ISin時雨&ザフィーラ&アルフ   作:鎌鼬

8 / 23
それぞれの行動

 

 

男性操縦者(織斑塵を除く)だけでの話し合いから一夜明け、ここはIS学園の教室。自由登校が認められているとはいえ、朝のホームルームには出ないといけないので俺はザフィーラとアルフを連れて教室に来ている。だがまぁ、昨日のあれが広まったのか、俺に向けられる視線はすべて忌諱の物となっている。

 

 

「ねぇねぇ、あれがそうなの?」

「そうよ!!千冬様を侮辱した男よ!!」

「なんでここにいるのかしらね?」

「男なんて所詮奴隷なのに」

「しかも顔に火傷してるんですって」

「あー聞いた聞いた!!なんでも女子を押し倒そうとして近くにあったストーブに顔をぶつけたって聞いたよ」

 

 

なんというか…………女ってのは怖いねぇ。噂の本人が近くにいるというのに聞こえるような音量で話しているのだから。今は噂の話程度だがその内陰湿な苛めに発展すると…………おぉ、怖い怖い。

 

 

「…………」

「…………」

「待て待て、二人ともどこに行くつもりだ?」

「いえ、時雨殿の影口を叩いている輩を抹殺しようと思いまして」

「特に最後の奴、絶対に殺す」

「俺はお前たちのそういうところ好きよ。んで、影口を叩いている奴らだが放っておけ。所詮は影口を叩く事しか出来ない奴だからな。俺の目論み通りに進んでいていい気分だよ」

「嫌われ役気取りで、ですか?」

「おはよ~…………」

「よっすミカド、ヴィータ」

 

 

ザフィーラとアルフが俺の影口を叩く奴絶対殺すマンになりかけていたのを抑えているとミカドと眠たそうな顔をしたヴィータが現れた。それと同時に俺に向けられていた視線がすべてミカドに集まり、黄色い声が上がっている。

 

 

「時雨さんって汚れ役大好きですよね。前なんかもそうですし、今もですし、ネトゲでもヘイト稼ぐ役進んでやってますから」

「そういう立ち回りがね、楽で良いのよ。主役気取りとなると色々と制限付くから悪役の方がやりやすい。それに俺ってゲームとか主人公よりも敵キャラの方が好きだし」

「変わらないですね、そういうところ」

「変えたいのなら俺の人格崩壊させるくらいやらないと」

 

 

だらっとミカドと話しているとホームルーム開始の一分前に目の下に隈を作った秋羅と孝太が登場。そしてチャイムと共に山田さん、塵屑、それと織斑塵と殺人未遂犯が現れて何事も無かったかのように席に着いた。その時に山田さんを除いた三人から睨み付けられたけど気にしない。それにしても織斑塵はともかく、殺人未遂犯も普通に出てくるとはね。やっぱりそこは『篠ノ之』だからか。

 

 

『篠ノ之』の名前は世界で知られている。何故ならIS発案者の名前が『篠ノ之聖』だから。聞いた話によると篠ノ之聖は親しい極一部の人間を除いて他の存在を認識しようとしていないとか。そして極一部の人間の中にはあの三人が含まれている。さらにISをうごかすために必要不可欠な部品である『ISコア』は篠ノ之聖しか製造方法を知らないとされていて、ISコアの個数は篠ノ之聖が提供した467個しか無い。

 

 

ここまで来れば分かるだろうか、ようは世界の誰もが篠ノ之聖の機嫌を損ねたくないのだ。篠ノ之聖の親しい者に危害を与えて機嫌を損ねようものなら何をされるか分からない。だから親しい者たちを丸でVIPの様に扱う。殺人未遂をしたあれがここにいるのもそういう事情が混じっているのだろう。

 

 

「さて、それではホームルームを始めるが…………不知火、貴様何をした?」

「別になにも?何か良いことでもあったのか?」

「…………ふん、まぁいい。来週のクラス代表決定戦だが、アリーナの使用時間の都合上、三戦だけ行われる事になった。山田先生」

「はい。組み合わせはこちらになりました」

 

 

山田さんが手元のキーボードを叩くと空中に映像が投影された。そこには、

 

 

