やっとこさ調査回です。
そしてそして!
UA4000、お気に入り30!!
なんとも嬉しい限りです!
ありがとうございます!!
―――――……
いつ生まれたのか。
定かではない。
何故生まれたのか。
定かではない。
何のために生かされているのか。
それだけは、定かである。
そして、それ以上に望むものなどない。
―――――……
学園内で、黒斗が放った言葉のせいで刀太たちの空気が微妙になっている中、刀太が雪姫から呼び出された。
(雪姫の方から俺だけ呼ぶって珍しいな)
疑問に思いながらアジトに戻り、雪姫の部屋に入る。
そこでは雪姫と一緒に黒斗が待機していた。
思わず、刀太は黒斗に突っかかる。
「黒斗!お前のせいで俺たちの空気が微妙なんだよ、どうにかしろ!」
「貴様何をしたんだ?」
バk……直情的でコミュニケーション能力に長けた刀太にここまで言わせることをしでかした黒斗を呆れながら見やる雪姫。
「別に、浮かれてるようだったからな」
その一言で、誰に対してしでかしたのかは即座に理解する。
「全く、三百年ぶりなのだからもう少しくらい……」
ため息混じりで言う雪姫に、しかし黒斗は折れない。
「幻想に浸っていて許される立場じゃないだろうが。現実が辛いからって甘い幻想に逃げたくても、実行させるわけにはいかねぇよ」
正論ではあるので、最早雪姫からはため息しか返ってこない。
「んで、何で俺が呼ばれたの?もしかして、黒斗のやってる調査に関することか?」
本題に入る刀太。
正直、自分たち学園組を気まずくした原因を作った黒斗に何とかしてほしいが、今は置いておく。
「あぁ、今回はどうにも手掛かりを掴むのが目的らしくてな」
「それで、お前らの中で一番勘がいいやつは?って聞いたら刀太だってエヴァンジェリンが言うんでね」
「もしかして、勘頼りなのかよ!?」
あまりの調査方針に愕然とする刀太。
「失礼な。一応の目星はちゃんと付いてる。ただ範囲が広い上に情報のノイズがひどくてだな……」
「ノイズ?」
少し聞きなれない言葉に首を傾げる。
なんでも、匿名性のおかげで情報発信に躊躇いがなくなることでデマが多くなるのだという。そして、真実を語っている情報は一握りも無いことが多いので、余計な情報のことを指して雑音――ノイズと言うのだそうだ。
「へぇ。んで調査する範囲はどのくらい?」
「東京」
一体どこの遠方かと身構えていると、案外近くて肩透かしをくらった気分になる。
「なんだ、結構近いじゃねぇか。んで、東京のどこだよ?」
「いや、だから東京だって」
「……へ?」
黒斗の言っている意味が分からず、思わず聞き返してしまう。
「東京の全域が、今回の調査対象だよ」
まさかの広域調査。とても一日で終わるとは思えない。
「あ、言っておくけど、調査が終わるまでは俺の方に付いて来てもらうからな」
「ち、ちなみにその間修行とか給料とかは……」
せめてもの希望を見出そうと聞いてみるが。
「いや、元気が残ってるなら修行は止めないけどよ」
そこで、ちらっと雪姫を見やる。
「調査の給与に関しては、今回は組織として正式なものじゃないからなぁ」
言うとニッコリ笑って。
「出来高制だな」
現実を突き付けた。
「えぇええええええええええええ!!!??」
刀太の悲鳴が木霊した。
そんなことがあった三日後のこと。
「だぁ!!くそ!何にも手掛かりがねぇ!」
調査の状況は芳しくなかった。
「言うなよ、俺もへこんでるんだから」
寂れた廃公園のベンチに座りながら項垂れている黒斗の姿はスーツ姿も相まってリストラされたサラリーマンにしか見えない。
「ってか、調査ってこんなに大変だったのかよ?」
黒斗のあんまりな様子に労うつもりで質問する。
「いや、普通はもうちょっと何かしら欠片くらいは見つかるもんなんだけどな」
それが、足跡を消した痕跡すら見つからない。
プロなんてレベルじゃない。
そうしなければ生き残れない環境で身に付いたものだ。間違いない。
なぜなら、黒斗自身がそうだったからだ。
事実、過去のある一定の期間を除いて黒斗は命の保証など、他の生物に比べたら微塵も無い。
例え瘴気が濃いところに居続けたとして、そんなところは決まって治安が悪い。トラブルに巻き込まれる可能性が大きいのだ。
しかも、トラブルで対峙した相手によっては一瞬で消されてしまう。
かと言って、瘴気の薄い場所には長期間居座ることすら出来ない。
