魔法少女リリカルなのは!?「落ちこぼれの魔導師」   作:ヘルカイザー

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ども〜

すいません遅くなりまして。

ではよろしくお願いします。


第11話《怒り》

「ゆた様? いいんですか? あの人……いつだかの人なんじゃ……こっち見てますよ? 」

「言うなよ花火。俺だって何かの間違いであって欲しんだ。でも……間違いなくそうなんだよ……はぁ……帰りたい」

 

「ゆた君! ねぇ〜ゆた君でしょ? ゆた君ってば!? 」

 

「ゆた様? めっちゃ手振ってますよ? 手……振ってあげないんですか? 」

 

「花火、振るわけないでしょ……というかこの間の一件があったっていうのになんであいつはあんなにフレンドリーなんだよ……はぁ……無視無視」

 

ゆた様はそっぽを向いてシカトした。今現在、私達はホテル・アグスタへ警備に来ている。しかしそこで待機していた管理局員はついこの間、列車で戦闘になった面々だったのだ。ただ当然の事ながら、ゆた様の事を知っている管理局の面々はゆた様に反応しないわけはなかった。特に今ドレスを着ている綺麗な茶髪の女性はゆた様に向かい、名前を呼びながらこれでもかというくらい手をブンブンと振っている。あれではまるで学生の応援団長のようだ。

 

「ゆた様? なんかあの人が不憫になってきました。手を振ってあげて下さい。なんかこっちまで恥ずかしいですよ」

 

「気にしたらダメ、ここで手を振ったらつけあがる。シカトだ、シカト」

「で、でもこちらに向かって歩いてきますよ? 手を振りながら…………」

 

「いやいや、 何を馬鹿な。あいつはそこまで馬鹿じゃなっ!? ……ごめん花火、俺が間違ってた。あいつは馬鹿だ」

「馬鹿じゃないよ!? 無視するゆた君が悪いんでしょっ!? 」

 

あくまでシカトをする気のゆた様はもう目の前まで来ているこの人を目を瞑って無視する。しかしこの人も負けず嫌いなのか本人の目の前で未だに手を振り続ける。だから私もこの人は馬鹿なんじゃないかと思えてきた。するとゆた様の方が折れた。しかも恥ずかしいのか顔を真っ赤にしている。

 

「なのは、俺が悪かったからもうやめてくれ。恥ずかしい」

 

「ふふん、私の勝ちだね! と言うか恥ずかしいって何!? やってる私の方が恥ずかしいから!? 大体ゆた君が無視するのが悪いんでしょ!? 」

「この間の一件があってそんなテンションで話せる方がおかしいだろ!? 」

 

「うっ……お、おかしくないもん!? それよりなのはとか俺とか言ってるゆた君の方がおかしいよ! 昔はなのちゃんって呼んでくれたでしょ? 自分の事は僕だったし。直そ? 似合わないよ? 」

「余計なお世話だ!? それに何がなのちゃんだ!? 呼べるわけないだろ!? 歳考えろよ…………」

 

「私はまだ19だよ!? それに歳なんか関係ないでしょ!? 」

 

話を始めるなりいきなり喧嘩を始めた二人。でもこれは喧嘩というよりも完全に仲が良いアピールに見える。二人とも本気で怒ってないのがその証拠だ。隣にいる私を忘れて楽しそうに喧嘩をしている。だから私は思うのだ。死ねばいいと。

 

「もういい。お前と話すと疲れるよ」

「ちょっと!? それどういう意味なの!? 」

 

「そのままだろ? 昔と何も変わってないんだからなのちゃんは……っ!? 」

 

「……今……なんて言ったの? なのちゃんって言った? 言ったよね? 」

「そ、空耳だ!? もう行く。行くぞ花火! 」

 

そう言うとゆた様は私の手を取り、その場を離れた。不思議と何かに満足しているあの人は追っては来ない。だがそれが一層、あやしかった。何か良からぬ勘違いをしてやいないだろうかと。すると、丁度そんな事を思っている時、管理局の人達が慌ただしく動き始めた。それを見たゆた様も何かに気づいたのか外へ向かい走り始める。

そして外に出ると至る所にガジェットの残骸が転がっていた。ゆた様はそれを追う。でもそこにいたのは騎士。桃色のポニーテールにバリアジャケットは騎士甲冑。ゆた様の反応を見ればこの人もゆた様の知り合いと分かる。

 

「ん? お前……瀀か」

 

「久しぶり……かな。当たり前だけど。シグナム」

 

「この間は敵として現れたと聞いていたが……フフ、昔に比べればマシな面構えになった。私は今の方が好きだぞ」

 

「あはは、不気味な事を言わないでよ。シグナムの口からは滅多に出てこない言葉だ」

 

