俺はコナミ君 作:クエン酸ドラゴン
もうちょいどうにかならないものか。
あ、次回はR-18(予定)です。
―――青い空、白い雲。サンサンと輝く太陽に響き渡る波音。
季節は夏、普段ならば蒸し暑いだけの季節であるが此処に限って、その天候は最高のスパイスと化している。
南の島、所謂リゾート施設の美しい浜辺。そこで俺はパラソルを広げて皆が来るのを待っていた。
正直1人で待っているのは非常に暇で何か暇つぶしにと昨日新たに作り上げたデッキを弄っている。
今回のデッキは会社から依頼があり警察機関に配布されるシンクロモンスター及びその召喚用のイメージデッキを制作して欲しいと言われて作り上げた。
メインはゴヨウモンスター群で固められたシンクロモンスターにその召喚を用意にするための低レベルモンスターデッキ。
それが今回の特殊捜査デッキである。
いやぁ、牛尾さんとかのカードが足らなくて作るのに苦労したよ。
でも最終的に良い形では纏まったと思っている。チューナーとかも特殊召喚系統に変えてしまったが、シンクロモンスターさえゴヨウのままなら特殊捜査デッキだと言い切れるだろう。
早速どこかの誰かで試しデュエルをしようかと考えていると着替え終わった女性陣が戻ってきた。
おうふ・・・。
俺は彼女達を見て思わず声に出しそうになる。
何処か可笑しいってわけじゃない。寧ろ抜群に似合っていた。
雪乃は想像通りのビキニタイプの水着で黒色の三角だった。後腰にパレオだったかを巻きつけている。白い肌の彼女と黒の水着の組み合わせは正に芸術的だと思える。
ツァンは雪乃と同じくビキニだがパーカーを羽織っている。彼女の髪色と同じピンク色の水着でとてもマッチしていた。
麗華は予想と反してタンキニと呼ばれる水着を着ている。知的な彼女に行動的な衣装というアンマッチのようでそれが逆に魅力的に感じる。しかも微妙にだが恥じらっているところがまた良い。
レインはワンピースタイプで有るが何故か胸のあたりにチャックが付いておりそれが胸の下まで下げられていて凄くエロいと感じる。普段の飄々とした彼女からは決して想像も出来ない水着だった。
雪乃から「どうかしら?私達の水着姿は」と尋ねられた為、俺は先程感じた素直な感想を述べた。
すると流石に少し恥ずかしかったのか頬を赤らめながら笑っていた。
―――ハッ!?いかん。どうにも彼女達に見惚れていたようだ。
普段見れないからと言ってマジマジと見るのは彼女たちに失礼だよな?
初めての南の島だからか浮かれているのだろうか。
どうも俺自身も無意識に舞い上がっているようだからな、気を引き締めていこう。
そう決意し俺は彼女達と合流することにした。
デュエルは・・・気が向いたらでいいだろう。折角の海だし。
「―――と、思っていたんだがな」
「おい、どうした坊主。まさかビビっちまったか?」
何かこんな絡まれ方、前にも体験しませんでしたっけ?
―――いいや。したね、間違いない。
どうして俺が出るとこ出るとここういう輩がいるんだよ。
ただ俺たちは海で泳いだり、ビーチバレーしたり、オイル塗ってやったりしてただけだぜ?
でも健全な学生同士のじゃれ合いだっただろう。
それがどうしてこの南の島でヤンキー崩れがいるんだよ。そしてどうして俺たちに絡んでくるんだろう。
・・・・・・綺麗所を集めながらそのセリフは可笑しいって言うなよ。コッチも理解しているんだ。けど、それでもこれは理不尽すぎませんかねぇ?
「ビビってるんならさっさとお家に帰んなガキ。その分、俺たちがテメェの女を可愛がってやるからよぉ。序でに、俺のモンにしてしまおうか。俺好みの雌にしてやるよ!ヒヒヒッ!!」
「―――はぁ・・・。俺の周りに近寄るのはこういった低能ばかり。どうして穏やかに過ごすことが出来ないのだろうか」
もうコレは思いっきりヤってもいいよね?
後ろの女性陣も何か殺気立ってるし、もういいよね。
あ、そうだ。折角なら配布されたデュエルディスクも同時に試してみよう。
このデュエルディスク、対戦相手の情報を読み取ってそれを警察機関に報告、更に位置の特定なども行える犯罪者捕獲特化した形状となっている。
更に発射式の手錠やアクションフィールドを応用した捕縛フィールドの展開など、正に多種多様の能力を持っている。これもデッキと一緒に依頼されたものらしい。
こんなヤンキー崩れでテストというのも勿体ない気もするが・・・まぁいいか。
「―――おい、デュエルしろよ」
俺の休日を邪魔してくれたお礼、たっぷりしてやるよ。
男はにやけた笑みを浮かべ続けていた。
仲間数人も同じような顔をしている。それは当然だろう。
目の前にまだ未成年であるが犯し甲斐のある少女たちが無防備でいるのだ。
それはこの男たち、麻薬カルテルの下っ端メンバーにとっては正にご馳走としか言えないものだった。
この南の島では高級ホテルのリゾート施設として栄えているが数年前まで極貧の町しかない場所だった。
そういった国の目から逃れられる場所は、犯罪グループにとってとても有意義なモノだった。
安い給料で麻薬の製造を手伝わせそしてその麻薬を世界中に売り払う。こういった方法で男の上司、所謂麻薬カルテルのボスは財を築き上げた。
そしてその麻薬を極秘に世界中に販売するために表向きはリゾート施設の建設を行いそのオーナーとして各企業とのコネクションを作ろうと画策している。
しかし、そんなことはこの男たちにとってどうでもいいこと。給料と分けてもらった麻薬を使い、其処らにいる女性や観光客を引っ掛けて無理やり犯すことしか考えていないのだ。
(クヒヒヒ、ションベン臭そうなガキ共だが良い身体してやがるじゃないか。特にあの紫髪の嬢ちゃんはいいな、犯して飽きたら金持ちの変態に売っぱらっても良い。娼館なんかに押し込んで死ぬまで薬漬けにしても良い。ククク、本当にうまい商売だなぁ~、麻薬の密売ってのはよぉぉ!)
