超下位存在君の無駄な努力   作:龍崎悠司

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全く更新できずにすみませんでした!!


こんなほぼ失踪しかかった作品を待っていてくださった皆さん。

本当にありがとうございます!

そしてごめんなさい!

これからはちゃんと更新していきたいと思います。




こう、お祭りって意味もなくテンション上がるよね

 

 

 

 ―――――……

 

 取り戻せないことは、多々ある。

 

 捨てなければいけないことも、間々ある。

 

 どれだけ輝かしい未来を手に入れられるとしても。

 

 やはり、過去という宝石だけは。

 

 ずっと持っていたいと思う。

 

 ―――――……

 

 

 

 アマノミハシラの海中都市直通エレベーター駅。

 そのホームにUQホルダーたちがいた。

 人数は八人。

「ふん。遅かったじゃないか、貴様達」

 何故かそこに雪姫が居た。

「雪姫!?何でここに!?」

「ちと、この街に用があってな。ついでに貴様たちの案件がスムーズに行くように手伝ってやろうと思って来てやったのだ」

 雪姫が着いてくれるという安堵がメンバーに広がる。

「それは助かるけど、いいのか?」

「手伝うとは言っても私も忙しい身だ。ここの館長に話を通すくらいしか出来んぞ?」

 しかし、戦闘の方はどうやら手伝えないらしい。

 残念だと肩を落とす。

「いや、助かる。むしろそっちの懸念の方が強かったくらいだ」

 その中で黒斗だけが喜んでそれを受け入れた。

「ではさっさと行くぞ」

 そう言って、雪姫が先導する。

 一行は、海中都市へ。

 

 

 

 

 エレベーターの中で。

「うひゃあ!すっげぇ!潜ってる!俺たち海の中潜ってってるぜ!!」

 超ハイテンションな刀太がえらく興奮していた。

 海中都市にはものの数分で着くという。

「それにしても、運がいいな。貴様らは」

 はしゃぐ刀太を楽しそうに見やりながら雪姫が呟く。

「運?どういうことですか?雪姫様」

「あぁ、今そんな時期か……」

 黒斗以外の面々が首を傾げている中、エレベーターが到着した。

 改札を出て、駅の外に行くと先ほどの二人の言葉が何を指しているか、すぐに理解出来た。

 

 第五回・海中都市竜宮都(ルグト)創立祭!!

 

