お気に入りの数ですが、なんと44!
もう本当に50までもうすぐですよ!ナンテコッタイ!
あぁ、それと最初に言っておきます。
図書館島なんぞ、わしゃ知らんぞい。
―――――……
甘い幻想に浸るのは悪いことなのだろうか。
現実では実現出来ないことを幻想に託すのは。
辛い現実から目を背ける間だけでも、許されないのか。
いや、本当は分かっている。
悪いなんて話ではない。
幻想に逃げて現実に立ち向かうことを止める。
そんなことを許容など、出来るはずがない。
誰かのためにも。
自分のためにも。
―――――……
刀太と黒斗が調査している間。
夏凛もまた、水無瀬小夜子の件について調査を進めていた。
今は図書館にいる。
水無瀬小夜子が、世界を滅ぼすに至ることが出来たその足跡や積み重ねてきたこと、良し悪しに関わらずその研究成果などを調べている。
特に、不死者にも有効な魂魄浸食型屍鬼ウィルスについてだ。簡単に言えば人をゾンビに変える猛毒である。
調べているのは、水無瀬小夜子が成仏した今、そのウィルスは既に完成して何処かに保管してあるのか。より重要なのは他の者がそれを使用出来るのかどうか。精製出来るかどうかである。
おそらく、自分には効かないだろうが、だからと言ってそれでいいなんてことは絶対にない。
また世界が滅ぶなんてことにならないためには、ウィルスが使われる可能性をゼロにしなければならない。
そのためならば、いくらでも調べてやる。
覚悟を持って、誇りを持って調査に臨んでいるものの、成果は芳しくない。
それは、滅んだものをキリヱの能力でやり直してこの世界が一度なかったことになったからなのか、学園での水無瀬小夜子の殺害記録以外は、『トイレの小夜子さん』という怪談話くらいしか出て来ない。
彼女と関わりの深かった三太に聞いても、それらの詳しい情報は、さすがに出てこなかった。
(本当にこれで大丈夫ならいいのですが……)
これが杞憂に終わることが一番だが、杞憂であると確認が取れないことには安心出来ない。
今一度気合いを入れて、新しく本を取って来ようと立ち上がる。
ふらぁ。
しかし、その瞬間に立ち眩みをしてしまった。
けれども、そんな体調不良など文字通り
神に愛された身体は伊達ではないのだ。
そしてそのまま本棚の方へ歩き出そうとして、その進路を遮られた。
「駄目だよ夏凛ちゃん。少しは休まなきゃ」
犯人は一空だ。
ここ数日、己の不死性に任せて一睡もしていない夏凛を心配してのことだろう。
いくら肉体的に健康でも、精神はやつれる。
身体が完璧である夏凛だからこそ、精神的ダメージはそのまま弱点なのだ。
「大丈夫です。この程度、何ともありません」
しかし、強情にも一空の忠告を跳ね除ける。
そうやって無理をする理由には、一空も心当たりがある。
「
その言葉に、動かそうとした足が止まる。
「いやぁ、僕知らなかったよ。夏凛ちゃんと黒兄がそんなに親密な仲だったなんて」
「何が言いたいのですか?」
楽しそうに笑う一空とは対照に彼を睨む夏凛。
だが、怖くなどない。
何故なら、夏凛の行動の理由がよく分かるから。
「夏凛ちゃん、よっぽど黒兄が大事なんだね」
「一体何のことですか?」
夏凛の雰囲気の温度が下がる。
一空の言葉が、この前あんな対応されたのに、と言外に語っているからである。
確かに、数日の前の黒斗の発言には隠しきれないほどのショックを受けた。
だが、言われた内容に関しては当たり前のことでもある。
『あの頃』とは違うのだ。
甘えていい段階など、とうに過ぎている。
そして、自分と黒斗との関係は、既に修復不可能なほどに終わっているのだから。
……久しぶり過ぎて不覚にも忘れていたが。
だから、今調べていることは昔のことなど関係ない。
そういった意味を込めて聞き返した。
「だって、そこに広げてる新聞ってこの前黒兄が言っていた泥棒事件についての奴だよね?」
ピク、と一瞬眉を動かして。
ヒュバッ!
