「て、これからどうするつもりだ?」
「あの生意気な奴の言いなりになるのかい?」
「んなわけないだろ」
あの塵屑が行ったまったく身になら無いホームルームを終えて、俺とザフィーラとアルフは外のベンチに座っている。それにしても周りからの視線が凄い。俺が男でフードで顔隠してるからという理由もあるだろうが、それから来る奇異の目とは別に明らかに侮蔑の目が混じっている。理由なんて俺の言葉しか無いだろう。世界最強と言われている織斑千冬に対する罵詈雑言、この学園に来るやつらの大半は織斑千冬を尊敬しているような奴だからその尊敬している相手が侮辱されて許せないのだろう。
女子ってのは話回るのが早いな~まだ半日しか経っていないというのにほとんどに噂が立ってるとか。まぁ、それを狙ってやった事だし否定はしないけど?
「あぁいう相手には何を言っても無駄だからな。まずは轡木のじいさんに報告して、IS委員会に向けて『甘粕工業』を通して報告して…………」
「ちょっとよろしくて?」
これからどうしようか企んでいる時に声をかけられた。てかこの声御嬢様(笑)じゃねぇかよ。声の方向を見るとそこにいるのはやはり御嬢様(笑)。こいつ何しに来やがった?
「あん?何でございますかねぇ?イギリス国家代表候補生のセシリア・オルコットさん?」
「…………貴方は私のことご存じなのですね」
「まぁな、情報ってのは千金に値するからな。余程の事がない限り新しいのは仕入れるようにしてるよ。例えば…………セシリア・オルコットのISの『ブルー・ティアーズ』の事とか?」
「っ!?な、何故!?」
「何故って、俺は『甘粕工業』のテストパイロットだからな。ISの情報が欲しいって言ったら公開しないという条件で現存するISの情報教えてもらえたよ。あぁ、あの下らない決闘騒ぎで使うつもりはないから」
「下らない………決闘騒ぎ…………ですって…………!!」
「だってそうだろう?国家代表候補生の相手はISを動かせたっていう実績を持つだけの素人たち。そんな奴に決闘を申し込むだなんて俺は恥ずかしくて出来ないねぇ。弱者いたぶってイイ気になろうとしてるだなんて、いい趣味してるよあんた」
俺の煽りにみるみる顔を赤くしている御嬢様(笑)。てか、煽り耐性低すぎる、よくこんなので国家代表候補生なんてやれてるな。国家代表候補生ってのは国家代表の候補生、候補生とは言え発言力は下手な政治家よりもある。それなのにあんな発言しまくって…………戦争でも起こしたいのかね?第三次世界対戦、切っ掛けはイギリス国家代表候補生の日本に対する侮辱発言から…………イギリスフルボッコの未来しか見えねぇな。
「…………あの『甘粕工業』のパイロットと聞いておりましたのに、所詮は男ですわね!!礼儀知らずで野蛮な極東の猿!!」
「礼儀くらいは知ってるさ。それを使う相手を選んでるだけだ」
「つ、つまり私には使う価値が無いとおっしゃるのですか!?」
「あ?そう言ったつもりだけど?分からなかったか?お・じょ・う・さ・ま?」
「~~~~~~!!!!!」
わーお、まだ赤くなるのかよ。こいつの体温どうなってるの?発汗機能ぶっ壊れてるの?おこなの?おこなの?激おこプンプン丸なの?
「あ、貴女たち!!この男がこんなことを言って何も言わないの!?」
御嬢様(笑)がザフィーラとアルフの方を向いて何か言ってきた。どうやら自分の言ってることに共感してもらいたいようだ。
「別に何も。私たちは彼の護衛だ」
「臣下じゃないから主を諌めるとかがらじゃないし?」
残念ながら二人は
「フッ!!所詮は男に媚を売っている犬ですわね!!!」
あ?こいつ今何て言った?
