魔法少女リリカルなのは!?「落ちこぼれの魔導師」 作:ヘルカイザー
ではよろしくお願いします!
とある世界の荒野。私達は依頼で危険生物を1体狩ることになった。しかしその生物が吐き出す粘液は、溶解力が非常に高く、デバイスである私が触れれば最悪壊れてしまいかねない。だからゆた様は私を戦闘に参加させてくれなかった。遠くの方で見ているだけ。私は少し歯痒かったがゆた様が私に傷ついて欲しくないと想うその気持ちがとても嬉しかったので何も言えなかったのだ。でも私は疑問だった。ゆた様はどうしてこの依頼を受けたのか。いつもならこの手の依頼はすぐに断る。理由はあまりお金にならないのとゆた様自身があまり無益な殺生を好まないからだ。しかし今回は考えはしたものの依頼を受けた。勿論私に理由などわからない。だが戦闘が始まってその戦いを見た私はそのわけが分かった。ゆた様は私じゃない生身の生物、野生の生物相手にトレーニングをするつもりらしい。確かに相手が生物であればいつものトレーニング以上の経験値は得られるかもしれないがその分危険だ。下手をすればゆた様が殺される可能性だってあるのだ。
しかしそんな心配は戦闘が始まった少し後になくなった。ゆた様が危険生物を圧倒しているのだ。相変わらず攻撃はゆた様を掠める。けどそれがゆた様のトレーニングの成果だ。最初に比べれば上出来と言える程よくできている。まだ、感覚的に遅いようだが確実に反応が早くなってきているのだ。
「ゆた様これなら勝てるかも! 」
ゆた様が今使っている武器は簡易型のアームドデバイス。言ってしまえばただの剣だ。しかし相手の攻撃に反応し、それをいなしながら相手を斬りつける。自分がダメージを負っていく分長く戦えないが相手は今、不思議な感覚に襲われる事がある筈だ。何故攻撃が当たっているのに倒れないんだと。相手の感覚から言えば直撃の手応えを感じた瞬間にもう自身が斬られている感覚だろう。だがまだそれが起こせる頻度は少ない。不完全なのだ。ダメージも余計に貰っているし、反応も鈍い。ゆた様の想い描く形に持っていく為にはもう少し何かが足りない。しかし十分に戦えている。私はそんなゆた様を誇らしく思えた。そして相手もすっかり弱り切ったその瞬間、ゆた様は危険生物にトドメを刺した。これで依頼は完了。だがゆた様の表情はあまり芳しくない。今まで戦っていた相手の死体に悲しみの眼差しを向けている。だから私はその時思ったのだ。やはりゆた様は優し過ぎると。本来なら戦いなどには向かない性格だ。
「ゆた様やりましたね! 依頼完了です」
「うん。でも……やっぱり受けなきゃ良かったかな」
「ゆた様…………」
「久しぶりだな? 今の見ていたぞ瀀? 凄いな? 見違えた…………」
「っ!? ……モルタ……先輩? どうしてここに…………」
「いや、俺も仕事でな? お前と同じ危険生物を狩っていた。にしても……どうして、剣を持とうと思ったんだ? 」
「守りたいからです」
突然現れた長身で茶髪の男。ゆた様が先輩と呼ぶあたり昔の知り合いらしいが、私はゆた様の事をあまり知らないので分からなった。でもこの人は悪い人じゃなさそうだ。それだけは分かる。私はこれまでも何度かゆた様を知ってる人を見たことがある。しかしその人達は殆どがゆた様をバカにし、見下している連中ばかりだ。でもこの人は違う。ゆた様を見て純粋にその成長を喜んでいる。今時相手が後輩というだけでこんなにも暖かくできる。こんな人がいるのも珍しい。
「そうか……なぁ? お前に聞きたい事があるんだ。数年前、お前の所に小型のワールド・イーターが現れたよな? それでその時……お前はそれを追ってきた班を全滅させた。一体どうしてだ? 」
「……あの時は……自分の中の闇を抑えきれなかったとしか言えません。僕はずっと力のない自分が嫌いだったんですよ」
「いや、あいつらを傷つけた事は別に気にしてない。記録を後で見たらどう考えても挑発していたあいつらの落ち度だ。俺がきつく言っておいた。だから俺が代わりに謝ろう。すまなかった! ……で、俺が聞きたいのはそれじゃないんだよ。あの後、ワールド・イーターはどうした? 」
そう聞かれたゆた様は少し考えている様子だった。おそらくだが答えていいのものか悩んでいるのだろう。ゆた様がペル様の事を話す人間はゆた様が全幅の信頼を寄せる相手しかない。それ程までにペル様の存在は世間では危ういのだ。
