彼の一撃を見た二人はただ呆然とするしか出来なかった。そんな中、砂埃が徐々に消えていった。そしてその光景を見た霊夢と魔理沙は驚きを隠せなかった。
「『危ないなぁ、急に背後から攻撃するなんて、卑怯にも程があるよ。』」
そこには悠岐の攻撃を後ろ向きのまま螺子で受け止めている麗夜がいた。そして二人は同時に距離を取った。と、悠岐が麗夜に言った。
「誰だテメェ、服装を見る限りは帝王軍ではなさそうだな。だが、霊夢達を攻撃するなら敵の対象に変わりはない!」
「『アハハ、怖いこと言うねぇ、君。いや、力強さでも君は十分恐ろしいよ。』」
そう言った瞬間、彼が先程悠岐の攻撃を受け止めた螺子にヒビが入り、最終的には粉々に砕けた。そんな彼の左腕の形は明らかに普通ではなかった。そして麗夜は言う。
「『君のさっきの一撃、相当力を出したみたいだね。なんせ、僕の螺子を砕いたし、僕の左腕の骨を粉砕したからね。』」
その言葉を聞いた瞬間、霊夢と魔理沙は驚きの表情を見せた。そんな二人とは別に悠岐が麗夜に言う。
「当たり前だ。俺はテメェをぶっ殺すためにやってるんだからな。手加減はいらねぇだろ。」
「『勿論、いらないよ。もう治るからね。』」
そう言うと彼は粉砕骨折した左腕を空いている右手で掴み、言った。
「『大嘘憑き、僕の粉砕骨折を無かったことに。』」
その瞬間、麗夜の形がおかしかった左腕が元に戻った。それには二人とも驚きを隠せなかった。だが悠岐はそれでも冷静に彼を睨みながら言う。
「まずはテメェをぶっ倒してから、メルト・グランチを倒すとするか。」
「『メルト・グランチ様を倒すのかい?今の君じゃあ、無理な話だと思うけど?』」
「黙れ、たかが『大嘘憑き』という得体の知れない能力を持ちやがって。死ぬ覚悟は出来てるんだろうな?」
「『勿論だとも。そういう君こそ、まだ準備が出来てないんじゃないか?』」
「俺はいつでも準備万端だ。」
彼がそう言った瞬間、麗夜が彼目掛けて螺子を投げつけた。だが彼はそれを素早く見切り、漆黒の刃で弾いた。これには麗夜は驚きを隠せなかった。そんな彼に再び悠岐が言う。
「言っただろ?『いつでも準備万端だ』ってな。」
「『フフフ、本当に面白いね君は。じゃあ、どんどん行くよ!』」
そう言うと彼はスペルカードを取り出した。そしてそれを発動した。
「『夢想封印』」
「!?」
悠岐は驚きを隠せないまま麗夜が放った攻撃を上手くかわす。続いて悠岐も攻撃を放つ。
「悪の波動!」
麗夜はそれを螺子で防ぐとそのまま大量の螺子を彼目掛けてどんどん投げつけた。悠岐はそれを弾いていく。所々体に命中するものもあった。それでも彼は螺子を弾きながら左手に紫の光を貯めてそれを放った。
「龍の波動!」
「『げっ!』」
彼はすぐさま螺子で防ぐが、威力が強いため、そのまま押し出されていき、遂には太い木に衝突した。
「『ガハッ、ふぅ・・・』」
衝突した勢いで麗夜は吐血するが、まだ余裕の笑みを浮かべていた。そして再びスペルカードを取り出すとそのまま攻撃を放った。
「『マスタースパーク。』」
麗夜の放った攻撃を悠岐は『波動の鉄壁』を使って防いだ。その瞬間、彼は腹部に激痛を感じ、そのまま自信の腹部を見る。そこには長さ50cmほどの螺子が彼の腹部を貫いていた。
「ゴプッ!・・・」
彼は無理矢理螺子を抜くとそのまま吐血し、地面にうずくまった。そんな彼に麗夜は見下すような口調で言った。
「『所詮は君もこの程度か。やっぱり出来るのは口だけじゃないか。まぁ、人っていうのはそういうモノだけれどね。言っておくよ、君じゃあ僕に勝てない。諦めたら?いくらやっても無駄だよ。』」
彼の言葉を聞いた瞬間、悠岐はふらふらになりながらも起き上がり、麗夜に言った。
「勝てないから何だ?無駄だから何だ?そんなのどうでもいい。俺は世界が平和になるなら死んでもいい、みんなが幸せになれるのなら、俺なんかどうにだってなってもいい!俺はそんな思いでっ!?」
