超下位存在君の無駄な努力   作:龍崎悠司

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連日投稿失礼します。

まさかこの作品にUA300を超えるとは思いませんでした。
純粋に驚いてます。
そして当然、感謝しています。


これからもよろしくお願いします。


お仕事ナウ~ホラーな教会にて~

 

 

 

 ―――――………

 

 億や京では足元にも及ばない、ただのくだらん塵芥ども。

 

 取るに足らないはずの下等存在ですらなかったそれに。

 

 意味があるのか分からないまま。

 

 いつしか手を差し伸べていた。

 

 ―――――………

 

 

 

「そら、着いたぞ」

 船を降りて歩くこと一時間。

 ようやく目的地に到着。

「はぁ、やっと着いたのね……」

 体力のないキリヱは肩で息をしていた。それも仕方ないだろう。彼女は戦闘において、策を弄して勝つための環境を作るのが仕事だ。環境作りをするのに、彼女のやり直しの能力はこれ以上なく最強なのである。

「それにしても……」

 黒斗についてきた四人が、仕事場の建物を見る。

 焼け爛れて朽ちた教会。

 仕事内容は除霊。

 もう完全にホラー映画か何かだ。

 しかも、先輩について行く新人たちという構図。

 フラグしか感じない。

 ぶっちゃけ幸先不安だった。

「へぇ~、何かすげぇ雰囲気あるな!俺、ホラー映画でこんなの見たことあった!」

 一人だけテンション高く突入しようとする輩がいる。

「刀太君、君はいつもと変わらないね」

 呆れるように、関心するように呟く九郎丸。

「え?だって映画の中にいるみたいで楽しそうじゃん!」

 その返答には、もはや色々通り越して流石としか言いようがない。

「ホラー映画、か。言われてみればそれらしい」

 その考えには至らなかったと目を丸くする黒斗。

「刀太。仕事が終わったらその映画のこと、教えてくれるか?」

「おぅ!もちろんいいぜ!」

 笑顔で答える刀太。

「それじゃ、入るぞ。だが、さっきも言ったが手を出すな。出来れば、ずっとお……僕の後ろにいればいい」

 指示に若干不満そうにしながらも反対はしない。

「しかし、あなたが危機的状況になったらどうすればいい?」

「大丈夫だ。今日の相手は低級しかいない」

 九郎丸の質問に、余裕に答えて教会の中へ。

 皆もそれに続いた。

 

 

 

 

「けほっ、けほっ……ホコリがひどいわね」

「どうも焼けたまま放置されたようだ。確かに酷いね」

 キリヱの文句に九郎丸が分析する。

「ふ、雰囲気あるな……」

「ん?何だ三太、怖いのか?」

「こ、怖くない!」

 刀太が心配するのを跳ね除ける三太だが、強がっているようにしか見えない。

(幽霊なのにホラーが駄目なのか……)

 刀太と三太以外の三人が同じことを考えていると、黒斗が立ち止まる。

「よし、全員ここで待機。お……僕の仕事を見学していてくれ」

 そう言って、教会の奥へ行く。

「やあやあ地縛霊殿。ご機嫌麗しゅう」

 大仰に手を広げながらお辞儀をする。まるで貴族の挨拶のように。

「ふん、何用だ?」

 不機嫌そうに答えたのは、偉そうに空中に座るおっさんだった。

 多少の力がある怨霊みたいだが、どう見ても雑魚。戦闘に不慣れなキリヱでさえ、魔法アプリを使えば簡単に倒せそうだ。

(なんで、このレベルの低級霊相手に手出し禁止なの?)

 純粋に意図が読めなくて混乱するキリヱ。

 だが、手出し禁止なので大人しく見守る。

「いえ、もしあなたが今までの全てを反省し、死後の全部を元通りにするなら、あなたの地縛を解いて差し上げましょうと思いましてね」

 その発言に全員が驚いた。

 てっきり、戦闘で怨霊を祓うものだとばかり思っていたが、むしろこの怨霊を助けるものだったからだ。

「はっ、その必要はない。何年掛かろうとも自力でこの程度の地縛など解いてくれる」

 だが、怨霊はその申し出を一蹴する。

 この程度、などとは言うが地縛霊とはその土地に縛られるから存在出来ると言っても過言ではない。それを解くにはそれなり以上の力が必要だ。

 この怨霊は雑魚でしかない。

 それが、力を持てるようになるためには百年、いや千年単位の時間がいるだろう。

「では、現状を変えるつもりはないと?」

「当たり前だ。むしろ―――」

 答えて構える怨霊。

貴様からも(・・・・・)力を奪ってやる!!」

 そのまま襲いかかってきた!

「ぬぅぅううりゃぁあああああ!!!」

 霊的な鎖を何本も黒斗に叩きつける。

 

 ドッ!ゴシャァア……!

 

 黒斗が軽やかに避け、側にあった椅子に当たって砕け散った。

 脆かったのもあるのだろうが、雑魚にしては予想以上にレベルが高い。

「黒斗!」

 心配して刀太が呼ぶが、黒斗は意に介さず怨霊を睨む。

「了解だ。碌な死に方させてやらねぇ」

 黒斗が手をかざすと、黒い靄が集まり形を成す。

((?))

 その靄に一瞬変な気配を感じて、違和感に首をひねる四人。

黒針(くろばり)

 唱えると、十本ほどの大きめの針が鎖を弾きながら怨霊に突き刺さる。

「ちっ、くそが!」

 だが、刺さったまま鎖を振るう。大したダメージになっていないようだ。

 それを見た面々の反応・感想は一つ。

((弱すぎないか!!?))

