魔法少女リリカルなのは!?「落ちこぼれの魔導師」   作:ヘルカイザー

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ども〜

ではよろしくお願いします。


striker
第6話《無邪気な危険生物》


「よぉ? 気分はどうだ? サーモ? 」

 

「ケッ……悪か〜ねぇ〜けど……この有様じゃな? モルタ……瀀は? 」

 

「……あいつは……クビになった…………」

「なっ!? どうしてだ!? あの状況で落ち度なんてないだろ!? それとも何か? 他二人が食われたのはあいつはの所為だってのか!? なら何故俺にお咎めがない!? 班の責任者は俺だぞ!!! ぐっ……なぁ……どうにも……ならないのか…………」

 

「……悪いが……俺にそんな権限はない。それに今回の一件……どうもキナ臭い。誰かが裏で糸を引いていたのは間違いない筈だ。瀀は……完全にその被害者だ。すまない……俺がもう少し早く駆けつけていれば…………」

 

「何言ってやがる……二人は救えなかったが、ワールド・イーターを相手にして俺だけでも救い出してくれたんだ……それだけで十分お前は凄い奴だよ」

 

「いや……凄くなんかない。俺は瀀を庇いきれなかった。それに……ワールド・イーター……奴には歯が立たない。奴だけは他の危険生物とは強さの次元が違う。戦って……命があるだけ幸運と思えるほどにな? 」

 

あの時俺はサーモの討伐班からSOS連絡を受けて応援に駆けつけた。しかし既に遅かった。四人のうち二人が食われ、サーモは瀕死の重傷。瀀は逃げた後だった。瀀の処遇に関しては俺がどんなに部隊長に言っても取り合ってくれなかった。それにおかしい事が幾つかある。いくらワールド・イーターが神出鬼没とは言え、俺逹が危険生物を駆逐する際、ワールド・イーターを感知できるレーダーを常に張っている。しかもワールド・イーターのいた痕跡を頼りに奴が現れる世界の予想航路を計算して任務に出ているのだ。だからそこにワールド・イーターが現れる可能性は極めて低い。だが今回、サーモ逹が行った世界はワールド・イーターが現れる可能性どころかワールド・イーターが現在いる世界だった。つまり……誰かが意図的に安全なデータと危険データをすり替えた、ご丁寧にレーダーまで作動しないようにプログラムを書き換えて。

しかし分からない事もある。こんな事をして得をする人物は誰かと言う事だ。誰が、何の為にこんな真似をしたのか、いくら考えても答えには辿り着かない。極め付けはさっき起こった事だ。小型のワールド・イーターが管理局に侵入した。本来なら考えられない事だ。ワールド・イーターは成熟するまで親からは決して離れない。それに人型で人語を話せるなど前例がない。そして問題は……瀀を探していたという事だ。ワールド・イーターが一度逃した獲物を追いかけて来るなど聞いた事がない。

今、全世界の食物連鎖の頂点に君臨するのは人間じゃない……ワールド・イーターだ。まさかとは思うが、ワールド・イーターを飼いならそうとしている連中がいる可能性がある。確かにワールド・イーターには未知の部分が多過ぎる。分かっている事は個体数が常に2匹……親と子で行動するという事。しかし普通に考えれば親がもう1匹いる筈だ。だがワールド・イーターには雌しか存在しない。かと言って単体で繁殖する生物でない事は研究で証明されている。

 

「俺はそろそろ行く。お大事になサーモ」

「モルタ? 」

 

「ん? 何だ? 」

 

「瀀は……俺を恨んでると思うか? 」

 

「……あいつが誰かを恨むわけないだろ? ましてや……自分の仲間を……フフ、つまんない事気にしてないで早く治せ。お前がいないと俺ばかりにしわ寄せが来る」

 

「ああ、悪い」

 

サーモが生きている事を俺は瀀に伝える事が出来なかった。そんな暇も余裕もなかったからだ。だから瀀とどこかで会ったなら言わなければならない。俺の不甲斐なさと……サーモの生存を…………

 

「リーダー!? 」

 

「あ? 何だよ騒がしい、ここは病院だぞ! 」

「ワールド・イーターを追っていた班が全滅しました!? 」

 

「何!? どういう事だ!? 成熟していないワールド・イーターに戦う力なんてない筈だぞ!? 」

 

「それが……やったのは瀀君です。誰も死んではいませんが全員重傷……ワールド・イーターは瀀君とどこかに消えたとの事です」

 

「瀀が……やった? 冗談はよせ……くっ、何が起こってる……ウレ! この件は上には報告するな! 俺が全ての責任を負う! 」

「リーダーの意向ならなんなりと! 」

 