第一回戦 織斑秋羅 対 錦孝太

 

第二回戦 織斑一夏 対 ミカド・リッター

 

第三回戦 不知火時雨 対 セシリア・オルコット

 

 

と書かれている。

 

 

「それと織斑弟、お前には国から専用機が支給される」

「え…………?」

「…………教科書の6ページだ、音読してみろ」

「え、えーと……『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコ アを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS467機、そのすべてのコアは篠ノ之博士が作製したもので、これらは完全なブラック ボックスと化しており、いまだに博士以外はコア を作れない状況にあります。しかし博士はコアを 一定数以上作ることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引することはアラスカ条約第七項に抵触し、すべての状況下で禁止されています』」

「そこまででいい。…つまりそういうことだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間にしか与えられない。が、織斑の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」

「な、なんとなく……」

 

 

つまりは体の良い実験体と言うわけだ。どうせ国からの要請だろう。

 

 

貴重な男性操縦者のデータは欲しい。

しかし篠ノ之聖を怒らせたくはない。

専用機を送って篠ノ之聖の機嫌取りをすると同時に男性操縦者のデータを集めよう。

 

 

という算段かな?これなら篠ノ之聖の機嫌取りをしながらデータを集めることが出来る。だけどそれは同時に467機しか動かせないISの一機を織斑塵にくれてやるのに等しい。使い方によっては人を殺して軍隊すら潰せるISをまったく知識も経験もない素人に与えるなんて、善悪の判断もつかない子供に銃を与えるのと同じことだ。俺だったら絶対やらないね。

 

 

「あれ、それだったら他の奴は?」

「それだが織斑弟が見つかるよりも遅く見つかった為にコアの空きがない。つまり織斑弟以外の四人には学園の訓練機で決定戦に出てもらうことになる」

 

 

その発言を聞いてミカドは唖然、秋羅と孝太は机に頭を打ち付けた。そりゃあそうだよ。訓練機は誰もが使えるように設定され、専用機はその名の通りにその人物専用の機体として設定されている。車で言うなら無改造の車体とガッチガチに改造されまくった改造車くらいの違いがある。国家代表とか熟練の操縦者ならいざ知らず、まともにISを操縦した事がない素人に訓練機で専用機と戦えなんて勝ち目のないデキレースと同じである。

 

 

まぁ、俺が色々としたお陰で秋羅と孝太は素人同士の試合になるが俺とミカドは専用機対訓練機という構図になってしまう……………………と、誰もが思っているだろうな。

 

 

「俺は訓練機は要らないぞ」

「こっちもですね」

「何?」

「何って…………俺達は企業から専用機を渡されてるからな」

 

 

そう言って俺は腕に付けられているブレスレットを、ミカドは首から下げている逆十字を見せる。俺のはともかく、ミカドは宗教に喧嘩売ってる待機状態なんだよな…………

 

 

「…………そんな話は私は聞いていないぞ」

「とか言われてもキチンと学園には報告してある。ハブられて話が届いてなかっただけじゃないのか?報告、連絡、相談をちゃんとしろよ、社会人」

「おい時雨!!言い過ぎだぞ!!」

 

 

うっわ、話しかけられた。寒イボがヤヴァイヤヴァイ。にしても、どうしてまだ名前を呼び捨てで呼んでんだこいつ。昨日あれだけやっといてまだ絡んで来るとか…………まさかドMか?引くぞ。

 

 

「…………後で確認を取る。それでは、授業を始める」

「んじゃ、俺はこれで。『またね、とか』」

 

 

授業が始められると同時に俺は席を立ち、ザフィーラとアルフを連れて教室から出ていく。その時秋羅と孝太が捨てられた子犬のような目で見てきたが…………無視した。

 

 

二人は絶望したような表情になった。

 

 

俺はそれを笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく…………時雨のやつなんで千冬姉にあんな態度取ってるんだよ…………な、秋兄、孝太」

「話しかけるな」

「話しかけないでください」

 

 

一時間目の授業が終わり、織斑一夏が秋羅と孝太に話しかけていたが二人は教科書を睨んでいてまったく取り合わなかった。それはそうだろう、来週に迫っているクラス代表決定戦で戦うことになった二人だがISの知識も技術もまったくない素人である。例え付け焼きだとしても入れられる物は入れなければならなかったから。

