超下位存在君の無駄な努力   作:龍崎悠司

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引き続きバトル回です。
最初書き上げた時は七千文字以上になってしまったので、
がっつり二等分しました。


そして、UAが5000目前の4700に!








痛くて熱くて苦しいのは如何?

 

 ―――――……

 

 自分には生命が無い。

 

 残り少ないなどではなく、最初から持ってない。

 

 けれど、そんな自分なればこそ。

 

 命への憧れは誰より持っている。

 

 だから、命を愚弄することを許さない。

 

 例え、どんな生命でさえも。

 

 そう、儚くも信じている。

 

 ―――――……

 

 

 

 

「どういうことだよ?こいつの本体が斧って」

 黒斗の発言の意味が分からず、尋ねる刀太。

「そのままの意味だ」

 それに対し、さらっと答えを返す。

「さっきの一撃。間違いなく殺しきるつもりで放った」

 その言葉に、おいっ!?とツッコむ刀太。

「なのに、手応えが変だったんだ」

「変?」

 首を傾げる刀太に、あぁと頷いて続ける。

「なんと言うか、芯を捉えてなかった感じだ」

 それは、確かに変である。

 男を動けない状態にして、強大な気をぶつけたのだ。

 多少外したとしても、その感覚が全くないのは確かにおかしい。

「けど、斧が本体だったとしてこいつは一体……?」

「なんだ、刀太。お前知らないのか?こういう存在」

 こういう存在?とおうむ返しに聞く。

 すぐに黒斗が答えないので、必死に頭を悩ませる。

「ん~~?」

「ほら、大事にされたり長年使われたりすると物が成るっていう……」

 そこまで言われてようやく分かったのか、ポンと手を打って答える。

「あぁ、もしかして付喪神(つくもがみ)か?」

 大きく頷く黒斗を見て、それが正解だと分かる。

 付喪神(つくもがみ)

 長年使われたりして古くなると、それを依り代に神や霊か宿るという怪談である。

 鎌倉時代に始まり、江戸時代には物を大事に使うために描かれた妖怪でもある。

 そういった付喪神であることが分かったのはいいのだが。

「けど、なんかこの斧、新しくないか?」

「よく分かったな」

 まぁな、と得意げに答える刀太を見て勘が優れているという雪姫の評価に納得した。

 とはいえ関心だけしている場合ではない、と話を続ける。

「問題はそこでな。この斧は新し過ぎる。はっきり言って、付喪神に成るほどじゃない」

「じゃあなんで?」

 刀太の疑問に、表情を少し歪めて即答しない黒斗。

 事情は考えられるが、その答えを出来るだけ認めたくない、と言いたげに、刀太は感じた。

「なぁ、黒――」

 

 

 

 

「そうだ。我は付喪神に成るために『造られた』存在である」

 

 

 

 

 刀太の声に被せるように剛僧の声が響き。

 はっ、とした時には、既に黒斗の目の前に斧が迫っていた。

 避けられない。

 そう判断して身構える黒斗の前に、刀太が飛び込む。

 刀を地面に挿して、ダイヤルを回す。

「『万倍!十t剣』!!」

 ゴッ!

 剣が急激に重くなって、地面に衝撃が走る。

 相手より重くなれば、力が伝わりづらくなって防ぎやすくなる。

 先ほどまでのぶつかり合いで、この戦斧が何万tもの重さではないことは感覚で理解している。

 故に防御に出たのだが。

「バッ!受けるな、流せ!!」

 黒斗の切羽詰まった声が聞こえ。

 ドッ!!

