超下位存在君の無駄な努力   作:龍崎悠司

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はい、ぶった切った後半です。
この回でようやく本編からの本題・中心に触れることが書けた気がします。


そして!
とうとう乗りました祝・UA5000!!

かなりテンション上がってまいりました!
プレッシャーとか知るか!
今の俺は誰にも止められないんじゃー!

って感じです。


まぁ、そんなことはその辺にほっぽり投げまして。
本編を、どうぞ。


絵面のシュールさをご想像下さい

 

 

 ―――――……

 

 (こいねが)う。

 

 この言葉にどれだけの感情が込められているか。

 

 知る者がどれほどいるだろう。

 

 悲しみ、怒り、苦しみ。

 

 そして、恋慕と狂喜。

 

 それらが混ざり合って、壊れてしまうほどの激情となって。

 

 溢れ出てくる。

 

 そんな感情を、経験した者がどれほどいるか。

 

 とはいえ、言葉で言うのは存外簡単だ。

 

 “あなたに会いたい”

 

 結局は、ただそれだけのことなのだから。

 

 ―――――……

 

 

 

 

 

「あ~、疲れた」

 伸びをして、座り込む。

 もう、地べたとか汚れるとかどうでもよくなるくらいに疲れたのだ。

「それで、こいつどうすんの?」

 刀太も疲れた様子で、地面に置いたままの戦斧と剛僧を指差す。

「まぁ、置いとく訳にもいかないから。うちで引き取って――」

 黒斗の妥当な意見が、最後まで話されることはなかった。

 なぜなら。

 ビシィッ!!

 戦斧にひびが入ったのだ。

「ぐ、がぁあ!」

 苦しそうに呻いて意識を取り戻す剛僧。

「おい!大丈夫か!?」

 心配して駆け寄る刀太。

 剛僧は付喪神。

 斧が壊れなければ死にはしない。

 逆に、斧にダメージが入ればそれはそのまま死に繋がる。

 黒斗はそれを分かっていて、直接攻撃ではなく殺し用とはいえ幻術を使ったのだ。

 しかしまさか、こんなに早く目が覚めるとは思っても見なかった。

 何より、いくら戦斧を攻撃したからといってこれほど簡単に砕けることなど有り得ないはずだ。

 その程度の判断くらいは付いている。

 なのにひびが入った。

 その要因が剛僧でも、刀太でも、黒斗でもないのなら。

 それは外部からしかない。

「がぁっあああ!!」

 ひびが大きくなり、叫び声がより大きくなる。

 刃の中心辺りがどんどん割れていき。

 バカン!

 中から、淡い紫の球体が飛び出した。

「がはっ!」

 その球体が抜け出たからか、ひび割れが止まり少しだけ息を吐けた剛僧。

 その様子に、心配はなくならないが少しだけほっとする刀太。

 

 

 

『ごきげんよう』

 

 

 

 しかし、球体から女の子のものと思われるその声が聞こえた瞬間、鳥肌が立って収まらなくなった。

 黒斗も同様で、警戒心を限界まで上げる。

 声が聞こえた瞬間に分かったが、この球体から感じる禍々しさは異常だ。

 それこそ、下手をすれば水無瀬小夜子にも匹敵するくらいの。

 警戒して、油断もなく、戦闘態勢すら無理矢理にでも整えたのに、冷や汗が止まらない。

 黙っていると焦れたのか、再び球体が話しかけてきた。

『ごきげんよう。無視しないでよ、バーナビー』

 どうやら、目の前の球体は黒斗に話しかけてきているらしい。

「……てめぇ、何者だ?」

 プレッシャーから、最低限の言葉で必要なことだけを聞く。

 普段の黒斗なら、軽い挨拶でもしただろうが、その余裕すら奪うものをこの球体は感じさせ続けている。

『全くもう、紳士のくせに女性に挨拶も出来ないの?』

 ぷんすか、という様子が手に取るように分かる言い方に、選択をミスったかもしれないと思った。

 感じは禍々しいが、どうにもフレンドリーなのだ。

 それでも警戒は解けないのでどうしたものかと悩む。

 相手がフレンドリーでも、冷や汗が止まらないほどのプレッシャーが放たれていてはそう簡単に判断出来ない。

『まぁ、いいわ。どうかしら?気に入ってくれた?バーナビー』

 やれやれ、と言いたげな声。落胆はしているようだが、気に障るほどではなかったらしい。

「何をだ?」

 本当に意味が分からず聞き返すと、笑い声が返ってきた。

『何って決まってるじゃない。その人工付喪神よ。よく出来てるでしょ?』

「はっ、この技術は一応は確立された技術だ。これだけじゃ、驚くに値なんざしねぇよ」

 挑発気味に黒斗は言うが、驚かないのは正直無理があった。

 確かに、武器に意思を持たせる研究はされていて、その結果の一つに付喪神に成りやすい武器の精製があった。

 けれど、そう易々と出来る代物ではないし、出来たとしてそれは『より付喪神に成りやすい武器の精製』であり、『必ず付喪神に成る武器の精製』ではない。

 だが、この球体の口ぶりからすると、確実に付喪神に成ると分かって造りだしたように聞こえる。

 これを黒斗はある程度ブラフと判断。

 確率を大幅に上げることに成功したくらいに考えることにした。

 それでも、本音で言えば十二分に驚嘆に値する技術力ではある。

『あら、残念。もう少し喜んでくれると思っていたのに』

「俺への理解が足りてないな、ストーカー君。ってか、俺を喜ばすって言う割には、こいつに俺を殺すように指示してたじゃねぇか。何でだ?」

 少しだけ慣れたのか日常会話のように口調を軽くしていく。

 どうにか相手の気を良くするためである。

 黒斗の予想では、相手はこの付喪神に自分を殺せと指示した本人のはずだ。

 でなければ、付喪神の本体に魔法を仕込むなんてそうそう出来ることではない。

 だからなんとか気分をよくして、向こうから話させるつもりなのだ。

『ストーカーなんて、私傷付いちゃうわ』

 だが、不用意に発言してしまった言葉に、本気で肩を落としたような口調で返される。

(ヤバ……詰んだか、こりゃ?)