男は目の前にいる帽子を被った少年、その後ろにいる少女を見て興奮していた。
後先考えない行動、誘拐などの犯罪行為を行った後の処理のことを一切考えず己の快楽のみで行動を起こしている。この男自身も麻薬中毒であった。
上司から与えられた麻薬に自身も手を出し、その万能感から抜け出せなくなっていたのだ。
元々この島の浮浪者ででしかなかった男が今では下っ端とはいえ数人の部下を持つことを許されている。そしてその部下たちにも麻薬を与え、同じ中毒者にしてしまった。
救いようのない男だった。
「デュエルかぁ?別にいいけれどよ。そっちが決められる立場にあると思っているのか?あぁ?」
「そうだよ、この人数で敵うとでも思ってんのかぁ?だったらとんだ間抜けだな~」
クハハハと男の部下達は嗤う。
この時点で既に男たちの少年の戦力は1:6。更に相手は男たちより小さい少年だけ。
マトモにやりあったとしても勝ち目が無いのは明白。
だったらそんな面倒なことをせず力任せに奪い取ればいいと結論を出した。
「さっさと消えろよガキがァァ!」
部下の1人が思いっきり腕を振り上げ、少年目掛けて拳を振り下ろす・・・筈だった。
「フギャァ?!」
振り下ろした筈の腕は見当はずれな方向に向かい、部下の顔面から潰れたカエルのようなみっともない声が響く。少年の拳が部下の顔面に突き刺さっていた。
そして、思い出したかのように殴られた衝撃で空高く吹き飛ばされる男。幸い地面は柔らかい砂であるがそれでも直ぐに起き上がってはこれないだろう。
顔面が凹んでいるのだ。鼻が砕け、上唇は破裂し口内には砕かれた歯の欠片が突き刺さっていた。
男はゾクリとした。たった一撃、その一撃でここまで1人の人間を吹き飛ばし、人体を傷めつけることが出来るのだろうか。しかも、この部下はガタイが良く喧嘩では負けたことがないタフガイだ。例えナイフで切りつけられても笑って反撃を繰り出す事ができる痛みに強い奴だった。
そんな奴があの細腕から繰り出される一撃で再起不能になっている。
「テメェぇ!」
「良くもヤってくれたなぁぁ!!」
怒りに任せ部下の2人は刃物を取り出して突撃していく。
だが・・・
「ごぼぁ!?」
「あべあぁッ!」
先ほどの男と同じく吹き飛ばされ同様に顔が陥没し起き上がることはなかった。
「お、おいッ!!」
一方的な光景に男は狼狽えることしかできなかった。
残りの部下2人も唖然として口を広げているだけ、とてもじゃないが直ぐ様行動を移すことは出来ないだろう。その合間に少年が2人の懐に入り込み・・・
「―――え?」
両の腕で部下達を掴むとビュンッという風切音と共に部下達を吹き飛ばした。
上を向くと部下達が恐怖に歪んだ表情のまま足掻き勢い良く落下してくる。
「ヒィィ!」
思わず頭を抱え地面に伏せた。
それが功を奏したのかどうかは知らないが部下達は男の真横に落下した。
顔をあげると首が曲がってはいけない方向に曲がり目と鼻から血を流し、口から泡を吹いて痙攣している部下達の姿を見てしまう。
「―――」
そんな部下達のことなど知らないとばかりに少年は真っ直ぐ男のもとに歩み寄ってきた。
やってしまった、こんなガキに関わるんじゃなかった。
男は後悔しながらゆっくりと後退し部下達を置いて逃げ出そうと振り返る。
だが・・・
「―――デュエルしろよ」
「・・?・・・!?ヒ、ヒィィィッ!?」
振り返るとそこにはつい先程目の前にいたはずの帽子の少年がデュエルディスクを構えていた。
男は何が起こったのか分からず呆然とし、その後直ぐに得体の知れない恐怖に襲われ腰を抜かし・・・
「――――――ぁ?」
気がついた時には男は牢屋の中で眠っていた。
一体どうなったんだ?そう疑問に思うが思い出そうとすると身体が震えてしまう。
手が震え歯がガチガチとぶつかり脳内では『思い出すな』と激しく警鐘を鳴らしていた。
だが既に遅かった、思い出してしまったのだ。
あの血にまみれたような紅い帽子を被り無表情のままコチラを見つめる鋭い眼光を・・・
デュエルの終わるとき、ニヤリと笑みを浮かべていたあの悪魔のことを・・・。
「ああぁぁぁぁぁ、aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaッッッ!!?」
もう男は思考をすることが出来ない。
考えてしまえばあの悪魔のことを思い出してしまうのだから。
もう男は何処にも向かうことが出来ない。
進もうとすれば常にあの帽子の悪魔の影を見てしまうのだから。
その後、リゾートを台無しにされて怒りの余り無表情になった少女たちの手により男のボスやその関係者全員が逮捕されました。
勿論コナミ君がデュエルをしてね(マジキチスマイル