「…………おい、セシリア・オルコット」
「なーーーーーーーーーヒィッ!?」
立ち上がり、イイ気になっていたセシリア・オルコットの前にいく。俺がキレてることを察したのかさっきまで赤くなっていた顔が今度は青くなっていた。
「犬と、二人のことを犬と言ったな?」
「え、えぇそうですわ!!男などに媚を売っている彼女たちは犬ですわ!!」
ゴシャァ!!!
手に持っていた未開封のスチール缶が潰れて、俺の手の中で愉快なオブジェクトになる。
「そうか、気が変わった。その下らない決闘騒ぎに俺も付き合ってやるよ。ただ、覚えとけよ、セシリア・オルコット。売ってきたのはそっちだ、そして買ったのはこちらだ。吐いた唾は飲み込めず、返った水盆は戻らないことを知れ」
愉快なオブジェクトを投げ捨ててガクガク無様に震えているセシリア・オルコットを放置してその場から去る。
「予定全部キャンセルだ。あの塵屑の遊びに付き合ってやるよ」
「…………怒っているのか、時雨殿?」
「あ、あたしたちは気にしてないよ?前でも犬と間違われることはあったし」
「まぁお前たちの元を見れば犬と間違えられてもしょうがないだろ?前でも今でも俺って二人のこと犬扱いして愉しんでるよ?でもよ…………」
ーーーーーーーーー俺以外が、お前たちを犬扱いするのは我慢ならない。
「…………まったく、貴方は」
「我が儘だね、子供みたいだ」
「あん?なんだ、引いたか?嫌いになったか?」
「「惚れ直した」」
「…………あんがとよ」
あ~あ、フード被ってて良かった。二人には気づかれてるかもしれないけど周りにはバレてないから。
フードの下の顔、絶対赤いだろうから。
「あーっと、錦だったよな、少しいいか?」
「…………織斑さん、ですよね?」
「織斑はやめてくれ、あいつらと同じだから。秋羅で良いよ」
「じゃあ秋羅さんで、こっちも孝太で良いですよ」
ホームルームが終わって生徒が疎らになった教室で織斑秋羅と錦孝太が話をしていた。孝太は織斑千冬のせいで保健室送りになっていたのでこうなったのは仕方のない事だが。
「悪かったな、あれらがやったこと。これ今日の授業のノートだから使ってくれ、明日返してくれればいいから」
「ありがとうございます…………大変そうですね、主にあの二人の尻拭いが」
「…………分かってくれるか?あいつらが勝手してくれる上にその後始末全部こっちに来るんだよ…………頭痛が痛い」
「…………心の底からご苦労様です」
「で、お前はどうするんだ?あの決闘騒ぎ」
「…………不知火さんが言ったことって有り得ない話じゃないですよね」
「というかしてきそうだな。こっちは世界に五人しかいない男性操縦者、その中で一番狙いやすいのは孝太だってのは事実。不祥事起こして退学させて研究所送りとか倫理無視したことをしてでも俺たちがIS操縦出来た理由を知りたい奴なんて山ほどいるからな。それに俺たち後ろ楯がある奴らだってハニートラップとか警戒しないといけないし」
「あぁ…………男性操縦者の遺伝子確保ですか?」
「そうだよ。間違いからヤって精液を手に入れたりするだけでも御の字だしハニトラ役と恋仲になったら行幸だ。何せそいつを理由にして国に呼べば良いだけだからな」
「…………どうしてこうなったんですかね?」
「…………うちの馬鹿が動かしたからだ」
「「はぁ…………」」
秋羅と孝太が深く溜め息をつく。さっき二人が話した通りに男性操縦者というだけで彼らが狙われる理由になる。現状一番危ないところにいるのは孝太だが秋羅だってそう変わりはしない立場である。時雨とミカドは当然のことながら理解しているが、織斑一夏に至っては自分にどれ程の価値があるのか分かっていない有り様だ。
「…………どっかの保護を受けた方が良いですかね?」
「国か企業か、どこかの庇護下に入った方が安全になるのは間違いないな。そうすれば後ろ楯は手に入るし。だけど入る場所を間違えた瞬間に呼び出されて研究所に送られてホルマリン漬け」
