無縁塚では八雲紫とメルト・グランチが既に復活の準備をしていた。と、紫がメルト・グランチに言う。
「いよいよこの時がやって来たわね。」
「ああ、また彼女に会うことが出来るのだからね。」
「お父様!」
突然聞こえた少女の声に二人は耳を傾けた。そこにはリナと先程悠岐達と戦っていた麗夜だった。そしてリナがゆっくりとメルト・グランチに近づき、赤い光が入っている小さな瓶を差し出した。彼はそれを手に取り、彼女を見ながら言った。
「ご苦労、リナ。よくぞ黒き刀から少量の力の強奪に成功した。麗夜の力があってこそのものだな。さて、卿らはこれから別の場に移ってくれたまえ。我々は遂に先代巫女復活の時を迎えるのだからね。」
「はっ、このリナ。必ずや使命を果たして見せます。」
「麗夜よ、卿はリナの指示通りに行動したまえ。」
「『分かりましたよ♪』」
そう言うと二人はどこかへ走っていった。それを見届けた瞬間だった。突如二人の元に闇の攻撃が飛んできたのだ。それを見た彼は左手で攻撃を受け止めた。そして攻撃が飛んできた方向を見る。そこには息づかいが荒くなっている青年、啓介がいた。彼は二人を睨みながら言う。
「何してんだテメェ!それに八雲さん!あんたまさか俺達を裏切ったつもりなのか?」
「裏切り?フフフ、それは誤解ですわ。これは帝王梟雄の計画ではなく、私の計画ですもの。」
「こんなことして何の意味があるって言うんだ!俺はあんたが裏切ろうと裏切ってなからうと今のあんたは敵の対象だ。二人共ぶっ殺してやる!!」
そう言うと彼は猛スピードで二人に向かっていく。そんな彼を見た二人は笑いながら言った。
「アハハ、怖いわね、山下君って。」
「ククク、全くもって然り。だが、今は彼の相手をしている余裕はないのだよ。豊姫、彼の相手をしてくれたまえ。」
彼がそう言った瞬間、啓介の目の前に突然一人の少女が現れた。そしてそのまま啓介を扇子で殴り飛ばした。啓介は空中で一回転するもなんとか着地して少女を見る。そんな彼とは別に少女、綿月豊姫が彼に言う。
「ウフフ、鋭い目付きね。でも嫌いじゃないわ、そういうの。あなたとの戦い、楽しませてもらうわ。」
「豊姫よ、彼を動けなくなるまで痛め付けてくれたまえ。」
「了解しましたわ。それじゃあ、先代復活、頑張ってね!」
「さて、私達はここで失礼させてもらおうかしら。」
そう言うとメルト・グランチと紫は無縁塚の奥へ姿を消した。啓介は豊姫を睨みながら刀を構える。豊姫はクスクスと笑いながら扇子を構えた。
その頃、リナと麗夜は玄武の沢で待機していた。と、麗夜がリナに言う。
「『ねぇ、リナちゃん。君はこれからどうするの?』」
「私か?私はお父様の指示通りに行動するだけだ。」
「『そっかぁ、それじゃあ僕も何かやらないとね。』」
彼の顔には怪しく、不気味な笑みが浮かんでいた。それに何か違和感を覚えたリナは彼を注意深く見ながら言う。
「麗夜、お前、一体何を企んでいる?」
「『企んでいる?アハハ、嫌だなぁリナちゃん。僕は何も企んでないよ。ただ・・・・』」
彼が続きを言おうとした瞬間、リナの刀が彼の腹部を捉えた。唐突だったため、彼は素早く反応することが出来なかった。
「『ガハッ・・・』」
「私はお父様に、『彼を任せるよ。大丈夫、何も心配はいらない』と言われたがどうもおかしい。私はお前を信頼出来ない。万が一のために私はお前を小太郎のところへ行かせなかったが、お前、何が目的なんだ?」
「『僕は、これから企むんだよ。』」
彼がそう言った瞬間、リナの四肢に螺子が突き刺さり、そのまま彼女は地面に叩きつけられ、身動きが取れない状態になった。
「っく、麗夜!!」
リナは彼を睨みながら螺子を抜こうとするが、地面に深く刺さっているため、中々抜けなかった。そんな彼女とは別に麗夜は彼女の顔の近くで座り込み、右手で彼女の頬を撫でながら言った。
「『僕に主君なんていらない。勿論、同士も部下もいらない。僕は一人がいいんだ。』」
「チッ・・・」
「『僕が初めて帝王軍に入った時、一番僕を警戒していたのは君だった。だから僕は・・・
・・・・・・・・始めに君を消すことにするよ。』」
それを聞いた瞬間、リナは目を大きく見開いた。そんな彼女に麗夜は話を続ける。
「『でも折角だからリナちゃんには裸でエプロンを着てもらおうかな♪』」
「なっ、き、貴様!!』」
「『アハハ、冗談だよ。だって僕は君に興味無いし。先代巫女復活計画にも全く興味無いよ。』」
「貴様ァ!!こんなことをしてただで済むと思っているのか!!」
怒るリナとは別に麗夜はクスクスと笑った後に一言言った。
「『僕は悪くない。』」
「なん・・・だと・・・」
「『悪いのはメルト・グランチ様でしょ?だってこんな僕を雇うんだからね。だから僕は悪くない。』」
「貴様ァァァァ!」
