「はーあ、疲れたなぁ。」
霊夢と魔理沙が麗夜と戦っている中、仕事を終えた鈴仙が永遠亭へ向かっていた。彼女は頭の中であることを考えながら歩いていた。
(でも、どうして師匠はあの人に薬を渡せと言ったんだろう・・・あの人見た目からして元気そうなのに。)
彼女はそんなことを思っていた。
時は1時間前。永遠亭でいつものように永琳に薬の配布を任された鈴仙は彼女から1つだけ違う色の袋を渡されたのである。これを見た鈴仙が口を開くよりも永琳が言う。
「これをマーグルさんに届けて欲しいの。」
「マーグルさん?あの方は何処にいるのですか?」
「確か、守矢神社の麓だったかしら。そこにいるはずだから任せるわ。」
「はい!」
そして永琳の言う通り、守矢神社の麓には小さな小屋があり、そこには『マーグル予言店』と書かれた看板があった。鈴仙は小屋にノックするとそのまま中へ入った。
「失礼します。」
中に入るとそこには椅子に座り、机の上で水晶玉に何かを浮かび上がらせている光王ゴールド・マーグルがいた。彼は鈴仙の存在に気がつくと水晶玉に力を込めるのをやめて、彼女に話しかけた。
「おお、お前さんは永琳のところの鈴仙優曇華院イナバだっけ?」
「あっはい、そうです。師匠に頼まれてお薬を渡しに来ました。」
そう言うと彼女はマーグルの机の上に薬の入った袋を入れた。マーグルはそれを受けとり、鈴仙に言った。
「今後は気をつけな。さっき予言したら不吉なことが起こるようだからな。」
「あっはい、ありがとうございます!」
そしてもうすぐで永遠亭に到着する時だった。彼女の目線に一人倒れている少女が入った。鈴仙はすぐさま少女の元へ駆け寄る。そして倒れている少女の名前を言う。
「てゐ!」
鈴仙はてゐの体を優しく抱き上げた。てゐの体は刀で斬られた場所が所々あり、右腕に至ってはあらぬ方向へ曲がっていた。
「てゐ、しっかりして!てゐ!」
「れ、い・・・・・せん?」
彼女の呼び掛けにより、てゐは弱々しい声を発するも目を覚ました。それを見た鈴仙はほっと溜め息をはいた。そんな彼女にてゐは弱々しい声で言う。
「い・・・急ぐ・・・ウサ・・・お、お師匠様と、姫様が・・・」
それを聞いた瞬間、鈴仙はてゐを安全な場所へそっと寝かせた。そして永琳と輝夜の元へ走っていった。
(お願いします、師匠、姫様。生きてて・・・)
彼女は心の中で必死に祈った。そして永遠亭の中心へ来たときだった。
「ぐ・・・あぁ・・・」
そこには長身の男に首を掴まれ、持ち上げられている輝夜と、男の足元でうつ伏せで倒れている永琳がいた。
「師匠!姫様!」
彼女は思わず声を上げてしまった。彼女の存在に気づいた長身の男、メルト・グランチは輝夜を持ち上げながら言った。
「おや?戻ってきたのかね?鈴仙優曇華院・イナバよ。」
「何故あなたが生きているのですか!?いや、それよりも姫様を放して下さい!」
「クッククク、生憎だがそれは無理な話だな。蓬莱山輝夜はまだ動ける。彼女を動けなくするまで痛めつけるのが私だ。」
「あなたが放さないのであれば、私自ら姫様を救うまでです!」
そう言うと彼女はスペルカードを取り出した。そして発動した。
「狂符ビジョナリチューニング!」
彼女の放った攻撃は一直線にメルト・グランチの方へ向かっていく。だが彼は一歩も動こうとしなかった。そして彼が不気味な笑みを浮かべた時だった。
何者かがメルト・グランチに当たる直前に彼女の攻撃を防いだ。鈴仙はその正体を見つけようと防いだ者を見る。それを見た瞬間、鈴仙は目を大きく見開いた。そんな彼女とは別に、防いだ者が彼女に言った。
「久しぶりね、レイセン。」
鈴仙は目を大きく見開いたまま者の名前をおそるおそる口にした。
