湖のほとりに建つ、赤く窓が少ない洋館、紅魔館。そこの門番をしている、紅美鈴はいつもとは別に厳重に警戒していた。と、そこへある人物がやって来た。美鈴はその人物を見た瞬間、目を大きく見開いた。そんな彼女とは別に人物が口を開く。
「どうした?私であれば驚くことはないだろう?」
美鈴は驚きを隠せないまま人物の名前を口にした。
「帝王梟雄メルト・グランチ!!」
「私のことを覚えていてくれていたのか、歓喜、歓喜。」
「何故あなたが生きているのです?あの時間違いなく爆死した筈では・・・」
「ククク、私があの程度で敗れるとでも?あの時、隠し通路の一つは用意するものだと思うのだがね。」
「まぁ、それはさておき、あなたがここへ来た理由はもう分かっています。咲夜さんの能力を奪うつもりですね?」
「然り。今やレミリア・スカーレットに興味などない。無論、彼女の妹にもね。さて、ここを通してもらえるかね?卿に用はないのでね。」
「そんなことはさせません!この命に変えてでも!!」
「ハハハ、忠義、忠義。やはり卿は面白いな、紅美鈴。」
彼がそう言った瞬間、美鈴は彼に蹴りを入れた。だが彼女の攻撃を見切っていた彼は容易く避けた。だが彼女の攻撃はまだ終わらない。次々とメルト・グランチに攻撃を続けた。そんな彼女とは別に彼は彼女の攻撃をかわしながら言った。
「そんな程度で私を倒そうなど、戯れ言に過ぎる。」
「ハアッ!」
美鈴は彼が何を言おうとも攻撃を続けた。そして拳を彼の腹部に入れようとしたが、メルト・グランチに簡単に受け止められていた。
「なっ!?」
「言っただろう?戯れ言に過ぎると。」
そう言うと彼は彼女を蹴り飛ばした。そのまま彼女は門を突き破り、紅魔館の中まで飛ばされた。そして彼女はその場で吐血する。そんな彼女とは別にメルト・グランチはゆっくりと歩み寄りながら言う。
「黒き刀率いる影舷隊でも私に一人で挑む者はいなかったが卿は一人で挑んできた。その点だけは褒めてあげよう。だが、力量の差では私にも彼らにも及ばぬ。一つの真理だとは思わないかね?」
「ハァ、ハァ・・・」
「クッククク。卿のその表情、嫌いではないよ。寧ろそちらの方がいいのだよ。」
そして彼は咳き込む彼女の前に来た瞬間、彼は笑みを浮かべながら言った。
「まずは卿から痛めつけるとしようか。」
「がっ・・・」
その瞬間、メルト・グランチの左手が美鈴の首を締め上げた。彼女は彼の左腕から抜け出そうと必死に殴ったり、蹴ったりするが、見えない結界で守られていて、攻撃出来なかった。そして彼は美鈴の首を絞めたまま彼女の体を空中に持ち上げた。
「っ、ぐ・・・」
苦しむ彼女とは別にメルト・グランチは不気味な笑みを浮かべながら言った。
「卿からは『忠義』をもらおう。中々手に入らぬ宝だ、大切にとっておくよ。」
「あ、あぁ・・・」
遂に美鈴の意識が遠くなりかけた時だった。突如彼目掛けてナイフが飛んで来たのだ。彼はそれを空いている右手で受け止めると、そのまま自分の背後にいる者に投げつけた。彼の背後にいたのは小悪魔だった。彼が投げたナイフは彼女の右腕に刺さった。
「また会ったわね、帝王梟雄!!」
突如上から少女の声が聞こえたため、彼は気絶している美鈴の首を放し、声がした方向を見る。そこにはレミリア、フラン、パチュリーが彼を睨んでいた。さらに彼の背後には咲夜、小悪魔、隼人がいた。それを見たメルト・グランチはクスクスと笑いながら言った。
「ああ、あの時と同じだな。いや、創造神がいないだけか・・・」
「あの時?ああ、私があなたによって殺された時ね。けど、今度はそうはいかないわよ!!みんな、準備はいいかしら?」
「勿論だよ、お姉様!」
「当たり前だ、レミリア!」
