東方王戦録   作:ヤマタケる

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大魔王との激戦の末、ついに終わる魔王軍との戦い。東方王戦録第3章、大魔王編完結。


終戦

爆風がおさまった場所には力を出し尽くし、息が荒くなっている霊夢、衣玖、妖夢とそれを見る幻想郷の人間や妖怪達、そして神ガイルゴール。一同が見る場所には下半身を失った大魔王が倒れていた。と、突然霊夢、衣玖、妖夢が地面に倒れた。それに気づいた魔理沙、天子、幽々子がすぐさま駆け寄る。三人に続いて他の人達も駆け寄る。大魔王によって作られていた結界は既に消えていた。そして魔理沙は霊夢に言った。

 

「おい霊夢、しっかりしろ。霊夢!」

 

魔理沙の言葉が彼女に届いたのか、霊夢はゆっくりと目を覚ました。そして霊夢は魔理沙の手を握り、言った。

 

「魔理沙・・・」

 

彼女の顔には笑顔が浮かんでいた。衣玖と妖夢も霊夢と同様、目を覚ました。その時に剛岐、マーグル、モルト、霖之助がやって来た。

 

「何故だ・・・」

 

そう声を発したのは大魔王だった。下半身を失ってもなお彼は意識を保っていた。だが一同は戦闘の構えをしなかった。もう大魔王は戦える体ではないと理解したからである。そして彼は霊夢達に尋ねる。

 

「何故だ、何故現実世界で怖れられてきた我がこんなちっぽけな世界に敗れる?」

 

「あんたには理解出来ない、光の力よ。」

 

「光、だと?」

 

彼の問いに答えたのは霊夢だった。そして彼女は続きを話した。

 

「光は最初は小さな物なの。だけどそれが多く集まると一つの大きな塊となる。一人でしか動かないあんたのような闇には理解出来ないものよ。」

 

「出来ぬ、我には理解出来ぬ。」

 

そんな彼の元へ一人の少女がやって来た。衣玖である。彼女は倒れる大魔王の側に腰を下ろすと同時に彼を見ながら言った。

 

「公、残念ですが今の私は沢山薫ではありません。私は永江衣玖です。名前は奪われてしまいました。」

 

「・・・・我にとっては貴様はいつでも薫だ。最も我を裏切ることはない雰囲気を出している薫だ。」

 

「勿体ないお言葉。残念ですがあなたの命も残り僅かなようですね。」

 

彼女が見つめる方向。そこには大魔王の体が消えかけていた。そして衣玖は立ち上がり、彼に一言言った。

 

「お別れです、また会うことはないでしょう。では、さようなら。」

 

そう言うと彼女は歩いて霊夢達のところへ行った。彼は先程の霊夢の言葉を考え、今までのことを思い返してみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(大魔王様、それは駄目です!)

 

(えぇい邪魔だ!我の邪魔をするでない!)

 

副臣である山中毅とはあまりやっていけなかった。彼の忠告を無視し続けてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(大魔王様は何故このようなことを?)

 

(お前がこれを知る権利はない。)

 

彼が一番信頼していた部下、上山リナに何も教えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(随分派手にやったものだな。)

 

(これくらいは当然だ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの男だけ特別扱いを彼はしていた。いわゆる『差別』を彼は犯してきたのである。何事にも一人で励み、苦労することはあの男と共にやっていく。そんなことばかりであった。そう考えると衣玖が彼を裏切る理由が分かるかもしれない。いや、もしかしたら裏で衣玖の他にも謀反を考えていた者がいたのかもしれない。衣玖も毅もリナも、そしてあの男も。彼は理解した。一人で自分勝手にやりすぎたと。恐らく彼はこのまま衣玖が謀反を起こさなかったらリナか毅のどちらかが謀反を起こしていたと察した。そう考えると彼の仲間は誰もいない。あの男は途中で魔王軍から姿を消している。そう考えると彼は孤立無援の状態だった。部下に悪いことをした、だから自分に悪いことが起こってしまう、いわゆる『因果応報』が生じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日を振り返った彼は自分は身勝手な者だと理解し、そのまま塵となっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを見ていた霊夢達は辺りを見回す。魔王軍によって多くの幻想郷のものが壊れてしまった。もうあの日の幻想郷の風景はただの殺風景になった。と、その時だった。突如地面から木が現れたのだ。その数は100を越えている。さらに玄武の沢の地や妖怪の森が元に戻っていき、遂にはいつもの幻想郷が戻った。これには誰も驚きを隠せなかった。

