魔法少女リリカルなのは!?「落ちこぼれの魔導師」   作:ヘルカイザー

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ども〜、遅くなりまして。

え〜と……このまま最後のプロローグ、主人公視点を書こうかと思っていたのですがその前にこれを入れておきます。

と言うわけでこの次に主人公視点にします。感想で主人公視点と言ってしまった方には変更申し訳ありません!

ではよろしくお願いします!

ちなみに…ちょっとキャラの性格歪んでるかもです…………そこは穏便に





第4話《アリサ・バニングスと月村すずかとの関係》

彼と初めて会ったのはなのはと友達になってからしばらくした後。突然紹介したい友達がいると言うので私、アリサ・バニングスと同じ友達のすずかは彼……塗栄 瀀を紹介された。彼はなんと言うか優しそうと言う以外はぱっとしない普通の男の子だ。でも私達はすぐに友達になれた。しかし彼と関わっていくうちに彼の本当の姿が見えてきた。それは彼が独りだという事。勿論、なのはや私達がいる。だが彼には親がいない。だからいつも家では独りなのだ。

私がそれに気づいた理由……それは彼の時々見せる暗い表情。その時は決まって他人の家族を見た時、話をする時。彼は決まって一瞬だが暗い表情を浮かべるのだ。しかし別にそれを見て妬んだり、羨んだりしてる様子ではなかった。では一体何を思っているのか……それは私にも分からない。

私が使っている彼への愛称は瀀。普通に呼んでるだけだ。そしてある時の事、なのはとすずか、私の3人で偶然見つけた怪我をしたフェレット。その子を見つけた時期の話だ。なのはと瀀は私達に何かを隠しているような様子で、結局その時には何を隠しているか分からなかったが、私はなのはに対してキレた事があった。ただ心配だったのだ。別に何かを隠されている事が頭にきたわけじゃない。友達の、親友の助けにならない自分に腹が立った。だからと言ってなのはに当たって言い訳じゃないが少しくらい話してくれてもいいと思うのだ。

 

「ねぇ瀀? あんた……大丈夫なの? なのはが休んでからずっと元気ないみたいだけど? 」

 

「ん?あはは、大丈夫大丈夫。ちょっと寂しいだけだから」

 

「へぇ〜。いつも瀀のヒモになるぅ〜って言ってるなのはを拒絶してる癖にいなくなれば寂しんだ……何? 両想い? 付き合えば? そして爆発しろバカップル! 」

 

「ど、どうして怒ってるの? アリちゃん? 」

 

私は別に瀀が好きというわけじゃない。勿論友達としては好きだ。ただいつも瀀の側にいるなのはがいないだけで元気がなくなる瀀に少しイライラしただけ。瀀はいつもつまらない事で私をイライラさせる。しかしそれは悪い意味でじゃない。いい意味でだ。だがあの時は違った。私は本気で瀀に対して怒りを覚えた。あれはなのはが大怪我した時、数日経ってからの話だ。瀀の様子がおかしくなった。どうおかしくなったと言われれば付き合いが悪くなった。でもそれだけならおかしいとは言えない。おかしいと言える要素はそこじゃないのだ。私が瀀に対しておかしいと思った事、それは普段日常で独り言が異常な程多くなった事だ。何を言ってるのかは分からない。だが一見してみれば、それは鬱病に近い状態なんじゃないかと思えてくる。最初は気にしなかった。しかしこれが毎日となれば心配するのが友達として当然の事。

 

「瀀? 最近……どうしたの? 元気ないみたいじゃない? なのは……の事? 」

 

「……僕は……どうして何も出来ないんだろう? 別に魔法だけが強さだとは思わないよ? でもさぁ……守られてるだけって……どうなんだろう? 戦う努力をしないから強くなれないのか……戦う意思がないから強くなれないのか…………僕はどうして……弱いんだろう? 僕がもし……強ければ、なのちゃんこんな目に合わなくて済んだかな? 弱い……僕が悪いのかな……つっ!? ぐっ!? ア、アリ……ちゃん……何……を…………」

 

私は瀀の胸ぐらを掴み無理矢理立ち上がらせ胸ぐらを掴んだまま近くの壁へと叩きつける。私はこの時、瀀をこれ程までに情けないと思った事はなかった。男の癖にと言うのもあるが勘違いも甚だしい。瀀が強ければなのはが怪我をしなくて済んだ、瀀が弱いから瀀が悪い。それとなのはが大怪我をした事と何の関係があるのか。

 