 出てすぐのところに大きくその文字が空中に浮かんでいて、街を見渡せば、提灯が飾られていたり、屋台が連なっていたりと、街中がお祭り色に染まっているのが分かった。

「わぁ!二人が言ってたのはこのことだったのね」

 精神的に擦れ……大人なキリヱもテンションがかなり上がっているようだ。

「そんじゃ、お前らまず宿を教えるから、そしたら時間近くまで自由時間だ。楽しんでこい」

「いいのか!?」

 黒斗の言葉に最高だったテンションが否応にも限界を突き破って上がる。

「そんなにウズウズされちゃ、そう厳しいことも言えねぇよ。それに、予定時間以外に敵が行動することはデータ上は一度もないからな」

「じゃあ早く行こうぜ!」

 そのまま駆け足で進んで行く刀太に慌てて付いていく九郎丸や三太。

「私たちも同行しなくてもいいのですか?雪姫様」

 祭りでも冷静な夏凛が館長への話を通すのに、自分たちも行った方がいいのでは?と思い聞く。

「まぁ、こういうのは大勢で行かなくても見た目の印象一つで何とかなるんでな。私と黒斗だけで充分だ」

「え、でも見た目は黒斗も充分お子様じゃない?」

「なら、これでどうだ?」

 キリヱの言葉に指を鳴らすと、一瞬で姿を変えた。

 身長と髪を伸ばし、少し老けさせたので三十代ほどに見える。

「俺は元々不定形な存在だからな。外見はどうとでもなる」

 目の色だけは何故か変わらんがな、という黒斗に、さすがに感心したキリヱ。

 そういうことなら、と地図のデータをもらい一足先に残りの三人で宿へ向かう。

「一応、後で刀太たちを宿まで引っ張ってやってくれ」

「はーい」

 一空が適当に返事しながら街へ向かった。

「それでは、我々も行くか」

 雪姫に頷いて並んで歩いていく。

「久しぶりだな。お前と二人で組むのは」

 美術館に向かいながら遠い目をして言う黒斗。

「懐かしむような思い出でもないがな」

 対し、雪姫の目には少し苦いものが混ざる。

 その頃は、ある意味最も世界の闇に触れていた時期でもあるのだから。

「ま、な」

 黒斗本人も、深く触れたい話題でもないので適当に濁す。

「会った時はああ言ったが、本当に余裕はないのか?」

 ああ、とは有事の際に加勢は出来ないと言ったことだろう。

「他にも早急に解決するべき案件があってな。どれも下っ端に任せるだけでは解決が見込めそうにない」

「要は人手不足、と」

 コクン、と頷く。

 UQホルダーのナンバーズ、つまり力を持った幹部は少なくはない。

 けれども決して多いわけでもない。

 そして、その多くが今ここの任務に参加している以上雪姫にも負担や仕事は回ってくる。

 緊急性や危険性の潜在値を考えると、どうしてもこちらの人員を減らすわけにもいかない。

「人数をそっちに回したいっつっても、十蔵と甚兵衛さん借りるのは無理だしなぁ……」

 当然だ、とその考えを即座に却下する。

 十蔵とは、UQホルダーで力・強さにおいて最強のナンバーズ。

 甚兵衛は、最古参の不死者であり、UQホルダーの原型を作った人物だ。

 甚兵衛自身はそこまで強くないと自称しているが、千四百年も生きていて長いこと戦闘もしている。

 これだけの圧倒的経験値を持った御仁が弱いわけはない。

 そんな二人がいてくれれば、何も気兼ねすることなく任務を完了して元凶まで辿り着けるだろう。

 二人とも別に頭脳派という訳ではないが、戦闘面での心配がなくなるだけで充分心強いのである。

「こちらの件にこれだけの人数を割いてるんだ。これで進展しなければ酷いぞ?」

「進展はするだろうよ。ただ、早期解決出来るかは保証出来ない」

 脅しも含んだ言葉に、見栄は張らずに正直に話す。

 敵の情報がほとんど手元に無い以上、先手を取れないのが手痛い。

 かといって、ここでああだこうだ言ったところで意味はない。もう既に話し合うべきことは話したし、この雪姫に言っても今の段階では何も進展に繋がらないのだから。

「……………………」

 そのまま特に喋ることもせず歩いていた。

 そこでふと、黒斗が口を開く。

「……なぁ、俺を愛せる存在って何だと思う?」

「はぁ?」

 いきなりの質問に面食らうを通り越してドン引きだ。

 いくら何でも意味不明過ぎる。

「何を言い出すのだ、貴様は?」

「いやなに、敵の一人の狙いが完全に俺みたいでな。そう言われた」

 報告の時に言わなかった会話内容を簡潔に伝えると、これ見よがしにため息を吐かれた。

「なんだよ?」

「これがため息を吐かずにいられるか」

 そう言ってもう一度ため息。

「貴様、愛に格が必要だなどと本気で思っているのか?」

「いや、んなことは……」

「ましてや資格など……そんなものが関係ないと初めて教えられたのは、紛れもなく貴様だぞ?」

「誤解を招く言い方をするな。俺とお前の間にあるのはギブアンドテイクの信頼関係だろうが」

 からかう様に言われた言葉をピシャリと否定する。

「それは違いない。だが、貴様は夏凛と……」

「言うな!」

 突かれたくない部分に触れられそうになって、強く止めた。

「言うな。それに、結局は何の意味も無かった……いや、無くなったんだから」

 遠い目をして、これ以上話し掛けるなという空気を作る。

 その目には寂しさよりも諦めの色が強いように見えた。

「全く、相変わらず不器用な……」

「ほっとけ」

 それきり会話は無くなり、少し入り組んだ道を抜けて美術館に辿り着いた。

「UQホルダーだ。ここの館長と話がしたい」

 警備の者に伝えて、応接室に通される。

 ここからは仕事の話し合いだ。

 

 

 

 

 雪姫と黒斗が館長と話している間に、残りのメンバーは既に宿に荷物を置いて、祭りに参加していた。

「ふぉ~い、ふふぉふぁふふぉほっひほいお」

「刀太くん。とりあえず、口の中の物を飲み込んでから喋ろうか」

 中でもテンションの高い刀太を九郎丸が時々ブレーキを掛けながら見て回る。

 ちなみに今のは、「お~い、九郎丸もこっち来いよ」と言っていた。

「お、射的じゃねぇか!」

 と、昔懐かしい射的の屋台を見つけた。

「なぁ、三太。これやってこうぜ!」

「いいよ」

 一緒にいた三太とお金を払って弾をもらう。

「それじゃあ、僕もやろうかな」

 そこに一空が加わろうとする。

「いやぁ、ロボットの一空先輩が射的をするのってかなり反則気味な気が……」

 そうかい?と首を傾げる一空に揃って頷く面々。

 それなら、と今回は不参加になっておく。

 パコン!

「だああ!上手く当たったのに!!」

 最後の一発で傾きそうだったにも関わらず、残念ながら倒れず失敗。

 パコン!

 おぉぉおおおお……

 逆に当たれば倒しては歓声が静かに上がるのは三太だ。

「ふふん」

 珍しくドヤ顔まできめている。

「すげぇな、三太!」

「ま、まぁ、これでもFPSのランカーだし……」

「マジか!?すげぇ!」

 幽鬼としての存在と力に目が行きがちな三太だが、同時にかなりのゲーマーでもある。

 そこで培ったスキルで、しっかりと的に当てていく。

 そして最後の一発。

 パコン!

