東方王戦録   作:ヤマタケる

36 / 50
生きていた悠岐、セコンド、そしてメルト・グランチ。


再会と共同

その夜、平和になった幻想郷ではある一人の男が小宝城から風景を眺めていた。現実世界最強の男、小宝剛岐である。そして一言発した。

 

「現実世界と幻想郷・・・この二つの世界で手を組んだらどうなるのか、気になるな。試してみようか。」

 

そう言うと彼は城の中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満月の夜、一人寺子屋で作業を行っている人物がいた。半分人間で半分白沢の上白沢慧音である。チルノのテストを丸つけしていたのである。

 

「全く、どこが勉強したんだあいつは!」

 

彼女はテストの結果に頭を抱えていた。結果は予想通り0点。これで100回目の0点テスト。流石の彼女も限界に近かった。

 

「何であいつはいつも0点なんだ!私の教え方が間違っているのか?ああ、もううんざりだ!」

 

そう言うと彼女は近くにあった折れた漆黒の刃に思わず手を出した。はっと我に返った彼女は漆黒の刃をそっと置いて言った。

 

「これは悠岐の物、大切に保管しないとな。」

 

そう言うと彼女は再び作業に取りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然襖が開く音がして慧音はその方向を見る。どうせ妹紅だろうと思いながら彼女は言う。

 

「妹紅か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが彼女の予想は外れた。彼女はやって来た人物を目を大きく見開きながら見る。

 

「ごきげんよう、久しぶりだね。白沢。」

 

彼女の元へやって来たのは長身で後ろ髪を束ねていて左手を背に回していて悠々とした姿の男、メルト・グランチだった。

 

「お前は、メルト・グランチ!ど、どうして・・・」

 

「何、あの世には大した宝は無かったものでね。冥界より蘇らせてもらった。」

 

「異界と現とも自由自在か!お前なら、あり得そうな話だ。」

 

「フフフ、誉め言葉として受け入れよう。今や影舷隊や博麗の巫女達は混乱している状態。」

 

「フン、そんなの分かりきっている。」

 

「黒き刀が生きていることに関しては卿と不死鳥、剛岐を除く者は疑心暗鬼となっているのだろう。いずれは誰も知ることになるだろうがね。」

 

「何のためにここへ来た!」

 

「何、ただ卿と話したかっただけだよ。」

 

そう言うと彼は慧音の隣までやって来るとそのまま腰を下ろして折れた漆黒の刃を見て言った。

 

「いやしかし残念だな。彼の言う通り漆黒の刃がへし折られたとはね。」

 

そう言うと彼は漆黒の刃を手に取った。そして見物しながら慧音に言った。

 

「だが宝と言うものは奥深い。それらは十人十色、己が永き時を経て作れば価値あるモノとして貴重な品となる。漆黒の刃はその宝達よりも価値があるモノ。だがへし折られたとは、まさに秋風索漠。」

 

「・・・・・」

 

「ところで、卿は小宝剛岐がある計画を立てているのは存知かね?」

 

「ある計画?」

 

「そう、身勝手だとは思うが彼自身が計画したものだよ。」

 

そう言うと彼は漆黒の刃を持ったまま立ち上がり、少し歩きながら言った。

 

「彼は異世界の者との相性を比較するために現実世界の者と幻想郷の者を組み合わせようとした。」

 

話す彼とは別に慧音はいつでも戦える体勢に入っていた。そんなことに気がつかないのか、彼は話を続けた。

 

「幻想郷の者は強き者を欲している。力を認められなければ二人組になることは不可能。」

 

「メルト・グランチ!!」

 

そう言うと慧音は白沢の姿になり、メルト・グランチに襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然彼女の目の前に一人の少女が現れ、慧音の首元に扇子の先を突きつけていた。思わず彼女は後ろへ下がる。そんな彼女とは別に少女が慧音に話す。

 

「こんばんわ、白沢さん。」

 

