魔法少女リリカルなのは!?「落ちこぼれの魔導師」 作:ヘルカイザー
遅くなりました。
さぁ〜上げて、持ち上げて、そして〜堕とす!
まぁ〜 今回は持ち上げるだけですが。
ふへへ、主人公の絶望の顔がたまらなく脳内に浮かびますよ、うへへ〜
……はっ!? 失礼しました、つい変なテンションに!?
ではよろしくお願いします!
「うっ……ん? ここ……どこ? 」
「あ! ゆた様!? 」
「おおっ!? ……なんだよ花……火……ごめん」
ここは機動六課と呼ばれる管理局の建物。ゆた様は治療の為と言われここに運ばれた。そして目を覚ましたゆた様を私は抱きしめる。心配だった。それ以外の理由などありはしない。
少しゆた様の胸で泣き、落ち着いた後、ここがどこか聞いてきたゆた様に私はありのままを答えた。ここに来てどれくらい日が過ぎたのかも。しかし私は失念していた。ここに来てもう3日である。私はやってはいけない、重要な事を忘れていたのだ。当然ゆた様は3日と聞いて顔を青くしている。私はそれを見て気づいたのだ。それではあまりに遅過ぎると言うのに。
「な、なぁ花火……早く帰らないと……じゃないと……じゃないと…………」
「あ、ダメですよゆた様!? まだ怪我が」
「離せ!? 離してよ花火!? ペルが!? ペルが飢え死にするじゃないか!? 」
「もう手遅れです!? ペル様がご飯食べないで何日経ってると思ってるんですか!? 今頃……っ!? ゆた様…………」
「このアラート……緊急避難用のアラートだったような……嫌な予感」
「あ、ゆた様ぁぁぁ……どこ行くんでぇぇぇすぅぅぅかぁぁぁ…………」
「離せ! きっとペルだ、お腹を空かせて僕を探してるんだ!? 」
「どんだけペル様ペル様何ですか!? 少しはペル様の事は忘れてくださぁぁぁいぃぃぃ!? 私はぁぁぁどうでもぉぉぉいいんでぇぇぇすかぁぁぁぁ」
「当然、ペル優先! 」
「そんな酷いです!? 」
◇◆◇◆
「ぐすっ……お腹すいたよぉ……お兄様……どこ? 」
「止まりなさい! 」
「ふぇ? お姉様、誰? うっ、うっ、私お腹すいたぁ…………」
「子供? って貴方ゆたの所の!? 」
突然目の前に現れた金髪のお姉様。何やらデバイスを構えて私を警戒している。でも私は今それどころじゃない。お腹が空いて死にそうなのだ。お兄様が帰って来なくなって3日、人以外のありとあらゆる物を食べたが満足できなかった。やっぱりお兄様のご飯じゃないとダメなのだ。本当は人を食べてみたいがお兄様がダメだと言っていたので今は我慢している。すると私は数人の人間に囲まれた。そこのお姉様のお友達だろうか。
「フェイトちゃん、この子」
「う、うん……普通じゃない」
「ぐすっ、ひぐっ……お腹すいたぁ……もう我慢できないよ!? お姉様達食べちゃうもん! 」
「「「「っ!? 」」」」
自分で抑えられる我慢を通り越した私は狂ったように暴れ、お姉様達をぶっ飛ばす。私の拳を防いだ邪魔なデバイスを叩き折り、時にはシールドごとお姉様を殴り倒し、もうここにいるお姉様達はその場に倒れたまま動かない。けど1人の白い服を着たお姉様がやっとの思いで私の方を向き、デバイスを向けた。
「ディ、ディバイィィィィン、バスタぁぁぁあああああああ!!! 」
「わぁ〜綺麗な光ぃ……食べられるのかな? いただきま〜す! 」
「え、嘘!? 私の砲撃を……食べちゃっ……た…………」
お姉様が出したピンク色の光は思いのほか美味しい物だった。これならば満足できるのではと、私は白いお姉様の方へと近づいていく。最初はお願いして出して貰おうと思ったが、お姉様は私を恐れるように次々とピンク色の光を放ってくれた。途中、光の輪っかに捕まった気もするが、あまりにお腹が空いている為無意識で破壊してお姉様へと近づいていく。そしてピンク色の光を食べているうちに頭がぼーっとして自分でも訳が分からなくなってきてしまった。白いお姉様は私が怖いのか少し涙目になり始めている。
「嫌……来ないで…………」
「はぁ〜はぁ〜はぁ〜美味しいぃ。お姉様の出す光美味しい。なら、そんな光をだすお姉様はもっと美味しいのかな? じゅるり……食べたい。白いお姉様ごめんなさい。まだ人間は食べた事ないけど……今お姉様が食べたくて仕方ないの。お願い……ちょうだい? お姉様の身体、食べさせて? 」
「い……ゃ…………」
「い、いただきます! ア〜」
「嫌!? ゆた君助けて!? 」
「ガブッ! ……んん〜おいひぃ〜あれ? このあひ、食へたことありゅ……あ! おにいひゃま!? おにひゃまだ! ぷはっ、お兄様!! 」
