超下位存在君の無駄な努力   作:龍崎悠司

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お待たせしました。


さぁ、そろそろクレームが飛んで来ても仕方なくなり始めたぞ☆



下手したら完全に世界観壊し始めるかも……


それでもと言ってもらえるなら、本編をどうぞ!






青空作戦会議!

 

 

 ―――――……

 

 悪夢。

 

 それはただの夢とはまるで違う。

 

 夢は醒めたら夢でしかない。

 

 だが、悪夢は醒めてからこそ纏わりつく。

 

 文字通り、寝ても覚めても逃れられない。

 

 本当に厄介で嫌なもの。

 

 だから。

 

 私がそこから救い出してあげる。

 

 ―――――……

 

 

 

 

 

 国立海中魔法美術館。

 様々な理由で海水の水位が上がったために、東京は約半分が水没。

 埼玉や千葉もその陸地を海の中に沈めていってしまった。

 だが日本とて、ただ沈んだ陸地を捨てるということはしなかった。

 魔法を使える一部の者たちを中心に、海中都市の建造に着手。

 塔の真下を中心点に設定し実に三十年もの月日を掛けて、都市としての機能を全うするに至った。

 その理由の一つに、文化的に損失させるわけにはいかない場所や施設がある、というものがあり、その保護・存続が真っ先に適用されたのが上野公園国立科学博物館というわけだ。

 残念ながら当時の展示物は大半が水没してダメになってしまい、展示内容を含めてごっそり入れ替えようということで話が進んだ。

 そしてこの都市の建造にも使われた魔法技術に関する博物館にしようという結果になった。

 ちなみに、美術館と銘打っているのは、最初に掻き集められた展示品が美術的価値の高いものが多かったことが理由である。

「という場所なわけだが……」

「誰に説明してるのよ?」

 呆れながらツッコむ夏凛に、お約束だよと言って話を続ける黒斗。

 実際、歴史の教科書を開けば必ず乗っていることなので、復習程度の意味合いしかない。

 刀太や三太でもちゃんと覚えていたくらいなのだから。

「でも、一回行ってみたいって思ってたからね。少しわくわくしてるよ」

 そう言う一空はかなり楽しそうだ。

 その言葉には何人かの面々も頷いていた。

「確かにな~、でも俺はやっぱりあの塔の上に行きたいけどな」

 刀太は長年の夢の場所でもある塔の上の方が優先みたいだ。

「おいお前ら、これから行くのは戦闘込みの任務なんだからな?観光じゃねぇぞ」

 注意する黒斗にはーい、と適当に返事してまた談笑に戻る。

 黒斗も、ったく、と悪態をつきながら船の運転に集中することにした。

 今、彼ら七人は海中都市に向かうためアジトの船に乗っている。

 あの後、意気消沈して帰ってきた刀太と黒斗。

 その二人に敵組織が次に狙う可能性の高い美術館を告げると、二人とも妙にやる気を出して手配を完了させたのだ。

 そうして学園にいた七人総出で呪具防衛任務のためにこうして現地に向かっているのである。

「それにしても、そう簡単に行くかしら?」

「何がだ?」

 キリヱの質問の意図が分からず聞き返す黒斗。

「だって、海中魔法美術館なんてそんじょそこらの警備なんて目じゃないほど厳重なのよ?わざわざ捕まるリスクを極端に上げてまで来るかしら?」

「「来る」」

 当然と言えば当然のキリヱの疑問に、黒斗と夏凛が即答する。

「どんな警備とか関係なく各地から盗んでいるんです。警備が厳重だからと、そう簡単に諦めるとは到底考えられないわ」

「あぁ、それもあるし……」

 夏凛の言葉に頷きながら、黒斗が言い淀む。

 言葉の続きを待つが、一向に喋らない黒斗。

「何か知らないけど、相手の狙いが黒斗だしな」

 それに代わって刀太が話す。

「そ、それ、どういうこと!?」

 その驚きの発言に九郎丸が問い詰める。

 他の者も同様に刀太や黒斗に詰め寄っている。

「どういうも何も、この間の調査中に俺らを襲った奴……いや襲わせた奴がそう言ってたから」

 正直に答えると、夏凛の目がかなり獰猛な感じになり、黒斗を睨む。

「何があったの?」

「……別に、ちょっと色々あっただけだ」

 少し気まずそうに目を逸らす黒斗。

 それ以上詳しく話す気は無いらしい。

「…………まぁ、いいわ」

 全然よろしくなさそうだが、答えないのにいつまでも固執するわけにもいかない。

「それで、今回はどうするの?」

 本題に入る。

 今回は防衛戦。

 しかも複数箇所だ。必然的にチーム分けをする必要がある。

「とりあえず、展示品のリストを見せてもらったんだが……」

 そう言って、デジタル画面を表示させる。

「リストに書かれた特にヤバ()な『いわく付き』の物品は十種類。そん中でも付喪神に成る可能性が高い品は三つだ」

 そう言って三つの物品の資料を見せる。

 刀と鏡、そして日本人形だ。

 それぞれが人を殺すことに長年関わってきた代物だ。

 刀は平成の世で悪い魔法使いに使われたもの。

 鏡は三角縁神獣鏡(さんかくえんしんじゅうきょう)。三角形の縁に乗せられた古代の鏡で、裏側に獣の絵が掘られた神聖な鏡である。これの伝承には人の死をその鏡に予言する、その威光で直接人を殺したこともあるという少し曖昧だが、不吉な言い伝えがある。