彼が続きを言おうとした瞬間、彼の左肩に麗夜が投げつけた螺子が深く刺さった。刺さった場所からは鮮血が飛び散る。そんな彼に麗夜は呆れたように言う。
「『君ねぇ、自分のことを考えなさすぎだよ?もっと自分のことを考えなくっちゃ。そうしないとこの残酷な世では生きていけない。『自分を犠牲にする』なんて、馬鹿馬鹿しい話じゃないか。僕はそういうのは嫌いなんだよ、目障りだ。』」
そう言うと彼はゆっくりと悠岐の元へ歩み寄った。そして彼の目の前まで来ると再び口を開いた。
「『今の君は僕は好きじゃない。消えなよ。』」
そう言うと彼は左手を前に差し出した。そしてあの一言を口にしようとした。
「『大嘘憑き、君の存在を・・・!?』」
最後の言葉を言おうとした瞬間、麗夜の胸あたりから刀で斬られた切り傷が現れ、そこから血が飛び散った。麗夜は目を大きく見開きながら後ろへ後退した。彼の左目は赤く染まっていた。そして驚いている麗夜に悠岐が言った。
「世界の平和のためならば俺は何だってする。そう、テメェを倒すことをな!!」
そんな彼とは別に麗夜は傷口を抑え、笑みを浮かべながらも悠岐に言う。
「『格好いい台詞を言うね、君は。だけど、無駄だよ。いくらやってもこの僕には・・・」
「勝てるさ。」
麗夜が言うよりも先に悠岐が口を開いた。少し悔やむ顔をする麗夜に悠岐があることを言った。
「確かテメェはメルト・グランチの手下だったな(帝王軍ではないが)。それなら、俺のこの漆黒の刃の能力は知っているだろうな?」
「『君の刀の能力?アハハ、簡単なことを言うね。それの能力は『波動系の技の威力を上げる』なんでしょ?』」
と、悠岐が誰もが衝撃を受けるような言葉を口にした。
「悪いな、あれはただの嘘だ。」
「なっ!?」
それを聞いた瞬間、霊夢、魔理沙、麗夜は同時に声を発してしまう。そんな三人とは別に悠岐が話を進める。
「あれは『波動系の技の威力を上げる』能力じゃないんでね。実はだな・・・
・・この刃にはある特殊な猛毒が埋め込まれてるんだ。」
それを聞いた瞬間、三人はさらに驚きを隠せなかった。そして悠岐が再び話を進める。
「その猛毒とは、斬りつけた場所から徐々に相手の細胞を溶かしていく、実に恐ろしい技なんだよ。」
「『じ、じゃあ、まさか!!』」
「そう、今テメェの胸を斬りつけた瞬間、テメェの傷口に猛毒を入れておいた。」
「『な、なんだって!?こ、こうしてはいられない!早く毒を抜かないと・・・・!?』」
彼は目の前にいた者に思わず手を止めてしまった。何故なら目の前に悠岐が移動してきたからである。そして言う。
「これはあまり使いたくなかったんだけどな。けど、倒せないと感じた相手にやるのには丁度いいのかもな。」
そう言うと彼は左手を麗夜に先程斬りつけた傷口のところへ向けた。そして技の名前を言った。
「砕け、
そう言った瞬間、麗夜の切り傷が青く光だした。それを見た麗夜はパニックなりながら言う。
「『な、ななな何これ!?僕の体、どどどどどうなっちゃうの??』」
「胸に穴が空いて死んでいくんだぜ?これこそ、俺の切り札とも言える漆黒の刃の能力、『破滅』だ。」
そう言った瞬間、麗夜の胸に直径20cmほどの大きな穴が空いた。そして穴からは血がだらだらと流れていく。そして激しい激痛を感じた麗夜は思わず叫ぶ。
「『あぁぁぁぁぁ!!痛い痛い痛い痛い痛い!!止めて止めて!!痛いのだけはは嫌だ嫌だ嫌だ!!!』」
「絶望を味わえ、五大王にも通用する、絶望をな。」
叫びすぎたのか、麗夜はもう声を出せるような表情をしていなかった。そのまま麗夜は後ろに倒れていった。その様子を見届けた悠岐は刀をしまった。そして霊夢と魔理沙の方を見て笑顔を見せた。それを見た二人も笑顔を見せる。そして悠岐が二人元へ寄ろうとした時だった。
