「え~それでは今より、『ドキッ☆男性操縦者たちの作戦会議(首が落ちる的な意味で)ポロリもあるよ☆』を始めたいと思います」
「「突っ込みどころが多すぎて突っ込み切れない!!」」
「あはは…………時雨さんは大体こんな感じだから早く慣れた方がいいよ」
現在孝太と本音の部屋に集まっているのは俺、ザフィーラ、アルフ、ミカド、ヴィータ、秋羅、楯無、虚ちゃん…………流石に狭いな。
「つまみ程度にサンドイッチ持ってきたんでつまみながら話し合おうか」
「…………美味いぞこれ、タマゴサンドのくせして」
「…………このツナサンドも中々」
「ニッシー、こっちのフルーツサンドも美味しいよ~♪」
「ミカド、美味しいな!!」
「あれ、ザフィーラさんとアルフさんは食べないんですか?」
「我々はもう食べてきたからな」
「それにあたしたちが食べ出すと無くなっちゃうしね」
「ねぇ虚ちゃん、なんで私はまだ縛られてるのかな?」
「勝手なことしないようにですよ、バ会長。ほら、このハバネロサンドなんて美味しそうですよ?食べさせてあげましょう」
「ま、待って虚ちゃん!!そんなものは入らーーーーーーーーーモガッ!!」
空気が険悪にあるか心配だったがサンドイッチのお陰でそうじゃ無さそうだな。やっぱり話し合うには美味い飯が必要不可欠だな、うん。虚ちゃんにハバネロサンド食わされてる楯無?何のことですかねぇ…………
「そういえば…………どうして時雨さんはフード被ってるんですか?」
「ん?…………そういえば脳震盪起こしてたっけ。ちょっと顔が見せられないことになっててな、不快にさせたくないから隠してるんだよ」
「そうっすか?俺は格好いいと思いますけど。どこかのボスキャラみたいで」
「え、なにそれ見てみたい」
「なんでみんな俺のことをボスキャラ扱いするんだ?…………まぁいい、見たいなら見せてやるよ」
孝太にそう言われてフードをとって火傷の痕が残っている顔をさらけ出してやる。
「おぉ…………ボスキャラだ。格好いいじゃないですか。どうして隠してるんですか?」
「そうか、ありがとよ…………時々そう言ってくれる奴がいるけど大体は気まずそうに眼をそらすし、
「「あ~…………」」
どうやら顔を隠していた理由を納得してくれたみたいだな。
「さて、話が脱線したが本筋に戻そう。俺たちがこれから話すことは俺たちのこれからについてだ。秋羅、孝太、今の自分達の現状を理解してるか?」
「女の敵って扱いですよね…………ISは女しか使えなかったからの女尊男卑だったのに男なのに動かせる俺たちが現れた。女尊男卑主義者たちは気が気でないでしょうね」
「それにモルモット…………僕たちを解剖すればISを動かせる理由が分かるかもしれないからって事で男性の科学者たちから狙われてる。不祥事でも起こしたから一発で研究所行きですよね」
「理解してくれているようで何より。今の俺たちは非常に危うい立ち位置にいる…………それに気がついてどうにかしようとしている二人は俺からすれば好感が持てるよ…………織斑の塵の方は別だが」
「あぁ…………」
「うちの屑が本当に申し訳ありません」
「秋羅が謝ることじゃないだろ、悪いのはあっちの方だ。ありゃああれだな、『何とか出来る』と思っているタイプの人間だな。今までにも多少なりとも問題があったとしてもなんやかんや上手くいってきた、だから今回も上手くいくだろうと思い込んでいる奴だな。ああいう頃合いは一番面倒だ。変に固まったその思考の上にそれが出来ちまうだけの才能が中途半端にある」
「そうして上手くいってさらにその思い込みが強くなると」
「なんたる悪循環」
俺が織斑一夏という人間に思っているのはそんなところだ。自分がどういう価値を持っているのか理解していない、偶々上手くいったことから固まった思想、そしてそれを可能にする才能。どれかだけならまだ救いようがあっただろうが三つ合わさったことで救いようが無くなってしまっている。
「ほい、これ以上はみんなの心に傷を負ってしまうから止めようか。んで、来週に控えた餓鬼屑共の馬鹿騒ぎについてだが」
「あ、そういえば山田先生から訓練機貸してもらえるか聞いてないな」
「そうですね…………明日聞きに行きますか?」
「その事だが俺が聞いておいたぞ。結果として、俺たちが使える訓練機は無いだってさ」
「「はぁ!?」」
秋羅と孝太が驚いた顔をするのも無理はない。決闘騒ぎが来週なのに訓練機が使えない。それは決闘騒ぎまでに一度もISに乗らずに出ろと言われてるのと同じだからな。
「どうしてって顔してるから説明してやる。いいか、ISには限りがある。そしてこの学園にある訓練機にも限りがある。ここの訓練機を使うためには最低でも一週間前には予約をしておかないといけない。現在の状況じゃ予約は一ヶ月先まで埋まってるみたいだけどな」
「そんな…………どうして…………」
「…………あぁ!!上級生たちか!!」
「その通り。一年の俺たちは入ってきたばかりだが二年三年はその前からいる。そいつらが訓練機を使うためには予約が埋まってる状態だ」
「オワタ…………」
「もう…………ゴールしていいよね…………」
やべぇ、秋羅と孝太がレイプ目になってる…………少し遊びすぎたか?