 パタリ。

 おぉぉおおおお!!!

 全弾で商品ゲット。しかも最後にはなんかお高そうな封筒も倒したのだから盛り上がらない訳がない。

「なんつう腕してんだよ……ほれ持ってけ泥棒!」

 悔しそうに雑に景品を渡される。

「へへっ」

 得意気に受け取って中身を確認する三太。

「なぁなぁ!何が取れたんだよ!?」

「ちょっと待って。えっと……」

 お菓子、ぬいぐるみ、タバコ、ライター、そして。

「なんだ?これ」

 最後に封筒の中身を確認すると、出てきたのは『竜宮都ベストコンビ大会特別出場枠権利』と書かれた紙が入っていた。

「「ベストコンビ大会?」」

 揃って疑問符を浮かべるメンバーに、やれやれと言った感じで説明する屋台の店主。

「なんだよ知らねぇのかよ。そいつぁ、この祭りの名物でな。つってもやるこた簡単だ。登録した二人が祭りを一緒に見て回るだけだからな」

「え?それだけ?」

「けど、その様子を祭りに参加してる全員から見られる。んでもって、祭りをいっちゃん盛り上げたコンビは誰だ?ってのを決めるんだよ」

 そして、その優勝者には豪華景品があるとか。

「まぁ要は、祭りを皆で一緒に盛り上がった奴らは誰だってのを投票形式で競うってこった」

 細かい部分は全くもって分からないが、とにかく祭りを楽しめばいいってのは理解したメンバーたち。

「んで、三太。どうすんだ?」

「い、いや!俺はいいよ」

 大勢の人間から注目されると聞いて、全力で首を横に振る三太。

「はいこれ!刀太兄ちゃんが誰か誘ってやれよ」

 乱暴に渡して別の屋台に行ってしまった。

 その後を一空が着いていく。

「おう、なんなら男女ペアで出とけや。その方が盛り上がるし、優勝者も大抵はカップルだからよ」

 アドバイスのつもりで店主が出した情報に、パッと食い付いた人物が一人。

 ジーーーーーーー……

「え、えっと……」

 ジーーーーーーーーーーーーー。

「…………」

 ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

「夏凛先輩。これ、どうぞ……」

「そう、くれると言うのなら貰っておくわ」

 素っ気無いような言い方だが、その手の動きは光速と見紛うほど速かった。

「あら?」

 早速中身を確認したところ二枚入り。

 なんと二つ分の枠を獲得したらしい。

「片方はあなたに返すわ」

「あ、あざす……」

 口調は淡々としてるのに、滲み出る嬉しさの迫力が凄くてドン引きしか出来ない。

「ん~、でも誰と参加すっかな?」

「あ、男女ペアってことなら私が出てあげなくもないわよ?」

 貰ったはいいが、相棒に悩む刀太にキリヱから声が掛かる。

「でも、キリヱ。お前そんなはしゃげるのか?」

「うっ」

 何気なくされた指摘がキリヱに過剰クリーンヒットする。

 自分の固有能力(やり直しスキル)で多くの(特に死の)体験を経ているために精神的に大人なキリヱは、怒りなどの感情表現は素直でもリアクションはあまり大きくない。

 いや、正確にはプライドのためにオーバーリアクションをしないよう心掛けていると言った方がいいかもしれない。

「でも、他に組んでくれる女性なんて……」

 悩んでいる横で夏凛の視線がある一点に突き刺さるが、当の本人は顔を背けてこれを拒否。

 と、そこへ。

「あ?お前ら、屋台の前で集まって何してんだ?」

「何やら困った様子だったが、何かあったのか?」

「「あ」」

 丁度いい人材が合流した。

 

 ~かくかくしかじか説明ちう~

 

「はぁ。つまり、俺らにそのお祭り盛り上げ大会に参加しろと?わざわざ任務に来て注目されろ、と?」

 基本的に表舞台に立とうと考えようともしない黒斗はため息を吐きながら確認をとる。

「ほぅ、中々面白そうな企画だな」

 完全呆れ顔の黒斗に対し、意外にもノリノリな雪姫。

「お前がこういう催し物に参加すんのは珍しいな、どういう風の吹き回しだ?」

「なに、こういったうるさいほど賑やかな騒ぎは……久々、でな」

 黒斗の質問に、遠い目をして返す雪姫。

 その目は少しだけ寂しそうに見えた。






はい、というわけでお祭り回&次回のデート準備回です。

刀太のお相手は、前回九郎丸だったので雪姫に。

あと、キリヱファンの方々にはごめんなさい。

なんか色々ディスり気味ですけど、作者個人としては別に嫌っているわけではありません。

むしろ成長して戦えるようになったら一番好きになる気すらするし。



まぁ、そんな話は置いておいて、次回はデート回です。
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