フランと隼人が言った後に他の人達も続いて声を上げる。そんなレミリア達を見た彼は薄い笑みを浮かべながら言った。
「元気があって何よりだ。では、始めよう。」
迷いの竹林では悠岐が紅魔館へ向かうために走り続けていた。そんな彼の目線に二人の少女が入った。彼はすぐさま二人の元へ駆け寄る。そこには輝夜と彼女の治療をする鈴仙がいた。輝夜の首には包帯が巻かれていた。悠岐の存在に気づいた鈴仙は彼に話しかける。
「悠岐さん、無事だったんですね!」
「ああ、それより鈴仙、輝夜に何かあったのか?」
「はい、先程帝王梟雄がここを襲撃して姫様と師匠を襲いました。」
「メルト・グランチめ、人を容易く傷つけやがって!」
「悠岐、あんたまさかだけと思うけど、紅魔館に向かうつもり?」
「ああ、そうだ。それよりも輝夜、お前、首大丈夫か?」
そう言うと彼は輝夜の顎をくいっと上げると首の状態を見た。彼女の首に巻かれている包帯には少量だが血が染み込んでいた。そんな彼女に悠岐が言う。
「一ヶ所だけじゃなさそうだ。これをメルト・グランチにやられたのか?」
「えぇ、そうよ。その時は本当に痛かったわ。」
「そうか。ところで、八意さんは?」
「永琳なら中で寝てるわよ。相当ダメージを受けたからね。」
「そうか。とりあえず俺は先を急ぐ。じゃあな。」
「待って下さい。」
すぐさま紅魔館へ向かおうとした彼に鈴仙が呼び止めた。そして言う。
「私も連れていって下さい。姫様と師匠の恨みを果たしたいんです。」
「けど鈴仙、輝夜はどうするって言うんだ。」
「私が守るわ。」
そう言って永遠亭から出てきたのは傷だらけの永琳だった。そんな彼女に鈴仙が言った。
「師匠、まだ動いちゃだめですよ。もう少し休んでないと・・・」
「大丈夫、大分よくなったから。それよりも悠岐君、鈴仙を連れていってくれないかしら?私の弟子を何とか強くしたいのよ。お願い出来る?」
「・・・・・分かりました。」
「ありがとう。それじゃあ姫様、中へお入り下さい。」
「二人とも、気をつけてね。」
「あぁ、分かってるさ。」
「はい!」
二人に笑顔を見せた輝夜はそのまま永琳に担がれたまま永遠亭の中へ入っていった。それを見届けた後に悠岐が鈴仙に言った。
「急ぐぞ、もう時間がない。」
「はい!」
そう言うと二人は走って紅魔館へ向かった。誰一人として犠牲者を出さないためにも。
「フフフ、さ~て、どこを攻めようかしらね~♪」
呑気に魔法の森を歩いていたのは紫だった。そんな彼女の元に突如一人の男が姿を現した。その男は180cmほどで勇ましい服装に虹色に輝く刀を持つ男、小宝剛岐だった。彼の姿を見た彼女は少し驚くもクスクス笑いながら言った。
「あらあら、あなたは小宝剛岐さんじゃありませんか。ここで会うなんて奇遇ですわ。」
「お前、先代巫女を復活させたようだな。それはどれほどの罪なのか、分かってるよな?」
「えぇ、勿論。分かりきった上でやっているもの。」
「今すぐ止めろ。こんなことしても、誰も喜びはしないよ。」
「あら、大きなお世話ね。けど、あなたが言うことは間違ってはいない。あなたが言うのなら、仕方ないわね。力付くで理解してもらわないと。」
そう言うと彼女はスペルカードを手にし、発動した。
「四重結界。」
剛岐はそれをかわすとそのまま紫の光を刀の先に溜めてそのまま技を放った。
「龍の波動。」
その威力は悠岐の力を遥かに越えていた。だが紫はそれをスキマを展開させた。そしてそのまま剛岐の背後にスキマを開いた。だがその瞬間、龍の波動が当たったのは剛岐ではなく、紫だった。
「ど、どうして・・・」
紫は疑問に思ったことを彼に言う。それに答えるかのように剛岐が口を開いた。