「選択肢間違ったらバッドエンド直行じゃないですかやっだ~…………」
「あの、錦君!!織斑君!!」
どうしようか迷っている二人に山田先生が話しかけてきた。手にはどこかの鍵が握られている。
「錦君、頭大丈夫?」
「別のことで頭が痛いですよ…………」
「もしかして寮が決まりましたか?」
「はいそうです、こちらが部屋の鍵になります」
山田先生から手渡されたのは学園の寮の鍵だった。IS学園は世界から生徒を募集していることから全寮制で、要人保護プログラムを受けた錦は政府から強制的に寮に入るように命令されていたのだ。ちなみに秋羅の方は実家から通う予定だったが気さくな護衛に嫌だと話したところ、上層部と掛け合ってもらい寮に住むことが決められたのだ。この日、神様仏様護衛様と感謝していた秋羅を誰が責められようか。
「1040号室…………そっちは?」
「1039号室…………近いですね」
「ごめんなさい!!急なことで部屋の空きが無くて無理矢理詰め込む形になったから女の子と同室なんです…………一月もあれば、部屋の変更をしますから!!」
「…………まぁ事情が事情だから仕方無いですね」
「あ、後!!不健全なことをしたらダメですからね!!」
「したらモルモット確定なんでしないですよ…………死にたくないですし」
「後は寮での決まり事なんですけど…………」
「食堂は朝は6時から8時、昼は昼休みの間、夕方は6時から9時」
「大浴場は女子専用で男子は部屋にある備え付けのシャワーで、ですよね?」
「そうですね、他にも細かいことはありますけど大まかにはそれを守っていただければ問題ないです。二人の荷物はもう部屋の方に運んであるので後で確認してください」
「わざわざありがとうございます」
「そしてお疲れ様です」
「いえいえ、先生として当たり前のことをしただけですよ」
「「(なんだこの先生、天使か)」」
比較対象が織斑千冬ならどんな先生としてでも酷くない限り天使に見えてしまう。まぁ織斑千冬じゃないとしても山田先生は天使に見えるのだが。
「そうだ、山田先生、一ついいですか?」
「はい、何でしょうか錦君」
「IS の訓練をしていんですけどどうしたらいいですが?」
「お、やる気?」
「だってね…………このままだと不知火さんが言ってた未来が来そうだから…………それに純粋に操縦者として国とか企業が声かけてくれるかもしれないですし」
「なるほど…………確かにそうだな。山田先生、俺も訓練をしたいんですけど大丈夫ですかね?」
「あ…………えっと…………」
「おーい!!孝太!!秋兄!!」
山田先生が何やら言いにくそうにしていると織斑一夏がやって来た。時雨に言われて落ち込んでいたはずなのにもう元気である。声をかけてきた瞬間に錦と秋羅が顔をしかめたのは仕方のないことだろう。
「…………何ですか?(何でこいつ俺のこと呼び捨てなの?)」
「…………何だ?(ろくなことにならない気がする…………)」
「箒がISのことを教えてくれるっていうからさ、一緒にしようぜ!!」
箒と言われて分からなかった錦が秋羅の方を見るとある場所を顎で指して教えた。そこにいたのはポニーテールでつり目の女生徒、彼女は恨めしそうに錦と秋羅のことを睨み付けていた。
「(秋羅さん秋羅さん、なんであの人こっち睨んでるんですか?)」
「(箒、あれ、好き、OK?)」
「(凄く…………分かりやすいです…………)」
要するに箒と呼ばれた女生徒は織斑一夏の事が好きで、織斑一夏に良いところを見せるためにISのことを教えると言ったのだろう。それなのに織斑一夏は他の奴を誘っている。それが憎いが一夏を睨む訳にもいかず代わりに誘われた二人を睨んでいるのだろう。
「(面倒な人ですね)」
「(本人の前で言うなよ?あいつ怒らせると竹刀とか木刀で殴ってくるから。俺はそれのせいで鎖骨が折れた)」
「(普通に障害事件じゃないですか)」
