ISin時雨&ザフィーラ&アルフ   作:鎌鼬

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クラス対抗戦・後

 

 

「まぁ、予想通りの結果だよなぁ」

「そうなの?」

「何が起きたのか説明してほしいっす」

 

 

簪と織斑一夏の試合が俺の予想通りに終わったことを呟くと皇とハミルトンが不思議そうな声色で聞いてきた。まぁハミルトンはどうしてこうなったかを、皇はどういう試合の流れだったのかを聞きたそうな素振りだけどな。皇は考えるよりも動くタイプの人間だから分からなくても仕方ないだろう。

 

 

「一番始めの手榴弾からだが、簪は織斑一夏が突っ込んでくることを読んでいた」

「まぁブレードしか積んでない機体なら取れる手は接近戦だけだから妥当よね」

「普通なら銃器で牽制しながらってのがベターだが白式には雪片弐型しか無いからなぁ。だから開幕早々に仕掛けてくると読んでの後退、ご丁寧に自分のいたところに手榴弾の置き土産を置いてだ。打ち合う避ける程度なら織斑一夏も考えてたかもしれないが爆発物を置いての後退は考えてなかっただろうよ。それで爆風に煽られている隙を疲れてガトリングの制圧射撃だ」

「あの特に狙いを定めずに適当に撃ってたヤツっすか?」

「そうそう。白式の攻撃手段は零落白夜で切る一択しかない、だけどその零落白夜を使うためには当然のことながらエネルギーが必要になる。だから簪は点じゃなくて面で攻撃をして少しでも白式のエネルギーを削ることを選んだ。そうなればエネルギーの消費を極力抑えたい織斑一夏は距離を取って逃げるしか無いわけだ。で、ガトリングが弾切れしたところで雪片弐型をガトリングで受け流した。押されて焦った織斑一夏のあの攻撃はさぞかし力任せに振られただろうな、でないとあそこまで無様に体は泳がないだろう。そこにパイルほの一撃でおしまいと、機体に頼りきってる織斑一夏と機体が劣ってようとも技術を磨いた簪じゃ見えきった試合だったわけだ」

 

 

長々と話してから試合が始まる前に淹れておいたコーヒーを口にする。淹れてから時間が経ってるので酸味が出ているがこのくらいならまだ飲める。

 

 

「あ、頭が痛くなるっすね…………そこまで考えて戦ってたっすか…………」

「簪は頭脳タイプの人間だからな、考えて考えて考えるのが合ってるんだよ。皇は感覚タイプの人間だろうな、そういうタイプの人間は総じて考えないでこうだろうと感じた通りに動くもんだ」

「ねぇ、だったら私はどうなのかしら?」

「ハミルトンか?お前は間違いなく頭脳タイプだな。どっちが優れてる劣ってるという訳じゃないさ。頭脳タイプは感覚タイプの動きを完全に予測できれば勝てるし、感覚タイプは頭脳タイプの予測外の動きが出来れば勝てるっていうだけだ。今回のは簪が織斑一夏の動きを読みきってたからの勝利だよ」

 

 

テレビに映る映像には専用機の織斑一夏が訓練機の簪に負けたことに対して動揺する観客たちが見られる。その中でも分かりやすく騒いでるのは一年の二組と四組だな。四組は簪が勝ったことに喜んで、二組は織斑一夏が負けたことに喜んでるのだろう。二組に好かれている俺を何かと絡んでくる織斑一夏が負けたことが嬉しいんだろう。

 

 

「次は…………二組と三組、次に五組と四組、それから一組と二組か」

 

 

テレビの隅の方に映る試合表を読み取る。全五組で行われる総当たりだからそれなりに時間がかかるためにクラス対抗戦は初日は一年、二日目は二年、三日目は三年の順序で行われることになっている。

 

 

「そうだ、お兄さんはどこが優勝すると思うっすか?」

「私も聞きたいわ、時雨の予想を聞かせてちょうだい」

「優勝か…………凰が八割、簪が六割、織斑一夏が二割、三組と五組が一割ずつってところか?」

「その根拠は?」

「凰は中国の代表候補生でなおかつ専用機も持ってる。簪は専用機こそ無いが日本の代表候補生で甘粕工業から武装の提供も受けてる。織斑一夏は専用機を持ってるが圧倒的なまでに操縦技術とISでの戦闘の経験が無い。三組と五組はまぁ察してくれ」

