東方王戦録   作:ヤマタケる

7 / 50
セコンドの襲撃にメルト・グランチの支配に襲われる幻想郷。そんな中、これを黙ってられない人物、小宝剛岐とゴールド・マーグルが行動を開始する。


過去と今

永遠亭で十分休憩をとった悠岐は霊夢、啓介と共に竹林を捜索した。しばらくすると二人の人物と合流した。寺子屋で教師を務める上白沢慧音と藤原妹紅だった。そのまま五人は竹林の捜索をした。しばらく歩いていると妹紅がある三人の人物を見つけた。一人は背が高く、一人は本を持っていて、一人は辺りを見回していた。怪しいと感じた五人はそのまま影に近づいた。そこにいたのは帝王梟雄ことメルト・グランチと隼人とパチュリーだった。五人は驚きを隠せなかった。何故なら隼人とパチュリーがまるでメルト・グランチの部下のように彼の後ろを歩いていたからである。五人を見つけるとメルト・グランチは笑みを浮かべた。メルト・グランチが何かを言おうとする前に悠岐が先に口を開いた。

 

「おい、隼人、パチュリー!これはどういうことだ?」

 

「残念ながら卿の言葉は聞こえないよ。」

 

「言葉が聞こえない?どういうことよ!」

 

「この二人は私の力によって私の思うがままに動いている。私は心を支配する力を使うのだよ。」

 

「つまり、マインドコントロールってやつか。」

 

「然り。これを解除するためには私を倒さないか、この二人に何かをするかだ。それ以外に卿らにこの二人を正気に戻すことは断じて不可能。」

 

「最悪だな。こいつはあの時いた鬼よりも残虐なやつなのかもしれないな。」

 

「ほう、あの鬼に覚えがあるのかね?おや、卿はあの鬼を倒したと言われている上白沢慧音だな?」

 

「どうして知っている?梟雄のお前に覚えがない。」

 

「どういうことかな?卿らと戦う気がしなくなってきたな。代わりに過去について話す気になってきたよ。」

 

そう言うとメルト・グランチは赤い光の玉を取り出した。その玉は五つに分かれるとそれぞれ悠岐、霊夢、啓介、妹紅、慧音の頭の上まで来た。その瞬間、五人の頭の中に過去の情景が浮かんできた。その光景は無縁塚だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡ること三年前。誰も起きていない真夜中にレミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットが他のみんなには内緒で無縁塚にやってきていた。次第に道が分からなくなり、迷ってしまったのだ。そしてそこにいる妖怪に襲われた。だがレミリアはフランと共に妖怪を駆逐した。その時にレミリアとフランは重傷をおおい、空を飛ぶことができなかった。それでもなんとか無縁塚から脱出しようと二人は歩き続けた。しばらく歩いているとある建物が二人の目に入った。そして二人は躊躇うことなくその建物に入った。中に入るとそこには六つの横に長い椅子が三列に並んでおり、天井が壊れているのか月の光が建物の内部の一部を照らしていた。奧を見るとそこには赤い十字架が描かれていた。二人はその瞬間、この建物は教会であることを理解した。と、その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰かいるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と男の低い声が響いた。二人は身を寄せあいながら奧からやって来る男の姿を見た。次第に月の光が照らされ、男の姿が見えた。身長は170cm程で貴族が着るかのような黄色い服を着ており、目は青く染まっており、髪の毛は腰あたりまで後ろ髪がのびていて、背中にはレミリアよりも大きい翼が生えており、左手の中指に赤く輝く指輪をはめている男が現れた。

 

「・・・?」

 

男はレミリアとフランを見ると首を傾げた。何やら迷っているらしい。そして10分くらい考えて一言言った。

 

「こいつらは何だ?メルト・グランチ様はあまり人里には手を出すなとおっしゃっていたが、無縁塚のこんな奧までやって来る者なんかいないはずなんだが・・・。」

 

「・・・あなたも吸血鬼なのね。」

 

勇気を振り絞って出したレミリアの言葉に吸血鬼は少しピクリとなる。そして二人を見つめ、近づき始めた。二人は後退りしたがすぐそこが壁だったため、どうしようもなかった。そして男がレミリアとフランの前まで来ると腰をおろした。そしてレミリアとフランをじっと見つめる。

 