 

 

「あ、勉強してるのか?俺にも教えてくれよ」

「自分でやってくれ」

「人に教えられる程に余裕がある訳じゃないんで」

「貴様ら!!一夏が話しているのになんだその態度は!!」

 

 

織斑一夏への態度が気に入らないのか篠ノ之箒が怒鳴って来る。その手には昨日時雨に握り潰された木刀の代わりなのか、掃除用具入れから取り出されたモップが握られている。

 

 

「はぁ~…………落ち着きなよ」

 

 

放置すれば厄介なことになると判断したのかミカドが仲裁に入った。そうすることで箒の矛先はミカドに向かい、流石に秋羅と孝太も頭を上げた。

 

 

「昨日生徒指導室に連れていかれたって聞いたけど、またあそこに行きたいの?」

「あ、あれは!!あの男が事を荒立てたから!!」

「話聞く限りだと時雨さんの対応は間違ってない様に思うんだけどね」

「貴様!!あのような男の肩を持つのか!?」

「被害者と加害者、どっちの肩を持つかと聞かれたら当然被害者だよね」

 

 

ミカドの言ったことが気に食わないのか箒はモップを振るうことはしなかったものの、怒りで顔を赤くしている。そして何を思ったのかーーーーーーーーーー

 

 

「貴様らに決闘を申し込む!!」

「…………は?」

 

 

ミカドに決闘を申し込んできた。決闘は最近の流行りなのかな~と場違いなことを思ったミカドを誰が責められようか。

 

 

「放課後に武道場に来い!!その腐った精神を叩き直してやる!!」

 

 

言いたいことだけを言って箒は自分の席に帰っていった。その後にこうなった現況の織斑一夏は続いていく…………被害を被ったミカドたちには何も言わずに。

 

 

「また面倒な事になったな…………」

「あ~…………済まんな、ミカド」

「すいません…………って、放課後には僕たちは訓練ありますけどどうしましょうか?」

「はぁ…………俺が行っとくから二人は訓練に行って良いよ。それに彼女は返事も言質も取らずに帰ったからね。後で騒がれるかもしれないけどその事を盾にしたらいいから」

「気を付けろよ、あいつあんな性格してるけど剣道は全日本大会で一位になれるほどの実力だから」

「忠告ありがとう。でもね…………」

 

 

秋羅から箒の剣道の実力を聞かされたミカドは素直に礼を言い、人の良さそうな笑みを浮かべていた顔に悪巧みをしているような笑みを張り付けた。

 

 

「たかだか剣道の日本一程度で、俺に勝てると思ってるのかよ」

「「(ミカド(さん)…………ブラックな笑みを浮かべてらっしゃる)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間が経ち、昼休み。俺達は整備室に引き籠ってたから気分転換に昨日にも行った良い感じの中庭に行ったのだが…………

 

 

「なんでいるんですかねぇ…………」

「あら、嫌だったかしら?」

「嫌だったっすか?」

 

 

昨日知り合った二組のティナ・ハミルトンと皇夜空かいるんだ。

 

 

「いや、そういう訳じゃないけどさ…………俺の噂とか聞いてるんじゃないの?」

「確かに二組の方にも貴方の噂は届いてるわね…………織斑千冬や代表候補生に喧嘩売ったとか、無抵抗な女子を殴ったとか、フードの下の顔は焼け爛れてるとか、目を合わせるだけで孕まされるとか」

「随分と歪んでるな…………代表候補生に喧嘩売ったのは俺じゃねぇし、俺は売られた喧嘩を買っただけだし。それに最後のやつなんだよ、そんな不気味能力なんぞ持ってねぇぞ」

 

 

狙ってそういうことしたのは認めるけどここまで来ると流石にな…………

 

 

「でも、うちのクラスじゃ結構不知火さんのこと気になってるって人は多いっすよ?」

「待てい」

 

 

あの噂を聞いて興味を持つ?どうしてだよ、わけがわからないよ。

 

 