「時雨さん、遊びすぎですよ」
「うん、俺もそう思ってた。おい!!目ぇ覚ませ!!」
「「ッハ!?」」
「よしよし、現実に戻ってきてくれたみたいだな。ここから先、俺たち…………正確に言えば俺たちが所属している『甘粕工業』から提案がある」
「提案ですか…………」
「なんすか…………」
「『甘粕工業』が保有している
「「……………………」」
俺の提案を聞いた瞬間、二人は俺を警戒しているような雰囲気に変わる。いいぞ、そこで素直に飛び付いてたらこの話は止めるつもりだったからな。
「…………目的は?」
「俺とミカド以外の男性操縦者たちのデータ。訓練機から取れるデータをこちらに貰いたい。打鉄の貸し出しは前報酬、後で別に報酬を出す」
「…………どうして俺たちのデータを?『甘粕工業』には時雨さんとミカドがいる、それならデータには困らないはずだが?」
「男性操縦者のデータの比較の為だ。確かに『甘粕工業』には俺とミカドのデータがある、しかしそれだけでは何故男性がISを動かすことが出来るのかの理由が分からなかった。故に他の男性操縦者のデータを求めている」
隠すことでも無いので正直に話す。まぁ聞かれなかったら教えなかったことではあるがな。俺の話を聞いて秋羅と孝太はしばらく悩んだ後にまた口を開いた。
「それは『甘粕工業』に所属する、ということですか?」
「いいや、ただお前たちに貸し出すだけで所属させる訳じゃない。お前たちから所属したいと言うなら話は変わるがな」
「じゃあなんで俺たちにこの話を持ちかけてくれたんだ?『甘粕工業』のじゃなくて時雨さんの意図が聞きたい」
「孝太には不快な思いをさせたからその罪滅ぼし、秋羅はミカドと親しいようだから…………言ってしまえば老婆心という奴だ」
「あ~…………二人とも、時雨さんが言ってることは本当だから。この人はどうにかしようともがいてる人には嘘はつかないから…………まぁ、本当の事を言わない時はあるけど」
「おいおい、余計な事を言ってくれるなよ…………俺は聞かれてはいないことは教えてないだけだ」
「それって一番悪い奴ですよね…………とまぁ、こんな感じ」
「…………解せぬ」
どうしよう、ミカドが反抗期だ。でもそんな俺たちのやり取りを見て二人は笑い、そして覚悟を決めた顔で俺に向き直った。
「時雨さん、その話お受けします」
「よろしくお願いします」
「了解、会社には俺から連絡を入れておく。明日の放課後に練習場取ってあるからそこに集まってくれ。指導はミカドとそこで縛られてる楯無に任せるから」
「分かりました」
「指導するのはいいんだけど…………いい加減解いてくれないかしら?」
「嫌だ!!」
「断る!!」
「虚ちゃんまで便乗しないでよ…………」
「訓練機は取れないのに練習場は取れるんですか?」
「学園と交渉してね、練習場一つ貸し切りで使えるようにしてもらった。まぁ月の始めに使う日を提出して、それ以外の日は使えないことになってるけど。一応明日から決闘騒ぎの前日までは取ってあるから」
「…………時雨さん、貴方は何者なんですか?突然訓練機をポンと貸してくれたと思ったら学園と交渉して練習場まで貸し切るなんて…………ただのテストパイロットにそこまで権力があるとは思えないですけど」
孝太の疑問はもっともだな。俺は二人の事を事前に調べたから知っているが、二人は俺のことを全く知らないのだから。だけど、二人に俺の素性を明かすわけにはいかない。二人が『甘粕工業』に所属するならまだしも今の二人は無所属なのだから。俺が正体バラしたら二人に余計な危険が迫るかもしれないからな。