俺の班のサポート人員ウレの報告でワールド・イーターを取り逃がしたと分かった。だがそれは俺の予想や想像を超えている。馬鹿にするわけじゃないが瀀があいつらに勝てる事なんてあるわけない。ましてや四人だ。それにワールド・イーターと消えたとはどいう事なのか。今……管理局内、いや……それ以外の組織が動いてるかもしれない。説明がつく事を超えている。どうしてこう偶然が重なる……よりにもよって瀀だ。俺はあいつを守れなかった。だが今度は守ってみせる。例え管理局を辞めてもあいつは俺の後輩だ。あいつを犯罪者などにはさせない。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「殺されないうちに早く帰りなって! 」

「い〜や〜だ〜!? お兄様た〜べ〜る〜の〜!? 」

 

僕は今ワールド・イーターの女の子にしがみつかれ、逃げようとする僕に引きずられながら移動している。何も考えずに聞いていれば無邪気な子なのだが内容がイカれてる。食べたいと言われて素直にいいですとは言えない。だから何とか逃げようとするのだがなかなか諦めてくれないのだ。そして終いにはお腹減ったと泣き始めてしまった。しかしそんな事で泣かれても自分を食べさせる事は出来ない。だから仕方なく近くのファミレスに連れて行った。でもここで問題出た。この子は今ファミレスのご飯を食べている……とても美味しそうに食べているのだ。けど……一体いつまでどれだけ食べるのだろうか。止まらないのである。あれもこれもと食べ続け、僕は財布を確認し始める。今考えればこの子はワールド・イーターだ。人間ではない。だから食欲を人間のそれと比べるのは間違いだった。

 

「ね、ねぇ〜そろそろやめない? これ以上食べられると……困る」

 

「むぐっ? モグモグ……ゴクン! お兄様……困るの? じゃ〜もういいや! ご馳走様でした! 」

 

「君……いい子だね? 」

「君じゃないよ! ペルだよ? 」

 

「え? 」

 

「だ〜か〜ら〜! ぺ〜ル! 私の名前はペル・デュラント・エネゴルド・ループ・プレハルファルト・グラコス・ワールド・イーター! 」

「長いよ!? 一体何考えて名前つけてるの!? 」

 

「そんなの知らないもん! ねぇ〜ねぇ〜お兄様? 私人間の街見てみたい! ダメ? 」

 

この子と接して分かった事がある。この子は食欲には忠実、そして何よりいい子だ。子供故に無邪気な部分が大きい。

今僕は夢を見てる気分だ。何故ならあのワールド・イーターと話をしている。こんなにも普通の人間と変わらないコミュニケーションが出来るなんて思わなかった。この子が特別なだけなのだろうか? それとも成熟したこの子の母親も人の姿で話す事が出来るのだろうか。しかしそれを今考えたところで答えが出るわけもない。だから僕はこの子の希望通り、街を見せる事にした。自分でも何をしているのだろうと思うが姿が子供だからか甘やかしたくなってしまう。

 

「そう言えばこれ返すよ」

 

「え? ああ〜いらないからあげるよ! お兄様探してる時にどこかの研究所で拾っただけだから」

「探してたって君が生まれてから数日しか経ってないよね? 」

 

「それだけあれば十分だよ。だってペルは次元航行出来るし、お兄様の匂いだって嗅ぎ分けられる。あの世界から追ってきたんだよ? ふふ、ねぇ〜お兄様今度はあっち行こ? 」

「ああ、ちょっと!? 」

 

僕はペルから貸して貰ったデバイスを返そうと思ったのだがいらないと言われてしまった。だからしょうがなくそれをしまう。ペルは見るもの全てに興味があるようで、立ち止まる事が多い。けどそんな姿を見ているとはやちゃんの所のリインちゃんを思い出す。こうやってよく買い物に行き、欲しい物をねだられた。僕はその度に買ってあげたが、よくはやちゃんに怒られてた覚えがある。

 

「あ!お兄様!? これ何!? これ!? 綺麗…………」

 

「ん? どれどれ? ああ〜これはペンダントだね。アクセサリーだよ。首につける飾りだね。……欲しいの? 」

 

「え? ……う〜ん……いいや。お兄様困るでしょ? 」

 

「……あはは。いいよ、買ってあげる。どこかの妹と違ってペルは謙虚だね? 」

「お兄様妹いるの? 」

 

「妹って言うか……妹みたいな子かな? 」

 

僕はペルにペンダントを買ってあげた。クリスタルで星の形をした物。するとペルは大はしゃぎで喜んでくれた。僕は思えない……こんないい子が人類の敵だとは…………

そしてあっと言う間に時間は過ぎた。僕はいつの間にか楽しんでいた。この子と過ごす時間を……でも一緒にはいられない。ペルは僕を食べようとしてる。それにここにいたら近いうち管理局に殺される。これから人類を脅かす危険生物を野放しには出来ない。しかし嘘じゃないのだ……今日ペルと過ごしたこの時間は…………