「まぁそう言うな。久しく会わなかった友に対する戯れだ。だが……今はそんな場合ではない。フフ、瀀? 勿論私の背中を任せて良いのだろう? 」

 

「え……嘘、マジ? ……はは、本当不気味だよ……信じられない。でも……当然、喜んで? 」

【ゆた……様? 】

 

ゆた様は笑っていた。でもそれは私達の前で以外、初めて見る笑顔だ。戦闘中、仕事中にゆた様が笑う事はない。いつでも全力でいっぱいいっぱいのゆた様はそんな余裕はないのだ。けど今は違う。きっとゆた様は初めて言われたんだと私は理解した。自分の命を半分預けると。そして戦闘が始まった。ガジェット相手だとは言え、ゆた様はそれでも全力でやらなければやられてしまう程の強さでしかない。確かに対人ならばその差を覆す事は出来る。しかし機械相手ではそうはいかない。何故なら機械は目標が消えるまで容赦はしない。機械に油断と呼べる心は存在しないのだ。

 

【ゆた様後方から2機!? 】

「了解! ぐっ!? ……っ!? しまっ!? 」

 

【ゆた様!? 】

「紫電……一閃! 」

 

「……シグナム」

 

ガジェットが2機ゆた様の背後に現れた。しかしゆた様はそれに反応できていない。1機目はなんとか攻撃を身体に掠めた瞬間、回転するように躱しそのガジェットを斬り伏せる事が出来た。でも2機目はもうその攻撃を躱せるタイミングではない。だがその攻撃はゆた様には届かなかった。何故ならその前に炎を纏った剣がガジェットを切り裂いたからだ。

 

「忘れるな、お前が私の背中を守ってくれているように私もお前の背中を守っている。一人じゃない。フフ、だが我流にしてはいい動きだ。お前になら背中を預けるのも悪くない」

 

「あ……ははは。初めて言われたよそんな事……止めない? 雪降るってそれは」

 

「フ、違いない。瀀、ここはもういい。すまないが他の場所の応援に向かってくれ」

 

「あはは、僕は管理局員じゃないんだけど……まぁ〜今日はいいか。行くぞ花火!」

【はいゆた様! (ゆた様……嬉しそうだな……)】

 

シグナムと言う騎士と分かれたゆた様は、そこから反対側の方へとガジェットを倒しながら進んだ。するとその途中、この間列車で見かけた射撃を基本にした攻撃をするガンマンと顔を合わせた。しかし向こうはこちらを警戒し身構えている。敵ではないと伝わっている筈だが、この間の事があっては仕方がないと私は感じた。

 

「あんた何者なの? この間は邪魔して来たくせに今度は味方? ……信用できないわ」

 

「……それでいい。俺なんか信用するな。信じていいのは君の仲間だけでいい。じゃないと……僕のようになる」

【ゆた様…………】

 

「え? 」

 

【ゆた様、ガジェットが6機、来ます! (この人……どことなく昔のゆた様の目に似てる)】

 

ガジェットが6機現れた事で無理矢理にでも二人は協力して戦わなくてはならなくなった。しかし信用できないと言っておきながらこの人とゆた様は信じられない程息が合っている。ゆた様が倒しそこねたガジェットを彼女が正確に撃墜し、ゆた様は彼女にガジェットを近づけさせない。動きは確かに荒いが、相性は悪くない。

 

「ふぅ〜、割としんどい依頼になって来たな」

【そうですねゆた様……っ!? ゆた様、新手のガジェットです!? 】

 

「新手? ……っ!? おい、ちょっと待て!? 何する気だ!? 」

「黙ってなさい! これくらいなんでもないわ」

 

ちょっと目を離した間に彼女は複数の魔力スフィアを展開し始めた。どうやら一斉射撃をしガジェットを全滅させるつもりらしい。しかし彼女とチームを組んでいる青い髪の人も近くにいる中でこれだけのスフィアを制御するのは難しい。下手をすれば味方に当たる可能性もあるからだ。だがその予想は見事に当たってしまう。彼女が放ったスフィアはガジェットを全滅させたものの、1発軌道がそれ、味方に向かったからだ。明らかに直撃コースの軌道。青い髪の人も躱せるタイミングではない。しかしそれはその人には当たらなかった。何故ならその間に入り間一髪、味方の魔導師であろう赤いハンマー型のデバイスを持った女性がそれを叩き落したからである。けどここで新たな問題が起こった。ギリギリだった為か赤い魔導師は私達に気づいていない。よって叩き落とされたスフィアは私達のいる場所付近へと着弾した。当然、そこで起こった爆発でゆた様は吹っ飛び、近くの木に叩きつけられる。だから私はすぐに自分を待機状態にしてゆた様に駆け寄った。

 

「ゆた様大丈夫ですか!? あ…………」

 