 もしかして、自分の仕事を取られるのが嫌で待機させたのか、と若干失礼な考えが浮かぶ。

 そんなことを考えている間も、針と鎖の攻防は続く。

 針は鎖を弾き、怨霊は強引に動いてギリギリ針を躱す。

 そんな地味な戦闘が五分以上も過ぎたころ、

「ちょっとあんた!さすがにまどろっこしすぎるんじゃない!?」

 いい加減我慢の限界なのか、キリヱが怒鳴る。

「いいから、黙って見てろ」

 しかし、指示は待機。

 いくら仕事を頼まれたからといって、事実上の上司であるナンバーズの自分たちにこの態度。

「もう我慢ならないわ……刀太!九郎丸!やっちゃいなさい!」

 さっさと終わらせてほしいので、二人に突撃指示を出す。

 二人も、早めに終わるならいいか、と動こうとするが、

「兄ちゃんたち、ちょっとタンマ!」

 それを三太が止める。

「どうしたんだい?三太君」

 止める理由が分からず問う九郎丸。

「皆、あの怨霊の後ろ……よく見てみろよ」

 指を指した方向に目を凝らす。

 すると、怨霊の腰の後ろに大量の細い鎖が繋がっていた。

 その先に。

 

 

 数えきれないほどの低級霊が苦しんでいた。

 

 

「!?」

「な、なによ……あれ」

 雑魚にすら満たない弱弱しい低級霊しかいないが、これだけ集まっていればおぞましい。

「!そうか、そういうことか」

 何かに気付いたのか、九郎丸が手をポン、と叩く。

「どういうことだよ?九郎丸」

「彼らはおそらく、あの怨霊の被害者だ」

「?」

 言われてもよく分からない刀太は説明を求める。

 九郎丸が言うには、あの怨霊はてんで雑魚だが他の霊を捕まえてそのエネルギーを吸収できるらしい。

 後ろに繋がれた低級霊たちは今もなお、現在進行形で力を奪われ続けているのだと言う。

「んじゃ、早く助けねぇと!」

「ダメよ!あんたが全力で攻撃したら、その余波だけで何体か消えるわ!」

 それを言われたら、刀太は動けない。

(なるほど……手を出すなってこういうことだったのね)

 今ようやく納得した、と頷く。

 だが、納得したからと動けないのは変わらない。

 四人は構えることすらやめて、黒斗の戦いを見る。

 

 ガキィイン!

 

 もう何度目か分からない、針が鎖を弾く音が響く。

「っそが!いい加減にしろ、雑魚が!」

 着かない決着に嫌気が差した怨霊が怒鳴る。

「何本当たったところで、てめぇの針なんざ痛かないんだよ!」

 聞いた黒斗は動きを止める。

 その顔は攻撃が効かなくて悔しそうに歪んで―――

 なんてことは欠片もなくむしろ、何言ってんだこいつ、というものだった。

「!?」

 その表情に警戒を深める。

「はぁ、なんだよ。そんなにさっさと苦しみたいのかよ」

 こちらをいつでも殺せる、という言い方にブチギレる。

「ふざ―――!」

『黒針 煮式(にしき)

 黒斗が指を鳴らした瞬間。

 灼熱に囲まれたかのような熱さと激痛が怨霊を襲った。

「ぎゃぁぁああああああああああ!!!」

 まるで、熱湯に茹でられているかのような感覚。

 痛みと辛うじて怒りがあるだけで、それ以外の全てが頭から吹っ飛んだ。

『行くよ 黒顎(くろあご)

 今度は、手に靄が集まったと思ったら鰐のような顎が現れた。

 その顎に、四人はゾクッとする。

 強大な力を感じるわけではない。

 ただ、嫌な感じが拭えない。

 しかもその感覚に何故か覚えがあるのだから四人の疑問符は増える。

(黒斗って何者なんだろう?)

 その疑問に答えはなく、戦闘は佳境に入る。

「がぁぁああああ!っそがぁあ!!」

 僅かに残った怒りを振り絞って黒斗を攻撃する。

 その全てを避け続けながら怨霊に接近していく。

「来るなぁぁあああああああ!!」

 もう目前にいる黒斗を遠ざけようと、全ての鎖を横に薙ぐ。

 黒斗に当たりそうになる直前で、その姿が消える。

「!?」

 混乱した一瞬で、後ろ側に気配を感じた。

 怨霊が振り向く前に黒斗がその顎で腰の鎖を噛み千切る。

 パキィ!という音と共に鎖が粉々になる。

「ふざけんなぁあ!殺っすぅううう!!」

 低級霊(エサ)を解放されて、痛みを怒りが凌駕。

 鎖を束ねた極太の鎖を黒斗に叩きつける。

「死ねぇえええ!!」

 その声を聞いた黒斗が一瞬、自嘲気味に笑う。

 すぐに怨霊を睨みなおし、腕を前へ向ける。

『喰い尽くせ 闇顎(やみあぎと)

 黒斗の身長の数倍にもなる大きさの龍の顎が鎖ごと怨霊を飲み込む。

「ひっ!」

 怨霊の最期は断末魔ですらなく、小さな悲鳴に消えた。

 完全に怨霊を食べ終えた黒斗は、ふぅ、と息を吐き、

「ま、こんなもんか」

 と、肩の力を抜いた。




む、難しい…

何が難しいって、原作キャラを喋らせるのがそこはかとなく難しいです。

九郎丸とか、特に三太とかこれでいいのか!?状態です。


まぁ、色々がんばってみたいと思います。


ちなみに、主人公最強系はあんまり好きじゃないので、普通に見たらめっさ弱い感じにしました。
けど、なんやかんや実力が必要になるから少しは強くしないと……
えぇい!細かいことなんざ知るか!
これからも楽しく書いてやる!
やってやりますよ、私は!

というわけで、よろしければこれからもよろしくお願いします。
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