東方王戦録   作:ヤマタケる

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全ての異変を解決した霊夢達。そんな中、彼女達にとって辛い日がやって来てしまった。


第5章
別れ


「そう、やはり帰らないと行けないのね。」

 

「ああ、そうだとも。そうしなければ私の部下に不安を与えてしまうからね。ククク・・・」

 

スキマの中で紫とメルト・グランチが話していた。その内容は、もう現実世界へ帰ることだった。それは誰にとっても辛いことであり、悲しいことでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして先代巫女撃破の宴会の時、博麗神社で行われた宴会では多くの人達が集まった。みんながワイワイ楽しんでいる中、紫が手を叩きながら言った。

 

「みんな聞いて、大事な話があるの。実は悠岐君達と今やっている宴会のように楽しめるのは今日で最後なの。」

 

「!?」

 

それを聞いた瞬間、一同は驚きを隠せなかった。なんせ、唐突にその言葉を言われたので、驚くしか対応が出来なかった。そんな一同に紫は話を続ける。

 

「みんなが驚くのは分かるわ。でも、時は満ちてしまうものなの。悠岐君達だって元は現実世界の人間。幻想郷にずっと過ごすことなんて出来やしない。」

 

「『・・・・それで、どうするつもりなんだい?』」

 

とっさに麗夜が紫に言う。それを聞いた彼女はすぐに答えを出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから今日は大切な人達と過ごすことにしたらどうかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいね、悪くない意見だ。」

 

紫の意見にすぐに賛成したのは剛岐だった。彼の言葉を聞いて、他の人達も次々と賛成していった。それを見たセコンドが笑みを浮かべながら言った。

 

「決まりだな。」

 

「えぇ、それじゃあ、宴会はこれにて終了!大切な人との時間をたっぷり過ごしてね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月が上り始めた時、紅魔館の時計塔ではメルト・グランチと咲夜がいた。二人は肩を並べ、月を眺めながら話していた。

 

「あなたはこれからも現実世界の宝を奪いながら生きていくつもりなの?」

 

「何、現実世界の宝は十分に堪能した。もう奪うつもりはないよ。」

 

「そう・・・」

 

「咲夜よ、一つ言っておこう。魔王軍襲撃の際、山中毅の手によって卿の体に毒を入れられただろう?」

 

「えぇ。けど、誰かの手によって抜いてもらったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その『誰か』というのはこの私だ。」

 

「えっ!?」

 

「卿に死なされては私も困るのでね。折角私が作り上げた『時を操る程度の能力』が台無しになるからね。」

 

「そうなの?あなたは私から力を奪おうとするんじゃなかったの?」

 

「あれはただの演技だよ。私が使うものではない。」

 

「そうなのね・・・」

 

「人を裏切る、それが今の卿だ。だがそんな卿も悪くはない。」

 

そして彼は咲夜の頭に左手を置き、言った。

 

「また会おう。次会う時には逞しくなっていることに期待しているよ。」

 

「えぇ、期待してね!」

 

彼女がそう言った瞬間、メルト・グランチはエンペラードラゴンを呼び寄せ、そのまま背中に乗り、何処かへ飛んでいった。彼が行った後の咲夜の顔には少量だが涙が零れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて香霖堂。そこでは啓介、魔理沙、霖之助がいた。

 

「寂しくなるな、もうここには来れないかもしれないって考えると。」

 

「そうだね、僕もその気持ち、分かるよ。」

 

「啓介がいなくなると、もっと寂しくなるのは辛いぜ。」

 

そう言った瞬間、啓介は魔理沙の肩を軽く叩きながら言った。

 

「そう落ち込むなって。俺だってみんなと別れるのは辛いよ。」

 

「そうだ、啓介。これを持っていきなよ。」

 

そう言うと霖之助は引き出しの中に入っていたものを啓介に手渡した。彼が渡したものは煙管だった。これを見た啓介はあることに気づいた。その煙管には啓介と魔理沙の名前が彫られていたからだ。

 

「へへへ、驚いたか?実はこれは私が提案したんだぜ!」

 

「ほう、お前としては中々のアイディアだな。」

 

「僕も正直驚いたよ。まさか魔理沙がこんな意見を出すとはね。」

 

「よっ、余計なお世話だぜ!それよりも啓介!タバコは控えめにするんだな!」

 

「まさか盗人のお前に言われるとはな。けど、気をつけないとな。ありがとう、魔理沙。」

 

彼の顔には満面の笑みが浮かんでいた。それを見た瞬間、魔理沙の顔が赤くなった。そして彼女が言う。

 

「き・・・気にすることないぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白玉楼では剛岐が妖夢、幽々子と茶団子を食べながら話していた。

 

「俺から言えることは一つだ。」

 

