魔法少女リリカルなのは!?「落ちこぼれの魔導師」   作:ヘルカイザー

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ども〜

ではよろしくお願いします。


第7話《始まりの再会》

「それで頼めるかな? 」

 

「……レリックはロストロギアだ。そんな物何に使う? 」

「フハハ! 君は依頼人の事情を詮索するのかね? 」

 

「フッ、ならあんたはどうして俺の事を知っている? 」

 

「…………」

「…………」

 

互いに腹の探り合い。ゆた様とスカリエッティというこの依頼人は相手の手の内を見透かしている。私には全然分からないが当人達にしか分からないことがあるのだろう。お互いの目を見つめながら静止している。もう少し続ければそれぞれの背中から何かが出てくるような雰囲気だ。

しかし私はそれでもお仕事を続ける。依頼人にお茶をだし、途中の荷物整理を再開。するとその時、ギギっと奥の部屋が開くような音がした。けどそこを見ても誰もいない。ドアは開いているのだが、きっと風で開いたのだろう。何故ならあの部屋はペル様の寝室。この時間ならまだ寝ている筈だ。

 

「フフ、用心深いねぇ? 噂通りの男だ。ますます君に興味をそそられるよ。やはり君に「むにゃむにゃ〜お肉ぅ〜ガブっ! 」がっ!? イタタタタタタッ!? お、おい!? つっ!? ぎゃぁぁぁあああああああああああ!!! 」

「こらっ、ペル!? お客を齧るなっていつも言ってるだろ!? 」

 

突然店に依頼人の悲鳴がこだまし、ゆた様が急いでペル様を依頼人の太ももから引き離す。このような事はざらだ。ペル様はよく寝ぼけては部屋を抜け出し依頼人やゆた様を齧る。しかし食いちぎる程ではない為、死人や重症者が出た事はない。でも私からしたらこんなのは良い方だ。私なんか昨日、夜寝ぼけたペル様に捕まり一晩中舐め回され、しゃぶり尽くされた。もう少しで食べられるかと思った程。しかし間一髪のところでゆた様に助けて貰った。毎日が危険なスリル満点な日々。ペル様に悪気はないので怒れないが、ペル様は食欲に正直過ぎる。

そして私は単純にゆた様を尊敬する。何故ならペル様を養っているからだ。うちで一番かかる経費は食費である。ペル様の食欲と言ったら止まることを知らない。けどゆた様はペル様が満足するまで食べさせる。本人曰く、満腹の時のペル様が可愛いからとの事。確かに満面の笑みで満足したペル様は可愛い。しかしそれを見たいが為に1日の食費でとても言えない額のお金を使うのはどうかと思うのだ。そして何よりその量のご飯を絶やさずに作るゆた様はプロの料理人と言ってもいいかもしれない。

 

「はぁ……どうもすいませんね? うちのペルが過激な事をして」

「お兄様ぁ〜お腹空いたぁ〜ガブっ!」

 

「つっ……そ、それで……レリックとやらは……どこにあるんだ? 」

 

「君はよく手を噛まれたまま平然としていられるね? 私は凄く痛かったと言うのに…………」

 

「ま、まぁ〜慣れてますので」

「むぐむぐ……お兄様おいひぃ〜」

 

ペル様はまだ寝ぼけてるようで、ゆた様の左手に丸々かぶりついたまま甘噛みをしている。しかしここで間違えてはいけないのはペル様で言う甘噛みだ。だからゆた様の左手は今出血している。そしてその血を美味しそうにペル様は飲んでいるのだ。ハタから見たら狂気、異常だ。でもペル様は振りほどいたりはしない。これも本人曰く、寝ぼけているペル様が可愛いからとの事。正直こんな事にいちいち突っ込んでいたらキリがない。ゆた様はペル様に甘過ぎるのだ。今だってペル様はゆた様に抱っこされている。手を噛まれていると言うのにだ。しかし決して私がペル様に嫉妬しているわけじゃない。ゆた様の身を案じているだけだ。

 

「まぁいい。今し方列車を暴走させた。おそらく管理局も動くだろう。だから管理局が手に入れた所を奪ってくれればいい。勿論、最初に言った通り、無理はしなくて構わない。それでも報酬は君の物だ」

 

「……はぁ……どうも乗る気になれんがペルが失礼を働いた手前、断るのも悪い。いいだろう、その依頼受ける。ただし……やり方は」

 

「フフ、好きにしてくれて構わない。君のやり方でやってくれたまえ! これが列車の位置情報だ。それじゃ……ああ! 言い忘れてたよ。私は君の事が好きだ! 」

 