 二人一緒に吹っ飛ばされた。

 幸いにも大きく体制を崩すことなく構え直す二人。

「我は負けられん。それすなわち我を造り(たも)うた恩義を果たせないも同義!」

 その必死の形相にその言葉が欠片の冗談も含んでいないことが分かる。

「それは我の意義が無くなること!故に、貴様には消えてもらうぞ!!!」

 それから、剛僧の猛撃が始まった。

「っそが!」

 嵐のような攻撃に、自分の間合いまで入れさせてもらえない黒斗。

 刀太も中々踏み込めず、何度かかち合うも弾かれてしまう。

 一言で言えば隙がない。

 言うは易しだが、刀太と黒斗。UQホルダーのナンバーズと、それに連なる強さを持った二人を相手に実行するのはとんでもない話である。

「だっ!」

 そこへ、再び超重量の一撃を入れる刀太。

 さしもの剛僧も、自分より何倍もの重さの一撃には一瞬剣速が落ちる。

「そこだ!『黒針』!」

 その一瞬を逃さずに黒針を打ち込む。

 腕に二本刺さるがそれ以外は躱すか、弾かれてしまった。

「ちゃちな攻撃など、今更関係ないわ!!」

 だが、当然構わず攻撃を続ける。

 そんな剛僧に刀太は勝ったと思った。

 黒斗の黒針は刺さることで、強力な幻術のトリガーとなる。

 その強烈さはつい先日味わったばかりだ。

 だからこそ、必ず剛僧に隙が出来ると判断した。

 その瞬間、刀太は油断してしまったのだ。

「馬鹿、気ぃ抜くな!!」

 その叱責に、はっとして瞬動術で離脱しようとする。

 しかし、その直前で剛僧の戦斧が刀太を捉える。

 ザシュッ!

「ぐぁぁああああああああ!!!」

 鈍い音と共に、刀太の背中が抉られた。

 背骨が破壊されたのか、まともに立つことも出来ない。

「っの、ド阿呆が!」

 即座に回収して、一度距離を開ける。

「すま、ねぇ」

(しゃべるな。今から重要な話を一瞬でしてやるから)

 身体は回復し始めているが、このままでは最長で一分ほどは掛かるだろう。

 さすがに黒斗も抱えたまま戦闘は厳しいので、ほんの少しの時間で必要なことを全て伝える。

(確実に奴を止めるために、俺の針をせめてあと二本、出来れば武器の方にも四本で計六本刺したい)

 伝えられた内容はかなり厳しいものだった。

 今どうにかこうにか二人掛かりで何とか二本刺せたのだ。

 それを後六本分、しかもそのうち三分の二もあの武器の方に刺す必要があるときた。

(お前は回復に専念して、タイミングを窺え。それで、何とかまた決定的な隙を作ってほしい。それまでに、必ず奴の身体には針を刺し終えるから)

 無茶な要求なのは分かっているが、それでも今のままでは勝機が見えない。

 だから、刀太は力強く頷く。

 それを見て、古びた遊具の後ろまで飛ばす。

「休んどけ!クソ馬鹿!」

 ちゃんと、黒斗と剛僧の戦闘の直線状かつ黒斗の後ろ側という配慮付き。

 刀太に止めを刺せるかどうかは置いておいて、攻撃を与えるためには黒斗が邪魔だ。

 加えて、剛僧の目的は黒斗のみ。

 ならば剛僧としても、刀太が回復する前に叩くのみ。

「ぬぅうりゃ!!」

 余波すら必殺になりかねないほどの一撃を見舞う。

「!」

 だが、気付いた時には黒斗が自分の刃圏(はけん)の内側――すなわち武器の持ち手の更なる内へ入っていた。

「だらっ!」

 腹にもろにクリーンヒット。

 剛僧の大きな体躯が少し浮いて、数メートル吹っ飛ばされた。

「ぬぅ!?」

 しかも見れば、腹にまた一本針が刺さっている。

 だが、抜く隙は与えてはくれない。

 一瞬で黒斗は剛僧の顔面に蹴りを放つ。

 剛僧としても、そう何度も当たるつもりはない。

 逆袈裟斬りの要領で、斧を振るう。

 これに対し、黒斗は空中にいながらバク宙。

 そのまま、思いっきり戦斧を蹴りつける。

 気力を集中させて放ったそれはどうにか黒斗を逃し。

 針が一本、刺さっていた。

「ほぉ」

 その威力に一瞬心から感心する。

 剛僧の本体である戦斧は当たり前だが自分自身。

 その頑丈さには自信がある。

 だから、例え針一本でもそれを貫いたことは素直に賞賛できる。

 だが、それでもやることは変わらない。

 黒斗は全力で蹴った代償として、体制が大きく崩れてしまっていた。

 そのまま地面に尻餅をついてしまう。

 チャンスは逃さない。

 それまで以上に強く踏み込み、絶対的な必殺の一撃を与えるべく。

 一閃。

 ガキィン!!