近くで見たゆた様の具合は良くない事が分かる。所々打ち付けた為か内出血をしている。頭も少し切ったのか血が滴り始めている。極め付けは脇腹に刺さったガジェットの破片だ。パッと見でも深く刺さっている事が分かる。

 

「うっ……あはは、大丈夫。大丈夫だから花火。つっ!? 」

「ゆた様!? じっとしてください!? それは大丈夫って言える怪我じゃないですから!? 」

 

「おい大丈夫か!? っ!? ……お前、ゆた!? ゆたなの「ゆた様に近寄るな!!! 」……い、いや……その……悪かった。今のは確実に私の落ち度だ。気がつかなかったなんて言い訳はする気は……っ!? 」

 

「……ふざけないで……ください。味方を助ける為、それは分かります。あの状況ならそれも仕方ない、私もそう思いますよ。でも……私は許さない。私は貴方方を許さない! 偶然? そんな事関係ありません! 貴方方はゆた様を……私の大切な人を傷つけた!!! だから近寄るな……ゆた様を傷つける人間はゆた様に近づくな! 触れさせない、指一本だってゆた様には手を出させない! ……殺してやる……殺してやるぅぅぅうううう!? うわぁぁぁあああああああああああ!? 」

 

「っ!? 待て!? 落ち着け!? 」

 

私は自分の周りに100本以上のトリック・オブ・ソードを生成し、目の前にいる今憎い私の敵に狙いを定める。ゆた様は意識が朦朧としてきているのか声もあげられないようだった。そして赤い魔導師が慌ててるのを無視し私は展開していたそれを一斉に放った。当然、赤い魔導師はそれをシールドで防いだり、叩き落したりしながら凌いでいる。しかし私も追加で本数を増やして永遠に射出し続ける。

 

「くっ!? おい!? もうやめろ!? こんな事してる場合じゃないだろ!? ゆたを治療しないと取り返しがつかなくなるぞ!? 」

「煩い黙れ!? 喋るな!? お前なんか消えろ! 死ね! 死ね!! 死ねぇぇぇええええええええ!!! 」

 

「や……めろ……花……火」

 

微かにゆた様の声が聞こえた気がした。でも私は今正気を失い暴れ続けている為それに気づいていない。赤い魔導師もゆた様に近づこうとするが私がそれをさせない。私は生成したトリック・オブ・ソードを一本掴み取り、赤い魔導師に斬りかかった。デバイスと私のトリック・オブ・ソードが絶えず火花を散らし、打ち合う。

 

「くっ……ぐっ!? (なんだこいつ……スピードだけなら私以上だ。)もうよせ! っ!? ぐあっ!? 」

 

「あ゛あ゛っ!! でぇぇぇえええぁぁぁああああああああ!!! 」

「なっ!? あがっ、ぁぁぁああああああ!? 」

 

赤い魔導師は私に打ち負け後ろの木へと背中を打ち付ける。だから私は赤い魔導師を睨みつけ、トリック・オブ・ソードの切っ先を向けながらゆっくりと近づいた。そして怯んで動けない赤い魔導師にトリック・オブ・ソードを突き刺す。狙うは心臓。このまま刺されば確実に殺せる……筈だった。しかしそうはならなかったのだ。結果私が刺したのは、いつの間にか私と赤い魔導師との間に入ったゆた様だった。お腹の中心を突き刺した私の得物。トリック・オブ・ソードを伝い、ゆた様の血が私の手に生暖かい温度を伝えてくる。私はもう言葉が出てこなかった。だがそんな私にゆた様はそっと両手を回し抱きしめてくれた。自分が前に出た事で私のトリック・オブ・ソードがさらに奥へと突き刺さるのを構わずに…………

暖かかった。ゆた様から感じる温もりは私の心を落ち着けてくれる。私はやっと正気に戻った。

 

「もう……いいよ花火。……ありがとう。でも……こんな事はしちゃダメだ。僕は家族が手を汚す所なんて見たくない。花火は僕の大好きな……かけがえのない家族……だか……ら…………」

 

「あ……うっ……ひぐっ、えぐっ……ゆた様ぁ…………」

 

その瞬間、ゆた様の力は抜けた。まるで糸の切れたマリオットのように、その場に崩れる。でも地面には落とさない。私が支えた。しかし私は自分のしでかした事で結果的にゆた様を傷つけてしまった。後悔……どうしてもう少し冷静になれなかったのか。そればかりが私に涙を流させる。

 

「ごめん……なさい……ごめんなさいゆた様……ごめんなさい……ごめんなさい……うっ、ひぐっ……うわぁぁぁ…………」

 

結局私はその場を動けず、泣きながら救護が来るまで、気を失ったゆた様を抱きしめていたのだった。

 

 




次回もよろしくお願いします。
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