 

 

要するに俺はこの対抗戦の優勝は凰か簪のどちらかだと思っている。二人が選手の中で頭二つ飛び抜けている、でも専用機と訓練機の差がどうしても出てきてしまうから簪よりも凰の方が勝ちそうだと考えた。織斑一夏?あれは二人がいるステージまで行ってないから除外で。

 

 

「お、二組と三組の試合が始まるっすよ」

 

 

皇にそう言われ、専用機の甲龍(シェンロン)を纏った凰と訓練機のラファール・リヴァイブを纏った三組の代表が映る試合に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「簪がまた勝ったな」

「こちらとしては織斑一夏に勝っただけでも涙出そう何ですけどね」

 

 

二組と三組の試合は鈴音が圧倒し、簪と五組の試合は簪が危なげなく勝利を納めたことを観客席から観ていた秋羅と孝太は喜んでいた。二人の隣には本音がお菓子をポリポリとリスのようにかじっていて、ミカドとヴィータは興味がないのかアイマスク装備で眠っている。

 

 

「やっぱりかんちゃんは強いのだ~♪」

「普通に考えたらIS乗って一月経ってないのに代表候補生に勝てるわけ無いですよね」

「普通に考えたらな…………だけどあいつは普通じゃないんだよ…………なんかどこかの物語の主人公のようにやることなすことが上手く行ってるんだよな…………その尻拭いを俺はさせられていたけど」

「ハンカチ使いますか?」

「お菓子いる~?」

「その優しさがありがたい…………!!」

 

 

孝太からハンカチを、本音からお菓子を渡されて何気ない優しさに身を震わせて涙を堪えている秋羅…………どうやら織斑一夏には相当苦労させられていたようだ。

 

 

「次は鈴音さんの試合ですね」

「鈴は中国の代表候補生だから油断さえなければ勝てるだろうよ」

「昨日あれだけみんなで考えたんだから大丈夫だよ~」

 

 

鈴音の勝利を祈っているとビットから二機のISが射出されてアリーナ内に現れた。

 

 

一機は初戦にて簪に圧勝された織斑一夏と白式。

 

 

もう一機は厚みのある暗い紫の装甲と肩に浮かんでいる二つの武装が特徴的な甲龍(シェンロン)を纏った鈴音。

 

 

顔を会わせると織斑一夏が何かを言い、それに鈴音が言い返したことで織斑一夏の顔が怒りのものに変わった。残念ながら通信システムを使っていないようなので何を話していたか知ることは出来ない。

 

 

「「出た、時雨さん直伝の煽り芸」」

「怒らせてどうするの~?」

「怒らせて視野を狭くして動きを単調化させるのが目的とかなんとか」

「多分篠ノ之とかオルコットとか、あいつの身近な奴のことで何か言ったんじゃないか?あいつそう言うの言われるの嫌ってるからな」

 

 

何か大袈裟な動作をしながら訴えている織斑一夏を無視して鈴音は定位置に着く。そんな鈴音に織斑一夏は近寄ろうとするものの審査を務める教員から注意の放送が入ったことで渋々といった様子で定位置に着いた。しかし体はあからさまに前傾姿勢になっていて開始と同時に突進しようとしているのが端から見ても分かる。

 

 

そして試合開始のブザーが鳴るのと同時に織斑一夏は叫びながら鈴音に突進した。フェイントも何も入れられていないただの直線的な動き、速度だけなら流石は専用機というべきかかなりのものだがそれだけで討ち取れるほど代表候補生は甘くはない。

 

 

振るわれる雪片弐型の一閃を鈴音はその場から動くことなく二振りの青竜刀で受け止めてた。

 

 

織斑一夏は初撃をあっさりと受け止められたことに驚いているようだが事前に鈴音のISについて調べていれば驚くことは無かっただろう。中国のISの特徴としては安定した物が多い。鈴音の甲龍(シェンロン)もその例に漏れず速度や機動力こそ他のISに劣っている物の馬力や防御は見た目通りに高く安定した戦闘を可能にしている。