 

「お兄様? どうしたの? 」

 

「ねぇ……ペル? そろそろお別れだ。ペルはここにいたらいけない。だから……ママの所に帰らないと」

 

「……嫌。私お兄様といる。だって……お兄様好きだもん……お兄様……食べたいもん…………」

 

「ペル……」

「嫌!? 嫌だもん!? お兄様とお別れしたくない!? お兄様は私が食べるもん!!! 食べるん……だもん……うっ……ひぐっ…………」

 

ペルは僕に抱きついて泣き始める。僕も出来るならペルといてあげたい。少しだが家族のような暖かさを感じさせてくれたペルと。でもペルはワールド・イーターだ。僕とは生きていく世界が違う。それに……僕はこの子が死ぬところを見たくない。もう完全に情が湧いてしまった。

 

「ペル? お願い、言う事を聞いてくれないかな? ここにいたらペルは殺されちゃう。僕はそんなの見たくないから」

「じゃ、お兄様が守ってよ!? ペルと一緒にいて、ペルがお兄様を食べる日までお兄様が守ってよ!? 」

 

メチャクチャな我儘だった。僕に自分が殺すまで自分を守れと言っているのだから。普通ならそんな我儘聞く筈はない。でも僕はそれを受けようと思った。僕はもう……普通の感性は持ち合わせていないのかもしれない。いつでも自分を殺せる殺人鬼をすぐ近くに置く事になるのだから。それにペルと一緒にいれば僕は確実にお尋ね者になるだろう。いや……今日の騒動で僕はもうお尋ね者かもしれない。しかし僕は守りたいと思った。この子を……ペルを。例え自分が食べられたとしても。だって僕はもうこの子が気に入ってしまったから。

 

「分かった」

「え? 本当に? お兄様と居ていいの? お兄様食べていいの? 」

 

「今すぐ僕を食べるのは勘弁して欲しいけど……君と……ペルと一緒にいる事は出来る。ペルの気が済むまで僕といればいい。勿論、その間僕がペルを守るから」

 

「……はぁ〜ははっ! ありがとうお兄様!! 大好き!!! 」

「ちょっ!? 」

 

こうして僕はペルと行動を共にする事になった。そして時は流れ、数年が経った今現在……僕は便利屋を経営している。ただし、普通の便利屋ではない。表の仕事から裏の仕事まで請け負う危ない仕事だ。昔の僕からは考えられなかったこの選択肢、そして仕事の内容。僕は軽く犯罪者と言っていいくらいの立ち位置にいる。だがおかしい事もあった。ペルが襲われた日、あれから数年経つと言うのに僕はお尋ね者になっていない。ペルを追ってきた管理局員を全滅させたと言うのにだ。

 

「ゆた様!? ボーッとしてないで仕事してくださいよ!? 何デバイスの私にばかり働かせているんですか!? 不当です!? 訴えますよ!? 」

 

「デバイスの癖に俺を訴えるのかよ……それに仕事はしてるだろ? 今絶賛見積もり中だ。でもそうだな? それじゃ俺も手伝うよ! だから少し休みなよ花火? 」

 

「ダメですよ!? 花火が休んでるのにゆた様が働くなんて!? ゆ、ゆた様が倒れたら……花火は悲しいです…………」

 

俯いてそう言うこの子はペルから貰ったデバイスだ。実は初期設定して起動してみるとアームドデバイスにも関わらず人型に変われる変わったデバイスだったのだ。そしてこれが待機モードの状態らしい。仕事熱心でいつも僕を心配してくれる新しい僕の家族だ。髪型はツインテールで色は黒。白いポロシャツを着てこの店の整理で走り回っている。けど身体が小さい為かなんとなくしんどそうだ。

そしてそんな忙しい時、店にお客が入ってきた。しかし見た事のない人物。青っぽい髪にまるで博士のように白衣を着ている。

 

「いらっしゃい! ご用件は? 」

 

「フフ、会いたかったよ! 塗栄 瀀君。実は君に仕事の依頼をしたいのだが……受けて貰えるかな? 」

 

「内容は? 」

 

「レリック! それを奪ってきて欲しい。勿論前払いでお金は払わせて貰う。そしてもし失敗してもお金は戻さなくて結構! 君と私のお近づきの印だ。君とは、是非お友達になりたい! どうかな? 」

 

「あんた……名前は? 」

 

「私かい? 私はジェイル・スカリエッティだ! 以後よろしく頼むよ! 『落ちこぼれ』君? 」

 

これが僕の始まり……もう会うつもりのなかったなのちゃん達と再び再会するきっかけになった出来事。

 




次回もよろしくお願いします。
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