こいしの左目から大量の鮮血が飛び散った。そのままこいしは何も言わずに倒れた。えぐり取った目からはまだ鮮血が飛び散っている。ウロボロスを見てメルト・グランチは笑みを浮かべた。
「まさか卿が来るとは思ってもなかったよ。」
彼が言ったのと同時にウロボロスがメルト・グランチに刀を降り下ろした。彼はそれに対応し、防ぐ。刀がぶつかったままウロボロスがメルト・グランチに言う。
「テメェ、目的はなんだ?」
「目的?決まっているだろう。幻想郷の強者の宝を頂く以外ないよ。」
「何故こいしを狙った!」
「彼女の第三の目の力の源がこれだからだよ。」
「テメェ!ぶっ殺してやる!」
そう言うとウロボロスは自分の腕に巻いてあった鎖をほどいた。その瞬間、ウロボロスの鎖が輝きだしウロボロスは人間から緑色をした巨大な獣の姿になった。そして大きな雄叫びを上げた。
「ほう、面白いものだな。卿と戦うのも悪くはないな。」
ウロボロスはメルト・グランチを踏み潰そうと足を振り上げ、襲いかかる。だがメルト・グランチは全く疲れている表情を見せず、むしろウロボロスを弄んでいるように見えた。こいしをやられ、さらに地霊殿の人達を痛めつけたメルト・グランチをウロボロスは許すはずがなかった。ウロボロスは目を光らせ、目から光線を放った。メルト・グランチはそれを片手で受け止めた。
「チィッ!」
思わず舌打ちをしてしまうウロボロス。だが彼はその瞬間にメルト・グランチに向かって走り出し、切り裂こうとした。だがそこにメルト・グランチはいなく、何もない殺風景が広がっていた。後ろに気配を感じ、振り返るとそこにはメルト・グランチがいた。
「フフフフフ。」
ウロボロスを襲おうとはせずただ黙って笑みを浮かべていた。ウロボロスはメルト・グランチに再び襲いかかった。その瞬間、メルト・グランチが指を鳴らした。その瞬間、ウロボロスの足元から巨大な炎岩が突き出てきた。ウロボロスは反応できず、当たってしまった。
「ぐあっ!」
たった一撃でウロボロスは元の姿に戻ってしまった。だがウロボロスは立ち上がり、再びメルト・グランチに挑もうとした時だった。
「っ!?」
ウロボロスは胸部に痛みを感じ、そこを見た。そこにはメルト・グランチの持つ宝刀がウロボロスの胸部を貫いていた。
「ガハッ・・・」
ウロボロスは大量の血を吐いた。さらにメルト・グランチは宝刀を無理矢理ウロボロスから引き抜いた。ウロボロスは倒れ、メルト・グランチは不気味な笑みを浮かべながら彼を見ていた。
「どうかね?苦しいか?」
「ガハッ・・か・・・」
「もはや卿には話す力も残ってないようだな。それもそうだな、私は卿の心臓を貫いたからなぁ。」
「!?」
「もう卿には生きる力もないよ。残念だったな、卿は他の仲間に最後の言葉も残せず死んでいくのだからね。」
その瞬間、ウロボロスの意識が遠くなっていった。心臓が機能しなくなっていた。目眩がする。息苦しい。ウロボロスは力を振り絞り、声を発した。
「すま・・・ない・・麻・・・・・里・・・」
最後の言葉を発するとそのままウロボロスは息絶えた。動かないウロボロスにメルト・グランチは彼の頭に左手を置き、一筋の緑の光の玉を取り出した。そして死んだウロボロスにこう言った。
「卿からは『魂』を貰おう。影舷隊別部隊副団長、ウロボロス・サーカリアスの魂。恐ろしき軍隊と恐れられた影舷隊の幹部の宝、この手の上に翳す価値はある。安心するといい、卿の残骸は燃やさないでおくとするよ。卿の残骸を見て悲しむ黒き刀達の顔を見るのが私の嗜みなのでねぇ。では、さようならだ・・・」
そう言うとメルト・グランチは地霊殿を去っていった。
その頃、悠岐と麻里は・・・。守谷神社付近を捜索していた。だがそこにはセコンドもメルト・グランチもいなかった。
「あの二人いないわね、どこへ行ったのかしら?」
「さあな、奴らのことだ。きっとどこかにいる。」