「お前達二人も吸血鬼だったのか。まさか幻想郷にも俺と同じ仲間がいるとはな。」

 

「あなたの言うメルト・グランチとはどういう人なのかしら?」

 

「メルト・グランチ様に興味を抱くのか。あの方のお気持ちはお前では理解出来ないぞ。」

 

「そうかしら・・・・」

 

「おっと、同じ吸血鬼だから名前を名乗らないとな。俺の名前はヴァン。」

 

「私の名前はレミリア、そしてこちらにいるのが私の妹のフランよ。」

 

「レミリアとフランか、いい名前だな。お前達はどうやってここまで来れたんだ?」

 

「無縁塚をさ迷っていたらここまで来れたのよ。」

 

「そうか、お前達は迷ってしまったのか。それは気の毒なことだ。そう言えば、女の吸血鬼とは一体どんな感じなんだろうな。」

 

そう言うとヴァンはレミリアの顎を摘まんだ。そしてあちらこちらを見渡し始めた。フランはレミリアから離れろという無言のメッセージを震えながら送った。ヴァンはそれに気がつくと空いている左手をフランの頬に触れた。

 

「ひっ!」

 

思わず声を上げてしまうフラン。しばらくしてヴァンは二人から離れ、立ち上がった。そして奧へと歩いていった。レミリアはそれを阻止するかのように呼び止めた。

 

「待って!あなたはどこへ行くつもり?」

 

「ん、俺か。俺はそろそろ作業に取りかからなければならないんだ。」

 

「作業?作業って一体何をするの?」

 

「これから俺は幻想郷の強者を倒すための準備に取りかかるんだ。なんなら、お前達もやるか?」

 

「幻想郷の強者?どういうことよ!そんなことはさせない!なんとしてでも。」

 

「残念だな。お前達とは共に殺っていけると思っていたのだが、お前達が言うなら仕方ない。まずこの秘密を知ってしまったお前達から殺るとしよう。」

 

そう言うとヴァンはレミリアとフランに向かって拳を飛ばしてきた。二人はそれをかわした。そしてレミリアはヴァンに向かってスペルカードを使用した。

 

「スピア・ザ・グングニル!」

 

だがヴァンはレミリアの攻撃を意図も簡単に左手だけで受け止め、それをフランの方へ飛ばした。フランは反応しきれずスピア・ザ・グングニルを食らった。

 

「ぐはっ!」

 

「フ、フラン!」

 

レミリアはフランの元へ駆け寄ろうとするがヴァンはレミリアを通さないようにレミリアを蹴り飛ばした。

 

「がはっ!」

 

レミリアはそのまま壁に衝突し、吐血した。ヴァンはレミリアとは別にフラフラとなりながら起き上がるフランの方へ歩み寄った。

 

「ま、まだよ!」

 

レミリアは自分の妹を助けるべく再びヴァンに立ち向かった。ヴァンは自分に向かってくるレミリアに気にせずフランに近寄る。そして気にしていなかったレミリアを地面に叩きつけた。

 

「ぐあっ!」

 

そして慌てて向かってくるフランの腹に左手を突き刺し、貫通させた。

 

「グホッ!」

 

フランは吐血し、それを許さないレミリアはヴァンに向かっていこうとするがヴァンはレミリアを踏みつけ、身動きが取れない状態にした。

 

「なんだ、もう終わりなのか。つまらなかったな。お前達の強さには期待していたのだが、予想が大幅に外れたな。さてと、お前達にもう用はない。とっとと死んでもらおうか。」

 

「やめて・・・フランだけは・・・私の妹だけは・・・・・見逃して、お願い・・・・・・」

 

「・・・・・いいだろう、とは言わせない。まずはお前から殺してやろう。」

 

そう言うとヴァンはレミリアを踏みつける力をさらに強くした。レミリアは吐血しながらヴァンの足から逃れようとするが全く歯が立たなかった。

 

「やめて・・・お姉さまを離して。」

 

「そんなことはしない。お前も後から姉の後を追わせてやるよ。それでいいだろう。」

 

次第にレミリアの抵抗が弱くなっていった。フランはそんな彼女をただ黙って見ることしか出来なかった。と突然だった。フランの精神の糸が急に切れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてフランはヴァンの腕を掴むとヴァンの左腕を引きちぎった。

 

「なっ!?」

 