「おおっと!? ……あははペル、ごめんね? お腹すいたでしょ? 」
「うん! 私お腹空いたぁ……お兄様のご飯食べたい…………」
「そっか」
お姉様を食べようと口を開け噛み付いた時、それはお姉様ではなく会いたかったお兄様だった。お兄様にはいつも寝ぼけて噛み付いている。だから血と肌の味ですぐにお兄様だと分かり、お兄様へと抱きつく。3日ぶりに見たお兄様。私はお兄様を食べてしまいたい衝動を抑えお兄様を抱きしめる力を強くする。しかしそれを邪魔するかのようにまた私達の周りを人間が囲う。
「ゆ〜ちゃん……説明して貰うで? その子は何者なんや? それと……どうして六課を襲撃したのかって事を」
「お兄様ご飯……」
「分かってるよ。でももう少しだけで待ってね? 」
「う〜ん……うん! 」
「あはは、ありがとう。……花火! 」
「はぁ……また敵を作るんですか? はいはい、分かりましたよ。どうせ言ったって聞かないんでしょうからねゆた様は……モード・ジン! 」
「なっ!? ゆ〜ちゃん!? なんのつもりや!? 」
お兄様は花火お姉様の変化した刀型のデバイスを手に取ると、刀身を鞘から抜き放ち、茶髪で髪留めをしているお姉様へと切っ先を向けた。お姉様達もどうしてそうなるのか理解していない。お兄様を見て驚くばかりだ。
「この子が何者かなんて話すつもりはない。頼まれたって教えるものか。ただ、この建物の修理費はこちらで出させて貰う。それはこちらの責任だ。だが、この子には指一本さえ触れさせない! それでも文句があるなら……相手になる」
「……はぁ……なんでそうなるんや? これ以上ゆ〜ちゃんとは雰囲気悪くなりたくない。でも、その子については話す責任があると思うよ? これだけの人に迷惑かけたんや、説明くらいしてくれてもええやないの? 」
「答えは変わらない。手当をしてくれた事には感謝する。だが……それとこの子を天秤にかけるつもりは……ない! 」
お兄様とお姉様の顔がより一層険しくなる。私はこんな怖い顔をするお兄様を見たくない。お兄様にはいつもの笑ってほしいのだ。でも私が何を言ってもお兄様の邪魔になるだけ、だから何も言わない。黙ってお兄様の言う事を聞く。
本当は私の力で次元航行すれば簡単なのだが、今はお腹が空いてそれどこれではない。勿論お兄様もそれが分かっているのだろう。何故ならその結果の状況なのだから。
「ゆた……君……やめてよ……もうこんな悲しい争い、ゆた君としたくない!? 」
「…………」
「なのはちゃんの言う通りやで? どうあっても話し合いで解決する気はないんか? 」
「話し合い? フフ、あはは……今してるのが話し合いだろ? 」
「そう思ってるなら私に向けてるデバイスを下ろして欲しんやけど? 」
「ダメだ……例え、例え相手がーー達でも、この子に関してはお前達を信用する訳にはいかない!! 花火! 」
【トリック・オブ・ソード20! 】
お兄様の掛け声と共に、私達の頭上360度に花火お姉様の魔法が展開された。その数20本。それをお姉様達に向けて一斉に放つ。お姉様達はそれを容易く防ぐが、お兄様はその隙に逃げ出した。だが当然お姉様達も追ってくる。通路の至る所を曲がり、時たま隠れてはやり過ごす。しかし建物を把握していないお兄様は出口が分からないでいた。
「出口か! ……ここは…………」
【ゆた様!? 】
「っ!? 」
「ディバイィィィィィン、バスタぁぁああああああ! 」
さっきの白いお姉様が私達に追いつきさっきのピンク色の光を放つ。お兄様は花火お姉様の指示でなんとかかわす事が出来た。そして膝をつくお兄様はゆっくりと立ち上がり、お腹が空いて弱っている私を寝かせると、白いお姉様へと向き直る。ここはどうやら訓練所のようだ。敷地もかなり広い。
2人は互いに険しい顔つき、お兄様は花火お姉様を構え、白いお姉様もデバイスを構える。
先に動いたのはお兄様。白いお姉様に向かい刀を振り下ろす。だが白いお姉様はそれをシールドで防ぐとお兄様の左右に準備していた魔力スフィアをお兄様に向けて一斉に交差させる。当然お兄様にそれは直撃した。しかしお兄様は直撃の瞬間、白いお姉様の後ろに回りこんで刀を振り下ろす。
「無駄だよ……」
「なっ!? 」
【そんな!? 後ろも見ずに!? 】
白いお姉様は振り返る事なくそれを防御した。お兄様の刀は白いお姉様に当たる直前で止まっている。これにはお兄様も花火お姉様も驚いて刀をシールドに食い込ませたまま固まっている。