思わず慧音は少女の名前を叫んでしまった。

 

「お前は、綿月豊姫!」

 

「これで分かっただろう、白沢よ。既に小宝剛岐の計画は始まっているとね。ハハハ。愉快、愉快。」

 

そう言うと彼は持っている漆黒の刃に左手を置いた。その瞬間、折れた筈の漆黒の刃が元に戻っていた。思わず彼女は目を大きく見開いた。驚く彼女とは別に彼は笑みを浮かべながら言った。

 

「これを黒き刀に渡したまえ。これでなければ彼は面白くないからな。では、失礼する。」

 

そう言うと彼は豊姫を連れて霧のように消えていった。

 

(まさか帝王があの月人と手を組んでいるとはな・・・。これは益々面倒なことになるな。)

 

そう言うと彼女はまるで何事も無かったかのように作業を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、全員の元には1通の手紙が届いていた。その手紙にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻想郷にいる全ての者に告げる。これより、最強コンビ決定戦を開始する。ペアは必ず現実世界と幻想郷の者とする。現実世界どうし、幻想郷どうしは断じて認可しない。これの目的はいずれ現れるかもしれない敵と戦うために備える特訓だ。ペアを組むためには己の力で認めさせなければならない。それではお前達の今後の活躍に期待している。参加は自由だ。参加してもよし、不参加でもよし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを見た悠岐と妹紅は少し慌てていた。なんせ、自分の仲間とも戦うことになるのだから。そして悠岐は妹紅に言った。

 

「・・・だとさ。どうするんだ?妹紅。」

 

「私はやらない。」

 

「そっか、分かった。俺はやるけどな。」

 

「悠岐、絶対に勝ってくれ。ああ、一応霊夢達にはあんたが生きてることは伝えたから。」

 

「オッケー、ありがとな。」

 

「悠岐待って、これを。」

 

そう言って妹紅が悠岐に差し出したのは剛岐によってへし折られた漆黒の刃だった。思わず彼は目を大きく見開いた。そして言った。

 

「お前、どうしてこれを?」

 

「慧音から頼まれてたんだ。あ、これを直したのは麻里だから。」

 

「分かった。後で麻里にお礼を言っておかないとな。」

 

そう言うと彼は妹紅に手を振りながらどこかへ歩いて行った。彼女はそれをただ呆然と見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館ではミクが訪れていた。そして門の前で寝ている美鈴に言った。

 

「・・・あなたはいつまで寝てるつもりかしら?」

 

「・・・はっ!ミクさんじゃないですか。どうなさいました?」

 

「美鈴も見たでしょ?剛岐様から送られてきた手紙。」

 

「あっはい、そうですが・・・まさか私と組みに来たんですか?それなら私はお相手しますよ。」

 

「いや、別に私はあなたと組みに来た訳じゃないわ。別の人と組みに来たのよ。」

 

「私じゃない?では誰です?」

 

「レミィと組みたいと思ってるのだけと・・・」

 

「!!」

 

「駄目かしら?」

 

「その前に私を倒してからにして下さい。そうでなければここを通すわけには行きません。」

 

「面倒ね。まあ、いいわ。あなたと戦うのも悪くはなさそうだしね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マズイ、完全に迷った。」

 

悠岐は一人で行ったものの、迷いの竹林で迷ってしまったのである。

 

「仕方ない。ぼちぼちと進んでいくか。」

 

そう言うと彼は深い迷いの竹林を進んでいった。と、彼の進む方向に光が差し込んできた。彼は躊躇うことなくそこへ向かった。そこにいたのは啓介だった。一人で焚き火をしていたのである。そんな彼に悠岐が言う。

 

「・・・・何やってんだお前。」

 

「焚き火だよ。寒くて仕方ないんだ。それと悠岐、久しぶりだな。」

 

「ああ、久しぶり。」

 

「悠岐も見たんだろ、あの手紙。」

 

「ああ、見たよ。」

 