その瞬間、悠岐はあることに気がついた。地霊殿の存在を忘れていたのだ。すぐさま悠岐は麻里を連れて地霊殿へ向かった。
「ちょっ、悠岐?どうしたの?」
「さとりが危ない、急ごう!」
二人が地霊殿に着くとそこには倒れている勇義、お空、燐がいた。二人はすぐさま三人の元へ向かい、安否を確認した。
「おい燐、お空!しっかりしろ。」
「勇義、しっかりして!」
三人は目を覚まさなかった。だが三人が息をしているのを確認した二人は安心した。悠岐はさらに奥へと進んだ。そこには第三の目を無くしたさとりが倒れていて、その隣に左目を無くしたこいしが倒れていた。再び二人は二人の安否を確認した。二人も息をしていた。とその時、麻里があるものを発見した。それはうつ伏せで倒れているウロボロスだった。
「ウロボロス!」
麻里はすぐさまウロボロスの元へ駆け寄った。彼女につづいて悠岐もウロボロスの元へ駆け寄った。
「ウロボロス、しっかりして、ウロボロス!」
「なあ、麻里。多分もうウロボロスは・・・」
「そんなはずない!ウロボロスは生きてるもん!ウロボロスが死ぬはずないもん!」
「だが麻里、そいつは息をしていない。」
悠岐の言葉に麻里はピクリとなった。そして悠岐の方を見た。
「まさか・・・ウロボロスは・・・・・・死んだの?」
「俺からはそう見える。恐らく今心肺停止状態だろう。もう奴らに先越されたか・・・」
「そんな・・・・ウロボロス・・・いやあぁ!」
麻里は号泣しながら動かないウロボロスに飛び付いた。一番彼女を理解してくれたのはウロボロスだった。そんなかけがえのない彼を失った麻里の絶望は大きかった。大量の涙の粒がウロボロスの顔に垂れる。麻里は泣きながら悠岐に尋ねた。
「・・・ねぇ、悠岐。ウロボロスを殺した犯人は誰だか分かる?」
「あたりに火薬が少量残っている。恐らくメルト・グランチの仕業だな。」
「メルト・グランチ・・・憎いわ。あいつがとても憎くて仕方ないのよ!あの梟を絶対に殺す。悠岐、あなたも手伝ってくれる?」
「当たり前だ。ウロボロスを殺されたんだ。あいつの仇を打ってやらないとな。」
「行きましょう、メルト・グランチの所へ。」
「ああ、行こう。」
そう言うと二人は怪我人を小宝城まで運んでいった。
その頃、竹林では・・・。啓介、魔理沙がいた。敵にそなえて竹林を捜索していた。そこへ長身で黒いジャンバーに灰色のジーパンを履いた男、セコンドが再び二人の前に現れた。
「また君達か。まあ再び戦うのも悪いことじゃない。」
「セコンド!ここでくたばりやがれ!」
そう言うと啓介と魔理沙はセコンドに襲いかかった。だがセコンドは二人を同時に殴り飛ばした。
「っ!!」
そして二人の目の前まで飛んできた。まず始めにセコンドは近くにいた魔理沙を蹴り飛ばした。
「ぐふっ。」
魔理沙は吐血し、うずくまった。次にセコンドは啓介を狙った。見えない速さで啓介に殴りかかった。啓介は全て防いだが、刀に大きな損傷を受けた。気づくと啓介は民家の壁まで追い詰められていた。
「がっ!?」
次の瞬間セコンドは啓介の首を掴み上げ、壁に叩きつけた。啓介は必死に抵抗し、放れようとしたが放れなかった。そしてセコンドは刀を取りだし、啓介に向かって突き刺した。
「っうあぁ!!」
それに啓介は苦しみながらも刀で防いだ。そしてセコンドを蹴り飛ばした。その衝撃でセコンドは啓介を放した。
「ハァ、ハァ。」
啓介は咳き込みながら息を取り入れた。その瞬間、セコンドは啓介の背中を切りつけた。痛みに耐えながらも啓介はセコンドを殴った。セコンドは啓介の拳を受け止めると、啓介を地面に叩きつけた。それを見て魔理沙は啓介を救出しようとマスタースパークを放った。啓介はそれに反応し、セコンドから放れた。
「おお?」
その瞬間、セコンドにマスタースパークが命中した。セコンドの周りからは砂埃が舞い上がった。しばらく観察していると、二人は背後から気配を感じた。後ろにはセコンドがいた。振り返ったのが遅かったせいか、啓介は地面に叩きつけられ、切られた背中を踏まれ、魔理沙はセコンドに首を掴まれ、持ち上げられた。