 最後の日本人形はありきたりに聞こえるかもしれないが、呪いの人形である。切っても切っても一晩で生えてくる黒髪は、少しでも人形を愚弄した者の首を絞め殺すと言われていて、実際にこの人形の持ち主が何人も死んでいる。

 これら分かりやすくヤバイ物品が今回の防衛対象になる。

「思ったより少ないのね……」

 少しホッとした様子のキリヱ。

 そこに、黒斗の補足が入る。

「いや、物そのものは少なくない。けど、全部は守れねぇからな。他に比べて失いたくないもの、特に相手の戦力に変わるかもしれないものに的を絞ったんだよ」

 そこまで言ってキリヱを見る黒斗。

「何よ?」

「一応聞いておくが、この判断は間違ってないか?」

 念のために確認する。

 もしかするとキリヱ的には二週目以降の可能性もあるからだ。

 なので用心のためにキリヱには、出発前のアジトにセーブポイントを作ってもらった。

「私も今回が初めてよ。だから確実なことは言えないわ」

 しかし、まだ一週目の初チャレンジだと言う。

 だから、この作戦が失敗するか成功するかは誰にも分からない。

「よし、ならこのままプランは変えない」

 それを聞いて、作戦を説明する。

「まず最初にチーム分けなんだが……キリヱは留守番だ」

「えぇ!?何よそれ!!?」

 まさかの待機命令に文句を言うキリヱ。

 意気込んでの参戦なら仕方ないかもしれない。

「まぁ、俺らの作戦が完全に失敗か全滅したら連絡を入れるから。そしたら悪いけどやり直してくれ」

 少しバツが悪そうに言う黒斗。

 さすがにやり直せるからと、わざわざ死んでもらうのは忍びないらしい。

「それに、今回の戦闘にキリヱの実力だとどんな高価な魔法アプリを使っても参戦は厳しいかもしれないんだ」

「……分かったわよ」

 不満たらたらだが、自分にしか出来ないことなので仕方ないと受け入れる。

「それじゃあ、残りのチームだが……」

 そう言って、作戦とチームを伝える。

 まず、黒斗と三太。

 この二人は鏡を守る。

 ここには他にも多くの展示品があり、その関係でショーケースがたくさんある。

 力のコントロールと対応力を鑑みての編成となる。

 次に一空と九郎丸のペア。

 こちらは刀を盗まれないようにする役目だ。

 刀の展示が通路の中央に飾られているので、機動力と連携の取れやすさがある二人に頼むことに。

 最後に、刀太と夏凛。

 日本人形が二人の守る対象である。

 この日本人形が一番ヤバい代物らしく、最も強敵が来る可能性が高いとのこと。

 そのため、どんな相手でも踏みとどまれる不死性の高いこの二人に任せるという算段である。

「異議を唱えます」

「おい!」

 即答でプランを拒否した夏凛にツッコむ。

 ただ単に、これだけの選択肢の中で刀太と組むのが嫌だったのだろう。

 そんな我が儘は無視して話を進める。

「ともかく、各員それぞれ戦闘とキリヱに連絡する準備はしておけ」

「しかし黒斗殿、さすがに必ず全てを守りきるのは厳しいのでは?」

 そう質問する九郎丸に頷く黒斗。

「まぁな。だから別に、ただ失敗しただけでやり直す必要はないと思ってる」

「では、どういう事態なら?」

 人差し指を伸ばして説明する。

「まずは、誰かが復活不可能なほどにやられた場合」

 次に中指を伸ばす。

「次に、大量の物品が根こそぎ盗まれた場合」

 最後に薬指を伸ばす。

「後は、相手の情報が全く得られなかった場合だ。このうち一つでも実現したら必ずやり直してもらう」

 それぞれ全ての失敗でやり直すことは全員納得がいった。

「まぁ、着いたらまずは館長に話を通す。そんでもって閉館した後から翌朝までが任務時間だ」

「ふぅん、でもそんなすぐに来るの?」

 三太の質問に首を振って答える。

「いや、さすがに正確な日取りは分からない。けど、奴らがこういった施設から物を盗む時は閉館時間中にしかやってないからな。それでこの時間帯なわけだ」

「それに、ここを選んだのもまだ何も盗まれてなくて盗む価値の高い物が置いてある場所だったからという理由が大きいわ」

 黒斗と夏凛の否定の言葉に、刀太は嫌な予感がする。

「な、なぁもしかして襲撃が今夜なかったら……」

 その不安から来る言葉に、厳しい現実を無慈悲に落とす。

「そりゃ、それまでは何日も張るぞ」

「襲撃されることは目に見えているのだから当然でしょ」

 またも無期限任務の開催である。

 あのどれだけ苦労を重ねても手ごたえも任務完了に向かっている達成感も全くない時間を過ごし続けるのは、刀太にとって苦痛になるほどのことになっていた。

「勘弁してくれぇぇえええええええ!!!!!」

 情けない悲鳴が上がる船は、もうすぐ塔にたどり着く。

 

 

 

 海中都市の入り口へと。

 

 

 

 




はい、前回の終わりに出てきた単語の解説&次の戦闘の作戦回でした。


いや~まさかね。
あの塔の下にそんな世界が広がっていたとはね。
書いてて自分がビックリしましたよ。ええ本当に。


ここまで来て何言ってんだ?って思われると思いますが、もう原作の設定とか時系列とかアチョー!です。
どこかに吹き飛びました。
それでもまだ読んでくださる読者様が居たら心から感謝します。

次回はまた少し空いてしまうかもです。本当にすみません。


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