「ゆた君昔言ったよね? エリートはエリートと凡人には勝てても落ちこぼれには勝てないって……あの時ね、私は確かに油断した。勝ったと思った。しかも慢心し、ゆた君に怪我をさせていないか心配すらしてた。失礼だったよね。真剣に戦ってるのに、相手の状態も確認すらしないで……けど……お陰で気づいたんだ。私はまだまだだなって……油断……あれが本当の戦いなら私は死んでた。ゆた君さぁ……今……終わったと思ったでしょ? 」
「っ!? くっ……」
【ゆた様!? ダメです!? 】
「がっ!? ぐっ……せ、設置型のバインド……僕が下がる事も計算に入ってたのか…………」
【スターライトブレイカー! 】
「ゆた君……今度は油断しない。全力でゆた君と向き合うよ! 」
大きなピンク色の光がお兄様の頭上で集まり始める。白いお姉様はいつの間にかお兄様の頭上へと移動していたのだ。早くお兄様を助けに行きたい。でも私はもうお腹が空いて動けない。ただ固定されたお兄様が白いお姉様にやられる所を見ているしかできない。
「花火、なんとかならないのか!? 」
【無理です!? このバインドは私では砕けません!? 】
「全力……全開! スターライトぉぉぉおおお、ブレイカぁぁあああああああ!!! 」
「く、くそっ……かはっ!? ぐっ、あぁぁぁあああああああああ!? 」
お兄様に向け、巨大な光は振り下ろされた。お兄様はその場に立っている。立ったまま気絶していた。お兄様を固定していたピンクの輪っかはもうすでに消えている。
そして白いお姉様は地上に降りると、そんなお兄様に近づいた。しかし次の瞬間、お兄様の刀と白いお姉様のデバイスがぶつかり合う。気絶している筈のお兄様は刀を真横に振り、それを白いお姉様が受け止めたのだ。想定外だったのか白いお姉様は驚いている。
「ゆ、ゆた君まだ動け……っ!? 意識がない? ぐっ!? 」
お兄様は力尽くで刀を振り抜き、白いお姉様をぶっ飛ばした。そして間髪入れずに白いお姉様へ攻撃を仕掛ける。しかしお兄様は意識がないようだった。完全に攻撃がランダム。白いお姉様も反撃する余裕がない。
「い、意識がない状態でここまで戦えるものなの!? しかもさっきより速い……っ!? しまっ!? うっ……ゆた君」
「はぁ……はぁ……頼む。引いてくれ。俺は……僕はこんな事がしたい訳じゃない…………」
お兄様は地面に倒れた白いお姉様の喉元に切っ先を突きつける。でもその顔からは綺麗な雫が流れ始めていた。お兄様はいつの間にか意識を取り戻していた。私は知っている。お兄様は毎日ヘトヘトになるまでトレーニングをしているのだ。それはたかが意識を飛ばしたくらいでどうにかなるものではない。お兄様には意志がある。誰かを守りたいと思う意志が。それがお兄様の強さだ。
「ぷっ……ふふ、にゃはは……ゆた君、強くなったね。また私の負けか……そんなに大切なの? あの子」
「……大切だよ。僕が何より、今何を犠牲にしてでも守りたい……家族だ」
「そうなんだ……ねぇゆた君? 私の事……嫌い? 」
「……嫌い」
「そうだよね……」
「でも」
「え? 」
「そんな顔してるなのちゃんは、もっと嫌いだ」
お兄様はそう言うと少し笑う。それを面をくらったように見ている白いお姉様。するとお兄様は私の方へと歩き私を抱えてくれた。そしてゆっくり出口を探しに歩き出す。でも歩き方からお兄様がボロボロであると分かった。花火お姉様も待機モードに戻るとフラフラと私達についてくる。だがそんな私達の前に、ここの人間は容赦なく立ち塞がる。私達は誰一人として抵抗など出来る状態じゃない。ボロボロだ。
「まったく……僕の人生は魔法で始まり、魔法で壊れ、魔法で終わるのか? フフ、冗談じゃない」
「そんな事言わんでよ……私達は別にゆ〜ちゃん殺す気も傷つけたい訳でもないんや。もうええ、その子には何もせえへん、何も聞かない。ゆ〜ちゃんがどれだけその子が大切なのか、今のなのはちゃんとの戦いで分かったわ。その子にはもう何もする気はないよ、だから取り敢えず怪我の治療させてくれへんか? 」
「フフ、断ると……いったら? 」
「出来れば断らんといてよ、ゆ〜ちゃん……っ!? ゆ〜ちゃん!? 」
お兄様は倒れた。もう完全に限界、まだ治ってない怪我もあるようで、傷口が開いている。でも地面に身体を打ちつけてもなお、私の事は守ってくれた。強く抱きしめ、私には衝撃はこないように。
そしてお兄様が意識を失う直前、お兄様は私に囁いた。小さく、「ご飯食べさせてあげられなくてごめん」と…………
次回もよろしくお願いします!