まず攻撃を仕掛けたのはレミリアだった。彼女は右手にグングニルを作るとスペルカードを使った。
「神槍スピア・ザ・グングニル!」
「!」
ミクは負けじと拳銃に青白い光を溜めると自分に向かってくるグングニルに放った。
「創造の一撃!」
二人の攻撃がぶつかった瞬間、力が互角だったのか、爆発が起こった。砂埃が舞う中、レミリアは翼に痛みを感じた。見ると翼の中心ところには銃弾で貫かれていてそこからは血が垂れていた。彼女は翼で砂埃を消すとそのままミクに向かって爪をたてた。そして彼女の腹部を切り裂いた。
「うっ!?」
ミクは思わず腹を押さえる。その隙にレミリアは再びグングニルを作り上げた。そしてミクに放った。
「神槍スピア・ザ・グングニル!」
ミクは腹を押さえながらもなんとかグングニルをかわすことが出来た。だが、
「甘いわね。」
「がっ!」
上から降りてきたレミリアが先程切り裂いたミクの腹部を踏みつけた。ミクは必死でレミリアから逃れようとするが彼女がそんなことを許すはず無かった。そして彼女はミクの目の前でグングニルを作り上げ、首元に当てながら言った。
「甘いわね、たかがあなたのような人間に私は負けはしないわ。勿論、悠岐にも負けやしない。私は悠岐と決着をつける。まずそのためにはあなたを倒さないとね。」
「くっ、私は・・・」
「あなたじゃ私には勝てやしない。諦めることね。さて、終わらせてもらうわ。」
そう言うと彼女はミクに向かってグングニルを降り下ろした。
だが彼女の攻撃はミクの左手によって受け止められていた。これにはレミリアも驚きを隠せなかった。そんなミクの顔には笑みが浮かんでいて目は青く染まっていた。そしてミクが口を開いた。
「愚かな妖怪が!お前はこの子の真の力というものを理解せずに戦うとはな!」
その声は先程の優しい声とは別に野太い、男の声だった。少し慌てたレミリアは近くにいた咲夜と美鈴に言った。
「何かがおかしいわ。二人とも、ミクを押さえて!」
深く頷いた咲夜と美鈴はミクを押さえた。ミクに触れた瞬間、咲夜と美鈴の手が少しずつ消え始めたのだ。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
「お、お嬢様!」
「このマスターハンドを捕らえることなど誰にも出来ない!無駄な行動をとるとお前の仲間が消えるぞ、このように!」
「分かったわ、だから余計なことはやめて。」
「よし。」
ミクがそう言った瞬間、咲夜と美鈴の消えかけていた手が元に戻った。そしてミクが言う。
「今話しているのはミクではない、ミクの体を借りてこの我、『マスターハンド』が話しているのだ。」
「マスターハンド?」
「聞いたことがあります。確か、『創造神の化身』と呼ばれた神ではないでしょうか?」
「全く持ってその通りだ。確かに我は神だが我が主、ガイルゴール様までは程遠い。さて、我がここへ来たのは他でもない、警告しにきたのだ。」
「警告?」
「うむ、今幻想郷で何かが進行して来ているのだ。」
「何かが進行している?それは一体どういうこと?」
「それはだな、何者かが計画を進めているのだ。」
「誰かが?それは一体誰のことかしら?」
「それが我にも分からぬ。お前達も十分に気をつけたほうがいい。」
「異変を起こしそうな人ねぇ。まぁ誰だっていいわ、私はそんなの気にしないし。」
「まあとにかく、影舷隊を現実世界に帰らせるのはまだ我にとっては早いと思うぞ?それをどうするかはお前達が決めるのだ。」
「・・・・なら、まだ幻想郷にいさせる。」
「ならば急ぐがいい、ミクには既に心中で伝えたが残りの5人には連絡が取れん。幻想郷を守るためにはこれくらいのことは必要だ。」
「なら今すぐに伝えることね!そうだ創造神、あの5人がどこにいるか知らない?」
「西田悠岐は玄武の沢で綿月依姫と戦っている。鈴木隼人もそこにいる。山下啓介は妖怪の森にいる。ウロボロス・サーカリアスと木下麻里は守谷神社にいる。あの二人は我が下部の八坂加奈子に伝えるように言っておく。お前達は他の者達に伝えるがいい。」
「分かったわ、ありがとね。」
