた。

 

「魔理沙、悠岐はいつから?」

 

「さっき来て私を助けてくれたぜ。でも、なんか悠岐が負けそうな気がしてきたんだ。」

 

その言葉に三人は彼のほうを見る。彼の体は血とアザで沢山だった。それを見てアリスが悠岐に叫んだ。

 

「悠岐、死んじゃ駄目よ!頑張って!」

 

「アリス・・・」

 

彼女の呼びかけに悠岐は反応したが彼はもう限界寸前だった。前よりも強化している牛鬼には少ししか対応出来なかった。それでも彼は諦めずに再び戦闘体勢に入った。そして自分に再び襲ってくる牛鬼を迎え撃つ。そして牛鬼と悠岐の攻撃が同時に放たれた。四人は思わず目をつぶってしまう。そして目を開く。その光景に四人は目を大きく見開いた。牛鬼の左腕が彼の右股を貫いていたからだ。彼の股からは鮮血が飛び散る。と、突然悠岐がクスクスと笑い出した。そして牛鬼に言った。

 

「知ってるか?己のどこかを犠牲にすることで相手の急所を攻撃することが出来ることをな。」

 

彼の言葉で四人は彼の刀の先を見た。そこには牛鬼の腹部にある鏡のようなものに彼の刀が刺さっているのであった。そして彼はそのまま鏡を割った。その瞬間、牛鬼は目を大きく見開いたまま雄叫びを上げた。悠岐は牛鬼の力の源を壊したのである。源を壊された牛鬼は無力となり、背中に隠していた翼で飛んで逃げようとするが、

 

「逃がしはしねぇよ。とっととくたばりやがれ!」

 

そう言うと彼は刀の先から赤い炎を溜めて技を放った。

 

「フレイアバースト!」

 

彼の攻撃が猛スピードで牛鬼に飛んできてそのまま牛鬼に命中し、牛鬼の体に炎が着火する。これでは物足りないと思った彼は刀の先に紫の光と赤い炎を溜めて技を放った。

 

「ドラゴンバースト!」

 

彼の攻撃は再び命中した。そのまま牛鬼は燃えながら上空で爆発した。爆発の中から一人の老父が落ちてきた。ウロボロスはその老父を受け止める。そしてゆっくりと地面に下ろす。四人はすぐに彼の元へ駆け寄る。そして悠岐が口を開いた。

 

「あんた、半人半霊だな?」

 

その言葉に一同は唖然となる。それとは別に半人半霊の老父が口を開いた。

 

「わしは、奴に操られ・・・牛鬼と化してしまったのじゃ。恐らくわしはもう、長くは生きれん。このままわしを一人静かに永遠の眠りにつかせておくれ。」

 

「それはないぜ!あんたは生きていかないと!」

 

「無理だ魔理沙。」

 

そう言ったのはウロボロスだった。魔理沙は思わず彼に聞こうとするが彼の表情は暗い感じだったため、彼女は言葉を失った。そして悠岐が再び口を開いた。

 

「あいつに言い残すことはあるか?」

 

彼の言葉に四人は首を傾げた。それとは別に老父が再び口を開いた。彼の体はもう消えかけていた。

 

「何もあるまい。わしには後悔も残らんよ。」

 

「最後に一つ聞きたい。あんたの名前は?」

 

「わしの名は・・・」

 

だが彼は名前を言う前に消えていってしまった。五人はそのまま呆然と見るしか出来なかった。そして何かを思い出した悠岐は四人に言った。

 

「俺は紅魔館に行ってくる。お前らは玄武の沢か妖怪の森に行って魔王軍を迎え撃ってくれ。魔理沙とアリスは霊夢と麻里の救出を任せるぞ。」

 

「了解したぜ!」

 

「魔理沙、急ぎましょう。」

 

そう言うと魔理沙は箒にアリスを乗せて大魔王のいる場所へ向かっていった。続いてウロボロスが獣の姿になり、ミクを乗せて妖怪の森へと向かった。そして悠岐は湖の奥にある紅魔館へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、啓介はドラゴンと化したリナと対峙していた。唸るリナとは別に啓介は何の怯えも見せなかった。そして椛に言った。

 

「あの三人を出来るだけ距離を開けた場所に寝かせておけ。」

 

「あ、分かりました。」

 