「と、豊姫様?」
鈴仙の一言に何かを感じたメルト・グランチが豊姫に言った。
「仮の話だが、彼女は卿の部下なのかな?」
「どちらかと言えばペットですわ。八雲紫らが月へ侵略しに来てそれを怖がったレイセンはどこかへ逃げた。そして何処をさ迷っているのかと思えば、地上にいた、というわけね。」
「ほう、中々興味深い話だな。彼女は自らの命を救うために主君である卿を裏切ったということになるのだな。」
「えぇ、そうよ。」
二人が話している内に鈴仙の表情はどんどん恐怖に陥った。そしてメルト・グランチの手首を掴んでいた輝夜の手が放れ、そのままだらんとなってしまった。それに気づいたメルト・グランチは輝夜の首を放した。
「姫様!」
「安心したまえ、気を失っているだけだ。さて、君にはおとなしくしてもらおう。我々はこれから先代巫女復活計画を立てる。邪魔はされたくないのでね。」
「永琳様と輝夜様には失礼だけど、私はこの計画に参加させてもらうわ。」
「豊姫よ、卿は影舷隊を滅ぼしていってくれたまえ。私は彼女らを痛めつけてから行く。」
「分かったわ、それじゃ、よろしく頼むわね。」
そう言うと彼女は鈴仙にウインクするとそのままどこかへ飛んでいってしまった。それを見届けたメルト・グランチはゆっくりと鈴仙に歩み寄る。
「な、何をするつもりですか!?」
「少し眠ってもらうよ。」
次の瞬間、何者かがメルト・グランチの左足を掴んだ。彼が足元を見るとそこには輝夜が彼の進行を妨げていた。そして彼に言った。
「やらせない・・・わよ、やらせた、らただじゃおかない・・・わ。」
「・・・・・」
彼は黙って彼女を見つめていた。そして笑みを浮かべながら言った。
「ハハハ、まだやり足らなかったか。ではもう少し、痛めつけるとしよう。」
そう言うと彼は自分の足を掴む輝夜の首を再び絞めた。そしてそのまま彼女を空中に持ち上げた。輝夜は彼の左手から放れようと必死に抵抗するが、鉄のように硬く、放れなかった。
「っく、ぐ・・・。」
「そういえば、卿と同じ不老不死の不死鳥にも似たようなことをしたな、では好都合だ。卿には『苦痛』を送ろう。」
「やめて下さい!姫様を放して下さい!」
輝夜を助けようと鈴仙が必死に叫ぶ。そんな彼女に輝夜が苦しみながらも言った。
「イ、イナバ・・・逃げて・・・。」
「そんなことは出来ません!姫様と師匠を置いて逃げるわけには行きません!」
「お願い・・・イナバ・・・。」
そんな輝夜の顔には涙が零れていた。そんな中、メルト・グランチが笑みを浮かべながら言った。
「さぁ、絶望を味わうといい。主が討たれるという絶望をね!」
「あ、あぁ・・・」
次第に輝夜の抵抗する力が弱まっていった。そしてメルト・グランチが宝刀を彼女に突き刺そうとした。
「姫様!」
間違いなくメルト・グランチの攻撃が輝夜に命中する時だった。突如三人の元へある男がやって来た。男は腰まで伸びる白髪に腹部には鎧をつけていて顔を一部隠していて大鎌を二つ持っている、村山小太郎が現れた。そして彼に言う。
「メルト・グランチ様、麗夜君に博麗霊夢と霧雨魔理沙を襲撃するよう命じました。そして私は守矢の巫女の元へ向かいます。神仏の者によると、今あの二体の地神は眠っているようなので。」
「分かった、私は紅魔館へ向かおう。守矢の巫女は卿に任せる。期待してるよ。」
「勿体ないお言葉、この村山、必ず果たしてみせます。」
そう言うと彼はどこかへ飛んでいってしまった。その後にメルト・グランチは輝夜の首を放した。
「ゴホッ、ゴホッ。」
輝夜はその場で激しく咳き込む。その瞬間、鈴仙が輝夜の元へ駆け寄った。そんな二人に彼は言う。
「また会おう。生きて会えたらね。」
そう言うと彼は霧のように消えていった。