「今はまだ言うことは出来ない。だけど二人を悪いようにするつもりはない、それだけは分かってくれ」
話し合いを終えた俺は屋上に来ていた。俺が何となく夜風に当たりたくなったからだ。
「クハ~…………久し振りに吸うタバコが美味い」
「何やってるんですか未成年者」
「タバコ刷ってるんですよ未成年者」
久し振りに吸うタバコを楽しんでいるとミカドが現れた。近くにヴィータの姿は見えない。
「それにしても珍しいですね、時雨さんが知り合って短い人たちに手を貸そうだなんて」
「おいてめぇ、俺のことをどう思ってやがる」
「外道」
「…………ッチ、否定できないな」
「そこは否定してくださいよ…………」
根元まで燃え尽きたタバコの吸い殻を携帯灰皿に入れて新しく火を着ける。
「ふぅ…………あの二人が環境を受け入れられずに腐っていくだけなら俺は放置してたさ。でもあいつらは自分の置かれた現況をキチンと理解して必死になって足掻いていた、だから手を貸した。理由としてはそれだけのことだよ。まぁ、俺が貸した手が神のか悪魔のかは知らんけどな」
「時雨さんらしく無いですね…………いや、らしいと言えばらしいんですけど」
「おいどっちだよ」
「どっちでも良いでしょうに…………俺も時雨さんも、この状況を楽しんでるんですから」
「そうだな…………糞っ垂れな環境だからこそ、楽しまないと損だよな」
「そうですね…………じゃ、俺はそろそろ帰ります。ヴィータが寂しがるんで」
「ほいほい、お休みミカド」
「お休みなさい、不知火…………いや、甘粕時雨さん」
そう言ってミカドは屋上から出ていった。俺は空に浮かぶ月を見ながらタバコを吸い続け、携帯灰皿が一杯になったところで部屋に戻ることにした。
男性操縦者の集まり
時雨、ミカド、秋羅、孝太、そしてその護衛たちが集まっている。ワンサマは現在部屋で謹慎中、例えしてなくても時雨は梯子外すつもりだった。
ハバネロサンド
時雨が外れ枠として作ったサンドイッチ。虚の手によって楯無は美味しくいただいた模様。ただし、食べ終わった後でグワァ~とか言って転げ回っていたが。
訓練機
今使用可能な訓練機すべてが上級生が予約を入れているので秋羅と孝太は使用不可能。予約を入れた上級生と交渉すれば代わってもらえるかもしれないが成功率は低い。
甘粕工業
様々な分野を売り出している世界的大企業。当然の事ながらIS方面にも手を出している。時雨が秋羅と孝太に提案したのは甘粕工業で使っている打鉄二機を訓練機代わりに二人に貸し出すこと。目的は収集した時雨とミカドのデータと秋羅と孝太のデータを比較するため、と言うのが表向き。実際には時雨がそうしたいからという理由により貸し出される。
時雨の提案を怪しむ二人
突然自分たちに都合のいい話が出てきたのだから当然の事。なお、二人が特に怪しむ様子もなく飛び付いてきたら無かったことになっていた。
練習場の貸し切り
時雨が国や学園と交渉して獲た権利の一つ。テストパイロットなので甘粕工業から新兵器のテストを頼まれる、その機密保持と被害を最小限に抑えるためという理由により獲た。月の始めに使う日を指定することでその日は時雨の貸し切りになり、その日以外は普通に解放される。
甘粕時雨
時雨の本名。不知火は母方の姓で、甘粕だと色々と不味いので不知火の方を名乗っている。詳しくは話が進んでから。
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