「……悪いが俺にそんな趣味はない」

「ハハハ! つれないねぇ? だがそういう意味じゃない。私は君を評価しているのだよ。管理局の落ちこぼれである君がこうも変われる物だとは……フフフ、じゃ……失礼するよ瀀君? 」

 

どうにも私はあの依頼人が気に入らない。何故かあの依頼人と関わるとゆた様のマイナスにしかならない気がするからだ。しかもこんな急な依頼を高額な餌で誘ってくるなんて、どう考えても怪しすぎる。何かの罠か、ゆた様を逮捕させる為に管理局とぶつけようとしているか。どちらにしても良いことがない。だから本当なら断って欲しかった。でもゆた様が決めたなら私はついていくだけ。

 

「さて……仕事の時間かな? ペル? もう僕の手を離してくれる? 眠いならまだ寝てていいからさ。僕は仕事に行ってくるから、大人しくお留守番しててね? 」

 

「ふぁ〜い……お兄様ぁ…………」

 

「フフ……さぁ、行くぞ花火! 俺がペルをベットに運んだら出発する。『30分』で準備を済ませろ! 」

「何カッコいい顔して馬鹿な事言ってるんですか!? ペル様ベットに運ぶだけでどれだけ時間掛かける気ですか!? 部屋そこですよ、そこ!? 5分で済まして下さい!!! 」

 

「ええ〜ペルの寝顔可愛いから……」

「早く……しろ? 」

 

「あはは……花火の笑顔は怖いなぁ……了解です…………」

 

このゆた様を私が怒る事、それを咎める人はいない筈だ。これだけペル様を甘やかしたり可愛がったりする気持ちがあるなら、少しだけ私に向けて欲しいものだ。しかしそんな事言えるわけがないので私は黙っている。別にペル様が羨ましいわけじゃない。不当な扱いに抗議したいだけだ。

そしてペル様をベットに寝かせた後、ゆた様と私は列車が走っている場所へと向かった。列車は走っているが、私の魔法を使えば近くに転移する事は出来るので問題はない。本来、普通のデバイスが使用者の魔力を使わずに魔法を行使する事は出来ないが私にはリンカーコアが埋め込まれている。よって単独での魔法やセットアップ状態での単独魔法も可能。自慢するわけじゃないが魔法の使えないゆた様にとって私以上のサポーターは存在しない。いや、する事は認めない。何故ならゆた様の相棒は私だ。他は私が認めない。これだけは譲らないし渡さない。

 

「無事任務完了! レリック確保しました! 」

 

私達は管理局がレリックを回収するのを確認すると崖から飛び降りて列車に着地した。するとそこにいた銀髪の小さな女の子がこちらを見て大きく目を見開く。と言うか小さすぎやしないだろうか。全長30センチ位しかない。

 

「ゆた兄さん、会いたかったですよぉ〜へぶしっ!? 」

 

「うるさいハエだ……おっと、リインだったか。間違えた」

「って!? 間違えるわけないです!? こんな状況で何をどうやったら間違えるんですか!? しかもどっから出したですかそのハエたたき!! 」

 

私もこれにはどこから出したとツッコミたかったがハエに取り憑かれてるゆた様にそれを言っても仕方ない。何故かゆた様はハエにおちょくられる。別にゆた様が不潔とかではない。にも関わらずゆた様にはよくハエが近づいてくるのだ。だからその為のハエ叩きでありゆた様の近くを飛ぼうものなら容赦なく叩かれる。これはもう無意識下での事……よって仕方ないと言えるのだ。

そしてゆた様は相手が知り合いでも関係ないと言わんばかりにレリックを要求する。当然、相手はショックを受けていた。私はゆた様の過去を何も知らない。教えてもくれないし、今は聞こうとも思わない。

 

「それは出来ません! ゆた兄さん、どうしてレリックを狙うですか! これが何か知っているですか!? 」

 

「知っている、それはロストロギアだ。俺は興味はない。だが、依頼人の欲しがっている物だ。だから力尽くでも渡して貰うぞ!!! 」

 

「っ!? 」

 

私を鞘から抜いたゆた様は女の子に向けて刃を振り下ろす。女の子は自分が斬られると思い、目を閉じた。しかしゆた様が知り合いを……ましてや、自分をゆた兄さんと呼ぶ子を傷つけるなんてあるわけがない。ゆた様が刃を振るったのは彼女を斬る為ではなく、彼女を助ける為。

 

「ゆた兄さん……どうしてですか…………」

「フッ! セイッ!!! 」

 

「ん? え………… 」

 

彼女もゆた様の声がするのに自分が斬られていない事を不思議に思ったのか目を開ける。でも切られてないのは当然だ。何故ならゆた様が斬ったのは既に破壊した筈のガジェットのケーブル。彼女のいる車両の下から破壊しきれていなかったガジェットのケーブルが伸びていたのだ。

そして助けて貰った彼女は驚いた顔でいたが、すぐに嬉しそうな顔に変わった。しかし彼女は勘違いをしている。確かにゆた様は優しい。昔であったなら、その過去を知らない私ですらもここで彼女に優しくすると分かる。だがここにいるゆた様は今のゆた様だ。過去ではない。だからここで彼女に優しく接する事は……ない!