「噂じゃあ、剛岐は既に西行寺さんと手を組んだらしいぜ。」

 

「流石用意周到の小宝剛岐。もう手を組んだとはね。」

 

「悠岐はもう手を組んだのか?」

 

「いや、まだ誰も。そういう啓介は誰と組んだんだ?」

 

「俺は魔理沙と組もうとしてるんだが、生憎、あいつはアリスと組んでるらしくてね。」

 

「そうか。それなら仕方ないな。」

 

「ミクはレミリアのところへ行ったよ。あいつは闇と組みたいって言ってたからな。」

 

「闇、か。光と闇の合成ってやつか。」

 

「そういうことだな。」

 

「全く、剛岐は自分勝手なことをするよな。」

 

「本当だ。あの堕落を是非とも直してもらいたいものだな。」

 

「それと、お前はいつまでその眼帯を付けてるつもりだ?」

 

啓介の言葉に悠岐は思わず左目に手をあてる。そうだ、自分はまだこの眼帯を外すつもりはない。完全に治ってから彼は外すつもりだ。そして言った。

 

「俺はこれを外すのはもうちょっとしてからだ。まだ完全には治っていない。」

 

「・・・そうか。まぁ、お前らしいな。それと、今幻想郷には月人最強の綿月依姫が来てるって噂だぜ?」

 

「綿月依姫?」

 

「そう。月で最も強い者と呼ばれていてあのレミリアや魔理沙達が本気を出しても敵わなかったようだ。無論、あの八雲さんでもな。」

 

「八雲さんでも敵わないとは相当強い相手じゃねぇか。」

 

「今隼人とパチュリーが戦ってるようだが、俺からしてはどうも勝てそうにないんだよな。」

 

「ああ、なんせ最強と呼ばれているからな。あの二人が負けるのも無理もない。」

 

「悠岐、行ってやれ。もしかしたらお前なら勝てるかもしれないぞ。」

 

「は?何言ってるんだお前!あんな強い相手に俺が?」

 

「なんだ、影舷隊団長のお前が弱音を吐くのか?それはらしくないんじゃないのか?」

 

「・・・分かったよ。隼人とパチェはどこだ?」

 

「?あいつらなら妖怪の森で戦ってるよ。」

 

「ありがとう、俺は戦ってくる。」

 

「無事を祈る。」

 

そして悠岐は漆黒の刃を手にして妖怪の森へ走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の森では隼人とパチュリーが依姫と戦っていた。だが圧倒的に依姫が二人の力を上回っていた。

 

「本気を出しているのですか?私の相手にもなりませんよ。」

 

「うるせぇよ。・・・戦いは、これからだ!」

 

そう言うと隼人は依姫を斬ろうとするが、彼女の剣の使い方が上手いのか、彼の体から血が飛び散った。そのまま隼人は倒れた。そして依姫はそれを呆然と見つめるパチュリーを見ながら言った。

 

「やはり地上の民は相手になりません。あの男とまた戦いたいですね。では、ここで。」

 

そう言うと彼女はパチュリーに剣を降り下ろした。だが依姫の攻撃はパチュリーには当たらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故なら悠岐が防いでいたからである。

 

「何故!?何故私の攻撃が地上の民に防がれたのですか!?」

 

「俺だからだよ、綿月依姫。」

 

そのまま依姫は後ろへ後退した。その間に悠岐はパチュリーを見ながら言った。

 

「悪いな、パチェ。後は俺に任せろ。」

 

「分かったわ、私は隼人の治療をしておくわね。」

 

「ああ、頼むぜ。」

 

そう言うと彼はゆっくりと依姫の元へ歩いた。そして言った。

 

「あんたとの戦い、楽しませてもらうぜ。」

 

「いいでしょう。私もあなたの力には期待しています。」

 

 




次作は対決と裁判です。悠岐と依姫が戦ってる中、ある人物が裁判を受けていた。果たしてその人物とは!?
次作もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。