「んがが・・・あぁ・・・」
魔理沙は足をジタバタさせながら必死に放れようとしたがセコンドの左手は鉄のように硬く、放れなかった。
「テメェ、魔理沙を・・・放せ!」
「何故放す必要があるんだい?私は君達を殺すつもりでやっているんだよ。放すはずないだろう。」
「あ、あぁ・・・」
魔理沙の足が段々と弱々しくなっていった。啓介はセコンドに傷口を踏まれているため、背中から鮮血が吹き出していた。
「竹林は私が支配しておこう。あとはグランチがやってくれるだろう。」
「テメェ、いい加減にしろ!」
「いい声だね~山下君、だがやめるつもりはないよ。」
その瞬間、どこからか光の玉がセコンドに命中した。
「何っ!?」
光の衝撃を受け、セコンドは啓介から降り、魔理沙をな放してしまった。
「ハァ、ハァ・・・」
魔理沙は激しく息を取り入れた。光が飛んできた方にいたのは緑色の髪で後ろ髪は腰辺りまで伸びていて青い目をしていて拳銃を手にしている少女、ミク・サイバーグレントだった。
「二人とも大丈夫だった?」
「あぁ、問題ない。」
「感謝するぜ、ミク。」
「後から霊夢が来るわ。」
彼女の言う通り、霊夢が遅れてやって来た。そしてセコンドの戦闘に構えた。
「気を付けろ、奴はただ者じゃねぇ。」
「分かってるわ。」
「フフフ、君達にとっておきの情報を教えてあげるよ。」
「!?」
突然に言われて四人は焦った。
「いや~流石はグランチだ。地霊殿の妖怪達と仙人を容易に倒すとは。それと、君達の仲間のウロボロス君はグランチに殺され、魂を取られたようだな。」
「なっ、ウロボロスが死んだ!?」
「確かにウロボロスの気配を感じないわ。まさか本当に死んだなんて・・」
「恐らくグランチは次に紅魔館に行くだろうな。力を返してもらいたいと言っていたからな。」
「紅魔館!?レミリアが危ない!」
「安心するといい、私は紅魔舘には行かないよ。いや、行く理由が見当たらないな。」
「力を返してもらう?セコンド!テメェそれはどういうことだ!」
「グランチは過去にある人物に力を貸したままでまだ返してもらってないんだよ。グランチはそれを返してもらいに行くだけだよ。」
「とりあえず私はあなたを倒すことに専念します。メルト・グランチさんの企みを止める他、あなたを倒すことも考えないといけませんから。」
「いい度胸だな、ミクよ。私に勝てるというのならやってみるがいい。」
セコンドが四人に攻撃しようとした時だった。セコンドの隣に一人の忍者が降りてきた。
「セコンド様、伝令です。」
「どうした?」
忍者の話が終わった瞬間、セコンドは笑みを浮かべ、霊夢達を見た。そしてこう言った。
「私は今日は引くとするよ。グランチも休みたいと言ってたからな。それじゃあ失礼するよ。」
「まて!」
啓介がセコンドを追おうとしたがセコンドは霧のように消えていった。そのまま四人は影舷隊の小屋まで戻っていった。
小屋に入るとそこには悠岐と麻里がウロボロスを見つめていた。近くには隼人と藍、妖夢、紫、幽々子がいた。ミクと啓介は走ってウロボロスの元へ向かった。
「こいつは・・・死んだのか?」
「あいつらとの戦いに犠牲はつきものだ。いつ、誰が死んでもおかしくない。」
「ウロボロス、あなたの仇は私達が取るわ。あなたは今は安らかに眠ってちょうだい。」
「悠岐、メルト・グランチは明日、紅魔舘を襲撃するらしいわ。準備しときなさいよ。」
「あぁ、分かってるよ。レミィ達は死なせない。」
「今はもう寝ましょう。明日にしっかりと備えないといけないからね。」
紫の提案により、みんなは眠りについた。
ついにメルト・グランチとの戦いによって犠牲者が一人でてしまった。悠岐は犠牲が増えると推理する。
さて、次作は犠牲と主です。メルト・グランチが紅魔舘を襲撃する。果たしてレミリア達は生き延びることが出きるのか!?