 

「ゆた兄さっ!? ……どうして………… 」

 

「レリックを渡せ。今日はお前に会いに来たわけじゃない! それを奪いの来たんだ。勘違いするな! 」

 

「どうしてですか!? 」

 

「お前に話す必要はない! 」

「話してよ…………」

 

「……ちっ。はぁ……久しぶりだな? なのは? 」

 

それは突然、まるで気配を感じなかった。ゆた様の後ろで新たの人物の声がした。どうやらこの人もゆた様の知り合いのようで、白いバリアジャケットを着て、走っている列車と同じ速度で飛んでいる。

ゆた様は彼女の存在を確かめるとあまり会いたくなかったのかバツの悪そうな顔を見せた。しかしそれに引き換え、相手は凄く安心している。よっぽどゆた様の事が心配だったのだろう。

 

「ゆた君元気そうだね? 良かった。でも……どうしてレリックを狙うの? それに……ゆた君なんか顔怖いよ? 私の事も……なのちゃん……って呼んでくれないの? 」

 

「…………」

 

正直なところ、今の状況は非常にマズイ。ゆた様は完全に囲まれているのだ。転移で逃げようにも誰かが結界を張った為にできない。このままではゆた様は管理局に捕まる。まだレリックを奪っていないとは言え未遂、公務執行妨害だ。ゆた様も何か考えてるようだが浮かばない様子。今の状況は絶対絶命だ。

するとゆた様はなのはと呼んだ彼女に斬りかかる。隙を作って逃げ出すつもりらしい。しかし彼女は冷静だ。恐ろしい程に。シールドで刃を防ぎ、ゆた様にバインドをかける。そして顔はとても悲しそうだ。

 

「ぐっ!? 」

 

「ゆた君? ちゃんとお話ししよう? 私……ゆた君に謝りたいの。私はゆた君の事何も分かってあげてなかった。だから……償いをさせて!? 私に! 私にゆた君の信頼を取り戻すチャンスを頂戴!? 」

 

「……なのは……そんなチャンスは……無意味だ」

「え……そ、それは……どうして? 」

 

「はは……本当に何も分かってないんだな……なのちゃんは………… 」

 

「っ!?」

「お〜に〜い〜さ〜ま! 」

 

突然ゆた様の腰に誰かが抱きついた。そう、ペル様だ。おそらくは起きてゆた様がいないのを確認したペル様は、ゆた様の匂いをたどってここまで来たのだろう。しかし誰にも見つからず、ゆた様に抱きついたペル様を認識した管理局の面々は、驚きに満ちた表情になっている。でもそれは当たり前だ。ペル様の次元航行はそれを察知する事ができない。

 

「お兄様何してるの? それに何このピンクの輪っか? えい! 」

 

「なっ!? 私のバインドをそんな簡単に!? 」

 

ペル様はゆた様にかけられているバインドを片手で、まるでなんでもないもののように引っぺがした。これにはここにいる全員が驚く。理由を知ってる私達は驚かないが普通は驚くだろう。そしてペル様に警戒してか彼女達全員がデバイスを構える。もう完全に敵として認識されたようだ。

 

「お兄様? ペル何か悪い事した? ん? 」

 

「はは、大丈夫だよペル。ありがとう、助かった」

「えへへ〜お兄様に褒められた〜! お兄様もっと撫でてぇ〜? 」

 

「ゆた兄さん!? 誰ですかその子!? そこはリインの立ち位置ですよ!? ゆた兄さんの妹はわ・た・し・で・すぅぅぅううう!!! 」

 

銀髪の女の子は興奮してゆた様につっかかる。どうやらペル様に嫉妬しているようだ。だがペル様が来た事は好都合。これでいつでも逃げられる。何故ならペル様の次元航行は阻害する事は不可能。例えどんな結界の中だとしても関係ない。それを無視し、目的地へと移動する。

 

「む〜……お兄様ここ騒がしいね? お家帰ろう? ペルお腹減った〜」

「ああ……そうだな。帰ったらご飯にしようか」

 

「ゆた君何言ってるの!? ゆた君達をこのまま帰す訳には!? え……嘘……消え……た? 」

 

これが管理局と私達の遭遇……その始まりだ。

 




次回もよろしくお願いします。
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