「そうは言っても、俺の昔の名前だの日本での活動だのを細かく知ってたらそう思っても仕方がないだろ」

 およよ、と嘆く球体に内心焦りながらも文句を言う黒斗。

 黒斗が緊張を張り詰めた中でどうにかそれっぽく会話しているのに対し、球体の方は完全にこの会話を楽しんでいる。

 話の流れがさっぱり分からない刀太にも、相手がおしゃべり感覚なことは分かるくらいだ。

『もう、久々の会話なのにせっかちね、バーナビーは』

(!?久々、だと?)

 それが本当なら、黒斗とこの球体――正確にはこれは通信魔術の一種のようなので声から察するにその少女――は、やり取りの軽さから、黒斗の知り合いになる。

 しかし、黒斗の記憶ではこんな過激な少女のことなど知らない。

 一体何者だというのか。

『まぁ、いいわ。答えてあげる。理由は簡単よ』

 ふわり、と戦斧の周囲を一周して告げた。

それ(・・)程度じゃあ、あなたを殺すなんて不可能だから指示したの。挨拶代わりにね』

「結構危なかったんだが……」

 実際、刀太がいてくれなかったらもっと厳しかったと思うし、下手をすれば消滅していただろう。

『そんなはずはないわ。決してね』

 だが、その危惧を声の主は一蹴する。

『私が愛したバーナビーが、こんな程度だなんて有り得ないわ』

「……なるほどね」

 何となくだが、理解した。

 この声の主が言っているのは、全盛期の黒斗の話だ。

 その時の黒斗なら、確かにここまで苦労はしなかっただろう。

 それは確かだ。

 しかし今となっては、それは過去でしかない。

 過去の強さは、決して今の実力とイコールなどではないのだから。

「悪いが買い被りだ。今の俺にそこまでの力はねぇよ」

『そう』

 その答えに、声の主は残念そうに呟く。

「それと、その名前もやめてくれ。俺は今、UQホルダーの靄傘黒斗なんでな」

 それだけ伝えると、声の主が少しだけ沈黙する。

『…………そうなのね……やっぱりあなたは、あの女に……!』

 静かに呟かれた内容はよく聞き取れなかったが、そこに込められたどす黒い感情だけは伝わってきた。

 その、つい溢れ出てしまった程度のはずの力の奔流に、刀太と二人、身体が強張る。

 そこに、計り知れない力を感じた。

 不死人として最高位の吸血鬼である刀太と、悪い魂の欠片で出来ている黒斗の二人が、戦慄だけでなく少しの恐怖を抱いてしまうくらいには。

『今日はもういいわ』

 いつまでも続くと思うほどの圧倒的な圧力が、ふっと止んだ。

 止まらなかった冷や汗が、ここにきてさらにどっと流れる。

 予想以上に、身体が強張っていたらしい。

『けど、覚えておいてね?バーナビー。あなたを手に入れるのは私』

 宣言するように告げる。

『あなたを真に愛せるのも、あなたがまともに愛せるのも、私だけなんだからね』

 しかし、告げた言葉は黙っていられるものではなかった。

「てめっ、本当に何者……!?」

 何故その事実を知っているのか、そう詰問しようとする黒斗だが球体は空高く昇っていってしまう。

「お、お待ち……ください」

 と、そこへ剛僧が声を掛けた。

「おい、おっさん!しゃべんな、身体に障るぞ」

 刀太の忠告を無視して話しかける。

「わ、我は何のために?我は、一体?」

 自分の存在意義はこの声の主のためにある。

 そう信じて疑わなかったのに、話された真実は自分は当て馬でしかなかったということ。

 そして、信じていたのは自分ではなく殺せと言ったはずのターゲット。

 自分の芯が、壊れていくのを感じる。

『あぁ、あなたの役目はもう終わりよ?だって、私をバーナビーに会わせることだけがあなたを使った理由だもの』

 その残酷な言葉は、容赦なく剛僧を崩していく。

「!やめ――」

 声の主が発しようとしている言葉の危険性に気付き、やめろと言う黒斗だが、その言葉を言いきるより早く。

 最期の言葉が剛僧に届けられた。

『あなた、もう用済みよ』

 それが決定打。

 付喪神とは言うが、乱暴に言ってしまえば意思が宿っている道具に過ぎない。

 道具は用途という名の使命があってこそ。

 それを奪われるというのは、何より屈辱で最大のダメージとなる。

 パッキィン。

 その音を最期に、戦斧はバラバラに割れ。

 剛僧が消えた。

 ここに、人工的に造られた付喪神が一体。

 

 

 

 

 死んだ。

 




前回の一文。
UQホルダーのナンバーズと、それに連なる強さを持った
…………

弱いって設定マジでどこ行ったんだよ!?(半ギレ)
勢いって怖い。

そして最近、タイトルが思い付かない。
適当に走り過ぎた結果、シリアスなタイトルが付けられなくなってしまった。

あ、ちなみに今回のタイトルは警戒心と緊張感マックスなのに話してる相手は玉なのでこうしました。
あんまりこういう設定以外の補足はしたくないのですが、タイトルが思い付かなかったので、こんな分かりにくいものになってしまいました。ごめんなさい。

色々迷走する道の前提から間違えてる感がありますが、これからもなにとぞよろしくお願いします。
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