「瀀……あんた……一体何様? 世界の中心にでも立ってるつもりなの? 世の中はあんたを中心に動いてる訳じゃない! 例えあんたが魔法で戦えても、どんなに強くても、なのはは大怪我をしていたのよ!!! あんたはその場にいなかった!! なのに一体その勘違いはどこから出てくるの!!! あんたに……あんたみたいな今の状況判断も出来ないような男に、なのはを守れたとは私は思わない!! それが例え、あんたが戦えたとしても、その場にいたとしても!!! ねぇ? 考えてみてよ、なのはが怪我をした事とあんたが戦えない事……一体何の関係があるの? もしそれであんたが悪いなら……私も同罪だわ」

 

「っ!? それは違「どうして? 」え…………」

 

「一体何が違うの? あんたはその場にいなかった、私もその場にいなかった。あんたには戦う力がない、私にも戦う力なんてない。あんたと私の違いは……何? もし違いがあるとすれば管理局と関わってるか、関わっていないかよ? それにしたって、あんたは関わっているとは言えないわよね? ただなのはと一緒にいただけなんだから」

 

瀀はただただ、私の話を唖然として聞いているだけ。でもその顔からは私の言う事が何一つ間違ってないと思っている事が感じ取れる。当たり前だ。瀀は勘違いしているのだ。何故なら瀀はただ魔法が使えるかもしれない素質があると言うだけで自分も当事者になったつもりでいる。全てに関わっているつもりでいる。なのはが心配なのは分かる。でもそれは過剰だ。普段からみればなのはが瀀に依存しているように見えるが、それは違う。依存しているのは瀀の方だ。

 

「お願いだから……戦わなくてもいい筈のあんたの事まで心配させないでよ…………」

 

「っ!? 」

 

それからの事だ。中学を卒業するまで、瀀はなのはを過剰に心配しなくなった。どうやら私の言っている事が通じたようで、いつもの瀀に戻ったのだ。そして卒業した際、なのはが瀀を誘った事で瀀は管理局へと入る事を決めた。でも私はこれには反対しない。今の瀀はなのはについて行くだけだった頃の瀀じゃない。自分で何かを追い求めて目指すようになった瀀だ。瀀には目標があった。目指すものが出来た。

それは自分の才能、魔法と言う限りなく無いに等しい物を限界まで伸ばそうと決めたのだ。努力をする。今までの瀀は努力をしていなかった、それに対して向き合おうとはしていなかったのだ。魔法は才能、そう決めつけていたのだから。

そして、余談だが瀀をここまで立ち直らせたのは私だけの力じゃない。もう一人、荒っぽかったが協力してくれた人がいる。それは私達の友達、月村すずかだ。彼女は恋をしていた。他ならぬ瀀に。でも瀀がなのはの事を意識しているのは周りから見ても分かる事。だからすずかは自分から身を引いた。しかしすずかの中で彼の存在は大きい。例え自分の事を好きになってくれなくても、すずかは瀀に幸せになって欲しいのだ。だからこそ、瀀がおかしくなった時にすずかは協力してくれた。一番は、彼女のやり方が一番効いたと言ってもいい。

だが瀀はこの数年後に管理局をクビになり行方不明になってしまったとなのは達から聞かされた。その訳も知らないまま…………

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

私は恋をした。それに気づいたのはなのはちゃんが大怪我をした時の事。気がつくとその時期、妙に彼の方を気にして見ていた。気になるのだ。眺めているだけで落ち着く、でもそのくせドキドキする。そして彼が友達のなのはちゃんにばかり構っている時、気づいたのだ。私はなのはちゃんに対して羨ましいと思ったりや何でなのはちゃんばっかり……と普段なら抱かない感情を抱いているという事に。

しかし完全に無意識だった。少しとはいえなのはちゃんに殺意に近い物を抱いた事もある。そう、これは嫉妬だ。私が彼に対して愛おしいと思うが故に抱いてしまっている嫉妬。私にこんな感情を抱かせ、芽生えさせたのは、他ならぬ彼……塗栄 瀀。私はなのはちゃんと同じくゆたくんと呼んでいる。

ゆたくんは優しい。しかしその優しさは特定の相手にのみ向けられる物ではない。誰の対しても同じ。いや、なのはちゃんにだけは少し違ったかもしれない。過剰、悪く言えば依存。ゆたくんはなのはちゃんが自分の周りの絶対にかけてはいけない一部として認識している所為なのか、なのはちゃんが傷つき消えてしまう事を恐れている。ましてや今のなのはちゃんは必要とあれば前線にでも出て行く魔導師だ。だから当時、それを側で見ていたゆたくんは気が気じゃなかった筈なのだ。そして……なのはちゃんが大怪我をした時期、ゆたくんは壊れた。