突然飛んできた螺子が彼の先程貫かれた腹部をとらえていた。
「ガハッ・・・」
「悠岐!!」
唐突に来た攻撃には彼は対応出来ず、そのまま吐血し、その場に倒れてしまった。そして思わず霊夢と魔理沙は彼の名前を叫ぶ。そんな中、ある一言が辺りに響いた。
「『大嘘憑き、僕の死を無かったことにしたよ。』」
「バ、馬鹿な・・・・テメェは間違いなく俺が殺した筈じゃあ・・・・」
「『勘違いされちゃ困るなぁ、『大嘘憑き』は絶命しても使えるんだよ。能力を封印されない限りはね。』」
「なん・・・だと・・・」
「『だから言っただろう?『僕には勝てない』ってね。」
「ほう、中々やるな。麗夜。」
突然少女の声が辺りに響いた。四人は声がした方向を見る。そこには魔理沙と同じくらいの身長で黒髪の少女、上山リナがいた。彼女を見た瞬間、悠岐は驚きながら言う。
「リナ、テメェは確か啓介が・・・」
「その後にお父様が私を生かしてくれた。それよりも、無様だな、悠岐。まさか影舷隊団長であるお前がこんな輩に破れるとはな。」
「テッ・・・・メェ!」
「どうだ?麗夜。この無様な男の腕前は。」
リナが言った瞬間、麗夜は誰もが驚くような言葉を口にした。
「『全然、相手にもならないよ。』」
「なっ!?」
「ほう、悠岐で相手にならないか。これは以外だな。」
「『もっと強い輩を用意してもらいたかったね。』」
「そうわがままを言うな。お父様だって他の作業で忙しいんだ。」
「『あぁ、そうだね。早くメルト・グランチ様のところに行かないとリナちゃんにも村山さんにも迷惑をかけちゃうからね。』」
「それよりも麗夜、まずは悠岐の力を少し奪え。」
「『承知したよ♪』」
「ガッ・・・」
呑気そうに言った麗夜は悠岐の右腕を無理矢理押さえ付けた。そして注射器で彼の腕に刺すとそのまま赤い光を少量取り出した。そしてそれを見ながらリナに言った。
「『量はこれくらいでいいんだよね?リナちゃん。』」
「あぁ、これくらいで構わない。それは私が預かる。」
そう言うと彼女は麗夜から無理矢理注射器を奪った。そして言った。
「早くお父様の元へ行くぞ。もう少しで先代巫女が蘇るんだからな。」
「『うん、分かった♪それじゃあまたね、霊夢、魔理沙、そして悠岐君。あ、後リナちゃん。僕、村山さんに用があるから先に村山さんのところ行ってから行くね!』」
そう言うと二人はどこかへ飛んでいってしまった。二人が飛んでいった痕に霊夢と魔理沙はすぐに悠岐の元へ駆け寄る。そして言う。
「悠岐、大丈夫?」
「これくらいはな・・・・」
「大丈夫じゃなさそうに見えるぜ。とにかく、永遠亭まで私の箒で行こう。」
「魔理沙、能力が無かったことにされたのにどうやって空を飛ぶと言うんだ?」
それを聞いた瞬間、魔理沙ははっとなる。そして肩を落としてしまう。それを聞いた霊夢は溜め息をはいて言う。
「とりあえず、肩を貸しながら行きましょう。それが一番効率がいいわ。」
「ああ、そうだな。すまねぇ。」
そう言うと彼は素直に霊夢と魔理沙の肩を借りながら永遠亭へ向かっていった。
守谷神社では早苗が敵の出現に備えて準備をしていた。そんな彼女の元へある一人の男がやって来た。その男は腰まで伸びるに白髪腹につけている鎧、顔を一部隠していて大鎌を二つ持っている、帝王軍の副臣、村山小太郎がやって来た。彼は早苗を見つけると笑みを浮かべながら言った。
「あのときは地神のお二人がいましたが、今はあなた一人だけですね。まぁ、どれくらい対抗出来るのかを確かめるのもまた一興、というところでしょうか?」
「何故あなたが生きているのかは問いません。あなたをまた永久の眠りにつかせてあげましょう!」
「いい表情ですね、あのときとは大違いです。では、始めましょう。」
次作は蘇る先代巫女です。遂に蘇ってしまう先代巫女。果たして霊夢達の運命とは!?
次作もお楽しみに!