そう言うと椛は文を妖夢と鈴仙がいる場所まで苦労しながらも運んで行った。そしてリナと再び対峙する。と、リナが口を開いた。

 

「私はお前ではなく悠岐かミクと戦いたかったな、お前なんて相手にもならない。」

 

「よく口が言えるもんだ。だったら、後悔すんなよ。」

 

「望むところだ。」

 

そう言うとリナは啓介に向かって火を吐いた。彼はそれを刀を回転させて防いだ。その瞬間にリナが彼を翼で叩きつけようとしたが彼は翼を回転しながら斬りつけた。そしてリナの目を両方とも斬りつけた。彼女の目からは鮮血が飛び散った。その間に啓介が硬い鱗を意図も簡単に砕き、斬りつけていく。その速さは尋常ではなかった。その様子を椛はぽかんとなりながら見ていた。リナの体から大量の鮮血が飛び散った。そしてリナは地面に倒れ、動かなくなった。そして、動かないリナに啓介が言った。

 

「これでも俺は別部隊団長だ、なめたらこうなるんだからな。覚えておけよ、このクソ野郎が。」

 

そう言うと彼はリナの頭に一発蹴りを入れた。それでもリナが動くことはなかった。そして彼は椛の元へ駆け寄る。そして言った。

 

「傷が大きいな、早く永遠亭へ行こう。魔王軍の雑魚兵が来ない内にな。」

 

「分かりました!」

 

そう言うと椛は妖夢を背負った。啓介は文と鈴仙を担いだ。そして二人は永遠亭へ走っていった。その場には力尽き、動かなくなった一体のドラゴンだけが残されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、大魔王は。窓から外の様子を見ていた。と、そんな彼の元へ一人の兵士がやって来て彼にあることを告げた。

 

「報告します、先程牛鬼とリナ様が倒されました!」

 

「ほう、牛鬼とリナを倒すほどの強さを持つ者か・・・。それで、倒した者は一体何処の者だ?」

 

「はい、それがどちらも影舷隊によって討ち取られました!」

 

「影舷隊だと!?我が軍をどこまで追い詰めれば気が済むと言うのだ、毅はどうした!!」

 

「はい、毅様ですがまだ情報が入っておりません。恐らくは作戦が順調に進んでいるか、あるいは誰かと戦っていると思われます。」

 

「何でもよい、毅が倒されれば我が軍は敗北に近い。軍にも十分言っておけ!」

 

「ははっ!」

 

そのまま兵士は部屋に一礼をして部屋を出ていった。一人になった大魔王は水晶玉に手を置いた。そしてある風景を映し出した。それは毅の様子だった。そして一言呟いた。

 

「貴様は死んではならん、必ず生きて帰ってくるがいい。」

 

そう言うと彼は水晶玉を元の状態に戻し、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館では毅がレミリアに急に殴り飛ばされ、吐血していた。そして口についた血を手で拭いながら言った。

 

「何があった、レミリア・スカーレット。」

 

毅が壁に衝突した衝撃で意識を失っていた隼人、パチュリーが目を覚ました。そして見た目から何かがおかしいレミリアを見る。そこには狂ったような不気味な笑み、そして紅く染まる目をしているレミリアがいた。明らかに普通ではなかった。それを見たパチュリーがある一つの仮説を口にした。

 

「もしかすると、あれは暴走だわ。」

 

「暴走?パチェ、それは何なんだ?」

 

「隼人、フランの暴走を知っているでしょう?」

 

「あ、あぁ知ってるよ。」

 

「それと同じよ。しかもレミィの暴走は滅多にないから珍しいわね。でも、あの毅っていう人を殺さない限り、レミィの暴走は治まらないわ。」

 

「マジかよ。」

 

そう言うと二人はレミリアの方を見る。彼女はまだ不気味な笑みを見せながら毅を殺そうとしていた。彼もその攻撃には必死で避けるが休む間なく攻撃を避けているため、彼の体力の消費量が多かった。毅は右手から橙色の光を溜めるとそのままレミリアに放った。

 

「光弾!」

 