ヴァンは急に左腕を引きちぎられたことに驚いた。さらにフランはヴァンを殴り飛ばした。

 

「グホッ!」

 

ヴァンは吹き飛び壁に衝突し、吐血した。ヴァンはすぐに起き上がり、フランを見た。

 

「何が起こったあの小娘。」

 

そこには赤い目をしていて今まで見たことがない不気味な笑みを浮かべていた。

 

(何だあれは。もしかするとメルト・グランチ様よりも恐ろしい笑みなのかもしれない。)

 

そうヴァンは確信した。ヴァンの足から逃れられたレミリアは咳き込みながらフランを見た。それは自分が最も恐れていたフランの暴走だった。ヴァンはあることに気がついた。

 

「糸が切れたか。全ての吸血鬼が最も嫌い、最も恐れている暴走。それを止めるにはおそらく・・・」

 

ヴァンが続きを話そうとした瞬間、フランがヴァンの目の前にいた。そしてフランはヴァンを殴りつけた。ヴァンは逃れようとするがフランが許すはずもなくフランはヴァンの肩を掴み、壁に押しつけた。そして右手を上げ、ヴァンの腹部に一撃を食らわす。

 

「ぐはっ!」

 

ヴァンは再び吐血する。そんなヴァンとは別にフランはヴァンの右腕を引きちぎった。引きちぎられた右腕からは大量の鮮血が飛び散る。フランはそれを美味しそうに舐めた。これでヴァンは両腕を失い、抵抗することが出来なくなった。フランの暴走はまだ止まらない。フランはヴァンの腹部に右腕を刺すと中から無理矢理臓器を取り出し始めたのだ。ヴァンの腹からは鮮血が吹き出る。フランは笑いながらどんどんヴァンの臓器を取り出す。

 

「やめろ!やめてくれ!」

 

ヴァンは必死に叫ぶが今のフランにそんな言葉は通用しなかった。どんどんヴァンの鮮血がフランに飛び散り、フランの体は血まみれになった。次第にヴァンの抵抗がおさまっていった。そして誰かに助けを求めるかのように嘆いた。

 

「メルト・・・・・・グランチ・・・・・様、どうか・・・お助けを・・・・」

 

だがヴァンの嘆きは誰にも聞こえることはなかった。そのままヴァンの意識は深い闇の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息絶えたヴァンの回りには血と臓器が飛び散っており、それをフランは黙ってみていた。レミリアはそんなフランの様子を黙って見ていた。その瞬間、フランは地面に倒れた。レミリアはすぐさまフランの元へ駆け寄り、フランを抱いた。フランは元のいつものフランに戻っていた。レミリアの目からは大量の涙が零れていた。フランはそんなレミリアを見てこう言った。

 

「お姉さま、どうして泣いてるの?」

 

「当たり前でしょ?フランが元に戻らなくなったら私はどうすればいいのかわからないのよ。でもフランが無事に元に戻ったなら私はそれだけで嬉しいよ。」

 

そう言うとレミリアはフランを抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、レミリアとフランの過去の出来事が終わった。五人はすぐメルト・グランチを見た。彼はまだ笑みを浮かべている。

 

「全く、あの吸血鬼の小娘達に敗れるとはね。ヴァンは無様だったな。」

 

「無様!?お前、自分の部下を何とも思わないのか!」

 

「あの程度の力の者に敗れるのを無様と言って何が悪いのかな?それに、あの鬼も、類似餌も結局は役に立たない、ただのモノなのだよ。」

 

「そうかい。よしオメェラ!こいつを倒すぞ。」

 

「山下啓介、先程私は戦う気がないと言ったのをもう忘れているのかね?私は帰るとするよ。後は頼んだよ、疾風の青年、パチュリー・ノーレッジよ。」

 

そう言うとメルト・グランチは霧のように消えていった。そして隼人とパチュリーが戦闘体勢に入った。

 

「なんとかしてこいつらを正気に戻さないとな。」

 

「それが俺達の今やるべきことだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、守谷神社では。セコンドが到着していたがセコンドは守谷神社を見て、汗をかいた。

 

「あれれ?こんなにいたっけ?」

 

無理もない。そこにいたのは紫、幽々子、神奈子、早苗、諏訪子だったからだ。




次回は利益と光源です。セコンドとの戦いに挑む五人。そこにとある人物が乱入する。次回もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。