「瀀? 」
「僕は今、ワールド・イーターと一緒に暮らしています」
「なっ!? 正気なのか!? あいつらはペット感覚で飼いならしていい奴じゃ」
「ペットじゃありませんよ? 僕の大事な家族です」
「瀀…………」
「僕も最初は思ったんですよ。相手はワールド・イーターだ。生かしておくのはおかしいって。でも……違ったんです。あの子は……僕らと何も変わらない。物凄く大食いの所以外は普通の子供なんですよ。いつも僕の事を慕ってくれて……好きだって言ってくれて……僕のご飯が一番って。……モルタ先輩? ワールド・イーターって……本当に危険生物なんですか? 少なくても僕には……生きているのに必死なだけに見えますよ……まぁ〜僕が狂ってしまっただけかもしれませんが……フフ、どうしますモルタ先輩? 僕からあの子を奪って行きますか? もしそうするつもりなら……僕は貴方を斬る」
「フ……俺は何も聞かなかった」
「え? はい? 」
「それじゃな? 瀀? おっと!? 瀀〜、サーモは生きてるぞ? 今絶賛リハビリ中だ。心配してたぜ? お前の事をな? 後お前に恨まれてるんじゃないかってよ? フフ、じゃな? 」
「先輩が……サーモ先輩が生きてる? ははっ……良かった……良かった…………」
モルタと呼ばれる先輩が行ってしまった後、ゆた様はサーモと呼ばれている人が無事な事に安堵していた。心の底から喜んでいる事がゆた様の顔から伝わってくる。
そしてその後だが私達は店へと帰った。すると物凄い勢いでペル様がゆた様に飛びついて来たのだ。どうやらお腹が空いていたらしい。しかしペル様にはとことん甘いゆた様だ。お腹が空いてウルウルと目に涙を溜めながらご飯をねだるペル様に私には決して向けないゆるっゆるの顔で「ご飯にしようね? 」と言い始める。だから私はそれをむくれながらジッと見る。いつもズルいのだ。ペル様の可愛さは狙ってやらない分破壊力が凄まじい。ペル様に嫉妬している私ですら可愛いと思うのだ。きっと誰が見ても可愛いのだろう。だが私は決してペル様の可愛さには屈しない。断じて屈しない。負けてなるものかである。もし屈してしまえば私はペル様に勝てなくなってしまう。本当の意味でゆた様を取られてしまうのだ。
しかしご飯を食べ終わった後の事だ。その後はもう依頼もなく。のんびりしていた。でもペル様が私の方へとモジモジしながら両手を後ろに組んで近づいてくる。正直やめて欲しかった。何故ならもうすでに可愛い。
「は、花火お姉様? わ、私とお外遊びに行こ? 」
「はう!? あ……ダメよ!? (ダメダメ、呑まれちゃ…………)」
「ダメ……なの? 」
「え? ち、違いますよ? ダメなわけないじゃないですか? 勿論いいですよ(ダメ……泣きそうなペル様可愛すぎます)」
「本当! あは、花火お姉様大好き〜! 」
「はうぅぅぅぅ……はは……もう無理…………」
私は早くも敗北した。ペル様の可愛さに屈した。でももういいのだ。ペル様は可愛い。それは仕方のない事。変えようのない常識と言ってもいい。一体誰が耐えられるというのか。耐えられると言う人がいるなら是非試して欲しい。満面の笑みで自分の事を大好きと言いながらそっと抱きついて来るのだ。耐えられるわけがない。
「花火お姉様? 」
「はは……ははは……! ペル様、早速お外行きましょ? 花火は何でも付き合いますよ? ペル様がしたい遊びをしましょうね? 」
「うん! 」
「ああ〜ペル様は本当に可愛いですね〜! 私が一生御守りしますからね〜? 」
「え? 本当? じゃ、じゃ……私も花火お姉様の事もっともっと好きになるね? 」
「がはっ!? ……もうダメです……萌え死にしそうです…………」
両手の人差し指どうしをトントンと叩き、上目遣いでそんな事を言うペル様は今までで一番の可愛いさだった。
◇◆◇◆
「はぁ……花火もペルもいないからつまらない。僕も行けば良かったなぁ〜。でも店空けられないし……でもお客来ないし……お! いらっしゃ……何だよ。何しに来た? 」
「何だよとはなんですの!? いつも稼がせて貰ってばかりだと悪いと思って仕事持って来たんじゃないですの」
「仕事? お前が俺に? 珍しい事もあるんだな? まぁ〜いいけど。で? 仕事って何だ? 」
