超下位存在君の無駄な努力   作:龍崎悠司

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UAが3700を突破しました!
そしてお気に入りが25件!


読者の皆様に多大な感謝を!!


もしかしたら、UA5000かお気に入り50突破で何かやらせていただく『かも』です。

『かも』ですからね!期待はしないでください。m(__)m


そいでは、どうぞ。


破章~黒という存在
極めてLet's コマ回し!


 

 

 

 ―――――……

 

 俺が持ってるものは多くない。

 

 記憶もないし、夢はあるけど具体的じゃない。

 

 けど、自慢の友達はいる。

 

 闘う才能は持ってる。

 

 今あまり持ってないからこそ。

 

 これから多くを積んでいこう。

 

 ―――――……

 

 

 

 

「ふっ!ふっ!」

 夕暮れの学園で、刀太がアルビレオ・イマの重力剣を振るう。

 この黒い剣は柄にあるダイヤルを調整することで何tもの重さにすることも、逆に紙より軽くすることも出来るものだ。

 当然、刀太もt単位の重量で振るっている。

「よぉ、ベクトルの意識は出来るようになったか?」

 そこへ、黒斗が声を掛ける。

「おぅ、中々ばっちりだぜ」

 その質問に、サムズアップで答える刀太。

「ほぉ、じゃあ試してやる」

 そう言って、その辺を歩いてる生徒を指差す。

「あそこの黒髪の男。あいつはどっちが利き腕だ?」

「うぇ!?」

 いきなりの難問に一瞬たじろいだが、真剣に男子生徒を観察する。

 少し距離があって分かりづらいが、歩く時の踏み込みが右の方が強く見える。重心のバランスも傾いてる。

「右利き」

「正解。もうちっと早く答えられるようにしとけ」

 ちぇ~、と口を尖らせる刀太に、しかし黒斗は内心驚いていた。

 自分の力のベクトルの次は、当然他者のベクトルや流れを見極めさせるつもりだったのだが、それを指示を出される前に習得していた。

(こりゃ、雪姫が入れ込む気持ちも分からんでもないな)

 お互いに馬は合わないと思っている雪姫と黒斗だが、意外と意見も合うし息も合わせようとすれば合うのだ。だからこそ、お互いに触れて欲しくないポイントも知っているのだが。

 その辺りは置いておいても、伊達に百年単位の長い付き合いではないのである。

「でもま、流れの把握に関しちゃもう次の段階だな」

「次?」

「あぁ、実際に戦いの中で流れを掴めるようにすること」

「黒斗が見てくれるのか!?」

 期待に満ちた目を向けられるが。

「基本的には九郎丸辺りに頼め」

 素気無く断られる。

 その返答に凹む刀太。

「けど、最初だけ見本を見せてやる」

 来い、と手招きする黒斗。

「後悔すんなよ!?」

 挑発しながら、嬉しそうに刀を振るう。

 素直すぎる袈裟斬り。

 その上から下へのベクトルに対し、さらに上から下へ(・・・・・・・・)気力をぶつける。

 ガクン!