 

 

自国のIS開発技術の高さをアピールするために詳細なデータこそ秘密にされているが大体の機体の特徴はインターネットを探せばあっさりと見つけることが出来る。だというのに織斑一夏が甲龍(シェンロン)の馬力に驚いているのは事前に調べていなかったからだろう。

 

 

雪片弐型の一閃を受け止めた鈴音は力任せに織斑一夏の腹部を蹴って距離を取らせる。そして浮かんでいた武装が光ったかと思えば織斑一夏が突然大きく仰け反った。

 

 

「あれは~?」

「何て言ったっけ…………名前は忘れたけど確か空気砲みたいな物だったはず」

「空間に圧力をかけてとか言ってたな…………あの肩に浮かんでいるのがそうしてるんだろう。銃身が無いみたいだし多分弾切れ無しで全方向に撃てるぞ」

 

 

そこからの試合はまるで簪と織斑一夏の試合をやり直しているかのような流れだった。鈴音は甲龍(シェンロン)の武装である『龍砲』を乱射して織斑一夏を近づけさせないように立ち回っている。白式には零落白夜という一発逆転ができる能力があるのだ、例え優位に立とうとも織斑一夏を近づけさせないという鈴音の考えは正しい。しかも良く見れば龍砲の光が右と左で違うことが分かる。右側は頻繁に光っているのに対して左側は数秒に一度と言ったペースだ。これは右側は威力を低くして連発、左側は威力を高くして単発で撃っているから。ボクシングで言うところのジャブとストレートの様なものである。

 

 

必死に織斑一夏は逃げているものの数で押してくる右側の龍砲は避けきれずにいくつか被弾して動きを止め、止まった隙に左側の龍砲の一撃を食らっていた。

 

 

このままではじり貧だと考えたのか織斑一夏はアリーナに展開されている障壁まで下がって鈴音から大きく距離を取った。鈴音は事前に白式の武装から取れる手段が近接戦しかないことを知っていたから織斑一夏が何を企んでいるのかに気づいた。

 

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)。文字通りに一瞬で最高速度にまで加速して相手との距離を詰める技術。孝太から教えられていたから何をするか分かったのだが教えられていなかったら一撃をもらっていたかもしれない。

 

 

だが何をしてくるのか分かっているなら対処は簡単だ。両手に持った二振りの青竜刀、その片方で雪片弐型の一閃を受け止め、残る片方でカウンターを見舞わせる。狙いをつけられるかどうか分からないが龍砲もチャージを限界までしておき近づいてきたら放つ。

 

 

鈴音と織斑一夏の動きが止まる。両者にある緊張を感じたか観客たちも静かになった。

 

 

そして白式のスラスターにエネルギーが溜まったときーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空からアリーナの障壁を貫くビームが放たれた。

 

 

 





簪の試合予想図
時雨が説明した通り。最初から最後までワンサマは簪の予想の範疇の行動をしていた。

頭脳タイプと感覚タイプ
頭脳タイプは予めどのような動きや流れになるのかを考えてから行動し、感覚タイプは考えないで直感で動く人を指してる。どちらが優れているという訳ではない。要するに読みきれるか、予想の範疇から出られるかの戦いになる。

時雨の試合予想
一位は専用機持ちで候補生の鈴音、二位は訓練機で候補生の簪、三位はワンサマ、残りは最下位。鈴音と簪とではやはり専用機の有無が大きな差になる。

時雨直伝の煽り芸
時雨が使えるだろうと鈴音に教えた伝統芸能煽り芸。取り合えず鈴音は織斑千冬や篠ノ之箒の欠点を誇張して言ったら煽り耐性の無いワンサマはおこになった。

専用機について
自国の技術力をアピールするために詳しい武装や性能は隠して大体こんなコンセプトの機体を作りましたというのは発表されている。だから一般人でもその気になれば調べられるということにこの小説ではしています。

龍砲
簡単に言えば地球を破壊できる爆弾を持ったネコ型ロボットの道具の一つである空気砲みたいな物。射角に制限がないのでその気になれば360°撃つことが出来る。普通に凶悪。


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