「大丈夫ですか?姫様。」
鈴仙は彼女の首を見た瞬間、目を大きく見開いてしまった。何故なら輝夜の首の所々に棘が刺さったような傷が出来ており、そこからまだ血が垂れていた。
「まさかこれは、帝王の・・・」
「おそらくそうね、奴は相当やる気のようね。」
「と、とりあえず、だ、大丈夫じゃなさそうですね。今お薬持ってきますので待ってて下さい!」
「え、えぇ。任せるわ。」
「夢想封印!」
「マスタースパーク!」
妖怪の森では霊夢と魔理沙が麗夜との戦闘に入っていた。次々とスペルカードを使う二人に麗夜が言う。
「『そんなに早くスペルカードを使って大丈夫かい?僕的にはそういうやつは後に放つものだと思うんだよね。」』
そう話している内に既に彼の目の前に夢想封印とマスタースパークがあった。そしてそのまま爆発した。そんな彼に魔理沙が言った。
「甘いぜ、それで私達を油断させようとするのは大間違いだぜ。」
「魔理沙の言う通りよ。あんたはそういう油断が多いのよ。」
「『そっかぁ、じゃあガチで行っていいね?』」
突如背後から声がしたため、霊夢は振り向きざまに弾幕を放とうとしたが先に麗夜が投げつけた螺子が彼女の右肩に命中する。そのまま霊夢の肩から鮮血が飛び散る。
「霊むぐっ!?」
魔理沙が霊夢の方を見て叫ぼうとした瞬間、麗夜の右手が彼女の口を塞いでいた。魔理沙は彼の手首を掴み、放れようとするが放れなかった。そんな彼女に麗夜が言う。
「『君は魔法を使う、僕と同じ人間なんだよね。でももしそれが失っちゃったらどうなるだろうね?』」
「まさか・・・」
「『それじゃ、逝こっか♪』」
「んん!?」
「させない!」
そう感じた霊夢は麗夜に弾幕を放とうとしたが彼女の攻撃は麗夜に気づかれており、彼は霊夢の左腕に螺子を投げつけた。その勢いで近くにあった木に突き刺さる。霊夢は自分の腕に刺さる螺を抜こうとするが、深く刺さっているのか、放れなかった。そんな彼女とは別に麗夜が魔理沙を見ながら口を開いた。
「『大嘘憑き、君の能力を無かったことにしたよ。』」
そう言った瞬間、麗夜は魔理沙から手を放した。そのまま魔理沙は頭を抑えながら地面に崩れた。そして言う。
「わ・・・私の能力が・・・・消えた・・・」
彼女の顔には絶望しかなかった。絶望を味わう彼女とは別に麗夜が笑いながら言う。
「『アハハハハ!!ハハ!ねぇ魔理沙、今どんな気持ち?長年霖之助さんと共に苦労して身につけた力を一瞬で失うなんて、どんな気持ち??』」
「麗夜!!あんたって人は!!」
「『フフ、怒る霊夢のその表情、嫌いじゃないよ。さて、もう僕は君達に用はない。聞くよ、一回しか言わないからよく聞いてね、いくよ?』」
麗夜が言った一言は二人の予想を遥かに越えることだった。
「『どっちから消えたい?』」
あまりにも衝撃過ぎた一言だったのか、二人は何も言えずただ呆然とするしか出来なかった。そんな中、麗夜が口を開いた。
「『君達は一緒に消えたいのかな?それじゃあつまらないよ。一人ずつ消えてその時の絶望を味わう表情が僕は好きなんだ。じゃあ折角だから魔理沙から消すね!』」
そう言うと彼は魔理沙の元へ近寄った。そして左手を出したその時だった。
突如背後から気配を感じた麗夜はゆっくりと後ろを振り返る。そこにいた者に彼は驚きを隠せなかった。何故ならそこには怒りに染まった赤い瞳に黒い刀、漆黒の刃を持つ少年、悠岐がいたからである。そして彼が刀を降り下ろした瞬間、激しく砂埃が辺りに舞った。
次作は進行する計画です。能力を失ってしまった魔理沙、対峙する悠岐と麗夜。果たしてその結果はいかに!?次作もお楽しみに!
P,S
これって考えていてみると主人公vs主人公だよね?(笑)