「何故かって?簡単なことだ。俺が一瞬だけお前の背後に移動しただけだ。それに気づかないままお前は龍の波動をくらったって訳だ。」
「ほう、流石現実世界最強の男、小宝剛岐。その力と頭脳は伊達じゃないわね。でも、こういうのはどうかしら?」
そんな彼女の手にはまたしてもスペルカードが握られていた。そした発動した。
「ぶらり廃駅下車の旅。」
その瞬間、彼女の背後からスキマが展開し、そこから列車が彼目掛けて走ってきたのだ。それも5車も。流石の彼もこれには対応出来ないと紫は思っていた。だが剛岐は左手を出すとそこから紫の光を溜めた。先程のものとは明らかに違うのを彼女は理解した。そして彼は攻撃を放った。
「ガイルバースト。」
その瞬間、列車が全て一瞬にして大破した。その爆風に彼女も巻き込まれた。そしてそのまま転がりながら木に衝突する。そんな彼女に剛岐が言う。
「くだらねぇことをしたな。」
そう言うと彼は彼女に背を向けて霧のように消えていった。彼女はそれをただ黙って見ることしか出来なかった。
紅魔館ではレミリア率いる紅魔勢と隼人がメルト・グランチと激闘を繰り広げていた。と、メルト・グランチが指を鳴らした。その瞬間、地面から炎岩が突き出てきた。フラン、咲夜、隼人はそれをかわした。そして咲夜がスペルカードを発動した。
「幻世、ザ・ワールド!」
彼女がそう言った瞬間、時が彼女以外止まった。だが彼女は驚きを隠せなかった。何故ならメルト・グランチが平然と動いているからである。そんな彼女に彼が言う。
「『時を操る程度の能力』は私が卿に送ったモノ。それが私に通用すると思ったか、咲夜!」
そう言うと彼は彼女の目の前まで来ると彼女の腹部を蹴った。そのまま咲夜は外へ出される。
「咲夜さん!」
思わず小悪魔は彼女の名前を叫ぶ。そんな彼女とは別にレミリア、フラン、パチュリーがスペルカードを使い、隼人が自身の技を放った。
「不夜城レッド!」
「禁忌、レーヴァテイン!」
「水符、プリンセスウンディネ!」
「疾風斬!」
四人の攻撃は一斉に彼目掛けて飛んでいく。だが彼は宝刀でそれらを全て弾き返した。そのまま四人はそれぞれ別の攻撃を受け、咲夜同様、紅魔館の外へ出された。そしてその場で吐血した。後に小悪魔が四人の元へ駆け寄った。そして紅魔館の中からメルト・グランチがゆっくりとレミリア達の元へ歩み寄る。と、パチュリーが彼に言った。
「あなたなんて人は、この世から消えてしまえばいいのよ!そうすれば、この幻想郷は、この世界は、平和になる!」
「突然何を言い出すのかと思えば、悪口か。まあ、いい。どうせ私は気にしない。」
「私の全力の攻撃、受けなさい!」
「はぁ、全く、面倒なことだ。」
そう言うと彼は左腕を上げ、指を鳴らした。その瞬間、パチュリーの体に突如何かが襲った。そして彼女はその場で吐血する。
「カハッ、ゲホッ!」
「パチェ?どうしたの?パチェ!!」
「パチェ?一体どうしたんだ?」
「久しき病はどうかね?パチュリー・ノーレッジよ。」
「テメェ!パチェに何をした!」
「病を再発症させただけだよ。面倒な相手にはこれがより良いモノだろう。」
そう言うと彼は宝刀を向けて言った。
「さて、終わりにしよう。安心したまえ、殺しはしない。ただ痛め付けるだけだ。」
彼がそう言った瞬間、突然彼の後ろに何者かが降り立った。メルト・グランチはその人物を見る。と、そこに降り立った人物が彼に言う。
「『只今戻りました。メルト・グランチ様。』」
そこにいたのは茶髪の少年、苗沙麗夜だった。彼の顔には不気味な笑みが浮かんでいた。
次作は激怒と帝です。レミリア達とメルト・グランチの前に現れた麗夜。その顔には何か企んでいる様子だった。果たして彼の目的とは!?そしてあの男が遂に現れる!
次作もお楽しみに!