それを見たレミリアは右手にグングニルを作り上げるとそのまま毅目掛けて投げた。彼の攻撃はレミリアのグングニルによって意図も簡単に消された。自分に向かってくると感じた彼はすぐさま退避する。グングニルは彼の後ろにいた隼人とパチュリーの目の前に当たった。その衝撃で二人は壁に衝突し、そのまま意識を失ってしまった。毅が上を向くとそこにはグングニルを右手に構えるレミリアが彼に向かって来ていた。そして彼目掛けてグングニルを降り下ろす。毅もそれに対抗すべく刀で彼女の攻撃を防ぐ。だが一発の攻撃の威力が強いのか、彼の持っている刀に少しずつヒビが入っていった。そして遂に彼女の攻撃に耐えきれなくなったのか、毅の持つ刀が粉々に砕け散った。そしてレミリアは武器を失った毅に目の前でグングニルを投げつけた。彼はそのまま吹き飛び、激しく吐血した。そしてゆっくりと自分に歩み寄るレミリアに向かってあることを言った。

 

「待て!あなたの部下には毒が入っているんだぞ?俺を相手してもいいのか!!」

 

「ウフフ・・・」

 

彼が何を言おうともレミリアは笑いながらゆっくりと歩み寄る。そして毅の目の前まで来ると再びグングニルを作り上げ、彼に向けた。そして刺そうとした時に毅がねだりを言った。

 

「待て、待ってくれ!最後にあいつに会わせてくれ!麻里に・・・麻里に会わせてくれ!あいつは、俺の・・・」

 

だが暴走している彼女の耳には何も聞こえる筈がなかった。そのままレミリアは毅の腹部にグングニルを刺した。彼は再び吐血し、そのまま動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴走が治まったレミリアは正気を取り戻した。そして彼女ははっとなる。そこには力尽きた毅と倒れている隼人、そして自分の仲間達がいた。と、レミリアは毅の言葉を思いだし、急いで咲夜の元へ駆け寄ろうとしたが突然、体に暴走した時の負担が降り注いだ。彼女はそのまま地面に倒れてしまった。這いながら彼女は咲夜の元へ行こうとしたがもう彼女には這う力が残っていなかった。そして意識も朦朧となり、誰なのか認識することが困難になった。と、その時だった。突然音もなく一人の男が咲夜の方へ歩いてきたのである。レミリアは男が誰なのかは分からなかった。だが断言出来ることはあった。あの男は啓介でもなく、ウロボロスでもなく、小宝剛岐でもなかった。男は明らかにその三人の身長を越えている。誰なのかは分からないが。男は咲夜の元まで来るとしゃがみ、彼女の額に右手を置いた。レミリアからすれば男が何をしているのかは理解出来なかった。そして男は咲夜の額から手を放すとそのまま霧のように消えていった。

 

「レミィ!」

 

男が消えた瞬間、倒れている彼女の元へやって来たのは悠岐だった。彼の体は傷だらけではあるがそれでも彼は平然に動いていた。そして彼はレミリアを抱えると彼女に言った。

 

「レミィ、しっかりしろ。レミィ!」

 

「ゆ、ゆう・・・き?」

 

「ああ、俺だ。悠岐だ。大丈夫か?」

 

「ゆう、き。それよりも・・・咲夜・・咲夜の体から、毒を抜いて・・・お願い・・・」

 

「咲夜の体から毒を抜けばいいんだな?分かった。」

 

そう言うと彼はレミリアを優しく地面に寝かせると急いで咲夜の元へ駆け寄った。と、悠岐が驚いた表情を見せながらレミリアに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「毒が完全に抜けてる。」

 

「えっ?」

 

「それに、傷痕もないしアザもない。完全に傷が癒えてるな。」

 

「どうして・・・」

 

と、レミリアはあることを思い出した。先程彼が来る前にいた長身の男が咲夜の傷を癒したのかもしれないとレミリアは思った。そして悠岐はレミリアに言った。

 

「恐らくだが、もう少しすれば咲夜は目を覚ますと思うよ。それまではここで待機しておきな。もうこの近くに雑魚兵はいない。俺は玄武の沢へ向かうよ、まだ雑魚兵が残ってるかもしれないからな。じゃ、またな。」

 

そう言うと彼は紅魔館を出ていった。レミリアはそんな彼の様子を黙って見ていた。




次作は王の逆鱗です。玄武の沢へ行くとそこにあの男が!果たしてその正体とは!?
次作もお楽しみに!
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