私はゆたくんの様子がおかしい事をその時薄々分かってはいたが中々言い出せず、心配だけしていたのである。しかしそんな時だ、アリサちゃんがゆたくんの様子がおかしいから協力して欲しいと言ってきたのは。勿論私は何も考える事なく首を縦に振った。ゆたくんの為なら鬼にも悪魔にでもなる。それがゆたくんに恋をした私の覚悟と想いの証。

 

「ゆたくん? ちょっといいかな? 一緒に来て欲しい所があるんだけど……ダメ? 」

 

「すずちゃん? う、うん。勿論いいよ? 」

 

私はゆたくんを誘い、私の家の敷地である森の中へとゆたくんを連れて行った。目的はゆたくんの考え方を正す為。私は事前にアリサちゃんからゆたくんが言っていた事やアリサちゃんがゆたくんに対して言った事を聞いていた。

アリサちゃん曰く、ゆたくんの勘違いを自覚させる事には成功したらしいが、力、戦うことの対する強さの欲求。これがまだゆたくんの中で捨て切れてないとの事だった。強い事への定義など考えるだけ馬鹿馬鹿しいが、ゆたくんには相当重要な事だと感じる。守られているだけ。戦う事が出来ない。ゆたくんだって男の子だ。昔から親しい、それも自分が守りたいと思った女の子に助けられ続けるのは悔しい事なのだろう。だから求めるのだ、ありもしない力を…………

 

「ね、ねぇすずちゃん? 一体どうしたの? その……こんな所で何を? 」

 

しばらく歩き続ける私にゆたくんは疑問を投げかける。だから私は足を止めてゆたくんに振り返った。場所もここなら誰もこない。声も聞こえない。そして……思う存分、ゆたくんの『中にある物を殺せる』。

 

「……ゆたくん? ごめんね、先に謝っておくね。本当にごめんなさい、私はゆたくん……大好きだよ」

 

「すずちゃがっ……はっ!? ……ごほっ、ごほっ……ゲホッ……すず……うっ……ちゃん? 」

 

「ゆたくん……フンっ!!! 」

「がっ!? ぐぁっ、ぁぁぁああああああああああああ…………」

 

ゆたくんは私に殴られ、数メートル先の木に叩きつけられた。そして痛みの中でどうしてと言わんばかりの顔で私の事を見ている。疑問は当然だ。ゆたくんが殴られなければならない理由はない。でも私にはこの方法しか思いつかなかった。今のゆたくんに言葉は通じないからである。一番わかりやすく、ゆたくんに届かせる為には……こうやって痛めつける必要があるのだ。

 

「っ!? す、すずちゃん何するの!? どうしがっ!? すず……ちゃん…………」

 

「怖いよね? ごめんね、今までゆたくんに秘密にしていた事があるの。私は普通の人間じゃない。その証拠に普通の子よりこんなに力がある。……ねぇゆたくん? ゆたくんにとって力って何かな? こうやって誰かを傷つけるこ、と!! 」

「がっ!? 」

 

「ゆたくんは力が欲しいんだよね? こんな誰かを傷つける事が出来る物を。ゆたくん? 誰かを守れば誰かが傷つくんだよ? ゆたくんは襲って来た誰かを傷つける事が出来る? 私はゆたくんにそんな事が出来るとは思えない。逆に相手にまで優しくしてそのまま殺されちゃうと思うなぁ〜? だから、ね!! 」

「うぐっ!? ……あ……がっ……や、やめ」

 

私は逃げようとするゆたくんを捕まえてさらに殴る。もうゆたくんの頭からは血が出始め、それを見た私は心が折れそうだったが、ここで折れるわけにはいかない。ゆたくんに気付かせる為に。自分で考え、自分の答えとしてそれを考えて貰うために。

 

「その前に私が殺してあげるよ。どう? ダメかな? どうせ殺されちゃうならいいよね? 」

 

「そんなの……ダメだ……よ……ごほっ、ごほっ!? そんな事したら……すずちゃんが…………」

 

「ほら、やっぱりゆたくんは相手に優しくしてる。今自分が殺されそうなのに。それとも私がゆたくんを本当に殺さないとでも思ってるのかな? でも残念だね、ゆたくんは殺すよ? 私……ゆたくんが誰かに殺されるの嫌だもん。だから先に、ね!!! 」