リナが龍の姿になろうとした時だった。麗夜の左手が彼女の目の前にあったのだ。そんな彼の指の間には螺子が二本挟んであった。そして彼はそのまま螺子を落とした。その瞬間、グシャっという音とともにリナの目に刺さった。
「あ、あぁぁぁぁぁ!!」
彼女は激しい悲鳴を上げながら暴れまわる。だが四肢を押さえられているため、どうしようも出来なかった。彼女の目からはどんどん鮮血が飛び散る。飛び散り、頬についた血を麗夜は美味しそうに舐めた。そしてリナに言った。
「『残念だね、本当は君ともっと仲良くなりたかったのに。君が僕を警戒するからだよ。それじゃあ、逝こっか♪』」
そう言うと彼は右手を彼女の顔に置いた。そしてあの一言を言った。
「『大嘘憑き、君の存在を無かったことに。』」
そう言った瞬間、リナの体が徐々に消えていった。彼女は涙を流すことも出来ず、あることを嘆いた。
「お、お父様・・・ま・・り・・」
そう言うと彼女の姿が消え、完全にこの世からいなくなった。それを見た麗夜は笑いながら言った。
「『アハハハハハ、無様だねぇ!君のような人を無様と言う以外言葉が浮かばないよ!アハハハハハ!!』」
それから彼はしばらく笑い続けた。そして落ち着いた瞬間、一言言葉を発した。
「『麻里ちゃんねぇ、リナちゃんと何か関係があるみたいだね。帝王軍の全員を消してから彼女を消すとしようか。』」
そう言うと麗夜はどこかへ走っていった。
「グレイソーマタージ!」
「フンッ!」
守谷神社では早苗と村山が戦っていた。今加奈子と諏訪子がいない今、彼女は一人で戦うしかなかった。彼女は彼に次々と弾幕を放つが、不気味な動きで避けられてしまう。
「どうしました?焦りが見えるようですが。」
「私はまだ、本気を出してませんっ!」
「ほう、『まだ』ですか。それがいつ訪れるのか、楽しみですね。」
そう言うと彼は大鎌から小さな白い何かを飛ばした。早苗はそれを容易くかわす。だがかわした先に村山がいた。そして彼女の背中を斬りつける。早苗は痛みに耐えながらも彼の目の前でスペルカードを発動した。
「奇跡、神の風!」
目の前で放たれては元も子もなく、彼はそのまま彼女の攻撃を食らう。だが彼はよろよろとなりながらも彼女を大鎌で殴り付けた。そのまま彼女は5mほど飛ばされる。そして地面に叩きつけられる。
「ガハッ。」
そして彼女は吐血する。そんな彼女とは別に村山は彼女の腹部を踏みつけた。
「あぁぁぁぁぁ!!」
激しい痛みが彼女を襲う。彼女は彼の左足から逃れようとするが全く動かなかった。そんな彼女とは別に村山が言う。
「あの時と比べればあなたは強くなっていると思いますよ。ですが、またまだのようです。まさか帝王軍の副臣である私に一人で挑むなんて、命知らずですね。」
「う、うぅ・・・」
「さて、東風谷早苗さん。ここで終わらせてもらいましょう。あなたでは私には到底及ばない。神ガイルゴールを呼べるのはあなただけ。そんなあなたを殺してしまえばもう幻想郷に勝ち目はありませんね。それでは、ごきげんよう。」
彼が大鎌を降り下ろし、間違いなく早苗に命中する時だった。ぎりぎりのところで彼が突然大鎌を止めた。早苗は彼が見つめる方向を見る。そして村山はそこにいたある人物の名前を口にした。
「麗夜君。」
無縁塚付近では悠岐に肩を貸しながら霊夢と魔理沙が移動していた。と、悠岐が二人に言った。
「ごめん、霊夢に魔理沙。もう大丈夫だ。」
「まだ動くには早すぎるぜ。」
「そうよ悠岐。あまり無茶しちゃ駄目よ。」
「いや、違う。無縁塚で誰かが何かをしているんだ。」
「何ですって!?」
「それはマズイぜ。急ごう!」
そう言うと三人は無縁塚の奥へ走っていった。そして一番奥に到着した時だった。三人の目線に何かをしている紫とメルト・グランチが入った。三人の気配に気がついた二人は後ろを振り返り、笑みを浮かべる。そして言った。
「あら、霊夢に魔理沙、悠岐君じゃない。」
「紫!あんた何してるのよ!」
「久しいな、博麗の巫女に黒き刀よ。」
「メルト・グランチ・・・本当に生きていやがった。」
「だが卿らは少し遅かったようだな。これを見たまえ。」
そう言うと紫はスペルカードを発動した。彼女に続いてメルト・グランチも自身の技を放つ。
「四重結界。」
「死者転生。」
その瞬間、目映い光が辺りを照らした。そしてその光は上空80mのところまで浮いた。その光は幻想郷中を照らした。と、光の中から何かが動き始めた。そして光が消えた瞬間、光の中にいた者が姿を現した。その姿は霊夢と少し似ていて身長は悠岐より少し高い女性だった。女性は空中で浮いたまま瞼を開けた。
「ふぅ・・・」
溜め息をはいた。その姿を見た瞬間、幻想郷にいる人達が女性の名前を口にした。
「先代巫女。」
次作は圧倒的な力です。遂に復活してしまった先代巫女!その力とはいかに!?
次作もお楽しみに!