文字通り光速と思えるほどのスピードで証拠隠滅。
「何のことですか?」
そしてしれっと答える。
白々しいのは百も承知だが、それでも認めてはまた何かこう、ニヤニヤ笑われるに決まっている。
あれは非常に不愉快極まりない。
それに、実際休憩の読み物くらいに読んでいたに過ぎない。
「さすがに、その数の新聞紙を隠して白を切るのは厳しいんじゃないかな?」
夏凛の後ろには、辞書くらいの厚さにまで積まれた新聞紙があった。
「…………」
黙ってはいるが、本当に休憩中に読んでいただけだ。
数日間徹夜の調査での休憩に、だが。
「無理したら、黒兄心配するよ?」
一空に言われて、少しイラッとくる。
そんなことは言われなくとも分かっている。
そう言おうとしたが、口を開く前に閉ざしてしまう。
――もう、俺は『違う』
別れ際の言葉が脳裏をよぎる。
その言葉は、頭から冷水を掛けられたような衝撃と、昔のイギリス時代での生活を思い起こさせ。
決して忘れてはいけない出来事を思い出させた。
あの時に、自分は希望と夢が奪われた。
否、奪ってしまった。
その事実は、夏凛に重くのしかかっている。
三百年経った今でも、だ。
どれだけ後悔しても捨てられない、希望を持ちながら。
「それで、どれくらい分かったの?」
何も答えない夏凛に痺れを切らしたのか、話題を変える。
「いえ、水無瀬小夜子のことは何も」
「いやいや、黒兄の案件の方だよ」
何を言ってるのかと言わんばかりの一空に、少しむっとする。
「調べる必要はあるでしょう?何せ、世界が滅んだのだから」
「なかったことになったけどね」
だから良いなどとは言えないし、言ってはいけない。
その可能性を潰すのは、UQホルダーとしても必要なことだからだ。
「けど、今は何も問題ないよね」
「しかし、可能性は捨てられない」
二人の主張は正しく、平行線を辿る。
当然一空だって、その可能性が大きくなったときには解決のために動くだろう。
しかし、今大丈夫であるならば既に発生している問題が他にあるのだからそちらに取り掛かるべきだと言っているのだ。
夏凛だって、見過ごせないから並行して調べていたのだし、平行線になる意見以上の文句は言えなかった。
ため息を一つ吐いて、夏凛は調べたことを報告する。
「黒斗の言っていた通りよ。本当に、日本全国から武器だけじゃない。とにかく『力を秘めていたり』、『呪いが掛かっていたり』、『碌でもない噂を抱えていたり』する物を各地から盗んでいるわ」
言われた一空は、その意味や危険性について考える。
(そんなに色々集めたところで何が出来るんだろうか、今のところ特に暴れているとは聞いてない。……なら普通に考えればコレクションの線が濃厚のはずなんだけど……)
しかし、その考えが楽観的過ぎることは分かっていた。
報告で知ったが、その組織では怨霊に力を与えて霊力・魔力といったエネルギーを集めさせているという。
少なくとも、それが危険なのは間違いないと思われる。
「何でこんなことしてるんだろう?」
それでも、一空の頭からは疑問が尽きない。
それはその通りで、このような盗みのことも含めて止める必要はある。あるのだが。
けど、だから何だと言うのか。
確かにそれは危険な行為だ。
カタギに手を出しかねない、つまりUQホルダーの理念を害する行為になるかもしれない。
それはそれで充分に放っておけない問題ではある。
かと言って、目的がさっぱり見えない。
ただの破壊活動にしては何かしら組織的で目的有りきな行動に思われる。
わざわざ日本全国からそういった物を探し出し、盗む。
そして、その犯人は全く捕まってはいないだろう。
力を持っていて、実行力もある。成功率もとんでもなく高いはずだ。
とはいえ、それらもノーリスクということは有り得ない。
なのに、特にそれ以上の行動を起こしていない。
まるで訳が分からない。
「それが分かれば苦労はしないわ」
調べても結論を出せないのに苛ついてるのか、ぶすっとした態度で呟く夏凛。
「けど、そのうち狙われるかもしれない場所は一つ見つけたわ」
その報告に目を丸くする一空。
「本当!?夏凛ちゃん!」
詰め寄る一空を遠ざけながら、その予測地点を伝える。
「旧上野公園国立科学博物館――今は、国立海中魔法美術館。おそらく、そこにある『呪具』が狙いよ」
そして、夏凛と一空が予想の結論を出した頃。
黒斗と刀太も、決着をつけていた。
(なんか、荒れそうだなぁ……)
ロボットだが、嫌な予感の止まらない一空はそう思った。
それは夏凛も同じようで、一空よりも少し複雑な光を瞳に宿していた。
一空の夏凛の呼び方…多分これで合ってたはず!
違ったら教えてください。
そろそろ、展開だけでなくオリジナル設定までもが加速を始めました。
そのうちなんじゃそりゃ?ふざけてんのかてめぇ!って設定が入るかもなので、出来れば!出来ればレベルでいいので!!
……ご容赦ください。