 強制的に地面に剣を叩きつけさせられた刀太の体制が大きく崩れる。

 そのまま倒れこむ方向に、再びベクトルを合わせて気力をぶつける。

 不自然な体制から地面に倒れるはずだった刀太は、その一撃で十メートル以上も離れた壁に激突した。

「どうだ?ちっとは何か掴めたか?」

 上下逆さま状態の刀太に質問を投げかけるが、刀太は笑いながら否定する。

「分かるか!ってか、あの腕相撲の時のやつはどうやるんだよ?」

 聞き返された内容に、黒斗は鼻で笑って応答する。

「はっ!あれを極めるのはもっと後に決まってんだろ?まずは実戦で、相手の流れに合わせることからだ」

 その次に流れの相殺、流れの変化へと続き、最後に流れの掌握に持っていく。

「この修行には手っ取り早く、なんて便利なものはねぇ。どれだけ早く習得出来るかは完全に本人の才能とセンスに依存する」

 先は長そうだ、と逆にやる気に燃える刀太。

「よぉっし!!やるぞぉ!」

 励む刀太に苦笑しながら、再び構える黒斗。

「今言った掌握までの気力の扱い方を一通り段階ごとに教えてやる」

 またも手招きする黒斗に、刀太が挑む。

 全力で近付いて横薙ぎ。

 その出だしに拳を叩き込まれる。

 そのせいで、振り抜くのに数秒遅れる。

 そして振り切る前に横っ腹に一撃もらい、再び吹っ飛ぶ。

「これが相殺だ。ポイントは力が乗る前に叩くこと」

 アドバイスをして今度は黒斗から仕掛ける。

 瞬動術を使って一瞬でまだ空中にいる黒斗の懐へ行き、足下からの逆袈裟斬り。

 しかし気が付いたら、右真横に弾かれていた。

 黒斗の体制から見るに、左の脚で蹴り払われていたらしい。

 方向転換が自然過ぎて、気付けなかった。

「変化」

 そのまま右のつま先が蹴り込まれて刀太の額に当たり、とんでもない勢いで後頭部と地面がぶつかる。

「ってぇ!!」

「慣れるまでは攻撃を少しだけ逸らしていなすところから始めるようにな」

 バク転で起き上がり、もう一度刀太から瞬動術で仕掛ける。

 今度は黒斗の裏を掻くために、黒斗に刀をぶつける直前で重量を極限まで軽くする。

「!」

 そして一瞬で斬撃の方向を縦から横に変え――

 ようとして、くるくる回転してしまった。

「あ、あれ?」

「掌握まですれば、格下相手に遊ぶことも出来る。こいつにコツは無い。今まで学んだことを一度に行えば可能だ」

 そのままくるくる回転を続けさせられて目を回すまで続けられた。

 

 

 

 十数分後。

「うぼぇ……まだ気持ち悪い」

 リバースこそしていないものの、かなり危ない状態の刀太が床に手を突いていた。

 九郎丸や三太、キリヱが背中をさすったりして落ち着けている。

「どんだけやったの?黒兄」

「ベーゴマ目指してみた」

 適当な返しにため息が返ってくる。

「まっ、手本は見せたんだ。これで習得出来なきゃそれはこいつの問題だ」

「いくら何でも横暴じゃないの?」

 淡々とした言葉に異を唱えるキリヱに首を振る。

「これで成長出来りゃあ、才能は認める。逆に何にも開花しねぇってならこいつはそこまでだ。んでもってその程度だった場合に、俺は面倒を見るつもりはねぇし義理もねぇ」

 実際、教えてほしいと言われたからレクチャーしただけであり、わざと間違ったことも教えていない。極端にスパルタなのは否定しないが、教わりたいとそちらから言ってきたのに習得出来なかったからといって、責任を追及される必要性など欠片も感じない。

 才能を人のせいになど、出来ないのだから。

 その正論に、反論も文句もない。

 空気を変えるようにともかく、と言って。

「全部出来れば皆伝だ、免許はねぇがな」

 それだけ伝えて全員に背を向ける。

「もうしばらくしたら、また調査に行く。もしかしたら、誰か付いてきてもらうかもしれん」

 覚悟だけしておけ、とそのまま歩き出す。

「待ちなさい」

 と、その足を夏凛が呼び止める。

「その時は、私を――」

「お前は連れて行かない」

 自分も共に、という夏凛の願いは言い切る前に断たれた。

「お前は、俺の調査には相性が悪いからな。それに……」

「それに、何?」

 珍しく歯切れの悪い言い方に踏み込む。

「……」

 一度黒斗は(かぶり)を振ってから。

「いや何、久しぶり過ぎて距離感が狂いすぎな気がしてな」

 少し悪意の見える笑いで告げた。

「えっ?」

 突然の拒絶に戸惑う夏凛。

 夏凛だけではない。

 周りの面々も、黒斗の言葉に驚いていた。

「でも、だってあの頃(・・・)は……」

 これくらい普通だった、と言いそうになって。

 そこに現実が降りてくる。

 

 

「もう、俺は『違う』」

 

 

 その言葉に込められた感情は何だったのだろうか?

 悲しみか?

 自嘲か?

 はたまた、悪意か?

 その真意は誰にも分からないが、言われた夏凛の顔に浮かんだ表情は誰でも分かった。

 絶望。

 呼んで字の如く望みを絶たれること。

 あまり親しくない三太でさえ理解した。

 膝から崩れ落ちる夏凛に、何て声を掛けていいか迷っているうちに。

 黒斗の姿は見えなくなっていた。




次回は調査回と言ったな……あれは嘘だ。
ということで、またやってしまった次回は~詐欺。すみません。

今回は修行回です。そしてようやく軌道に戻ってきたシリアスかi…新章導入話です。
なんでこいつ、弱く設定したはずなのに師匠やってんだよ、と作者が一瞬本気で考えてしまった。


おそらく今度こそ!今度こそ調査回、やらせていただきます!

しばし、お待ちください。
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