 しかし、それは誰かに阻まれてしまう。

 いや、そんなことが出来る者などこの場に一人しかいない。

 刀太だ。

 下から潜り込み、救い上げるように刀を持ち上げる。

 斧のベクトルに対し、ぶつかり合うのではなく、流す。

(刀太こいつ!まさか、もう流れの変化をやってのけるのかよ!?)

 それを見た黒斗が驚愕する。

 力の流れを変化させるには、相手の流れに同調してその方向を把握して自分のベクトルを相手に合わせ、相殺の時のように力が乗る前に意図した方へ狙いをつけてその流れを変える必要がある。

 すなわち、変化をまともに行うには流れの同調と相殺、この二つの要訣を実行することが不可欠なのだ。

 それをたったの数日で行った刀太。

 正直、戦慄した。

「ぬぐ、こやつ……!」

「おっっっらぁぁあああああ!!」

 完璧に剛僧の一撃を捉えて流したベクトルは、綺麗にその方向を十数センチ上に逸らし。

 盛大に空振りさせた。

 それを驚いた程度で見逃す黒斗では、もちろんない。

「全く大した奴だよ、お前は」

 剛僧の肩を踏みつけて一本。

 振りぬかれた戦斧に、踏み抜くつもりで強く着地しながら一本。

 真下に向けて思いっきり殴り付けてもう一本。

 止めに踵落としで地面に叩きつけながら、さらに一本の針を刺す。

 これで剛僧の身体と本体である戦斧に四本ずつ。

 計八本。

 準備は整った。

「さぁ、見せてやる。殺し用幻術、『黒針地獄巡り』フルコースで味わいやがれ!」

 パチン、と指を鳴らすと、剛僧の身体に刺さった物と戦斧に刺さった物の二本が溶けるように消えた。

 そして幻術が発動する!

『其の(いち) 一骨(いっこつ)

 発動したが、剛僧としては何の変化もなく首を傾げる。

「一骨は骨や間接に影響を及ぼすんだが遅効性でな。最初は風邪を引いた時の関節痛くらいのものでしかない」

 言われた通り、少し間接部分に違和感が出てきた。

「だが、こいつが効いてくると……」

 ばきべきごき!!

「うっ!」

「全身の骨が砕ける感覚と共に、息が詰まる」

 今度は両手を合わせるようにして拍手のように強く叩く。

『其の() 煮式(にしき)

 またそれぞれ二本が消え、今度は全身を灼熱の痛みが襲う。

「がぁぁあああああああああああああああああ!!!!」

 その激痛に堪らず叫ぶ。

「全身を煮込まれる痛みに耐えかね、身体中の空気を全て吐き出す」

 さらに合わせた手を開き、指を間に入れて祈るように握る。

『其の(さん) 惨苦(ざんく)

 再び二本が消え、幻術が続く。

「ぐっ!っっっっっっ!!!」

 心臓がきゅう、と絞まる感覚が襲い、肺や腸が収縮し、逆に胃や脳が膨張したかのように感じる。

「心臓を始めとする臓器全てに苦しみが襲い、息を吸うことも困難になる」

 そして握った手を、弾くように勢いよく解く。

『其の(よん) 死送(しそう)

 唱えた瞬間、最期の二本が消えて。

 剛僧の身体が弾け、戦斧が粉々に砕けた。

 しかし、これは幻術。

 刀太からは、ただ剛僧が倒れたようにしか見えない。

「最後に、自分が死ぬ強烈なイメージを魂に届かせるほど叩きつける」

 黒斗は肩から力を抜いて、自然体へ。

「生きてる奴なら、最後の死の幻覚でショック死確定だ」

 得意気に言って、ゆっくり剛僧に近付く。

如何(いかが)かな?俺の幻術フルコースは?って、もう反応出来ないか」

 剛僧は気絶よりも深く、沈黙していた。

 勝敗が、決した。

 

 




さぁ、バトル回も終わりを見せて次は調査終了回。


そしてその後の展開は未だ…状態です(泣)

まぁ、なんとかなるでしょう!(楽観的)




やるかどうかは置いといて記念回に関しては、アンケートの形になるかと思うのでその時はなるべく多くの方からのご意見を頂戴したく思います。
よろしくお願い致します。

もちろん、そのアンケート以外でも感想・評価その他諸々受け付けております。
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