「…………なんでさ」

「うちのクラスって狙ったかのようにアンチ織斑千冬派が集まってるのよね。確かにIS操縦者としての腕は凄いかもしれないけどだからと言って人として優秀な訳じゃない。一組の娘から織斑千冬が男性操縦者の頭を殴った話を聞いて二組では教師としての織斑千冬の評価は下がってるわ。それに比例するように織斑千冬に真正面から言った貴方の評価は上がってるわね」

「マジっすか…………」

 

 

これは驚くしか無いな。嫌われるような態度のはずなのに評価が上がるとは予想外でしかない。

 

 

「それに…………私たちがこうして話していて何もされていないから」

「そういうことっすよ。もし不知火さんが噂通りの人間なら今頃私たちは同人誌の様な展開になってるはずっすからね」

「……………………そう」

 

 

うん、普通に嬉しいわ。織斑千冬っていうネームバリューに踊らされた奴だけじゃなくてキチンと見るところ見ている奴がいてくれることが嬉しい。

 

 

「時雨~!!持ってきたよ~!!」

「ハリーハリーハリィィィィィィィィイ!!!!!!」

「ザフィーラ叫ぶなよ」

 

 

ザフィーラとアルフに取りに行かせてた弁当箱を持って二人が帰ってきた。

 

 

「…………ごめんなさい、あれは何人分かしら?」

「三人前、二人が良く食うのよ」

 

 

ティナは二人が持ってきた弁当箱の量を見て引いていた。それはそうだ、だって運ばれてきた弁当箱が重箱で五つもあるもの。ザフィーラとアルフで二つずつ、俺で一つの計算だ。

 

 

「良かったら少しいるか?」

「良いっすか!?」

「私は自分の分だけでいいわ…………」

 

 

持ってきた重箱の蓋を開けて聞いてみると皇は目をキラキラさせながら、ハミルトンは少しゲンナリした様子で返してきた。対極的だな。

 

 

その後、俺の重箱の中身をつまんだ皇は美味いと言いながら食べて、それを見て惹かれたハミルトンが一つおかずを食べてから猛烈な勢いで食べ出した。

 

 

いつもとは違うけど…………やっぱこうして賑やかに食べるのが一番良いな。

 

 

 





時雨は嫌われ役
ヘイト稼ぎ担当。こうすることでミカドに集まるだろうヘイトを自分に向けている。大体時雨が思ったことを口にしているだけだけど。

クラス代表決定戦
時雨が色々と裏でやったことで三試合だけになり、勝率や試合内容で順位を決めることになった。ちなみに試合の対戦については、
英国野郎(ライミー)殺すという時雨の意思で時雨対セシリア、
同程度の実力の持ち主ということで秋羅対孝太、
後は残り物同士ということでミカド対ワンサマになっている。

ワンサマに専用機
原作通り。しかし原作を見て思ったのだが素人に専用機を与える理由が分からない、データ収集だけならば訓練機で足りるはずなのに、そして作者の考えでは『篠ノ之束』への機嫌取りではないかという結論に。だからそのポジションにいる『篠ノ之聖』の機嫌取りとしました。まぁ、原作のワンサマのISは篠ノ之束のお手製だからという理由もあるでしょうけど。

ワンサマ以外の男性操縦者には訓練機
明らかに扱いの差が酷い。素人と玄人の差を埋める可能性があるのが専用機なのに千冬はワンサマ以外の男性操縦者には訓練機で決定戦をやらせるつもりだった。

時雨とミカドのIS
『甘粕工業』から提供されたということになっているIS。時雨のISはブレスレット、ミカドのISは逆十字が待機状態になっている。明らかにミカドのは宗教に喧嘩を売っている。

篠ノ之箒
篠ノ之束の立ち位置にいる篠ノ之聖を嫌っている節があるものの、その嫌っている篠ノ之聖のお陰で何かと助けられていることに気付いていない。モップ扱い待ったなし。

時雨の噂
作り話が全部、しかも歪曲に歪曲が重ねられてかなり酷いことになっている。

二組での時雨の評価
IS操縦者としてならともかく、教師としての織斑千冬を良く思っていない生徒が集まる二組では時雨の評価は意外と高い。言えないことをよく言ってくれた!!みたいな感じで。


感想、評価をお待ちしています。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。