「(その時あの塵姉は『軟弱者め』の一言で終わらせて、屑弟は『箒だって悪気があった訳じゃないんだ』とか庇ってた。明らかに頭部狙いの振り下ろし避けて肩に当たったのにだぜ?ちなみに理由は屑弟のことをぞんざいに扱ってたからだって。一日べったりへばりついてくる奴をウザったかったから無視してただけなのに)」
「(精神異常者か何か?どうしてここにいるんですか?)」
「(あれの名字が『篠ノ之』だから)」
「(…………そういうことですか)」
篠ノ之と言えばIS発表者の『篠ノ之聖』、ISを知るものなら誰もが知っている名前である。要するにそのネームバリューでここに入学したのだろう。疑問が解けてスッキリした錦だったが、織斑一夏に言いたいことがあるのを思い出した。
「…………織斑さん、僕に言うことは無いですか?」
「ん?何をだ?」
「クラス代表に推薦したことですよ」
「あ~いや、だってさ…………気が付いたら勝手に推薦されてたから…………」
「そのせいで僕の運命が半ば確定しましたよ」
「へ?何を言ってるんだ?」
「…………不知火さんが言ったこと、忘れたんですか?」
「だってあれは時雨の妄想だろ?千冬姉がそう言ってたし」
「…………は?」
錦は絶句するしかなかった。時雨が言ったことは男性操縦者の希少価値を理解して少し考えれば誰だって気づくことができる可能性の一つだ。それを姉が言ったからの一言で妄想で済ませる。絶句しない方がおかしいだろう。
「…………ふざけんなよ!!不知火さんが言ってた話だってあり得る話なんだ!!それを謝りもしないで妄想で済ませるって!!お前正気かよ!!」
「お、おい孝太、落ち着けって」
「落ち着けるか!!」
あまりにも能天気な織斑一夏の態度にキレた錦が怒りのままに織斑一夏に殴ろうとする。その時、錦は間を割って入って来た篠ノ之に蹴り飛ばされた。
「グェッ!!」
「貴様っ!!一夏に何をする!!」
そしてどこかからか取り出した木刀を振りかぶった。その一連の動きがg躊躇い無く行われた為に秋羅は反応できず、唯一反応できた山田先生先生が慌てて駆け寄ろうとしているが、篠ノ之が木刀を振り下ろす方が速い。腹を蹴られた錦は呼吸が出来ず、動くことも出来ない。
「(また、か…………今日一日こんなのばっかりだな…………)」
やけにスローモーションで見えている木刀を見ながら、錦はそんな場違いなことを思った。そして木刀が振り下ろされーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まーたこんなのか、ここはそう言うことを教える学校なのか?」
間に入って来たフードを被った男生徒に止められた。
セシリアアンチ
原作チョロインは各方面に喧嘩を売るのが得意らしいです。時雨にも喧嘩を売った模様。これからどうなるんでしょうかね…………さて、葬式の仕度でもするか。
時雨のザフィーラとアルフの扱い
時雨は独占欲が強いです、自分が二人を苛めるのは良いけど他人が二人のことを蔑むとぶちギレます。ちなみに二人はそれが時雨の愛情表現だと分かっているので受け止めてます。
錦孝太と織斑秋羅
苦労人同士の友情が芽生えました。仲良さげにしてるけどこれって被害者と加害者の家族の関係なんだぜ…………そして作中で二人が話していたことは原作読んだ作者が思ったことでもあります。
天使山田先生
山田先生はぐう聖、はっきりわかんだね。
ワンサマアンチ
ワンサマはぐう屑、はっきりわかんだね。だって原作ワンサマは自分の立場を分かってないのだから。いくら休みだとは言え一人で学園の外に出てますからね(原作二巻)。誘拐されても文句言えないですよ。
モップアンチ
今回のアンチ・ヘイト。モップは暴力女だね、原作でだって木刀でワンサマ殴ってるし。
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