そう言うと彼は一息いれ、再び口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽々子!!お前はダイエットしろ!!そして妖夢!!怖がりを治せ!!以上!」

 

「あらあら、私はこう見えても亡霊よ?体重は増えないし、減らないわよ~。」

 

「ご、剛岐様。唐突に言われてもそれは・・・」

 

「なんだ?半分幽霊のお前がお化け怖いっていうのか?」

 

「い、いえ・・・」

 

「まあ、また会ったらちゃんと俺の言うことを聞いたのか、試すからな。じゃあな。」

 

そう言うと彼は立ち上がり、白玉楼を出ていってしまった。彼が座った場所にはどういう訳か、ネギトロ丼が置かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭ではミクとマーグルが来ていた。そして話していた。

 

「永琳さん、今までお世話になりました。」

 

「これくらいいいのよ。またいつでも来なさい。」

 

「さて、永琳。輝夜のニートぶりはどうなんだ?」

 

「ニート言うなぁ!!」

 

「相変わらずってところね。治りそうにないわ。」

 

「そうか。」

 

「さて、鈴仙。そろそろ例の物を持ってきて頂戴。」

 

「はい!」

 

そう言うと鈴仙は奥にしまってある引き出しから袋に入った何かを差し出した。そして言う。

 

「これは重い病に効く薬よ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ありがたいな。それじゃ、俺達はここで失礼させてもらうぜ。」

 

そう言うと二人は立ち上がり、永遠亭を出ていった。その際にマーグルとミクは一部飛び越えて行った。既に二人はてゐがイタズラすることを予知していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守谷神社ではウロボロス、麻里が早苗達に麗夜と話していた。

 

「今までありがとな、早苗。」

 

「いえいえ、私達なりにやったつもりですから。」

 

「加奈子さんもお世話になりました。」

 

「フン、世話がかかったよ。」

 

「嘘つけ~、本当は、加奈子がかけたんでしょ?」

 

「なっ、諏訪子!」

 

「『アハハ、まぁ落ち着いて。』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず、あなたにはやられたものですね。」

 

「本当だ。こんな輩を部下にしなければよかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き覚えのある声がしたため、ウロボロス達はその方向を見る。それを見た瞬間、麗夜は目を大きく見開いた。何故ならそこには消えた筈の村山小太郎と上山リナがいたからである。

 

「『む、村山さんに、リナちゃん?どうしてここに?』」

 

「メルト・グランチ様は既にあなたの計画に気づいてしまして。」

 

「影武者を用意しておいたのだ。」

 

「『さ、流石メルト・グランチ様だなぁ。』」

 

「さて、村山にリナ。俺達もそろそろ行くとしようか。」

 

「えぇ、そうですね。」

 

「それじゃあみなさん、お気をつけて。」

 

早苗が言った瞬間、ウロボロス達は彼女らに手を振った。そしてウロボロスは獣の姿に変身し、麻里、村山、リナを乗せて走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社では悠岐と霊夢が何やら決着をつけるかのように睨み合っていた。そして同時に声を発した。

 

「夢想封印!」

 

「龍の波動!」

 

二人の攻撃がぶつかった瞬間、爆発が起こり、そこから砂埃が舞った。そして砂埃が晴れた瞬間、霊夢は再びスペルカードを使った。

 

「夢想天生。」

 

それを聞いた瞬間、悠岐は防御の体勢に入った。そして霊夢の持つスペルカードがバチバチと音を立てながら光出した。が、その瞬間、光が突如として消え、そのまま霊夢は素早い動きで彼の前に来ると彼の腹にパンチを入れた。

 

「なっ!?」

 

そのまま彼は地面を滑りながら木に衝突した。衝突した衝撃で砂埃が舞った。それを見た霊夢がガッツポーズをとり、言った。

 

「よしっ、この勝負、私の勝ちね!」

 

「ちょっと待てぇぇぇぇ!!」

 

砂埃から悠岐が叫び、起き上がった。そして霊夢に言う。

 

「待て待て待て!!今のは反則すぎるぞ!いくら何でもあれはズルいだろ!」

 

「勝負に卑怯なんてないわ。」

 

「黙れ!ああもう!折角勝てると思ったのに!!」

 

「どっちにしろ、あんたは私には勝てないわよ。」

 

「何!?」

 

「だってあんた、魔王との戦いで本気出したようね。けど私は出していない。つまり、私の方が強いのよ!」

 

「だ、だが霊夢。メルト・グランチとの戦いは?」

 

「あれは本気を出しつつ、みんなの協力を得ないと勝てない相手よ。」

 

「・・・・」

 

「さ、もういいでしょ?私の勝ちで。」

 

彼女がそう言うと彼は悔やみの表情を浮かべながら軽く頷いた。それを見ていた隼人と萃香が言う。

 

「おぉ、悠岐を倒したか・・・」

 