「我はここで失礼させてもらう。」
その瞬間、ミクの目が元の黒い瞳に戻ったかと思うとそのままミクは眠ってしまった。そんな彼女を美鈴が背負った。そしてレミリアはフランを連れて玄武の沢へ飛んでいった。
玄武の沢では疲れきった悠岐と依姫がいた。二人の息づかいが非常に荒かった。そんな中、悠岐が口を開いた。
「なぁ、綿月依姫。俺と手を組まないか?そうすればこの世の平和が訪れるのも夢じゃないと思うんだが・・・」
「フッ、あなたらしい考え方ですね。いいですよ。」
「かたじけない。感謝するよ。」
悠岐がそう言った瞬間、何処からか足音が響いた。辺りを見回しながらその正体を掴もうとしていた。と、隼人が足音を立てた張本人を見つけた。そこにいたのは現実世界最強の男、小宝剛岐だった。彼は拍手しながらやって来た。そんな彼の後ろには幽々子がいた。そして四人に言う。
「いやー見事だったよ、悠岐。まさかあの綿月依姫を追い詰めるとはね。」
「お前、何しに来た?それとなんで西行寺さんがいるんだ?」
「気分でつれてきた。それよりも、俺が言ってたあの戦い、あれただの特訓だから、本気出す必要無いんだよね。」
「・・・は?」
訳が分からなかった。そんな状態で悠岐が剛岐に言う。
「じゃあ、全てパァってことか!?」
「違うよ、あれはただの腕試しだ。現実世界と幻想郷のね。けど、中々いい機会になったんじゃないか?」
「・・・・そうか?」
「あぁ!まっ、お疲れさん!」
「あっおい、待てよ!」
慌てて呼び止めようとしたがその時には剛岐はいなかった。なんて自分勝手なやつなんだ。彼の心の中にはそれしかなかった。そんな中、翼の音が聞こえた。パチュリー達はその方向を見る。そこにはレミリア、フラン、咲夜、美鈴、小悪魔がいた。美鈴はミクを抱えたままやって来たのである。地上に降りるとレミリアは真っ先に悠岐の元へ向かい、彼に飛び付いた。
「なっ!?」
急に飛びつかれたため、悠岐は慌てる。慌てながらも悠岐は自分にしがみつくレミリアに言った。
「おいレミィ、飛びつく気持ちはわかるけど、急に飛びつかれたら痛いだろ?」
「よかった・・・悠岐が生きてて本当によかった!」
そんな彼女の目には大量の涙の粒が零れていた。そんな彼女を悠岐は優しく抱き締めながら言った。
「ごめんな、レミィ。俺はお前に迷惑をかけちまったな。本当にごめん。」
「いいわ、悠岐が無事なだけなら・・・」
「さて、レミィらはここへ何しに来たんだ?」
「マスターハンドの警告を伝えに来たのよ。ミク、麻里、啓介、ウロボロスには伝えたけどね。最近幻想郷で何かを企む人が出てきたらしいの。」
「企む?」
「だから悠岐達にはもう少し幻想郷にいてもらいたいの。それと、この月人を倒すためにね!」
「望むところです、吸血鬼。」
「お前らやめろ!」
二人の戦いを止めたのは悠岐だった。そして二人に言う。
「今内で争ってる場合じゃない。第一、レミィは依姫に勝てるか?俺は勝てる自信がない。」
「・・・・」
「さ、二人とも戦いはやめろ。」
そう言われた二人は呆れた顔をしながら武器をしまった。そして続きを言うかのように隼人が口を開いた。
「とにかく今俺達が出来ることを為し遂げよう!」
「そうですね、私も賛成です。」
「じゃあこれで決まりだな。俺達は後1週間は幻想郷にいることにするよ。それ以上は滞在出来ないからな。」
「それじゃあ俺は失礼させてもらうぜ。」
そう言うと隼人は一つの笛を取り出すとそのまま演奏をし始めたのだ。それと同時に悠岐が左手に炎を灯した。その瞬間、彼の後ろから全身赤い鱗で覆われていて、体長64m程の大きさの龍が現れた。
「クリレ、俺が使う龍の名前だ。」
そして悠岐は依姫を連れて龍の背中に乗った。そしてそれを見るレミリア達に言った。
「俺達も出来ることはする。お前達も頼んだぞ。」
「オッケーよ!」
その後に巨大な揚羽蝶が現れた。隼人はそれに乗って悠岐と同じ方向へと飛んでいった。
次作からは4,5章に入ります。緊急の事態に!霊夢達はこの異変に打ち勝つことが出来るのか!?
次作もお楽しみに!