だからこそ、こと『生き延びる』ということに関しての能力は黒斗の中でも随一なのである。
その黒斗と似たような鮮やかな手並み。
いや、それ以上とも言える。
痕跡を消すだけでなく、消したことすら掴ませないのだから。
「なぁ、黒斗。本当に東京でその組織、だっけ?そいつらの証拠とか本当にあるのか?というより、そんな奴らいるのかよ?」
「いる」
当然の疑問に、黒斗は即答する。
「間違いなく、この東京で奴らの尻尾の先くらいは掴んでみせる」
「けど、この三日完全に空振り三振どころか、このままじゃ
言われてへこむが、断言するだけの根拠がある。
「ぐっ……けど、ネットやら心霊スポットの口コミを見ると、確かにこの東京でも色々やってるんだよ」
そう、実際に見て歩いた分には何にも分からなかった。
気が付いたのも、たまたま黒斗が
それに対し、ネットと口コミによる情報には当然ノイズもたくさんあったものの、『幽霊騒ぎ』に関しての情報がここ最近にしては増えすぎていたのである。
「ただの幽霊騒ぎだってなら、確実な目星って言うには情報として弱すぎる」
だけど、と一度区切って。
「さすがに
「鎖……」
そのキーワードで思い出す。
二週間ほど前の除霊の依頼。
そこで戦った怨霊が特殊な鎖を使い攻撃してきたこと。
何より、その鎖を使って浮遊霊から力を奪っていたこと。
そんな特殊な鎖を持った幽霊が、自然発生でそこら中に現れるなんて
「でも、そんだけ分かってんのに何でこんだけ何にも掴めねぇんだ?」
その一言で、ズ~ンと効果音が聞こえそうなほど落ち込む黒斗。
さすがに心配で声を掛けようとする直前で勢いよく立ち上がる。
「ああもう!!っとに何だってんだよ!この情報統制のちぐはぐ感はぁ!!」
うがぁ!!と叫び声を上げながら怒りを空に放つ。
「ちぐはぐ?」
引っ掛かった言葉を聞く。
「そうだよ。完全にこっちに尻尾掴ませないようにするんなら、今まで見てきた場所の足跡の消し方は完璧だ。けど、そいつに対してネットでの情報かく乱が適当っつかザルっつうか、もう完っ全にてんでバラバラなレベル差なんだよ!遊んでんのか!?煽ってんのか!!?マジでよぉ!!」
説明の途中でまた怒りが沸いたのか語気が強くなる。
「まぁまぁ、ここで暴れたって仕方ないんだから少しは落ち着けって」
「…………わかったよ」
刀太に諭されたのと叫んだことで少しは発散できたのか、一度冷静に考えてみる。
今まで見たスポットの数は百に近い。
その多くがノイズだろうが、それでも当たりはいくつかあったはずなのだ。
それが全く分からないほどの高度な痕跡消去。
なのに、ネットを突付けば簡単に候補を挙げられるくらいに情報が溢れている。
適当なノイズを混ぜていくだけで、追跡など容易に困難に出来るというのに。
しかもその場所は東京。
UQホルダーの目と鼻の先。
これはもう挑発でしかない、と黒斗は考えている。
前に解決した事件の後すぐに、情報量が爆発的に増えたからだ。
推測の域を出ないが、おそらく確定だろう。
(問題はこれがプライドの張り合いの結果か撒き餌か、だ)
前者なら、UQホルダーの力で簡単に叩き潰せるし、尻尾さえ捕まえれば後はするする芋づる式に出てくるだろう。
しかし後者だった場合、これはいわゆる『釣り』だ。
今ここで黒斗たちがこうして悩んでいることさえ、相手には想定済みの織り込み済みでしかない出来事のはずだ。
「でもホント。これが狙いでやってるってんなら、相手は絶対ドSだな」
黒斗の言葉に同調するように頷く刀太。
「だな。マジで嫌がらせの天才としか思えねぇ」
疲れた感じに笑い合いながら、次の場所に行こうと立ち上がったところで。
「サディストではない。ただの恋慕である」
後ろから、声と共に殺気が放たれた。
いかがでしたでしょうか?
今回から、ですかね。そろそろ話が核心に向かい始める頃合です。
急転はどこまでするか分からないですが、展開は進んでいくと思われます。
……おそらく(保険)。
UAとお気に入りが増えたことは本当に心から嬉しいです!その言葉に嘘偽りは一切ございません。
本当に嬉しいのですが、いきなりお気に入りが5件増えてビックリしまして、これは記念回やれというお達しなのか…と、プレシャーが増している作者でございます。
まぁ、まずは楽しいお話を書くことから続けていきたいと思います。
感想、評価その他リクエストやご意見ご指摘等々お待ちしております。