「すごい!流石霊夢ね!!」

 

霊夢はドヤ顔を見せながら萃香の方へ駆け寄った。そんな彼女とは別に悠岐が一言呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、あいつは卑怯だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日の早朝。多くの人達が悠岐達を見送るべく無縁塚に集まった。そんな中、まず悠岐の元へレミリア、アリス、妹紅が駆け寄った。そして言う。

 

「悠岐、次会う時は戦いましょう。」

 

「悠岐、あなたの人形を作ったの。もし良かったら、大切にとっておいてね。」

 

そう言うとアリスは悠岐に人形を差し出した。それを見た悠岐は笑みを浮かべながら受け取った。そして言った。

 

「ありがとうアリス。大切にするよ。」

 

そして彼は次にレミリアを見ながら言った。

 

「お前との勝負、いつでも引き受けるぜ。」

 

そして彼は妹紅を見た。彼女の手には一冊の本が握られていた。そして妹紅は彼に言った。

 

「これ、あげる。しっかり読んでくれよ!」

 

「ああ、読むさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと三人共どいてくれないかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然三人の背後から声が聞こえたかと思うと三人は同時に後ろへ飛ばされた。そして地面に落ちる。三人を飛ばしたのは幽香だった。幽香は悠岐にゆっくりと歩みよりながら言った。

 

「私もあなたとまた戦えることを楽しみにしてるわ。」

 

「お、おう!その勝負、受けるとも(参ったな、なんで幽香まで!?)。」

 

隼人の元にはパチュリーが来ていた。彼女は隼人を見ながら手を上げ、何かを唱えた。唱え終わった瞬間、パチュリーが口を開いた。

 

「今あなたなかけたのはあなたのために私が一生懸命作った、『年中健康』の魔法よ。体を壊したらよくないからね。」

 

「おう!ありがとう、パチェ。」

 

ミクの元には鈴仙がいた。彼女はミクに何か入っている袋を渡し、言った。

 

「それはあなたのために私が作ったお薬です。」

 

「ありがとう、使わせてもらうわね。」

 

彼女がそう言った瞬間、鈴仙がミクに抱きついた。彼女の顔には涙が零れていた。それを見たミクも鈴仙を優しく抱き締めた。

 

啓介、ウロボロス、麻里の元には妖夢、魔理沙、さとり、こいしがいた。

 

「それじゃあ啓介!また会う時には弾幕ごっこで勝負だぜ!」

 

「あぁ、魔理沙!俺も鍛えてお前を余裕で倒すからな!」

 

「さとり、こいし。今までありがとう。」

 

「こちらこそ、ウロボロスさん、今までありがとうございました。」

 

「ウロボロス!またいつでも地霊殿に来てね!」

 

「ああ、約束する。」

 

「妖夢、元気でね。」

 

「麻里さんこそ、お元気で。」

 

そんな中、突如霊夢がメルト・グランチの元へ走り始めた。そして霊夢は彼に飛びついた。そして言う。

 

「ありがとう、帝王。あんたのお陰で私は少しは強くなれたのかもしれない。本当に・・・」

 

彼女は途中で声が出せなくなり、そのまま声を上げながら泣き始めた。そんな彼女をメルト・グランチは抱き上げた。

 

「え、ちょっと!?」

 

恥ずかしい表情を浮かべる彼女とは別にメルト・グランチは言った。

 

「ハハハ、昔の感覚を思い出すのも悪くはないだろう。それに、これを見るためにわざわざあれが来てくれたのだよ。」

 

そう言うと彼はある方向を指差した。霊夢も涙を流しながらその方向を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには神と呼ばれし魔獣、ガイルゴールがいた。ガイルゴールの後ろにはマスターハンドとクレイジーハンドがいた。そして霊夢達を見ながら言った。

 

「余は現実世界と幻想郷の者達がいる様子を見るのが愛しかったのだが、掟は掟だ。だが、いづれまたまたお前達が共同している様を見れることを期待しているぞ。」

 

そう言うとガイルゴールはマスターハンドとクレイジーハンドを連れて空に飛んで行った。

 

呆然となる霊夢にメルト・グランチが彼女を下ろし、再び口を開いた。

 

「大丈夫だ、卿ならやっていけるとも。私は卿を信頼しているよ。」

 

「さ、時間よ。」

 

メルト・グランチが話終わった瞬間に紫がやって来た。そしてスキマを開いた。そんな悠岐達に幻想郷の人達が一斉に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さようなら~!」

 

「またね~!」

 

「また会おうな~!」

 

「『元気で~!』」

 

悠岐達も彼女達に笑みを見せながら手を振った。そしてそのまま現実世界の人達はスキマの奥へ入っていった。

 




次作で東方王戦録完結編、その後です。
次作もお楽しみに!
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