 

「すげぇ。」

 

「元に戻った・・・」

 

誰がやったのかは誰もすぐに理解することが出来た。そしてそれを行ったものに目を向ける。ガイルゴールである。神であるガイルゴールは全てを作り出すことが出来るため、幻想郷を元に戻した。と、紫がガイルゴールに言った。

 

「感謝するわ、神ガイルゴール。あなた様のお陰で幻想郷に平和が訪れたみたい。」

 

「余の成すべく使命としては当然のことだ。礼を言うまでもない。」

 

そんなガイルゴールに魔理沙とレミリアが口を開いた。

 

「な、なぁ神様、またこの幻想郷に敵って現れるのか?」

 

「そしてまた犠牲者が出るような戦いになるの?」

 

そんな彼女達の問いをガイルゴールはすぐに答えた。

 

「安心するがいい、もう幻想郷に敵は訪れぬ。これからは平和な世となるだろう。」

 

「ど、どうしてそんなことが言えるんだぜ?」

 

「人間、余は誰だと思っている?余は神であるガイルゴール。世界の一切合切、森羅万象を知り尽くす余に知らぬことなどないぞ。」

 

「これでやっと、幻想郷に平和な生活がやって来たのね!」

 

「お前達も安心して過ごすことだな。では余はここで失礼させてもらおう。」

 

そう言うとガイルゴールは空に飛び始めた。と、突然マーグルがガイルゴールに言った。

 

「なぁ、俺達はこれからどうすりゃいいんだ?」

 

「五大王はそのまま世界を支える使命を果たせ。」

 

と、ガイルゴールがある方向を見つめる。その方向は守谷神社だった。そして一言言った。

 

「余の気に入りし存在、東風谷早苗よ。お前の今後の活躍、期待している。そして、次余を呼ぶ際には褒美を用意せよ。」

 

そう言うとガイルゴールは空に向かって飛んで行った。と、それを見ていた霊夢の右手に何かが握られていた。それを確認すべく彼女は握られていたものを見る。それは虹色に輝く石のようなものだった。それを見て紫が口を開いた。

 

「それ、神岩じゃない?」

 

「神岩?それは一体何ですか?」

 

「いい?ミク。これは神に選ばれた人のみが持つことの出来る、どんな攻撃をしても絶対に壊れない石の一つよ。」

 

その石は霊夢だけでなく早苗の手にも握られていた。それを見た加奈子が一言言った。

 

「驚いたな、まさか早苗が神に選ばれし者だとは。」

 

「神にねぇ。もう私達に選ばれてると考えると早苗って結構ずるいわよね。」

 

「諏訪子、それは言っては駄目だぞ。」

 

「はーい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、元に戻った幻想郷では人間と妖怪、幽霊に神が平和に過ごしている。もうここを襲撃してくる者はいない。そんな中、一人の男が一人で無縁塚に来ていた。啓介である。彼は無縁塚に入ってあるものを見つけた。それは大魔王が拠点としていた場所、魔王城である。ここは一度幻想郷を襲撃した帝王が拠点としていた場所と全く同じだった。啓介はそれに気づかずに魔王城を通りすぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵のいなくなったこの幻想郷は平和です。




次作からは第4章に入ります。大魔王を倒し、小宝城で宴会を開くことになった。だがそこでとんでもないことが起こってしまう!
次作もお楽しみに!
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