「うっ……あ、ぁあ……ごふっ!? 」

 

「ゆたくん? 力があったからって誰かを守れるとは限らないんだよ? 力があって絶対に誰かを守れるなら……なのはちゃん……ああならずに済んだって事だよね? そしたら……私のこの力は誰の為にあるの? 望んで手に入れたわけじゃないのに。力ってさぁ? 使い方だと私は思う。ゆたくんがどう思ってるか分からないけど……戦えない事って、力がない事ってそんなにいけない事なのかな? 戦う事だけがなのはちゃんの助けになる事じゃない。側にいてあげるだけでも……なのはちゃんに元気がない時に支えてあげる事も十分なのはちゃんの助けになるんだよ? 」

 

ゆたくんはなのはちゃんに傷ついて欲しくないかもしれない。でもそれ以上になのはちゃんがゆたくんに傷ついて欲しくないという事をゆたくんは知るべきだ。なのはちゃんが戦っている所へゆたくんが飛び込んでいけば、なのはちゃんは余計な気を回さなければいけなくなってしまう。だから絶対にゆたくんに戦うなとは言わないが少しはなのはちゃんの気持ちを理解すべきだ。

しかしこの考えも押し付けがましい事に違いはない。ゆたくんをこうして身勝手に傷つけて、その結果分かって貰おうとしているのだから。

 

「もう……やめ……てよ……すず……ちゃん…………」

 

「ごめんね。こんな事しか……思いつかなくて!!! 」

「あ、うっ……ん? すず……ちゃん? 」

 

「ぐすっ……ひぐっ……もうぅ……でぎな゛いよぉ……うっ……ひぐっ……うわぁぁぁ……ごめんなさい……ごめっ、うっ、うっ!? ごめんなさい…………」

 

もう一度殴ろうと思い、ゆたくんへと拳を振り下ろした時、私はその拳をゆたくんの顔の前で止めた。私の心が折れてしまったのだ。何故なら何も悪くないゆたくんを殴り続けている……それだけで私は心が痛かった。私はゆたくんが好きなのだ。決して殴りたくなんかない。出来るなら……言葉だけでゆたくんに分かって欲しかった。でもダメなのだ。私がゆたくんにその話をしようとしてもゆたくんは上の空。全て流してしまう。だからこそ、私はこの手段に出た。ゆたくんに嫌われても、私はゆたくんに幸せになって欲しいからだ。

 

「ゆたくん……許してくれなくて……いいから……私の言ってる事……うっ、うっ……分かって? ちゃんと……ひぐっ……聞いて? ……っ!? ……ゆた……くん? どうして…………」

「ごめん! ごめんねすずちゃん……大丈夫。ちゃんとすずちゃんの言ってる事……届いたから…………僕の方こそ……こんな事させてごめんね? 」

 

ゆたくんは目の前で泣きじゃくる私の事を抱き締めてくれた。私はこんなにもゆたくんを傷つけたのに。逆に謝ってくれたのだ。それを聞いたら私の心は少し救われた。そしてその上で私はもう一度謝った。ゆたくんが許してくれるなら、私もお礼と謝罪をしなければならないからだ。

 

「すずちゃん? 僕……自分の力を伸ばす努力はするけど、それ以上の力を望むのはやめる。すずちゃんのおかげで分かったんだ。戦う事以外にも……僕には出来ることがあるって。だから……ありがとう」

 

「ゆたくん……うん! 」

 

この一件に関してはなのはちゃん達は知らない。ゆたくんの為にも話すべきじゃないと思ったからだ。こうしてゆたくんはいつも通りに戻った。それどころか前よりもカッコよくなった気がした。身の丈にあった事を全力でやり、なのはちゃんを支えているゆたくんの姿が。でもそんな姿が私は嫉ましくもあったのだ。何故なら私がゆたくんに恋をしているから。でも私は諦める。ゆたくんの笑顔はなのはちゃんといる時が一番幸せそうだからだ。

しかしゆたくんが管理局に入り、数年後……ゆたくんは管理局をクビになり行方が分からなくなってしまったと聞いた。

私の中ではどうして? と言う疑問が駆け巡る。理由が分からなかったからだ。一体何があったのか、それはなのはちゃん達にも分からない事らしい。

だが私達はこの時知らなかったのだ……その時ゆたくんに起きた事が、昔ゆたくんの抱えていた闇……劣等感を再び呼び起こした事によって生じた物だったという事を…………

 




次回もよろしくお願いします。
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