「もう……仕事モードも素敵ですけど、素の貴方で話してくれてもいいんでしてよ? 」
「はぁ……注文の多い奴だ。で?仕事って何? 」
ペルと花火が遊びに行っている最中、僕は店番をしていた。勿論僕も行きたかったが、店は空けられないのでいるしかない。しかし思うのだ。やっぱり二人がいないと物足りないと。
そしてそんな最中、店に入って来たのはいつも僕が利用している情報屋。名をシリ・コンベスト。彼女はどこぞのお嬢様らしいがその真相は彼女自身が隠している為に知らない。でも情報屋としての力は優秀の一言。一体どうやって手に入れてくる物なのか僕は怖くなることもある。ただ一つ間違えないで欲しいのは僕が望んで利用しているわけではないという事。彼女とのなり初めは、ある人物の護衛依頼の時の事だ。その護衛対象が襲われた際、偶然そこに居合わせ、絵に描いたように巻き込まれた。だからその時彼女を一緒に守ったのがなり初め。そこから僕の店に出入りするようになり、僕の欲しいそうな情報を押し付けては金を取る……悪く言えば寄生虫のような女だ。だが決して悪い人ではないのが救い。決して情報でボッタりはしない。それに見合った金額しか提示しないのだ。
「払いは前金でこれだけ持っていって頂いて構いませんわ」
「ん? え!? ちょい待って!? こんなに貰えないよ!? 金額は内容は聞いてからだけどそれでもこんなに取る気はない! 」
「いいんでしてよ? 貴方の足しになるんでしたら安いもんですわ。それより……ペルちゃんは? 」
「ペル? さぁ〜知らない 」
「何で嘘なんかつくんですの? 貴方がペルちゃんの場所を知らないわけないじゃありませんの。それとも私には会わしたくないんですの? 」
「うん! 」
「即答ですの!? 薄々分かってましたけどそんなのってあんまりですわ!? ペルちゃんを独り占めする気ですの!? 」
当然の反応だが僕はこの女にペルを会わせたくない。こいつはすぐに食べの物を餌にペルをお持ち帰りしようとする。ペルが可愛いのは分かる。気持ちも分からんでもない。だがそんな事は断じて許すわけにはいかない。何故なら……ペルがいないと僕が寂しいからだ。これって勝手な我儘かもしれないが。ペルは渡さない。
「ぐすっ……ペルちゃん会いたかったですわ…………」
「な、泣く事? はぁ……今花火と外で遊んでるからしばらくしたら帰ってくるんじゃない? 」
「本当ですの!? なら……しばらく待たせて貰いますわ? 」
「いいけどさ……先に仕事内容教えてくれない? 何しに来たのさ」
「そうでしたわ! 」
「忘れてたのかよ…………」
「う、うるさいですわね! それで貴方にやって貰いたいのはある場所で行われるロストロギアのオークション、その警備ですわ」
「警備? い、いやロストロギア絡みだと管理局が出てくるんじゃないの? 」
ロストロギアのオークションが開かれるという事は当然警備は元から厳重な筈だ。だから僕がわざわざ依頼されてまで出る必要はない筈。
それとも信用できない筋のスパイがいるからなのか、単純に人手が足らないのかそれは分からない。しかし聞けば人手は十分だと言う。となると余計に分からない。それにそもそもなんで彼女がそれを気にするのか。
「確かに管理局には警備をお願いしてありますわ。でも私は自分で信用できると思った相手しか信用しない。だから貴方にお願いしてるんですのよ? 」
「あのさ? 何でそもそもそのオークションの事でシリが動いてるの? 」
「何でって……私がその場所のオーナーだからに決まってるじゃないですの」
「え……マジ? 」
「マジ! 」
お嬢様なのは分かっていたがここまでとは思わなかった。だから僕は純粋に驚いている。しかし彼女は何を驚いているんだみたいな顔をする。もしかして僕がおかしいだけなのかと思ったが絶対そんな事はない。だがそれよりも気になるのはそんなお嬢様が何故情報屋何てものをやっているのかという事だ。けど気になったところで彼女は答えてはくれない。
「なるほどね、依頼内容は分かった。受けるよ! 」
「ありがとうですわ! やっぱり貴方は素敵」
「あ〜はいはい。で? 場所は? 」
「場所はクラナガン南東にあるホテル……ホテル・アグスタですわ」
次回もよろしくお願いします。